またたき街雑記

仕事と日々のあれこれを綴った雑記

たいせつなもの ここにあります

2006年09月29日 | Weblog
昨日、ポプラ社さんから刷り上ったばかりの
「コンビニたそがれ堂」の見本が届きました。

今週末には全国の書店にも並んでいると思います。

現実に‘本,という形になった時の手ごたえは
毎回変わる事の無い新鮮な喜びを与えてくれます。

幼い頃、親に買って貰った本が嬉しくて
その日は一日中何処に居ても本といっしょで、
とうとう寝る時も手放せなくなってしまい、
朝まで本を抱いたまま眠ってしまった……。

気づくとそんな小さかった頃の思い出を
蘇えらせてくれていました。



最初の挿絵として登場するオレンヂ色の扉絵は
一番最後に仕上げたコンビニお兄さんのイラストです。
その後に来るトングを手に持ったお兄さんの絵は
一番最初に描いたものなのです。

もうお分かりの様に、見比べてみますと
お兄さんの顔は確実に進化!しています!!

…実はこれ、意図的なものでは無く、
最初のスタイルから少し画風に変化が起こり
とうとう‘地,が出てしまった結果なのです。
そんな事情もあったのか…、ということで
楽しんで見て頂けたら嬉しいのですが、
一寸ムードが違ってしまったなと思っています。

他にもいろいろと……、
表紙のイラストは何度も構図を変えてやっと
今の形に落ち着いたのですが、
クリンアップした時、コンビニお兄さんの尻尾を
うっかり描き忘れてしまって後で手描きの尻尾を
慌ててデジタルで合成したものなのです!
キツネの石像のエプロンも後からデジタルで
追加の彩色をしています。

それから最初はペンを使って仕上げていたイラスト
ですが、途中から使い慣れた鉛筆に切り換えて
作業をしました。
作業効率を上げる為だったのですが、
それはペンと鉛筆の違いが全く区別つかない程
とても綺麗に印刷されていて個人的にも驚いています。

そんなこんなで最後までバタバタとしてしまいましたが
とても綺麗な本に仕上がっていましたので、
編集人のKさん共々今はホッとしているところです。

そして、何よりも村山早紀先生の紡ぎ出す
美しい物語に感謝です!!










いろいろな色

2006年09月24日 | Weblog
少し前の話です。

その日は良く晴れた空の下、
霧雨が辺りに降り注ぐ、
゛狐の嫁入り゛という自然現象を
観る事が出来ました。

細かな雨粒たちは、
西日を受けてキラキラと乱反射し、
まるで極薄の絹のベールで包んだかのように
あたりをすっかり幻想的な世界に
変えていました。

間もなく、
霧雨を降らせていた雨雲が正体を現し、
上空をかすめて東へ移動すると
半円形の大きな大きな虹を空に架けたのです。

雲の切れ間からは幾筋もの光がもれて
いわゆる゛天使の梯子゛と呼ばれる
現象を生み、
更に広がった雲間には青空も顔を覗かせて、
天空はいろいろな色が一気に溢れ出し
多くの色彩でごったがえしていました。

しばらくすると、その光景とともに
虹の架け橋も小さくなって、色も淡くなり、
やがて青空の中へと消えていきました。

この間、時間にすれば僅か数分…。

仕事の合い間という事もあり、
刻々と色の移り変わる大空を見て、
不思議な物語や幻想的なキャラクターを
連想させてくれる自然のキャンバスを授かった
様な気分になりました。

そんな気分に励まされてか、
頼まれていた企画用イメージボード
に彩色する作業にも思わず
力が入ったのでした。



写真は青空も少しずつ広がって
虹も小さくなり、
西側の山影が濃いシルエットに
変化した頃の様子です。






陶器とカタツムリ

2006年09月19日 | Weblog
先日「世界ふしぎ発見」という
TV番組を観ました。

今回はミステリアスな沖縄の動植物や
自然、そして島民の暮らしぶり等が
クイズ形式で沢山紹介されていました。

島の"おばあ"の小魚漁(ものすごく
沢山の魚たちが群れをなして仕掛けの
中を通り、待ち構えるおばあの網の中
めがけて飛び込んでいきました)
や、巨大蛾ヨナクニサンも興味深かった
のですが、なんといっても後半の
ふしぎな陶芸品についてのクイズが
いろいろな意味で印象に残りました。

そのクイズというのは、八重山諸島に伝わる
゛パナリ焼き゛という陶器についてで、
身近な生き物を粘土に混ぜて焼き上げる、
大変珍しい作り方をされているのだけれど…
では、その身近な生き物とは何でしょう?
というものでした。

いったい何だろう…?

ぞくぞくしながらその答えを待っていますと
いよいよ正解VTRが流れ始めました。

ミステリーハンターが答えを伝えた後、
現地の人が更に詳しく説明…
と、その時です!
何処かで見覚えの在る顔が画面いっぱいになり
そして語り始めたのです!!
「これはカタツムリの貝殻を粘土に混ぜ込んで
焼き上げた大変珍しい陶器です…」とか何とか…

あれ?もしや…、
そこに現れた人物は…
福光美術館でお会いした方では???

カメラが捉えたその人物を更に凝視する事
数秒……、
細面のシーサー顔といい…
優しい語り口ながらも眼光鋭い
ところといい…

…間違いありません!

その方は、僕の描いた中原中也詩画集の絵が
大変気に入ったと言って、何度も僕の肩を
叩いて去っていった方です!!

福光美術館の館長さんともお知り合いだった
その方は、
竹富島・喜宝院蒐集館の館長さん、
上勢頭 芳徳(うえせど よしのり)さん
その人でした!

予告も無く、TVを通じての突然の再会ですが、
何となくジワリと嬉しい気分になりました。

今回、竹富島は残念ながら紹介されませんでしたが、
何だかあれこれふしぎ体験が待ち受けていそうで、
いずれは沖縄へ、そして竹富島へ飛んで
みたいなと思っています。

『コンビニたそがれ堂』表紙絵

2006年09月18日 | Weblog
村山早紀さんのオリジナル小説に
僕が表紙絵と挿絵を担当させて頂きました。

今月下旬に全国の書店に並ぶ予定です。
店頭でこのシンプルな表紙絵を見つけたら
是非手にとってみて下さい!


゛透明感゛を基本コンセプトに、
今までイラストで描いた事の無かった、
線描を軸としたシンプルな世界に
こだわってみました。

表紙の彩色も出来るだけ抑えて
重要なものだけを彩色し、
テーマの焦点を絞りこんでみました。

本編の挿絵に至っては、影なども黒ベタを
一切使わずに簡略化したタッチのみの
表現に留めたり、
キャラクターの表情も線の強弱を利用して
表情が出来るだけスッピンで伝わるように
工夫したりしました。


透明感…、

上手く皆さんに伝われば
大変嬉しいのですが…。


金色の稲穂

2006年09月10日 | Weblog
昨日は、アトリエ付近の田んぼで
稲刈りがありました。

…と云っても、
稲穂が重く頭を垂れている田んぼに
巨大ロボットにでも変形しそうな
大きな赤い稲刈り機が
轟音と共に入って、
轟音と共に動き回って、

…と思っているうちに、
稲刈り終了。

昔話的に想像する稲刈りは
大変そうなイメージしかありませんが、
今はあっという間に稲刈り名人が
さっさかさと機械の手を借りて
痛快に刈り取ってしまうんですね。

刈られた後を見ると、
微妙にトラ刈りになってはいますが…

そんな「イマドキの農業」を
実感しているうちに、
しばらくして辺りに不思議な光景が。

稲刈りが終わったばかりの田んぼの上を、
どこからか大勢のツバメたちが現れて、
空を切って高く低く、飛び交い始めたのです。
その数少なくとも百羽は下りません。

これほど沢山のツバメが
いちどきに飛んでいる様を見たのは初めてで、
正直、その様子を目の当たりにして、
暫くその場を動くことが出来ませんでした。

彼等は長い間あたりを飛び回っていましたが、
夕暮れのはじまる少し前に、
次々と南西の山の方へ飛び去って行きました。

初秋の昼下がり、
高くなってきた空の下で見た
夢のような光景でした。

夜になって、思い当たったのは、
稲刈り後の田んぼから虫たちが
一斉に逃げ出して、
南へ旅立つ前のツバメたちの
格好の栄養補給源になったのかな、
ということです。

さらに、昼間のごとく
煌煌とあたりを照らす、
めっぽう明るい月を見上げつつ、
ふと思い出した事が…。
<ツバメたち、結構低いところも
飛んでたなーツバメが低く飛ぶと
雨が降るとか云うけど…>

      ○
      ○
      ○

…今日は見事に雨になりました!
時々カミナリも……。
















蜂のココロ、その2

2006年09月10日 | Weblog
そう言えば最近、
ご無沙汰かな???

…て、いいますか……

イヤに静か過ぎてチト不気味…
逆に気になってしまいました。

あの独特の羽音も聞こえないし…

今はあの羽音は恐怖の序曲
でしかないのですが…

でも気になる!

恐る恐る…ですが、思い切って
彼等のアジトである
巣を覗いて見る事にしました。

すると、

女王蜂や働き蜂たちなど、
成虫は一匹も見当たりません。

変です!
生活感ゼロ!!
まっ、まさか育児放棄!

あれ?どういう事?

殆どの蜂はどうやら既に
巣立った後…、そこには
まるで忘れ去られたかの様に
゛何か゛が
残されていたのでした。

ヒッ!!

蓋がされたままの状態で
幼虫のままその中で息絶えた子、
巣立つ直前に事切れたのか
その形は殆ど成虫なのに
ピクリとも動かない子たち……

そうなのです…
あの静寂の答えはこれだったのです!!

そこには巣立つ事の出来なかった
哀れな亡骸が残されていたのでした。

…挙句に
どうやら彼等は
お葬式も行なわない様です…


写真、巣の下の方に横たわって
いるのがその亡骸です。

蓋が開いていましたので
ご出演願いました。


合掌!!







展覧会スケッチ6

2006年09月06日 | Weblog
約一ヶ月に渡って開催された
福光美術館での展覧会が
今月の3日、
無事閉幕となりました。

僕にとっては最初の公立美術館での
本格的な展覧会であると同時に、
アニメーションとイラストレーションの
カップリングという、公立美術館では珍しい
挑戦的かつ画期的な企画展となった事も
新鮮な体験でした。

とにかく馴染みの無い始めての試みが
多かった事もあり、
展示スタイルや点数など、色々な面で
心配事が尽きることは有りませんでした。

しかしそんな中、
僕や美術館スタッフの心配を他所に
お客さまはコンスタントに来場下さり、
そして何よりも
新しいスタイルのこの美術展を
楽しんで受け入れて下さったのです。

土曜、日曜等は思いの他盛況で、
我が目を疑った程でした。

…そして最終日、
この日も大勢のお客様にお越し頂き
最後とばかりか、大いに展覧会を
盛り上げて下さいました!!

…夢なら覚めないでほしい……、
そう心の隅で思わず呟いて
しまいました…。

何度も来場して頂いたリピーターの方々、
ご家族連れでいらした方々、
友人同士のグループでいらした若い方たち、
新しい門出を前にふと立ち寄って下さり
暖かな涙を見せて下さった方、
皆さんおひとりおひとりと絵についての話、
情報交換、そして他愛ない話…などなど、
こちらもリラックスして楽しませて頂きました。
本当に有難うございます!!

感謝の気持で一杯です。

自分の未来に一輪の花を添えて
頂いたような…そんな気分です。
今回の展覧会で皆さんから受け取った
゛特別な時間゛は、自分にとって
最高の宝物となりました!!

今後も作品数をどんどん
増やしていき、
再び皆さんにお目に掛かれるよう
創作活動に励んで
参りたいと思います。


感謝を込めて!!









続 ジャイアント・パンプキン

2006年09月02日 | Weblog
毎朝その姿を見つけては
今日一日の始まりを清々しく
迎える事ができました…

オレンヂ色が日増しに
濃くなっていくその姿にも
気持ちが救われました…

卵のような緩やかな曲線を
描き出していたその姿も
やすらぎと安心感を
与えてくれました…

なのに……

なのに……


別れは突然でした…。


ある朝の事、彼は住み慣れた
畑から忽然と姿を消していたのです。

持ち主の方が朝一番に彼を
収穫していったのでしょうか?
一輪車に乗せられ…
軽トラックに積まれて……

♪ドナ・ドナ・ドーナ~・ドォーナ~♪

とばかりに…荷台の上で揺られながら
見知らぬ所へ売られていったのでしょうか?

…それとも、
果敢にもご町内カボチャ品評会の
チャンピオン戦に挑んだので
しょうか???

         ・
         ・
         ・

いやいや、きっと
夜中の畑に現れた魔法使いが
彼の立派な姿に魅せられ、
豪華な馬車にその姿を変えて
しまったんです。

彼はコオロギの御者が操るカモシカに
曳かれてこの畑を後にし、
シンデレラをお迎えに向かったに
違いありません!

そう!

きっときっと彼は立派にお勤めを果たした
のです。


いままでありがとう!
ジャイアント・パンプキン

そして…さようなら!
ジャイアント・パンプキン





展覧会スケッチ5

2006年09月02日 | Weblog
約一ヶ月に及んだ展覧会も
早いもので、今日9月2日と
明日3日の2日間を残すのみと
なりました!

まだまだお名残惜しい
ところですが…
何事にも゛終わり゛は
来るものなのですね……。

この間にいらして下さった沢山の皆さま!
本当に有難うございました!!

富山県内はもとより、石川県
東京、神奈川、群馬、長野、岐阜、
新潟、兵庫、京都、大阪、広島、
香川、愛媛、沖縄などなど

遠方からも野を越え、山越え、
海を渡り、川を渡り…遠路はるばる
本当にご苦労様でした!

加えて今年の夏の暑さたるや…
それにもめげずにご来場下さった
全ての方々に…

感謝!! 


この2日間は僕も会場入りして
おりますので、
見かけましたら声をお掛け下さい。

サイン会も行なう予定ですので
宜しかったら是非!




『コンビニたそがれ堂』ラフ画 3

2006年09月01日 | Weblog
あたし、猫のあんず。

『コンビニたそがれ堂』という
お話の中で第4話に
出演させてもらってるの。

こう見えても
立派な主人公なんですからね!

エッヘン!!

その辺り…どうぞよろしく。

誰がどう見たって
完璧な猫族なんだけど…
人間のお兄さんに
どうやら、
゛恋゛というものを
したゃったらしいのよ……

人間からは
道ならぬ恋?という
くくりで容赦なく分類されちゃう
運命らしいんだけど~

あんずには
人間の言葉は難しくって?
イマイチ…
頭の中に入らないのね~
…で、適当にやり過ごしちゃう事が
多かったりするの…

…だから、いまだ゛道ならぬ恋゛って
意味分かんないままなんだ~

あんずがもう少しだけ
大人になったら……?
…経験を重ねたら?

何時か分かる日も来るのかな~?

誰でもいいわ、今度こっそり
おしえてちょーだい!