「時をかける少女」その後

原画と作画監督補佐を務めさせて頂きました
アニメーション映画、「時をかける少女」(公開中)が
スペインで開催中の第39回シッチェス国際映画祭において、
アニメーション部門の最優秀作品賞を受賞致しました！

細田監督をはじめ、各セクションがスケジュールの
無いところで、本当に最後までこだわり続けた結果が
ひとつの証として表われたように思いました。

細田監督おめでとうございます！！

スタッフの皆様お疲れ様でした！！

振り返りますと本作品、
スケジュール面では殆ど休日がとれない程、
ハードワークな日々が続いておりました。

しかし、そんな状況にも関わらず不思議なくらい
最後まで楽しく作画を続けることが出来ましたし、
何よりもアニメーションの中で、最も創造的な作業の
ひとつでもある、“原画作業”の面白さを思い出させて
くれた事でも大変心に残る作品となりました。


願わくは、また同じスタッフで長編をご一緒させて頂けたら
本当に嬉しいです。

ベンチとキャミソール

挿絵の作業に入る前、
編集部さんから届けられた原作がありました。

先日、実際に製本され完成版となった内容を
冷静な心持ちで拝読させて頂いたところ…

ややっ？！

イラスト作画中に読んでいたものとは
設定が少し変化している事に気づきました！

最初に僕の手元に届けられた原作は、
ノスタルジックなムードが全編に醸し出された内容で、
小道具やファッシヨン、少ない言葉でも伝わる表現方法などが
随所に散りばめられていたのです。
ですが、先日製本され届けられた原作は、現代性をより強く感じられる
ような、そんな雰囲気の設定に変更されていました！

その為、イラストで描いた設定と原作本番の設定との間に
少し食い違いが出てしまっている所もありました。

どうやら村山先生は、
僕がイラスト作画に着手している段階でも尚、
完成度を高める為に手直しをなさっていたご様子なのです。
作家たるこのあくなき姿勢は、
とても素晴らしいものと感じました！！


本編第２話、「手をつないで」の後半で、
主人公のえりかちゃんが、お母さんと抱き合うシーンは
出版後の原作ですと…ベンチに座ったままのえりかちゃんが
お母さんと抱き合う設定になっています。
ですが…、僕が頂いていた挿絵用？原作はえりかちゃんが
ベンチに座っていたという設定はかなり前の方で登場しますが、
座ったままの姿勢でお母さんと抱き合うという設定
ではなかったのでした！

加筆されたことで、
映像的イメージも浮び易くなって素敵だな～と思いました！！

が……しかし、
しかし、しかし！…イラストと違ってま～す（汗）


本編第３話、「桜の声」では主人公のさくら子さんの
ファッションは挿絵用に頂いていた原作によれば…
ジーンズとブラウスのみ…という設定でしたが、
出版された本では、ジーンズにキャミソールそして、
ブラウスを軽く羽織っている…
と、変更されていました。

ふむふむ、現代的なファッションになって、
よりいっそうさくら子さんの存在がが身近に感じられます。
かなりＤＪっぽいムードにもなりましたし……

ですが…、ですが、ですが～！　
イラストとちゃいまんがなぁ～（大汗笑）


そんなこんなで…、
嬉し恥ずかし初挿絵体験は、ほろ苦さもちょっぴり残して
幕を閉じたのでありました～（涙！！）


編集部さま、原作にご変更が生じましたら
今度は速やかにお教え下さいませませ……（願）