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My ordinary days

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ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

小川洋子「ブラフマンの埋葬」

2010-01-18 12:17:01 | 読書
高校生の頃は皆さんそんなもんだろうと思いますが、やたら背伸びしてわけのわからない本を読んだりするもので

哲学宗教系の本も目についたものを、たくさん読みました。
体系的な学問の書として読むというよりは物語のようにして読んでいたように思います。
(ようするにきちんと理解していない

その中のひとつに「ウパニシャッド」もあり、この本はご存知の方も多いと思いますが古代インド「バラモン教」の聖典で、アートマン(自我ってことか)とブラフマン(宇宙の根本原理とか絶対者とか)とは究極的には一体である、という真理を説いていまして、それを理解することによって輪廻から解き放たれる とゆー
詳しくは覚えていないけれどすごくおもしろく読めたことだけ覚えている。

で、表題の作品。

とある夏、「僕」は傷ついた森の生き物を拾い、育てる。それがブラフマンです。
いったい何の動物なのか、最後まで明確にはされません。
そしてこの物語で唯一名前を持っているのが「ブラフマン(作中では、”謎”という意味をあてている)」なのです。
主人公にも、友人の碑文彫刻師にも主人公が心を惹かれている村の雑貨屋の娘にも名前は与えられていません。

ひっそりとした森の中にある「創作者の家」で(「僕」はそこで管理人をしている)、芸術家たちはそれぞれの芸術・・・音楽であったり絵画であったり、レース編みであったり
を生み出していく。一方、村の南側にある古代墓地、北の山にある墓石の採掘所そして古代の埋葬人の話、と、「死」の存在は小説の中で圧倒的な存在感を持っている。


ブラフマンが拾われそして埋葬されるまでのお話が、淡々と進められてゆきます。

躍動するブラフマンと埋葬されるブラフマン。そこに境界というものがあるのだろうか。
あまりに遠く、そして近い 死 を感情の起伏に囚われることなく表現した物語。


愛する動物を失った悲しみを描くペットロスのお話、ではアリマセン・・・あくまで私の読み方ですが。

小川さんのべたつかない文章がよいです。。 



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