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My ordinary days

ようこそいらっしゃいました!
ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

手塚治虫「火の鳥:復活編」

2011-10-13 14:39:12 | 読書
漫画の神様手塚治虫の名作「火の鳥」。
全部で12編、プラス別巻としてもう1編あるようです・・・タブンそのうちの一つ二つを読んだことがあるだけですが、なぜいま復活編なのか?

・・・昨日長女ちゃんが学校の図書室で借りてきたから~ 今小学校の図書室には漫画もあるんだね。大雪師走さんの「ハムスターの研究レポート」が置いてあるから不思議ではないか・・・でもなぁーー 
ま いっか。

「復活編」。
時代が少し異なる二つのお話が交互に描かれ、最後に接点が示される体になっているのですが・・・

①事故死した少年が最先端の医療技術によって身体の半分以上を人工物としながらも生き返らされます。視覚に異常が残り、人が人でなく見え周りの世界の異様さに苦しみますが彼の眼にたった一人だけ美しい女性の姿が映ります。チヒロという名のロボット。少年はロボットと恋におちますが周囲から狂人扱いをされ(普通の人間の目にはまんまロボットの姿にみえる)、ついに二人は国外に逃亡するのですが・・・

②その少年の時代より50年ほど先の世界。同型ロボットの集団自殺がおきます。ある一体を複製してつくりだした保守的生産労働用ロボットたちで、ロボットが自らを破壊するなどもちろんありえない現象でした。
同じ頃に月にも同型のロボットがいて人間に仕え作業に従事していたのですが、このロボットは急に「自分は人間だ」という意識を持ちだします・・・


このお話のどこに火の鳥がでてくるのでしょう~?300ページ中火の鳥の出番はほんの数ページ。
実は①の事故死した少年は火の鳥を見つけ、その血を手にいれ隠していたのでした。

お約束として、火の鳥の血を飲むことにより人は永遠の命を得ることができるようになります

しかしこの復活編では、人は技術の進歩によって死を征服できるようになっています。主人公の少年は火の鳥の血によってではなく、人工物を体内に入れ込むことで死から蘇った。しかし彼は苦しみます。自分の内側の半分以上が作り物だったとき、それは元の自分と同じといえるのかどうか?
苦しんだすえ、人とではなく愛したロボットと生きていこうとするのですが・・・。

「火の鳥」のテーマ:
生命とは?
永遠に生きる、とはどういうことなのか?

現在の医療は病気をなくし人が長らく健康に生きられることを目標に進歩しているはずで、人を永遠に生きさせることを目標にはしていないと思いますが・・・

好奇心から数百年後の世界をみてみたいとは思いますが、永遠に生きることを本当に望む人間はいるのだろうか?いつの間にか生きている、気付いたら生きているのが私たち人間で、自分で決めて生きているわけではありません。自分で決めて死ぬことも、通常の精神状態であればできないのも人間。

女性は子どもを産むからそんなに永遠を望まないのではないかな。子どもたちの中にもうすでに自分がいるから、先々も生きることができる。という感覚があります。なんとまぁプリミティブな感覚~ でもホント。そう感じます。







昨夜からちょと具合悪くて微熱ありますが
午前中意識を失っていたので(お昼寝ともいう)少しは回復した、かなーとブログアップ。でもまだまだへろへろ感が残っているので中途半端に強制終了しますーーー

火の鳥全巻は機会があれば元気な時に読もう・・・。



ちょっとお疲れなわたくしとご本。中村文則「掏摸[スリ]」

2011-09-07 12:44:21 | 読書
新学期が始まりばたばたとしてちょっとお疲れきみなわたくしですが

そういう時は早く寝ればよいのにそんな時に限って本を読んでしまって睡眠時間を削ってしまうしょうもないわたしぃ。

中村文則「掏摸[スリ]」読了。

本を読んでおもしろい、と思っても人に貸す気になれない本、薦めない本もあります。内容はおもしろいのだけど読後感がよくないものだったりあまりに衝撃的かなと感じたもの・・・
今回は・・・おもしろかったのですが、うーん。

悪い、なんて悪いんだ。真っ黒だ!
という悪の人「木崎」と、天才的すり師の「僕」との対峙、いや対峙にもならない、圧倒的な力で「僕」を含めた回りの人間を動かし世の中を動かす木崎からの断るすべのない命令を受けて、そしてそれをその天才性でこなしていく「僕」・・。というのが本筋のお話。

主人公の「僕」は小説の中では全く描かれていませんが相当壮絶な人生を送ってきた人間のようです。安アパートに住み回りの人との関係は希薄、数年前に愛した女は自死、幼いころから盗みを繰り返し服装にだけは注意を払う・・スリを成功させるためにはボロボロの身なりではうまくいかないという理由からですが・・・。スーパーで子に万引きをさせる母と子どもに出会い、子どもの貧しそうな服にどうしても気がいってしまうのは自分もそうした子どもの一人だったから。(冬場に薄着の子どもは私も気にになるけど)その後も突き放しながらもなにくれと面倒をみてしまう「僕」。

小説の後半に「僕」の小学生時代の盗みの回想がでてくるのですが、盗みが皆の眼前で露見してしまい押さえつけられて責められ、恥ずかしさを覚えるけれども皆に自分が盗んだということが明らかになったことに恍惚となる「僕」が心の中に存在する。
悪いことが明るみにでて逆にほっとするかのような解放感。 
「光が目に入って仕方ないなら、その反対側に降りていけばいい。
という感覚。
また、「僕」の恋人もみごとに破滅型というか、
「目の前にある価値を、すべて駄目にしたくなる。
タイプの女性。

うー ちょっと    すみません、かな。小説の中のこととわかっていても、合わない。個人的にです、もちろん。そういう感覚、わかる、という方もいるでしょう。

しかし濃い?人物満載で、疲れる。 
光と闇とで混沌とした世界の中で闇を見続けるのはつらい。そこを見続けて見続けて、その先に光を求め、でも求められない自分を自虐的に楽しんでいるかのような・・・


ラスト、傲慢な神のようにふるまう木崎に一矢報いようとする「僕」。どうなるのかその先は明示されていませんが、木崎の描いた運命に何かしらの影響を与えてくれれば、と願いますね。
「僕」の望みはこういう風に生きてきた人間の最後がどうなるのかを知ることでした。
けれど最後に「僕」は、抗うのです。絶対的な悪である木崎に。木崎に司られたかのような運命に。 その先に光、希望という名の塔…メタファーとして「僕」にだけ見える塔がでてきます。私はそれは「僕」が彼にとっての高みに昇っていくための塔、と思いたい。

(でも悪の権化木崎より万引きさせる母のほうがより酷い)


あっという間に読んだのでそうは疲れなかったけれど、気持ち的にはああ疲れた。




ばかみたいに本を買ってしまい読み途中も何冊か・・・ (併読可能型)

少し休め自分。

松本大洋「GOGOモンスター」

2011-08-20 08:31:48 | 読書
[きみの花が咲くよ。その時がきたよ。]


いやいやいや。
「鉄コン」のクライマックスが全編にわたって描かれているような迫力!
これも一気読みさせられました・・・・繊細で少し斜にかまえているけれど物事をストレートに見、感じ、それを内に取り込み、とても危うく、邪悪なものに取りこまれそうになりながらも、きちんと愛情を受け取ることができる子ども、ユキ。



「鉄コン筋クリート」「ナンバーファイブ(吾)」「ピンポン」
・・・、と発表年代ばらばらに読んできましたが。
どれも良かった!どれもおもしろかった!!

これらのお話どれもだいたい対になるようにして主人公がいるのですが、
鉄 ならシロとクロ
吾 なら・・・んー、これは少年二人ではないですがまあ マイクとマリー(マトリョ―シカ)が対になるかと
ピン なら もちろんペコとスマイル・・・(あっスマイルの本名って!)


で、「GOGOモンスター」です・・・。
まず かわいいー♪本当にかわいいです。キャラクター。頬がふっくらしていて、表情が豊かでまさに小学生って感じ。シロとクロより子供らしくて(シロはまあアレですが)ペコたちはもう高校生だからあのやーらかい雰囲気はない。
小学3年生、確かにこっちとあっちとを行き来できるぎりぎりの年齢の主人公なんだろうな。
舞台は小学校。3年生の立花雪(ユキ)はあっちの世界が見える男の子。あっちの世界が見える子どもはそういないのでもちろんクラスで孤立。先生からも叱られる。でもユキを理解してくれる用務員のガンツもユキを嫌がらずに話を聞いてくれる転校生の鈴木誠(スマイルの本名は月本誠でしたね)もいて、なにより学校にはあっちの世界の友達がたくさんいるのですから学校には毅然として通っています・・・。
今回、主人公ユキと対になるのは誠ですが、もう一人この子はどっちなの?という子が。5年生の「IQ」。段ボールを頭からかぶり生活、学校で飼われている白いうさぎの「ユキ」をかわいがり、そして天才。ユキのこともずっと観察していたようです。ユキの世界の理解者のようだけれども、あくまでこっちの世界の言葉での解釈です。

あっちとこっちの世界、そして両方の世界に侵食してくる邪悪なもの・・・ ユキはあっちの世界に住む友達「スーパースター」からだんだん距離を置かれていくように感じ、それは大人に近づいているということなのですが、自分を守ってくれる世界から離され一人になってしまう不安から、世界すべてを・自分を消してしまう=黒い扉の向こう側へ行ってしまう誘惑にかられるようになり、そして・・・・。

見える子とデキル子と普通の子の、春から次の春までの一年が描かれています。髪も切ったり伸びたり
ユキだけに届くメッセージの数々。 うさぎ、そして銀の棒。ユキが闇に勝つためには何が必要なのか。

ユキが魅力的なのはもちろんですが、普通の子誠の存在は大きいですね。
誠は邪悪なものに負けてしまい廃校になってしまった(らしい)小学校からグループで転校してきた子どもの一人です。勉強は普通、無口だけど気遣いのできる男の子で、あっちの世界にこだわるユキを心配しています。そしてあっちの世界の友達も誠がユキの光となるだろうことを予見してか、あっち友達の一人チャンスがいたずらをしていましたが・・・・。

それにしてもセリフがいいのです。
すじと直接関係のない回りの子のなんてことない言葉や、なんというか説明するのが難しいのだけど突っ込みがさりげなくおかしい。日常の切り取り方が上手な作家さんなのでしょうねー。言葉の感覚が鋭くて。お母さんが詩人(国語の教科書に載ってるし編纂している)というのも関係しているんだかわかりませんが

幼年期から少年期に移行したというところでしょうか 最後の自転車の場面、とてもよいです。止まらなくて危ないけど男の子なんてそんなもん
それに、ウサギたちと一緒のほっとしたようなIQの姿も。 うさぎのユキは…貫禄あるなぁーーー





ところで
ユキはスマイルみたいな話し方をする。・・・スマイルはヒーローを待ち望み、ユキはスーパースターを待ち望む・・・スーパースターが現れるには誠の力が必要だった・・・
そして田村卓球場のおばばは冷酷無慈悲に強いスマイルを「スマイル‘モンスター”」と呼んだのでした



清邦彦編著「女子中学生の小さな大発見」

2011-08-13 09:15:35 | 読書
いやいや笑いましたねぇっ♪

静岡双葉中学校の理科の先生が生徒の研究レポートを数行にまとめて紹介しているのだけど、
それ理科の研究ですか?? なものがたくさん、でも「それでいいんです」という力強いお言葉が・・・。

正しい答えを求めるばかりではなく、なぜ? と すごい! から理科は始まっていく。

おっしゃる通り!、です。ですが、夏休みの自由研究なんかを学校に提出、なんてなるとやっぱり疑問→仮説→計画→いろいろやる→結論をだす という一連の流れを要求されているようでなかなかに大がかりなものになってしまいがちです。

本書の中身いくつか抜粋:

「Mさんの家の猫は背中にガムテープを貼られるとほふく前進をします
「Ⅰさんはいろいろなものをたたいて音が何秒続くか計りました。「仏壇に置いてあるやつ」は20秒続きました
「KさんによるとオロナミンCのびんを吹くときは水が多いほど高い音がでます
「Oさんは犬を回転いすに載せてくるくる回しました。50回まわしたらはあはあ言いながら転びました
「Kさんが熱帯魚を、熱帯魚だから熱いところが好きだろうと日なたに出しておいたら、死んでしまいました

どこからそういう発想が?と思う研究がたくさん載っています。はははは^^
全然自由研究のヒントにはなりそうもないのですが、こういうことからはじめてもいいんだ、という指標になるのでは。

万城目学「偉大なるしゅららぼん」

2011-08-06 06:18:11 | 読書
しゅららぼん?

なあに~それは~??なタイトルですが

琵琶湖の神から賜った不思議な能力を持つ日出一族、の分家筋の少年涼介。能力者と認められた者は、高校入学時に親元を離れて日出本家に3年間身を寄せてその力を磨く修行に勤しむ習わしとなっていました。入学式の前日、本家のお城(!)にやってきた涼介。本家には彼と同い年のいとこ日出淡十郎がいて一緒に学校に(自家用船で!)通うことになるのですが同じクラスには棗(なつめ)広海という少年もいたのでした。琵琶湖の神から力を授かったもう一つの湖の民、棗家。仲はお約束通りによくありません。バトル勃発か!?いや、そういう話でもなくて、淡十郎に好きな子ができたり吹奏楽部に入部して練習をしたりの普通の高校生活にプラスして、涼介は力を磨く修行をしたり・・・そして・・・

こう書いてるとどんなラノベだよ、という感じもしますが、そうですね~SF?コメディ?エンタメ?青春物?それともファンタジー? 

琵琶湖畔から日出と棗の両家を追い払おうとする旧藩主(日出家のお城は元々はこちらのものだった、のを「力」を使って財を成した日出家祖先が買収)の末裔が登場し、未知の力で日出・棗両家を圧倒します。日出家当主淡九郎も棗家当主である広海の父や妹も命が危ない!果たしてどうなる!?

読んでいて楽しかったです。この人のお話にでてくる神様はほんとうに人間のことなんてどうでもいいの?、というか気まぐれな風で笑ってしまう。森羅万象すべて人間のために存在しているわけではないということなんだろうなぁ。

淡十郎には姉がいて、「グレート」清子と呼ばれるとびきりの能力者なのですが彼女の活躍ぶりも凄いです。活躍というか、人を活躍するようにきっつい指示をだすというか。清子さんは能力が強すぎて城の中にひきこもる人生を選んでいたのですが、だからこそ城をでていくわけにはいかなかったのですね・・。

しゅららぼん とは、「力」が発する音、二つの異なる力が同時に働いたときに聞こえる音。「力」自体に名前がないので便宜上その力をしゅららぼん、と呼んでいるのです。


すいすいと読み進められるので読了までに時間はそうかかりません。
ラストで、両一族にはあることの「ニ度づけ」が禁止になっているのだけど、棗くんのおかげで?ニ度づけではなくなることがうっすらわかります。うっすら、です。最後まで描かれていないので想像になりますが、涼介はそのことに気づいているのかな~ ということが気がかり&楽しみなところです。