ぽっぽぶろぐ

まだまだ謎の田園主婦・ぽっぽ(水須ゆき子)です。
題詠blog2008参加中。

すみません。

2006年04月13日 | 茶箪笥
ちょっと倒れてます。(^_^;)

でも、
大したことありません。
明日か明後日には起きられる予定。

宝石箱へのお返事、
遅れていてごめんなさい。
もうちょっと待ってて下さいね~

4月歌会のお知らせ

2006年04月13日 | 茶箪笥
新・短歌フォーラム(旧@nifty短歌フォーラム)の、
4月歌会が始まりました。お題は「光るもの、明るいもの」。

投歌締切は4月12日(水)24:00。
どなたでも参加できます。よろしければぜひどうぞ。
詳細はこちら 

【028:おたく】水都 歩さん

2006年04月11日 | 宝石箱
おたくとか引きこもりとかねくらとか変な物差しあてるの止せよ/水都 歩


こういう角度で「おたく」を歌にしたのは、
現時点では水都さんお一人ではないでしょうか。

皮肉な感じは受けませんでした。
たぶん本気で真っ正面から抗議している。

それだけに、
一種の清々しさがある。
と同時に偏見をなくせというのも偏見なんだろうな、と。

えーとつまり、
おたくというのは、
引きこもりやねくらと同列なのね、
と思ったわけです。(^^ゞ

変なものさしの「変」。
これはつまり「色眼鏡で人を見るな」ということですけれど、
読みようによってはおたくもひきこもりもねくらも変なんだ、
ということにもなってしまう。

もちろん、
作者が言いたかったのはそういうことではないでしょう。
でも「この人は無意識にそう見てるんだな」とも思える。

言葉って、
意識って難しいですねえ。(しみじみ)

それでもこの歌は、
説教臭さよりも正義感の方が強い。
だから「うん、そうですよね」と素直にうなづけます。

正しいことが、
いつも通るとは限りませんが。
そんなことはとっくにご存じでしょうね。作者さまも。

【028:おたく】まつしまさん

2006年04月11日 | 宝石箱
奪われてみたい心がありまして辞書で「おたく」の種類調べる/まつしま


好きだなあ、まつしまさん。
この歌もいい味出してます。(^^)

「奪われてみたい心がありまして」
おたくというとその偏狭さが嫌われがちですけれども、
そこまで何かに夢中になれることが作者は羨ましいのでしょう。
そんな余裕もないくらい忙しい日常を過ごして来られたのかも。

そして下の句。
おたくの「意味」ではなくて、
「種類」というところが及び腰っぽくてすごくイイ。(笑)

残念ながら、
私の辞書は「おたく」の意味止まりで、
「おたく」の種類までは載っていませんでした。
たぶん作者の辞書にも載っていなかったのでは。

でも、
それでいいんでしょうね。
実際に載っていたかどうかは問題じゃない。

辞書で調べようとしたところが大事で、
すごく可笑しくて、ちょっぴり切ない。

オタクになんかならなくていいんですよ、
と肩を叩いて言ってあげたくなりますし、
じゃあ今度一緒にコミケ行きましょうか?
と誘ってあげたくもなる。好きな歌です。

【028:おたく】西中眞二郎さん

2006年04月11日 | 宝石箱
市町村人口動向気になるは我も一種のおたくなるべし/西中眞二郎


「おたく」
最も困ったお題の一つでした。(笑)

念のため、
語句の意味など。

おたく【御宅】
1.相手の家の尊敬語。
2.相手の夫の尊敬語。
3.相手または相手方の尊敬語。
4.<多く片仮名で書く>特定の分野・物事にしか関心がなく、
  その事には異常にくわしいが、社会的な常識には欠ける人。
  仲間内で相手を「御宅」と呼ぶ傾向に注目しての称。(by 広辞苑)

そうそう、
普通は片仮名書きですよね。<秋葉系オタク
今回は平仮名なので物名的にこなした歌もありました。

さて、西中さん。
自分も一種のおたくであろう、
ということをさらりと正しく書いている。

だからどうした!でもなく、
変に卑屈にもなっていない。
その背筋の美しさに惹かれました。

これはやはり、
「市町村人口動向」だからでしょうね。
マニアックというよりは作者の来し方を感じます。
興味の方向が開かれている、とでも言うのかしら。

【027:嘘】おとくにすぎなさん

2006年04月10日 | 宝石箱
エイプリルフール最後の一瞬に嘘にもみえるメール送るね/おとくにすぎな


4月1日、
23時59分ごろのメールでしょうか。

嘘だよん、
と言ってしまえるからこそ、
本当のことがやっと書けたりする。

そんな切ない、
でも明るい歌だと思いました。

おとくにさんの歌は優しいな。
消えてしまいそうな一瞬の歌。

【027:嘘】春畑 茜さん

2006年04月10日 | 宝石箱
嘘あらむ真(まこと)やあらむひらかれて傘のさまざま木屋町をゆく/春畑 茜


京都・木屋町は高瀬川に沿った南北の道筋。
四条河原町や祇園ほどの派手な賑やかさはなく、
繁華街でありながら落ち着いた佇まいを持つとか。

そんな雨の木屋町に、
さまざまな傘が行き交っている。

傘の内の人々には、
嘘もあるだろうし真もあるだろう。
そもそも人間というものは嘘と真で出来ている。

嘘の傘も真の傘も、
雨を弾いてそれぞれに美しい。

そんな風に読みました。

第三句の、
「ひらかれて」の明るさが好きです。

【027:嘘】しゃっくりさん

2006年04月10日 | 宝石箱
臨終の父に嘘つき誉められしみかんの苗は植え終わったと/しゃっくり


「嘘」
楽しみに読んでみたのですが、
ぼんやりと観念的な歌が多かったような。
具体的なら良いというわけじゃないですけれど、
本当に言いたいことが分からないのは良くないよね。

さて、しゃっくりさん。
「大阪の水」もそうでしたが、
これも「みかんの苗」が巧いなあと思います。
巧いと言ってしまっては失礼に思えるくらい。

第二句から三句の、
「父に嘘つき誉められし」は、
もう少し整理できそうな気もします。語句の繋ぎとか。
たぶん誉めてくれたのは父ではなくて周囲の人でしょうね。

嘘を誉められたことを、
作者は誇ってはいないのです。
むしろ苦々しいとまでは行かなくても、
おそらく皮肉まじりに思い返している。

しかしその皮肉さを、
みかんの苗の素朴な明るさが救っています。

結果としてこの一首は、
いくら遠くなっても決して消えない悲しみを、
それ以上の懐かしさで覆っているような気がしました。
だから全然しめっぽくない。

かつて昭和天皇が崩御の少し前に、
「今年の稲の実り具合はどうか」と尋ねたという記事が、
当時の新聞に載ったことがありました。

その時は、
ずいぶん時代錯誤なことを、
と思いましたが今は少し違う感想を持っています。

私はまだ死んだことがありませんから、
これから死んでゆく人の気持ちは分かりませんが、
最後にみかんの苗を思うというのは悪くなさそうです。

そういえば、
橘の古名は非時香菓(ときじくのかくのこのみ)でした。
お父様の黄泉路を明るく照らしてくれたかも知れません。
こんなことを書いたら作者さまに笑われてしまうかしら。

【026:垂】謎彦さん

2006年04月09日 | 宝石箱
韮色に萌えいでよかしアエネアス忌をいはばしる脳下垂体/謎彦


あああ、
なんでこんな難しい歌ぬすんじゃったんだろ…。

と、
いつも思いますがとにかく読んでみます。(笑)

「韮色」は「にらいろ」明るい緑。
「萌えいでよかし」の「かし」は念押しの強調。
「アエネアス」はホメロスの叙事詩「イリアス」に登場するトロイアの英雄。
トロイア落城後イタリアに渡りローマの基礎を築いたという伝説の人。
「忌」が付きますからその「アエネアスの命日」ということですね。
「いわばしる」は岩に水があたってしぶきが飛び散る様子。
「滝」「垂水」「近江」に掛かる枕詞です。
そこから「脳下垂体」が最後に導き出されるわけですが…。

…語句の解説だけで終わっちゃいそうだよ~(^^ゞ

意味云々ではなくて、
次々と煌めき流れるイメージを味わう歌なのかも知れません。
でも結局シュールなんだよね。<萌え出でよ脳下垂体

いつもながら、
届かない読みですみません。
あとは直接謎彦さんのブログをご覧下さいまし。

【026:垂】春畑 茜さん

2006年04月09日 | 宝石箱
朱の箸にひき上げらるる春昼を三輪索麺はひかり垂れたり/春畑 茜


この歌も綺麗で美味しそう…。(じゅる)

第三句の「春昼を」の入れ方が絶妙。
朱の箸は素麺と共に春の陽差しも掬っています。

きっと作者は、
春の光を食べたのでしょうね。
ごちそうさまでした。(*^_^*)

【026:垂】丹羽まゆみさん

2006年04月09日 | 宝石箱
いづくかは陰となるこの水球のおもてにわれは垂直に立つ/丹羽まゆみ


「垂」
このお題を見たときから、
ずっと頭の中をグルグルしている歌がありまして…。

 夕光(ゆふかげ)のなかにまぶしく花みちてしだれ桜は輝(かがやき)を垂る/佐藤佐太郎

すごい歌だよな~(しみじみ)

この歌のせいで枝垂れ系はなかなか盗めませんでした。
すみません。(^_^;)

さて、丹羽さん。
いつもながら気持ちの良い歌ですが、
今までの気持ち良さとはちょっと違うような。

なんていうのかしら。
心地良さではなくて決意の爽やかさがあります。

水惑星とも呼ばれる地球。
この球体はいつもどこかに必ず陰を持っている。

その水球の表面に、
作者は垂直に立っている。

陰の夜も、
光の朝も、
私はこの水の星にいる。
この揺らぐ水面に真っ直ぐに立つのだ。

そういう歌だと思いました。

私はすぐ斜めになってしまうけれど、
丹羽さんはいつも真っ直ぐなんですね。
その理由がようやく分かった気がします。(^^)