ぽっぽぶろぐ

まだまだ謎の田園主婦・ぽっぽ(水須ゆき子)です。
題詠blog2008参加中。

【020:信号】紫女さん

2006年04月03日 | 宝石箱
青空に中指立てて背を向かば赤き信号檻として立つ/紫女


下の句がかっこいい。
信号待ち状態のことでしょうけれど、
こういう風に書くこともできるんですね。
上の句の突っ張り具合(?)によく合っています。

気になったのは、
第三句の「背を向かば」。
「海ゆかば」なんて軍歌がありますから、
こういう「ば」の使い方は確かにありますが、
何となくしっくりこないので調べてみました。

「向かば」は「向く」という自動詞の未然形+ば。
この歌の場合は「背を」ですから他動詞の「向ける」が正しい。

ただし、
古語ならば自動詞も他動詞も同じ「向く」なんですね。
でも活用が違います。自動詞は四段、他動詞は下二段。

だからここは文法的には、
「背を向けば」にした方が正しいかと思います。

ただなー、
音がどうかなー。
「向かば」の方がかっこいいことはかっこいい。

【020:信号】丹羽まゆみさん

2006年04月03日 | 宝石箱
信号の青に許されつかの間をゼブラゾーンの春風となる/丹羽まゆみ


信号肯定派。
ここまで気持ちいいと納得しちゃいます。(^^)

「ゼブラゾーンの春風となる」のは作者なわけで、
ナルシスティックな表現にやや引きそうになりますが、
それを第三句の「つかの間を」が抑えてくれているような。

ほんの少しの間なら、
風になるのも悪くないよね。

許される前、
赤に禁じられているときの様子も、
見てみたい気がしました。春風になる直前とか。

【020:信号】中村成志さん

2006年04月03日 | 宝石箱
からっぽの駕籠抱きしめて信号の黄 赤 青 黄浴びていました/中村成志


「信号」
色、点滅、モールス信号、手旗信号、
伝わらない思い等、いろいろありました。

さて、中村さんの歌。
これはもう下の句の「黄 赤 青 黄」でしょう。
黄まで戻って来たのがいい。時間の経過を視覚で表している。

からっぽの駕籠が何を示しているかは、
残念ながら分からないのですが。分からなくもいいのかしら。

「黄 赤 青 黄」の後、
空白なしに「浴びていました」が来ますけれど、
ここはこれでいいのかな。私なら多分ひとつ空けますけどね。