処置法研究室

SLRブログ

鯵の開き

2005-01-31 23:32:38 | Weblog
 29日に買って来た刺身用の鯵を使って実験をしています。
実験は4枚で、環境は同じとして行います。
皮の酸化を防ぐために「アスコルビン酸ソーダ」を塗布した物、0.9%の塩水に漬けてから
乾燥させた物、直射日光に当てる物、寒風にさらす物(私のマンションは潮風)、等の条件
を変えて行ったところ、人間とほぼ同じデータが取れました。
鯵の干物が外でも腐敗しないのは紫外線の殺菌効果ではなく、「相対湿度」の影響であり
「組織水分含有量の影響」である事が鯵の干物を作る事で判ります。

 市販の鯵の開きでは「酸化防止剤や防腐剤が使われているため」、正確な実験は出来ません。
干し肉を作る場合も、「生肉だけでも肉の水分含有量」をコントロールすれば、塩や防腐効果
のある方法を行わなくても「腐敗させる事なく保存は出来ます」。
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この時期の色

2005-01-27 23:41:30 | Weblog
 この時期、発見が遅れた遺体や寒い部屋や場所に置かれた遺体は特有の色をする。
これは、低温により「鮮紅色」となるためであり、寒い所で発見が遅れた「うつ伏せ」であれば
カバーが大変である。
エンバーミングで薬剤置換を行えばかなり薄く出来るが、時間が経って組織浸潤してしまって
いれば、完全には除去出来ない。
これらには、フェノール増量が有効である。

 中からはエンバーミングで薄くし、外からはPで漂白が基本である。
それにカバーをすれば完璧な出来である。
ベースをのせて、カバーは同系色が誤魔化しやすい。
「鮮紅色には同系職のピンクP」を使用。
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原稿

2005-01-24 07:49:17 | Weblog
 先週は2本原稿を上げた。
1本は旧厚生省系の団体の物でもう1本は業界系の物。
この厚生省系の本は4月頃に出るが、此方では人体被爆量について書いてある。
エンバーミングを行うとどの程度の放射線被爆を受けるのか等を書いており、
これは文部科学省の検討会の資料を基に書いたが知識としては持っていた
方が良い部類。
必ず試験に出せる問題であるが、今まで日の目を見なかった資料。

 私クラスで1遺体から10μSv程度の放射線を受ける。
そのため、年間被爆量は1mSvが最高値と思われる。
メーク屋の被爆量も似た様なレベルと思われる。
発癌性レベルには程遠いが、「妊婦」は辞めた方が良い。
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MDMの意味

2005-01-22 02:12:24 | Weblog
 たまに、MDMの意味を聞かれます。
MDMとは minimum dose method の略です。
しかし、正確には minimum effective dose method が意味としては正しく、
MEDMが正式です。
邦名は「最小有効量投与法」とします。

 プロキロ計算をした事があるヒトなら分かると思いますが、「過投与が良い
結果を招く訳ではありません」。
医薬品では100mg投与でよい患者さんに250㎎を投与すると、症状改善どころか
最悪では「死亡」となります。
生体死体に関わらず、過投与は良い結果を招きません。
これは大学の解剖学教室を見れば一目瞭然デす。
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掲載写真の拡大方法

2005-01-20 12:32:26 | Weblog
 掲載されている写真が小さいとクレームが来ていますが、以下の方法を取って下さい。
直接写真を「左クリック」すると写真は大きくなりますが、説明文は付きません。
そのため、下記に文章であれば「胸腔と腹腔」(緑色のタイトル)を左クリックすると、
胸部レントゲン写真が拡大され、説明文書も拡大掲示されます。
そのため、写真を見ながら文書を読むためには「表題クリック」をお願いします。

 また、掲載写真は基本的には「3日後には削除します」。
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胸腔と腹腔

2005-01-19 02:32:41 | Weblog
 胸腔を腹腔を隔てる隔壁が横隔膜であり、「赤腺」です。
胸腔には空気を含んだ肺(左右の黒い部分)と心臓(青腺で囲まれた心嚢内にある)があります。
腹腔内の緑矢印は「腸内のガス」であり、この写真では横行結腸から下行結腸にガスの貯留
を認めます。
遺体ではこのガスの発生が更に進み、空腸や回腸、上行・横行・下行・S状結腸内にも
多量のガスが発生します。

 そのため、腹腔内圧が更に上昇し横隔膜の拳上を誘発し、口や鼻からの「漏液を起こします」。
「漏液」の原因はこれだけではありませんが、多くの場合の原因はここにあり「胸腔内圧と腹腔内圧のコントロール」をすれば多くの場合は防げます。
高齢の女性では「腹筋が極めて弱く、皮下脂肪織も薄い」ため、腹腔内圧が上昇すると「下腹部
暴慢」を起こし、横隔膜の拳上は少ないため「高齢女性遺体の漏液は少ない」となります。
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口や鼻からの漏液

2005-01-16 03:13:46 | Weblog
 遺体屋や葬儀社を困らせる物に「遺体の口や鼻からの漏液」があります。
これを理解するためには「胸腔と腹腔の構造」について理解する必要があります。
この写真は「胸部単純撮影の写真」ですが、この写真からも幾つかの事項が読めます。
写真的にはCTR(心胸比)が大きいですが、遺体的には問題とはなりません。
また、この写真を見るとこの遺体を腐敗させない限りは「遺体からの漏液は起こらない」
と断言出来ます。

 左右の肺野もきれいで胸水貯留もなし、胸部打音は「清」であり問題のない遺体ですが、
肺に炎症や水を含んだり胸水貯留の見られる遺体では胸部打音は「濁」となり漏液が出ます。
レントゲンは「気体は黒く写る」ため、「肺野が白っぽい」場合は漏液の危険性は高まり
ますが、遺体の胸部写真は中々撮れないため「胸部打診」で判断します。
バイオプシー(生検)針を刺しても判りますが、スイカと同様に叩けば「音で判ります」。
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自治体災害対策マニュアル

2005-01-16 02:50:59 | Weblog
 私は東京都庁に勤務していた関係から、「東京都災害対策マニュアル」を担当部署から
貰っており、そのシステムや予算、委託先も知っています。
これらのマニュアルは自治省の指導もありましたが、全国ほぼ「東京都のコピー」です。
そのため、全国に自治体は「東京都とほぼ同じ内容になっています」。
東京都では大規模災害時の「遺体処置委託費用を7,000万円程度」を計上しています。
自治体によって異なりますが、100万人規模の政令指定都市では数百万円は予算枠があります。

 スマトラ沖津波は各自治体の災害対策担当者に対する影響が非常に強くありました。
従来からの棺の確保(葬儀業界に備蓄させる)に加え、納体袋の確保が始まりました。
遺体搬送車両も関係業界を通じ確保をしており、「箱・袋・車」の確保は出来ました。
残りは「薬」ですが、行政の条件に適合する薬が中々出来ません。
手元にある新しい薬が有力候補ですが、実験を重ねてデータを取っている最中です。
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国内の災害対策に拍車

2005-01-13 02:29:29 | Weblog
 昨年は国内で数多くの災害が発生しました。
その関係もあり、自治体が「遺体対策」に本腰を入れて来ました。
今回のスマトラ沖大津波での被災の大きさと災害後の対応の悪さが露見し、各行政組織も
「大規模災害対策」に対し具体性を出す必要があります。
死亡者総定数分の棺や納体袋の備蓄、遺体の保存や処置に対する確保や備蓄を進めています。

 これは、各行政だけではありません。
「業界の備蓄」も本年になり拍車が掛かりました。
2005年度の「予算枠組での災害対策費比率」は間違いなく上がります。
災害対策備蓄や災害対応の準備は「保険」と同じで、何もなければ無駄な物です。
しかし、最悪の事態を避けるためには「無駄な保険も必要」です。
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災害対策講習会

2005-01-10 02:30:26 | Weblog
 表板にも書きましたが「災害対策講習会」を行い、装備や薬剤、処置法の統一や
手順を行いたいと思います。
しかし、残念な事にこれに参加し知識や技術を覚えても「利益には繋がりません」。
そのため、参加条件としては非常に劣悪であり「稟議書」が通る講習会参加ではありません。
ましてや東京で行う予定であり、参加はゼロかも知れません。
東京で行うかHPに公開し「統一処置法制定」を行うか、意見を求めます。

 講習会は「午後の3時間位」と思います。
HPの方は「美大の先生が頑張ってくれる筈」ですので、間もなくアップ予定です。

 今回のNRT・KIX写真はあと数日で削除します。
背景も正月が過ぎましたので、「暗い物に変更」します。
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