処置法研究室

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日本集団災害医学会が開催

2005-03-02 06:54:47 | Weblog
 明日、3月3~4日まで、「日本集団災害医学会」が開催されます。
それに先立ち、昨日の3月1~2日まで、「トリアージタグ講習会」が行われており、全国各地から医療従事者、救急従事者、自治体が参加しています。
私は3日からの学会参加となります。
学会員の入会資格は「医学資格所持者、救急関係者、自治体職員」であり、発表内容も被災地救援報告や「実際に役立つ物ばかり」です。
「試験管の実験結果の報告や発表ではないため、直ぐに現場で使える物ばかりです」。

 今回は3施設から「NBCテロ対策」が発表されます。
サリンテロの時もありましたが、「被災者からの医療従事者の2次汚染はあります」。
東海村放射能汚染事故でも千葉県内の「放射線事故専用病院」で対応しましたが、一般病院に搬送された場合は対応は困難であり、受け入れを拒否される場合もあります。
先のサリンテロ事件では被災され死亡した1遺体にエンバーミングが行われました。
サリンやVXの様な「Cテロ」は比較的容易に除染が出来るため、「遺体からの2次汚染は基本的にはありません」。

 ただし、1度に数百人レベルで死亡者が出た場合や、医療機関に運ばれず直接に警察に運ばれ検視や検死(検案)だけで終了した遺体は、「遺体からの2次汚染の可能性は多々あります」。
そのため、私が使うような薬剤で「加水分解」をさせなければ危険な場合があります。
この様な遺体を依頼された場合、私は所有している「ガス分析測定器とガス検知管」を用い、遺体から発生・遊離するガスの種類と濃度を測ります。
そのガスの種類と濃度により「吸着フィルターと薬剤を決定します」。

 「Bテロ」については、Bテロ被災遺体の遺体処置は医学資格所持者しか出来ません。
また、被災遺体にエンバーミングを行う場合は「クラスⅠレベルの施設」でしか出来ません。
しかし、残念ながら日本国内には「クラスⅢ~Ⅴレベルの施設しかない」ため、事実上はエンバーミング施設でエンバーミングを行う事は出来ません。(非常に危険)
ただし、被災後の経過が永く「2次汚染、2次感染の可能性がない場合」はクラスⅤレベルの施設でもエンバーミングは可能です。

 「Nテロ」については、私の所持している放射能測定器でも充分に対応が出来るため、Nテロ被災遺体が持ち込まれた場合や、現地での処置に当たる場合は「遺体からの放射線量を測定」し、対応をする事は可能です。
本来は「1mm当量レベルの納体袋」が欲しいのですが、これなどはアメリカ軍出なければ所持していないと思われます。
「高濃度のプルトニュウムによるNテロ」では、対応は困難です。
そのため、「遺体の除染処置が重要」となります。

 災害は台風や地震、津波だけではありません。
飛行機も落ちれば列車もひっくり返り、ビルも燃えます。
名古屋空港のROC機墜落事故でも日本の遺体業界では何も出来ず、「ケニオン・グループ」が海外から来ました。(実際には活動は出来なかった)
阪神淡路大震災時も「県警本部は何も聞いていない、遺体安置場現場責任者も本部から何も聞いていない」との事であり、「遺体に対する切開行為や縫合行為は一切禁止」された状況でした。
そのため、「被災現場での被災遺体へのエンバーミングは事実上、禁止されました」。

 政府や自治体、医療機関では「NBCテロは必ずある」と考えており、その対策と準備、備蓄を始めています。
「炭疽菌ワクチン」の増産も進んでおり、システムと準備は進んでいます。
しかし、テロを仕掛けてくる方も必死であり、「予測以外の事をする可能性」もあります。
NBCテロ以外では放火や爆破と思われ此方は「火焼死遺体や爆発遺体」であり、従来からの遺体と同じため納体袋だけで対応は出来ます。

 Bテロ・Cテロであれば復興は容易ですが、Nテロであれば復興は長引き大変です。
国際情勢は必ずしも安定していません。
イスラエルでは「ガスマスクとエピネフィリン注射を国民に支給しています」。

 
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