お次は青森編。
今回行ってきたのは、五所川原と深浦。
■太宰治生家・斜陽館
五所川原市金木町にある、太宰治の生家・斜陽館。
ずっと行ってみたかった場所です。
今年は太宰の生誕100周年ということもあり、とても賑わってました。
太宰がいいとこのおぼっちゃんっていうのは知ってたんですが、
まさかここまで凄い家の出だったとは。
田舎のちょっとした金持ち、くらいにしか認識してなかった自分が無知でした…。
お父さんは貴族院議員で、銀行を経営。自分ちの警護の為に、家の向かいに警察署作っちゃったというんだから驚き。
加えてお兄さんも知事や衆議院議員を歴任。
すごいなぁ。家族がこんだけ立派だと、太宰が卑屈になった気持ちもちょっとわかるような…。
この斜陽館、外観もさることながら、内装がとんでもなく豪華。
洋と和が絶妙に入り混じってて、明治という時代を強く感じる造りです。
どかーんと吹き抜けの開放感溢れる台所とか、鹿鳴館か!っていうくらいの広い階段とか、
京都のお寺ですか?っていうくらいの襖絵とか…、ホント見てて飽きないくらいの豪邸。
展示室には、太宰の学生時代の落書きだらけのノートや、
お兄さんや姪に宛てた素朴な内容の手紙なんかが展示されてて、
「作家・太宰治」じゃない、素の顔が垣間見られて凄く興味深かったです。
でも私、この場所に来たら太宰の人生よりも、
太宰を家族に持った津島家の人々の苦労の方が偲ばれてしまって。
今でこそ文豪として尊敬される存在だけど、その当時のことを考えると、
こんなスキャンダラスな人を親戚に持ったら、色々と大変だったろうなぁ…と。
この家のことだって太宰は、
『父はひどく大きい家を建てたものだ。風情も何もないただ大きいのである。』
とか言い切っちゃってるんだもの。お父さん可哀相!!(笑)
でも家族との関係も色々と複雑だったんだろうな。
『人間失格』読むと、幼少時代に使用人から受けた行為も相当なトラウマになってたようだし…。
(↑これが実話かは明確じゃないらしいけど。)
う~ん…。色々とぐるぐる考えさせられる場所でした、斜陽館。
訪れた後はやっぱり無性に太宰作品が読みたくなって、
とりあえず『人間失格』『斜陽』を再読。
そうしたら、昔読んだ時ほど作品に拒否反応を感じなくなってました。
やっぱり自分も歳を取って、感覚が変化してきたんだなぁ。
そうそう!!
今年が生誕100周年ってことで、太宰作品の映画化とか色んな企画が行われているようですが、
その中で最も楽しみなのがコレ!!
小畑健がキャラデザインする『人間失格』のアニメ化…!!
うわ~!!
この表紙の月くん似の美少年が、色々とやらかしてくれるってことだよね!!(笑)
何て粋な企画だ。
アニメタイトルは『
青い文学』。
集英社文庫で表紙を描いた作家さんがキャラデザをする、近代文学のアニメ化シリーズらしい。
日テレで10月10日から放送だそう。
ラインナップは、
小畑健×『人間失格』『こころ』、久保帯人×『地獄変』、許斐剛×『走れメロス』
どうかどうか、クオリティの高い作画と脚本をお願いします…!!
ラインナップには無いみたいだけど、こっちも見たかったな~。
荒木飛呂彦×『伊豆の踊り子』、浅田弘幸×『汚れちまった悲しみに』、小畑健×『地獄変』。
でも正~直なことを言えば、やっぱりアニメ化より漫画化が見たいです。
集英社さん、せっかく太宰100周年なんだから、何とかして小畑先生を口説きおとして描かせてください。(笑)
小畑先生が描かないから、ついつい古屋兎丸版『人間失格』買っちゃったよ…!!
しかもこれ↑、斜陽館の帰りの金木町の本屋で購入。
本屋さんが大プッシュしてたもんだから、つい。(笑)
古屋兎丸の初期作品を一冊持ってるんだけど、あまりのグロさに読み返せなくて。
だから嫌いじゃないんだけど、ちょっと苦手意識のある作家さんでした。
でもこれは大丈夫だったな。絵も昔と随分変わってたし。
時代設定が現代で、かなりアレンジされてますが面白かったです。
あ…あれ?
青森旅行記じゃなくて、太宰論になってるな…。
しかも途中から漫画論に…。あれー?(笑)
えっと、最後に青森の深浦で撮った海の写真を載せてお茶を濁します。(笑)