漫画家アシスタント物語 第2章

ブログ「漫画家アシスタント物語」の第2章をまとめました

漫画家アシスタント第2章 その19

2005年08月25日 22時31分19秒 | 漫画背景
  ( この写真は、漫画家M先生が当時おられた東京、西武池袋線の富士見台駅です。28年前と
  はすっかり変わってしまいました。《2005年 6月 撮影》)

 【 はじめての方は、どうぞ 「漫画家アシスタント 第1章 その1(縮小版)」 よりご覧ください。】



                       その19 ・・・・・・・・・・・・・ 2005年06月16日 22時28分 ( 公開 )


正直な話、私は漫画家アシスタントを真剣にやろうと思った事は一度もありません。 (少なくともア
シスタントを始めて20年位は・・・)       

まじめに「仕事」として真剣にやるようになったのは、つい最近の事です。 漫画を描く事が当たり前
なんですから漫画背景の仕事は「つなぎ」「趣味の延長」・・・という感じでした。

しかし、他のアシスタント諸兄は私なんぞとは違い、とてもまじめでした。背景の処理に生きがいを感
じている人や、アシスタントの仕事場に入ると気合が入ると言う人、背景を描いていると充実すると言
う人とか、本当にいろいろな人がいます・・・。 私の様にアシスタントをいい加減にやっている人間は、
例外なのかもしれません。


1977年 昭和52年 夏・・・。 それまで、新宿のフランス料理店でカウンター係りとして水割りやハイ
ボールを作っていた私は、大好きだった漫画家M先生のアシスタントになりました・・・。

仕事初日・・・。 朝9時頃からと、言われていたのに10時頃行くともう仕事が始まっていた・・・ 『漫画
家の仕事はみんな昼過ぎから・・・』などと思っていたのは大間違いで・・・・ アシスタントの一人に・・・

 「バカヤローッ! 今頃来やがって、これやれっ!」

と、どなられて組み立て式の小座卓の上に原稿と消しゴムを投げられる。つまり、最初の仕事は消し
ゴムかけ。 だが、この小座卓はスミとのりでベタベタになっていて、原稿を置けたものではないので、
まずティッシュでテーブルを拭く事から始め・・・ そして緊張しながらていねいに消しゴムをかけている
と、先ほどのアシスタントが・・・

 「まだやってるのかっ! 遅せーぞっ! 次はトレース!!」

  ( 先生の描いた一人の兵隊を模写して数十人の兵隊の行進に発展させる。 トレースの未経
    験者にはかなり難しい。)

『ト・・・ トレースって何?』 町や森や背景効果は描けるが・・・ キャラクターのトレースとは・・・・・ 

生まれて初めて見るトレース台・・・。 おまけにあの有名なM先生のキャラクターをトレースして何体も
描くとは・・・ 手が震えて描けない・・・ 時間だけが過ぎていく・・・・・ 初日から地獄である。 

全然、仕事が出来ないという・・・無能地獄である!



                         「漫画家アシスタント物語 第2章 その20」へつづく・・・



・前の記事へ戻る時はこちら→「 第2章 その18 」


 






【 各章案内 】  「第1章 その1」  「第2章 その1」  「第3章 その1」
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          「諦めま章 その1」  「古い話で章 その1」
          ( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )






このページへのコメント 【 計6 】




初めましてバカざるです。 (バカざる)

2005-06-21 17:46:07

僕は大阪に住む漫画を描くのが好きな少年です。
僕は私さんのこの漫画アシスタント物語を読んでとても疑問に思ったことがあります。
それは、なぜ私さんが漫画家になりたいと思ったのか漫画でいったい何を表現したくて漫画を描こうと思ったのかそれがとてもきになる所です。
これは僕の考え方なのですから軽く流して聞いてほしい事なのですが僕は正直言って芸術やスポーツも含めて一番大切な事はなぜその事柄について専門的に追求していくのかとか何を表現したいのかが一番大切なのだと思います。表現方法(この場合漫画)よりも何を
表現したいかそれがあるのと無いのとではとても違ってくると思うのです。              
僕の表現したいものは友達です。
それを具体的に表現したいと思ったときなんか無いか
と探したときにたまたま漫画があっただけなのです。
僕はこう思います、一番自分が表現したい物をたった一人で表現できるというならばその人はたとえ世間的に地位がなくとも一人前の人間と言えるのではないでしょうか?




コメントありがとうございます。 (yes)

2005-06-21 20:40:25

はじめまして。 ば・・・バカざる・・・さん。(ちょっと呼びにく
いんですけど・・・ すごいハンドルネームですね・・・)

「何を表現したいのかが一番大切なのだ・・・」というあなたの
「考え方」はすばらしいです。 私なんぞのような『バカ人間』
には何を表現したらいいかなんて分りません・・・ と言うか・・・

全然考えていませんでした。 『描きたいから描いている』だ
けです。 何を描きたいかというのは、言葉に出来ません・・・。
残念ながら本当に言葉に出来ないんです。もし、言葉にする事
が出来たら、漫画で表現しないでおしゃべりか文章で表現して
いたかもしれません。

あなたのように、「自分が一番表現したい物」はこれです!
とハッキリ言えるような人より私のようにあんまり真剣に考え
ないで描いてきてしまった・・・『バカ人間』の方が世の中には
多いような気もしますが・・・ とにかく、『ばか人間』と言う
か『バカオヤジ』と言うかダメ大人を代表いたしまして、ここ
につつしんでおわびいたします。
           (なんでオレがわびてるの・・・?)


                      半人前のyes




いえいえそんな (バカざる)

2005-06-21 23:18:42

お返事ありがとうございます。
「バカざる」とは、今僕が描いている漫画のタイトルです。
まさか返事がくるとは思ってもみませんでした。
ありがとうございます。
まだまだ聞きたい事と聞いてほしい事もりだくさんなのですが忙しいので今日は寝ます。
頑張ってください
今後もよろしくおねがいします




こちらこそ、よろしく! (yes)

2005-06-22 01:08:20

忙しい中、コメントどうもありがとうございます!

とりあえず、今日のところはグッスリおやすみ下さい。
「明日のために・・・」と言う事で・・・。

では。 お・や・す・み・な・さ・い・・・・(小声で・・・)




Unknown (シャモン)

2005-06-22 04:53:49

おはようゴザイマス。シャモンです。前に仕事場の同僚に:既婚・子供有30半ば「もう漫画家諦めたんですか?」と聞いたら、「アシスタントで一生食えるなら、それでもいいのかな・・・と最近考えてる」とのこと。
その人は凄く早くて巧くて人間的にもかなり完成した人です。本心はどうかはわかりませんが、こんな凄い背景が早くて巧くても、漫画家という職業には直結しないんだなぁ・・・と感じました。
と、ここで前から疑問だったんですが、アシの仕事って何歳まで需要があるんでしょうか?体力的な問題とは別に。
やはり、途中で皆アシから足洗っていくんでしょうか・・・?凄く気になります。yesさんの知り合いに同年代でアシやってる人沢山いますか?良かったら教えてください。巧ければ一生需要はあるんでしょうか?




お早うございます。シャモンさん。 (yes)

2005-06-23 04:12:32

朝4時53分のコメントですか・・・ ひょっとして、徹夜ですか? 

この業界の人はこの位の時間にならないと眠らない人が多いで
すよね。 私も夜暗い内は眠れません・・・。 まあ、そんな事は
さておき、さっそく本題へ・・・・

同年代でアシスタントをやっている人は日本全国で数十人位は
いると思います。 大御所クラスの漫画家と長年、仕事をつづ
けて、結果としてその先生と共に齢を取っていった・・・そういう
パターンが多いと思います。

私は26年秋山プロにいますが、スタッフ3人の内私が一番年下
です(!)。 使えるアシスタントはなかなか得がたくなって
きた昨今ですので、高い技術があればアシスタントの需要はあ
ると思います。

もっとも、雇う側が自分より年上過ぎるのは「使いにくい」の
で敬遠される可能性が高いでしょうから、有名企業に就職する
のと同じで、有名漫画家に死ぬまでご一緒するのが、楽な道だ
と思います。

ちなみに、秋山プロでは40歳から50歳位でベテランが退職した
事がありますが、再就職先は漫画とは全然関係のない、バイト
や警備会社などですので、漫画家アシスタントの未来について
は・・・・・・ 「考えないようにする」 「見ても見なかった事に
する」 という結果になりがちです。

『いつか漫画家になるんだ』という夢はまさに麻薬のようなも
ので、現実から逃避してしまうような気もします。

とにかく、私の知る限りにおいては40,50代で漫画家アシスタ
ントを辞めるとその後の再就職はものすごく困難を極めます。

「漫画家アシスタントはつぶしが利きません」

高齢漫画家のアシスタントに再就職口を見つけるのも大変かも
しれません。 普通、自分より若いアシスタントを使うでしょ
うから・・・・ 

30歳を過ぎたらスキルを身につけておくべきだと思います。
運転免許、介護福祉2級、パソコン検定、外国語、スケコマシ
・・・etc 別に難しく考えないで、自分の好きな事、興味のある
事、で資格を取っておく(もしくは、経験を積む)事です。
何でもいいんです。

ちなみに私はなーにもありません。なぜ、そんなのん気なのか
というと、実は私のカミさんがタイマッサージ店をやっている
ので、いざという時は「髪結いの亭主」にでも・・・ などと甘
い事を夢想しているのです。

やば・・・ 長くなり過ぎました・・・ では、この辺で・・・





   


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2 コメント

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Unknown (にゅん)
2008-12-05 21:48:12
え…怖っ(((゜д゜;)))
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にゅんさん、コメントありがとう! (yes)
2008-12-06 04:15:42
怖いし、つらいし、挫折の連続だし・・・!
 
でも、気が付くと・・・30年以上もやっている・・・! 結局、好き
な事やってるのが一番いいという事でしょうか・・・! 
 
いや、ホント!
  
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