漫画家アシスタント物語 第2章

ブログ「漫画家アシスタント物語」の第2章をまとめました

漫画家アシスタント第2章 その12

2005年07月31日 20時40分44秒 | 漫画家アシスタント
 ( この写真は、JR線、武蔵小金井駅近く、Kさんの元仕事場のご近所風景《2005年4月》)

 【 はじめての方は、どうぞ 「漫画家アシスタント 第1章 その1(縮小版)」 よりご覧ください。】
 


                        その12 ・・・・・・・・・・・2005年04月27日 03時10分 (公開) 


「99パーセントの努力と1パーセントの才能」この言葉は少なくとも漫画界には、通用しない。

1の努力で10結果を出す奴と10努力しても1しか結果を出せない奴もいる。 レスリングや柔道の
様にクラス別けがない。才能が有ろうが無かろうが、中卒も東大卒も・・・何千何万という新人がご
ちゃ混ぜでガチンコ勝負の世界・・・。

自分がどの位才能があるのか、どの位根性があるのか、どの位のレベルにあるのか・・・ 誰もわか
らない・・・ 。原稿を編集部に持ち込む・・・ そして、30分後、編集部を出る・・・・・ 後ろ手にドアを閉
め、神保町界隈の喧騒の中へ・・・・・・・

その時だけ、「現実」を理解する。


入ったばかりの私は、Kさんの仕事場で簡単なコマの背景を指示されなが処理していました。( 19
76年 春 ) 劇画の背景で大事な事は、「資料写真そっくりに描く」でした。 その辺のコツを少しず
つ理解し出した頃・・・ ( 1976年 夏 )


我ながらしっかり背景が描けたかな・・・ などと思いつつ気分よく仕上げ処理していると・・・

  アシスタントN 「 Y君(私)、いいねェ。 上手くなったねェ! 」

  アシスタントO 「 ウォップ ウォップ! 」(『まあまあだな』の意)

サッと先輩Hさんが割り込んでくる。

  アシスタントH 「 こんなの、たいした事ねェな・・・ 」

  アシスタントN 「 でも、電車に反射する光がリアルでいいねェ・・・ 」

  アシスタントO 「 ウォップ ウォップ・・・ 」(『言われてみればそうかも・・・』の意)


先輩H、小ばかにした様な薄笑いを浮かべながら・・・

  アシスタントH 「 トーン使い過ぎ。暗いよ。 」
 
  アシスタントO 「 ウォップ ウォップ・・・ 」(『言われてみればそうかも・・・』の意)


毎日、こんな調子だった。

仕事もかなり慣れてきた頃、この先輩Hさんとは生涯理解し合えないと思う出来事が起きた。


出版されたKさんの雑誌をみんなで見ている時だった。

  Kさん    「 この背景いいよなァ! Y君(私)だろ、これ? 」

絵を見ると私の絵ではない。

  私      「 その絵は・・・・・・ 」

横からナイフでも突き刺すように・・・

  アシスタントH 「 これは、Oですよ! Yじゃありませんよ! Yにこんな絵描けませんよ! 」

  Kさん    「 え・・・? Y君かと思ったよ・・・ O君か・・・ 」

  私      「 は・・・ 」

  アシスタントO 「 ウォップ ウォップ 」(『私の絵です』の意)

  アシスタントH 「 Oのペンタッチはすごいですよねェ! ハハッ、Yの絵とは全然違いますよ! 」

最年少で、一番下っ端の私には、じっと我慢するしかなかった。

毎日、毎日、不愉快な事が10回位あった。しかし、この時の屈辱は今でも忘れる事が出来ない・・・・・・。



  漫画家アシスタント物語、血の教訓

   『 漫画家に成りたい人間は沢山いる。そして、漫画家に成ってほしくない人間も・・・・・・ 』



                          「漫画家アシスタント物語 第2章 その13」 へつづく・・・



・前の記事へ戻る時はこちら→「 第2章 その11 」



  (私の漫画履歴は、 「漫画家アシスタント 第1章 その1」 にあります。)

 






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          ( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )







漫画家アシスタント第2章 その11

2005年07月29日 03時11分43秒 | 漫画家アシスタント
 ( この写真は、JR線、武蔵小金井駅から徒歩10分にある30年前にKさんが仕事場にしていたアパ
  ート・・・? 最近写した写真ですが場所の記憶が不鮮明で・・・すいません。)

 【 はじめての方は、どうぞ 「漫画家アシスタント 第1章 その1(縮小版)」 よりご覧ください。】



                    その11...........................2005年04月20日 04時39分 ( 公開 )


Kさんのアシスタントの月給はだいたい6~7万円、当時(1976年頃)の私の生活費(家賃、食費)が4万
円位ですから、十分生活は出来ました。

   注) 当時の物価を参考までに・・・・・
     ラーメン 200円   ギョーザ 180円   サッポロみそラーメン 350円

この給料プラス年末の一時金と、単行本が発行された時の印税の分配金があったそうですが(!)、
私は仕事をした期間が短かった(1年未満)せいか、もらっていません。


仕事中のBGMはほとんどロック( Kさんはブルースロックが大好き!)とフォークでした。 そして、ラ
ジオの野球中継。

一応、好きな音楽を聴ける事になっていたのですが・・・。私がクラッシク(バッハが好き!)のテープを
かけると・・・・・

 アシスタントH 「 だめだぁ、こんなの聞きながら仕事できん! 」

 アシスタントO 「 ウォップ、ウォップ! 」(同意の意味と思われる)

と、躊躇なくテープをロックに変えられました。

この時が、後にも先にもクラシックが聞けた唯一の瞬間(5,6分)でした。


まだ、ソニーのウォークマンが無かった時代で、各人自由に好きなBGMを聞けませんでした。



  漫画家アシスタント物語、血の教訓

   『 TVにチャンネル権があるなら、音楽にもBGM権がある。このBGM権を奪われると、そこ
     での仕事は苦痛を伴う。

     少なくともその位、音楽や食事にこだわりが無い様では、その( クリエイターとしての )感
     性を疑わざるを得ない。 』



                         「漫画家アシスタント物語 第2章 その12」 へつづく・・・ 



・前の記事へ戻る時はこちら→「 第2章 その10 」
 
 



   (私の漫画履歴は、 「漫画家アシスタント物語 第1章 その1」 にあります。)
      

  
     
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このページへのコメント  【 計2 】



「仕事場でよくあるもめごとのひとつですよね。。」 (rasu)

2005-04-20 23:14:10

長時間、いすに座って絵を描いてるときの
ストレス発散方法といえば、音楽とおしゃべりですが。おしゃべりは、あんまりすると手が止まるし、喋ること自体が禁止されてる
所がありますし、アシスタント仲間が話しが
合う人がどうかもあって(笑)音楽はどの職場でもかならず聞けるモノですよね。
私行ってる先の場合は、ラジオで流れてきた
曲をいきなりラジオを切られたんですが。そのアーティストが嫌いらしく、ラジオを切られた、上に、誰も聞いてもないのに、そのアーティストの文句を言い始めてあたり散ちらしてました。
(これをしていたのは後輩アシスタントです。ので、後で叱りました(笑)
趣味の強要をするのはやめてほしいですよねー。前に行っていた先生にも、好きな漫画を面白いと言えと強要されたこともありましたよ。。





「そうなんです!」 (yes)

2005-04-21 04:00:19

      
rasuさん、コメントありがとうございます。

BGMはジャンルの争いと、ボリュームの争いが多いんです
よネ。 ( 音が「大きい」「小さい」って・・・ )

今仕事をしている所では、ラジオは私が管理していますが、
番組選択権が私ではなく、二人の先輩が握っています。

私はラジオより自分のCDウォークマンを聞いているのですが、
うっかり野球中継の時間になっているのを忘れていると・・・

広島出身で頭の薄い先輩がドスの聞いた声で・・・

 「野球ゥ~聞かンかい!」

ですから・・・・ ますます、自分の世界に閉じこもりたくなっ
てしまいます。