大阪府は、国内初の大規模団地・千里ニュータウン(豊中、吹田両市)の開発などを独立会計で手がけてきた企業局について「2011年度までに廃局」としていた計画を大幅に前倒しし、今年度末に廃局する方針を15日までに決めた。
行財政改革のスピードアップを図るため。自治体の開発部門の先駆けとして脚光を浴びた局は、関西空港関連事業の不振による2145億円の〈借金〉を残し、来年3月、45年余の歴史に幕を閉じる。これで府は大規模開発から完全撤退する。
同局は1960年、府の収益事業を担う組織として設立され、同年から千里ニュータウン、65年から泉北ニュータウン(堺、和泉両市)などを開発。全国有数のコンビナートの堺・泉北臨海工業地帯(堺、高石、泉大津3市)も手がけた。
土地を造成して売り出す事業手法には、全国の自治体が「税金を使わず都市基盤整備ができる」と注目。しかし、関空対岸で90年から分譲を始めた「りんくうタウン」(泉佐野など3市町)は現在も3割が空き地で、1745億円の赤字を計上する見通しとなるなど、バブル崩壊後、事業は次々に行き詰まった。
独自会計による事業維持が難しくなり、府は01年の行財政計画で、同局の廃止を表明。その後も財政状況は好転せず「負の遺産」の早期清算の必要性に迫られたことなどから、廃局をさらに急ぐことにした。
今月には、同局所管の第3セクター「りんくうゲートタワービル社」(泉佐野市)が会社更生法適用を申請。千里ニュータウンの管理・運営などを行う出資3法人も11月に統合するメドが立ち、府は「廃局へ準備が整った」と判断した。
各事業の債務超過分については、府は同局の出資金や手持ちの土地などの資産を処分すれば穴埋めできるとしている。
(2005/4/15/15:20 読売新聞 )