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柔道日誌

柔道に出会って十数年。
経験した事、技の説明、その他柔道に関する事など書いています。
質問なども受け付けています♪

抑え込まれないコツ

2008年08月07日 01時13分30秒 | 寝技
今日は先日質問が来ました「抑え込まれないコツ」について書きたいと思います。

寝技に入られないための防御姿勢と言うといくつかありますが、大抵が以下の通りです。
 ① うつ伏せ
 ② カメ
 ③ 引き込み

この3つの内、③引き込みは寝技稽古の時に上級者が行う腰を畳に着け、上半身と足を上げた状態のことで、攻防一体の状態と考えてよいでしょう。
しかし、うつ伏せの状態やカメの状態は完全な防御姿勢で反撃が出来ないかと言われると、それは「No」です。
実際に私は試合でうつ伏せ状態やカメの状態から相手に反撃し、抑え込むという行為を何度も行いました。
ですが、今回は「抑え込まれないコツ」ということに重点を置いて、そして、特に自分がうつ伏せ状態の場合について書きたいと思います。


1.基本の形(うつ伏せ状態)
 ・脇をきちんと絞める。
 ・顎の下で腕をクロスし、その間に顎を入れて首を竦める。
 ・両手の親指を襟の中へ入れる。
 ・丹田周辺(下腹部から股間にかけて)を畳へ密着させる。
 ・肩幅よりも軽く足を広げる。
 ・足を横にして土踏まずの部分を畳に向ける。
 ・頭は上げずに背筋を伸ばし、体重を丹田に集中させる。

これが基本の形となります。
脇を占めなければ相手の腕が侵入し、自分で襟を確保しなければ絞め技がきます。
また、これらの動作は相手の攻め方によって変わりますので、それは以下を参照下さい。


2.応用
①持ち上げ(帯を持って持ち上げようとする場合)
この場合は単純に相手に持ち上げられないようにすることが大事です。
そのため、基本の形は崩さずに相手が持ち上げようとするタイミングに合わせて体を反るようにして全体重を帯が締めてある場所へと掛けます。
ただ体重を掛けている場合と違い、一瞬のタイミングで一点に集中させると自分の体重以上に相手は重みを感じるため、持ち上げることを断念させることが狙いです。

②仏壇返し(肘、膝などを持って片側へ返そうとする場合)
この場合は2パターンあり、相手が自分の手前に返す場合と反対側へ返す場合があります。
それらを防ぐ形としては以下の動作を行います。
・相手が手にしている側の肘と膝へ体重を掛ける。
・相手が手にしている側の足を基本の形よりも開く。
・相手が手にしているのとは反対側の膝を曲げて畳に密着させ、前腕(肘~手首)も少し開いて畳に密着させ、同時に畳を突っ張る。
単に相手が掴んでいる胴着の方へ体重を掛けるのではなく、腕や足を使って突っ張りに使ったり、足を開いて相手の力が伝わるのを弱めたりすると効果的です。
しかし、基本の形が崩れているため相手が急に胴着を離した場合や反対側へ持ち替えた場合は即座に基本の形へ戻るか、それまでとは真逆の態勢にならないといけません。
また、肘を開いているのでその中へ腕を入れて関節技や絞め技を狙ってくる選手がいますので、それらにも十分注意するようにしてください。

③俵返し(帯を取って肘で背骨を押し、手前の膝を持って頭の方へ強引に返そうとする場合)
この形はあまり行う選手はいないと思いますが一応書いておきます。
この返し方は相手も咄嗟の反応が遅れてしまう場合が多いため、②仏壇返しと同じ態勢で腕のみは完全に伸ばして突っ張ってしまえばまず返されることはないでしょう。
しかし、腕が完全に伸びてしまっているので上記のように絞め技や腕取りには十分注意が必要です。

④三角返し(片足のみ膝立ちで首を挟み、腕をとって返そうとする場合)
おそらく、現在一番メジャーな返し方だと思いますがこれも防御方法を知っていれば問題はありません。
・脇を締める。
・完全に首を挟まれないよう竦めている。
・相手の畳についている膝を両手で掴む。
・足を大きく開いて丹田へ体重を集中する。
上記の状態を保ちつつ、相手が腕を取って倒れながらひっくり返そうとした瞬間に掴んでいた膝を前へと押し出します。
すると、首がすっぽ抜けてしまい相手は勢いのまま後ろへ倒れてしまいます。
単純ですが相手に「上手く極まっている」と思わせるためフリが必要で、タイミングも重要になってきます。

以上、4点について「抑え込まれないコツ」について書かせていただきました。
何分「私なりの防御方法」ですので分かり難い場面があるかと思いますがどうぞ御容赦下さい。
また、他にも「このような返され方をしたが対処法はあるのか?」というご質問がありましたらお気軽にコメントをお寄せ下さい。

寝技のポイント

2007年03月01日 23時45分43秒 | 寝技
月刊誌のような更新ですが、久し振りの更新となりました。

本日は「寝技のポイント」について書きたいと思います。

柔道の練習時間は大体2時間から2時間半。
その間に基礎練習から全て教えるとなると、
確かに時間は少ないです。

そのため、最近では寝技の練習をお座なりにしてしまう
傾向の道場や学校があります。

ですが、寝技の場合、立ち技と違うところは
・センスは必要無い
・学習により向上する
・要点を押さえることで十分
といったことが上げられます。

そのため、多くの時間を費やさなくとも
より確実に「一本」が取れる可能性があります。

そのためには何が重要かといいますと、
「面よりも『点』で押さえる」ことです。

よく、小学生や初心者のの選手を見ていると
横四方固めや縦四方固めで相手の体へ覆い被さるようにして
押さえ込みを仕掛けているのを見ます。
このような押さえ込みが所謂「面で押さえ込む」というものです。

しかし、寝技上級者の場合、このような押さえ込みはしません。

何故か?
理由は簡単です。
1.相手へ掛かる体重が分散してしまい、
  効果的な押さえ込みが出来ない。

2.上になっているためにバランスが悪く、
  相手に返されたり、逃げられる場合が多い。

3.相手の四肢が極められていない場合が多く、
  付け入る隙を与えることがある。
と、以上の3つが主な理由です。

皆さんも、練習や仕合で折角寝技で押さえ込んだのに、
逃げられたり返されたりする場合は、
上記のような状態になってはいませんか?

さて、それでは寝技上級者の場合、どのようにして押さえるのか?
要点は上記した「点で押さえる」ということです。

人間の体は構造上、ある場所を押さえ付けることで
動けなくなってしまう場所があります。
それは、首、肩、腰の三箇所です。

寝技で押さえ込む場合、理想的には上記の3点を
押さえることが出来ればまさに「完璧」となるでしょう。

しかし、形によっては袈裟固めなど出来ないものもあります。
そのため、押さえ込みでは上記3点のうち、2点を押さえることにより、
相手の動きをほぼ完全に封じ、押さえ込むことが出来るのです。

例1 横四方固め(3点を押さえる)
首=肘の内側で挟む
肩=鎖骨から胸で潰す
腰=股の間へ入れた腕を押し付ける

例2 袈裟固め(2点を押さえる)
首=肘の内側で挟む
肩=脇の下や胸部側方を押し付ける

例3 上四方固め(2点を押さえる)
首=相手の頭を左右どちらかへ押し付ける
肩=胸部、もしくは胸部から腹部にかけての場所で潰す

以上のように、主な寝技を上げましたが、
この他にも、以前投稿した記事のうち
「首固め(変形縦四方固め)」も
押さえるポイントのうち、2点を押さえています。

このように、寝技はポイントを抑えることにより、
自分よりも技がキレる選手相手を相手にした場合でも、
勝利を収めることが出来ます。

そのためには、普段からの稽古できちんと
寝技のポイントを抑えることを
反復練習することが必要です。

横四方固め

2006年03月10日 23時58分59秒 | 寝技
今日は「横四方固め」について書きます。

まずは基本的な横四方固めです。
(受の右側に自分がいる形です)
・左手で相手の後ろ襟を取り、肘関節で首を極める。
 この時、左肩で相手の顔を潰すようにすると、より効果的。
・右手は相手の左足を抱えるようにして、
 帯、もしくは裾や胴衣のたれ(ひれ?)部分を持ち、
 肘は相手の下腹部へ押さえつけるようにする。
・右足は膝を曲げ、相手の腰骨辺りへつけ、左足は伸ばしておく。
 この時、右足が十分に相手へ接近していないと足を絡まれるので、
 注意が必要である。
・上半身は相手の胸部よりやや下方の部分へやる。
 この時、上体が乗り過ぎていると、相手に返されてしまうので、
 注意が必要である。
 また、顎を引いていないと、受が攻め手の襟を持ち、
 そこから喉を攻めつつ押し上げようとしてくるので注意が必要です。

これらが一般的な横四方固めのポイントです。


次に「崩れ横四方固め」のポイントです。
崩れ横四方固めは、左腕や足は上記のように基本的な横四方固めと同じです。
ですが、右腕は相手の左脇の下から腕を入れ、首の方へと腕をやり、
相手の後ろ襟、もしくは自分の左手を掴み、しっかりとロックします。

崩れ横四方固めは、通常の横四方固めよりも相手の上半身へ乗ります。
そのため、反対側へ返されることが多くなりますが、
きちんと腰を落とした体制をとっておくことにより、
押さえ込みを返されることはありません。
また、崩れ横四方固めは、体の小さな者が大きな者を抑えるにも
有効な寝技である場合が多いです。

袈裟固め

2006年02月03日 20時57分08秒 | 寝技
今日は袈裟固めのポイントについて書きたいと思います。

柔道をやっていれば基本的な形は分かると思いますので、確実に押さえ込むためのポイントと理由を書こうと思います。

袈裟固めの形は基本の右腕を抱える右袈裟固めです。

○左腕は相手の右肘部分の袖を掴み、左脇の下で手首を挟み込み、
自分の腹部に沿うように相手の腕を引きつける。

この動作は、相手の右腕を完全に封じるために不可欠です。
もしも脇の下で手を挟まずに二の腕部分の袖などを掴んでしまうと、
相手の腕が自由に動いてしまいます。


○右腕は頭を抱えるようにし、相手の左肩部分を掴み、
肘の内側で相手の首を挟み、肘から手首に掛けての部分に首を乗せる。
また、この時に相手の頭部を畳みにつけないようにする。

肘で首を挟んでおかないと相手の頭が畳みについてしまい、
反対側へ返される恐れがありますので、それを封じるためにも
相手の頭は畳から確実に離しておきます。


○腰の右端を相手の右脇の下へつけ、腰の右裏側を
相手の脇から下へ沿うようにする。

腰が離れていると腰を捻って逃げられる可能性はありますので、
しっかりと腰をつけておきましょう。


○上半身は相手の体の上に立てる(相手の体に垂直にする)。

自分の体が相手の体から見て後ろへ曲がっていると後方へ返され、
前傾になっていると前へ押されて逃げられてしまいます。


○相手の頭を上げ、腕を引きながら体重を胸(左胸中央付近)に落とす。

体重を掛ける部分を間違えると、そこから崩されます。
きちんとしたポイントを体に覚えさせることによって、
試合でも同じことが自然に行えるようになります。
間違っても、相手のミゾオチや腹部に体重を掛けないようにしましょう。


○右膝は相手の頭部へ近づけ、出来れば右手の下の方へ置き、
左足は「くの字」に曲げ、相手の腰より上の方へやる。

足は相手の足に近い場所では絡まれてしまい、
上過ぎでは上半身を引き倒されてしまいます。
また、反対側へ返そうとしてきた場合は膝を伸ばす行為も有効です。


○相手の体が半身になってしまった場合

相手を不十分な体勢で押さえ込んでしまったり、
足を振られるなどして半身になってしまった場合、
自分の腰の裏側を相手の体に沿って畳へつけ、
相手と自分の胸の位置を等しい辺りまで持っていき、
胸で相手を押します。
この時、相手の腕を引く事と、自分の腰が畳みにつけておくのを
忘れないようにしましょう。
腰が浮いてしまうと、そのまま反対側へ体を返されてしまいます。

最後に、相手の右胸を潰しながら相手の首と腕を引き絞るようにすると、
相手は呼吸もままならなくなり、抵抗することも出来なくなります。
可哀想なようですが、確実に相手から一本を取るには情けは無用です。

以上が袈裟固めのポイントです。
他の押さえ込みに関してはまた今度書きます。

首固め(変形上四方固め)

2006年01月26日 21時09分52秒 | 寝技
今日は、私が現役時代に得意とした寝技について書きたいと思います。
先日も書きましたが、私の得意技は返し技のため、一本を取れることが滅多にありません。
ですから、自然と寝技も上達していきました。
その結果、「この寝技なら100%一本が取れる」というものが出来ました。
この寝技で押さえ込めば最大で自分の体重よりも40kg以上上の相手を押さえることが出来ます。
つまり、軽量級と呼ばれる体重が60kgの人が重量級の100を越す人間を押さえ込むことが出来るのです。
その押さえ込みとは、変形上四方固めです。
私個人は『首固め』と呼んでいます。
以下は写真毎に説明します。

写真1(協力者:練習生のHT君(上)とTRさん(下)です)
通常の上四方固めです。
この場合、余程上手く決めなければ逃げられてしまいます。


写真2(協力者:同上)
首固め(変形上四方固め) 写真での状態で説明します。
攻め手は体は受け手の肩と首の間です。
右腕は受け手の右脇の下へ手を入れて襟首へ廻します。
左腕は相手の首を抱え込むように廻します。
この際、受け手の体の下で両腕を組むような格好になり、首と肩を抱え込むような形にします。
誤って、受け手の柔道着の背中を持ってしまうと、暴れられて逃げられる可能性もありますし、第一自分の腕が痛くて押さえ込んでなどいられませんので、気をつけて下さい。
最後に、上体を一度受け手の体に少し乗せ、絞り込むように体を引いて完成です。


写真3(協力者:練習生のHT君(上)と私(下)です)
写真2を上下逆にした格好です。
分かりにくいかもしれませんが、攻め手が受け手の下で手を組んでいるのが分かると思います。


この押さえ込みのポイントは、相手の首と肩をしっかりと決めることです。
そのため、相手はブリッジで返すことも、体を捻って逃げることも出来ません。
皆さんも練習などで是非一度試してみて下さい。