浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

日本から米軍が居なくなる日 続き

2014-08-29 15:24:16 | 資料

『2020年日本から米軍はいなくなる』第2回

2014年08月27日 現代ビジネス

第一章 米軍が日本から撤退する理由

背に腹は替えられない米軍

この章では、本当に在日米軍は日本から撤退するのか? またするとしたら、何故なのか、その理由について、徹底的に検証していく。
米国が独裁者の治める国ならば、その人物の一存でなんとでもなるだろう。
しかし、米国は、国民の参加する民主的な選挙で選ばれた大統領が治める民主主義の国である。国民が国に納めた貴重な税金で、米軍は武器を揃え、兵士に給料を払い、活動しているわけだ。
即ち、米軍は、莫大な国民の税金を使っている以上、米国と米国市民のために、最大限に奉仕しなければならないのだ。
当然、米国の納税者たちの意見は、大きく軍に影響を与えることになる。
日本人は、日米同盟があるのだから、日本を守るために、在日米軍はいてくれるだろう、と無条件に思いがちだ。まして日本から撤退することなど絶対に無いと思っている。
が、果たして、本当にそうなのだろうか?

***

---撤退する最大の理由は何ですか?

最大の理由は、軍事費の節約でしょう。

---と言いますと?

米国の財政は悪化していて、さらに金持ちと貧乏人の二極化は限界まで進んでいます。米国で暮らしていると分かるのですけれど、ここが、先進国かと思うくらい、アフリカの第三世界のような貧困地帯が広がっています。だから、国民の最大の関心事は経済です。

自分が1993年に大学留学した時、大学における一単位の価格は50ドルでした。今(2014年現在)は、一単位取得するのに400ドル前後もかかります。

---金持ちしか大学進学できないじゃないですか!!

まさにその通りなんです。

---世界平和を持続するために、軍隊を海外に派遣しているより、米国内を豊かにするほうが先じゃないですか?

そういうことです。かつて、マルクスは、資本主義は金持ちと貧乏人の二極化がどんどん進み、金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人はもっと貧乏になり、最終的に破局すると予測しました。今、米国はその予測通りになっています。

数年前に、米国におけるガソリンの平均価格が1ガロン4ドルを超えました。その時、各地で、タンクローリーからガソリンを盗む略奪事件が多発しました。上がったのはガソリン代だけではなく、医療費もしかりです。オバマ大統領は就任前から医療改革を進めようとしました。ですがあまり上手くいきませんでした。大統領が率先して対応しても対応しきれないほど、問題は深刻化しているということです。

---世界の警察官をつとめる前に、まずは国内の治安維持ですね。

莫大な金を軍備に使って、自分たちの地元の生活が貧しい。だから、イギリスがどこにあるか地図で指させないような連中でも、これはおかしいと思っています。

この人たちは、自分の生活する周辺に確実な雇用があるかないか、そしてガソリンの値段だけが、最大の関心事です。だから、世界の辺境が戦争でどうなろうと、知ったこっちゃない。

この階層は、ガソリン代が、3ドル50セントまでならば、何とか暮らせるというのが実情です。

---この方々は、日本の尖閣諸島問題とかは?

場所も含めて、絶対に知らないといっていい。

---だから、莫大な金を軍事費に使うよりも、家の近所の仕事確保とガソリンの値段を下げるほうに金を使え、となりますね。

そうなります。

米国の国防予算は、2001年は3,162億ドルだったのが、2010年は6,909億ドルと約2.2倍になっています。ちなみに米国を除いた世界各国の軍事費を総計しても4,500億ドル程度にしかなりません。

---これを機会に儲けようとした輩もいるでしょ?

いましたよ。

例えば2005~06年ごろですが、イラク、バグダッドの米大使館に、PMC(民間軍事企業)の警備員を大量に雇う契約が交わされた。しかし、守るべき大使館職員の数が少ないので、今度は、米国本土から急遽、職員が大量に増員されて、送り込まれました。本末転倒の話です。

---ミリタリーバブルですね。

まさに。米国で専門家筋にリサーチしてみると、適正な国防予算は4,000億ドル以下のようです。理想は、3,000億ドル。

段階的に3,500億~4,000億ドルに減らして様子を見て、可能ならば、3,000億ドルのレベルまで、国防予算を減額しなければなりません。

この金の問題も、日本から撤退する理由の大きな部分を占めています。

米軍の戦術はアウトレンジが基本

---まず、金。その次の理由は何が来ますか?

撤退する二つ目の理由が、スタンドオフです。

---なんですか、それは?

敵の先制攻撃圏外にいることです。

米軍は、中国から先制攻撃された時に、被害を最小限に食い止めるために日本から離れ、十分で安全なスタンドオフ距離を保つ必要性があります。

---この第2の理由は、在日米軍が撤退する理由としては強いですね。米軍に金が足りなかったら、日本は幾らでも払いますからね。

その米軍が、スタンドオフして、アウトレンジにいる、即ち、敵の先制攻撃の圏外にいる戦法を取り始めたのは、いつからですか?

湾岸戦争です。この戦争で、エアランドバトルが初めて行われました。空から攻撃して、その後に陸上兵力が行けば、損害がほとんどないことが分かりました。

しかし、逆に空からやられると陸上兵力はヤバいことも分かりました。

---米国が学んだのは、圧倒的な制空権があれば、陸軍の被害は少ない。しかし、逆に空からやられる場所にいれば、第一撃からは逃げられないということですね。

そうです。自分も米陸軍にいた時、空からの攻撃はほとんど、想定していませんでした。ADA(Air Defense Artillery:対空戦闘)はどうしていいか、分からない。だからこそ、ヤバいのです。

米軍は、空から攻撃される位置に陸上兵力および海上兵力を置くことはないのです。その結果、海兵隊は、沖縄からグアムに下がり始めました。

---冷戦時代、ソ連が日本に侵攻した時、自衛隊が応戦して耐える。そこに、沖縄駐留の米海兵隊とハワイの米陸軍第25歩兵師団が来るまで、持ち堪えるのが基本戦術でした。今、それが中国軍となって、日本上空で中国空軍が制空権を持っていたら、米軍はどうしますか?

米軍は陸上兵力を絶対投入しません。

---米陸軍も米海兵隊も来ない。

間違いなく来ません。後回しです。というか、そもそも来る場所がありません。エアシーバトルでは、陸上兵力は下げます。だから、撤退というより、正確にはリスクの分散です。

---我が大日本帝国陸海軍は、撤退を転進と呼んでいたでありますが・・・。

米軍は分散ですね。歩兵のフォーメーションも、戦闘状況によって、各人の間隔を5~10メートルほど離します。これは、固まっているとマシンガンの掃射や1発の榴弾で一気にやられるからです。

自分はハンヴィー軍用車の銃手が専門ですが、ハンヴィーの車列は、昼間は地形によって、50~75メートル、夜間は25メートルと車両間隔を空けます。密集していると一度にやられてしまいますからね。

---すると、沖縄の海兵隊がグアムに下がるのは?

リスクの分散の一つです。海兵隊は、グアム、そして、オーストラリアにも分散させています。だから、他の在日米軍も、後方に下がることはありえます。

---米国にとって、パールハーバーの悪夢はまだ、残っていますか?

精神的にはあると思います。

---横須賀停泊中の米海軍第7艦隊の空母とイージス艦が、中国のDF-21(東風21)弾道ミサイルの奇襲で、全艦隊が停泊中に撃沈されて、第2のパールハーバーになったら、どうなりますか?

まず、全艦隊が横須賀軍港に入っている時、中国軍にミサイルで奇襲されるケースは、絶対に想定しています。米軍にとって、それは、まさにThe Most Dangerous Course of Action(最悪の事態)ですね。

---米国は、大日本帝国の時のように怒りますか?

その時の状況によりますが、空母がやられたら、米国は怒ります。そして、煽りたかったら、煽ります。煽れば、米国は太平洋戦争の時に対日本で燃えたのと同じようになるでしょうね。

---米軍は必ず、第一撃からのアウトレンジに位置する。

そうです。その延長で考えると、自衛隊の武装方法も自ずと分かってきます。

---と、言いますと?

例えば、海自のP-3C対潜哨戒機は、完全に米海軍第7艦隊を護るための兵器です。

それから、イージス艦。日本人はイージス艦をミサイル・ディフェンスのための兵器と考えますが、あれは、空母を守る兵器です。日本がイージス艦を持てば持つほど、第7艦隊が安全になります。

---けっして日本防衛のためではない・・・。

空自の約200機あるF-15。あれも、三沢に米空軍のF-16が、いるからですね。F-15とF-16はセットですから。

---空自F-15が制空して、米空軍F-16が爆撃する・・・。

そうです。だから、在日米軍がいなくなった時、日本が単独で防衛できる兵器システムにはなっていません。兵器体系でも、日本はまず、米国ありきになっています。

日本の機密保持に不安あり

---F-35ライトニングⅡとF-22ラプターとどちらが強いですか?

もちろん、F-22です。エンジンが双発の制空戦闘機ですから。

---すると、F-35は、F-16の跡継ぎ、ならば、F-22は、F-15の跡継ぎです。F-22を米国は日本に売ってくれませんでしたよね。

その理由を米国で空軍の専門家や、メーカー関係者に複数、当たってみました。

ロッキード・マーチン社は、売りたかった。Jモデルという構想があって、性能を落としたF-22Jとして、日本に売られるはずでした。

そりゃ民間は売りたいですよ。メンテナンスを入れると、莫大な額のビジネスですからね。財政赤字に苦しむ米国政府にしても、売りたいのは山々だった。

---それが、何で、ダメになったのですか?

米国の議会がストップさせました。

そこでは、米国が多額の金を投入して開発したステルス戦闘機の秘密技術を、簡単に日本は中国に渡してしまう可能性があると判断された。それが、大きな理由だと思います。金がどうのこうのの話ではない。

---イージス艦の機密を渡した海自士官の責任は重大ですね。

はい。元米軍情報将校として私は、その海自士官は、中国にとって非常によい働きをした、と判断します。

---今度、F-35を売ってくれることになりましたが、これには、F-22の次の世代のステルス技術が入っています。機密保持には細心の注意が必要ですね。

F-35は、多国籍開発だから、米国もそんなに気にしないと思いますが、機密保持はとても重要です。

---それは何故ですか?

F-22の後継機である第6世代戦闘機(現在開発中)が完成した時、米国が日本に売ってくれるかどうかは、機密保持の信頼性にかかっています。

---F-40台のナンバーが付くF-40XJですね。

そのためには、まず、セキュリティ・クリアランス・システムをしっかりと構築しないとダメですね。

---どの国家機密まで接していいか、秘密情報にアクセスする保安資格ですね。

そうです。

米国は、軍、情報機関、捜査機関、国務省などに勤める役人や官僚、そして上院・下院議員やロッキード・マーチン社やレイセオン社などの防衛産業に勤める民間人までもが、セキュリティ・クリアランスを持っています。

---日本の国会議員は、何も持っていませんよ。

多分、「ここだけの話だがなー」と地元に帰って、喋りまくっています。

それでは、ダメです。まったく話になりません。日本で、特定秘密保護法とかやっていますけど、あれは必ず失敗します。というか米国の基準と同一にはなりません。まずOPM(Office of Personnel Management)という独立したクリアランスの資格調査機関を設立し、全員一回白紙に戻してから、話が始まりますからね。

---それをやらないと、第6世代の戦闘機は米国から入らなくなる・・・。

在日米軍が撤退する未来を想定すると、日本が単独で防衛できる武器体系を持たないといけないということです。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40191

『2020年日本から米軍はいなくなる』第3回

2014年08月29日 現代ビジネス

第二章 在日米軍撤退の行程表

中国は負け戦はやらない

これまで在日米軍が撤退する理由を検証してきたが、本章では、どのようなきっかけで、どこから、どう撤退するのか? その行程表をみていくことにする。
既に2013年沖縄駐留の海兵隊は、グアム、オーストラリアに撤退を開始しているが、その判断基準は、BDA(Battle Damage Assessment 日本語に訳すと、戦闘被害評価)によったものだ。米軍は、その数値によって撤退するか、否かを判断するという。
そこに「友情」だとか、「信頼」などの『情』は、入らない。ただただ合理的に判断するだけなのである。

***

---中国の戦争の始め方について教えてください。

中国は伝統的に孫子の兵法の国なので、戦争に負けると考えるうちは始めないです。即ち、負け戦をやらない国です。

---その負け戦をしない国が、こりゃ勝ち戦になると判断して出て来るのはいつですか?

BDAで判断してくるでしょう。

---それは、なんですか?

Battle Damage Assessment(戦闘被害評価)です。米軍の場合、3対1が限界です。

---中国軍の兵力が米軍1に対して、3となれば、攻めてくる。

そう考えます。

---そして逆に、米軍は撤退する。

その判断は、米軍が下すでしょう。

---その米中の兵器の数を対比させて、3対1に、いつなるのかで、在日米軍撤退の時期を予測できるということですか?

そうですね。

沖縄米軍の命運は、中台関係が握る---『沖縄米軍』

---それでは、在日米軍の基地別に判定作業をお願いします。まず、一番南西の沖縄基地です。

沖縄米軍ですね。

---はい。ここは、BDAで、判定すると、どうなりますか?

待ってください。ここは、BDA判定の前に、中国と台湾の国際関係を考慮に入れなければなりません。

---何故、沖縄米軍が撤退する理由に、中国と台湾の関係が入ってくるのですか?

台湾が中国側に付くと、ドミノ倒しのように均衡が崩れていきます。

今の中国のトップの習近平国家主席は、自分の任期内に何とか台湾をモノにしようという執念があります。台湾が中国側に付くと、沖縄の西側のガードが完全にガラ空きになります。

---側面が敵に晒されますね。

沖縄米軍の燃料は、米国本土ではなく、中東からシーレーンを通ってきています。だから、台湾が中国の手に落ちると、そのシーレーンがなくなります。

---中国はどのようにして、台湾を手に入れるのですか?

軍事的に占領するハードランディングと、台湾が、自ら望んで中国に併合されるソフトランディングの二つの場合があります。

---米国の中国情報の専門家たちは、どのような見解だったのですか?

複数の専門家たちに聞いてみましたが、あまり、良くないですね。

---良くないと言いますと・・・。

台湾出身の民進党の陳水扁総統の時は、台湾独立をぶち上げ、中国とは、「不交渉」、「不談判」、「不妥協」の三不政策を取っていました。

しかし、中国本土から来た外省人である国民党の馬英九総統になり、2008年12月から、中国が三通と言う「通商」、「通航」、「通郵」政策に変わりました。

---それは、どんな政策ですか?

台湾と中国の間で、通商とはビジネス、貿易をすること、通航とは、お互いに行き来すること、通郵とは、郵便、送金することです。

---要するに、通常の友好的な二国関係に中国と台湾がなったということですね。

そうです。逆に、米国にとっては、習国家主席と馬総統の友好関係は非常によろしくない。

「台湾は空母20隻分の価値がある」

---しかし、中国にとってはとても都合がいいと。

そういうことです。

中国は漢化政策といって、新疆ウイグル、チベットの各自治区には、大量の漢民族を送り込んでいます。

三通以降、台湾には、年間300万人の観光客と約2万人の留学生が、中国から押し寄せています。漢化政策ですね。

さらに、今、台湾の輸出の約40%は対中国になっています。台湾が中国に獲られるのは時間の問題と言えるでしょう。

かつて、マッカーサー元帥は、「台湾は空母20隻分の価値がある」と言っていました。中国が台湾を手に入れると、東シナ海、南シナ海に空母20隻を手に入れたのと同じになるという意味です。

---米軍との戦力バランスは完璧に中国に傾きますね。

そうなります。

---中国の国家主席の任期は一期5年で、最大二期、10年です。習主席は、最長2022年までやれるとすると、いつごろ、中国は台湾を手に入れるのでしょうか?

たぶん2020年が一つの節目でしょうね。在任10年として、最後の2年を残して、最後の仕上げに入る。習自身も演説で、「中国の大国としての自信を取り戻す」と言っています。

この意味を簡単に言うと、台湾を取り戻して自国のものとして、さらに、かつて中国を侵略した日本に復讐し、アジア全域を支配下に置くという国家指針の表明です。

---日本には復讐・・・。

だから、日本は台湾の次です。

かつて中国の目標は、イギリスに支配されていた香港だった。1997年、その香港は取り戻しました。次が、台湾。そして、沖縄、日本です。

---日本だけが、復讐相手なんですね?

そうです。日本は色々と、やりましたからね。

---尖閣は単なる最初のジャブで、次は、完璧に日本を叩き潰すKOパンチが来るのですか?

習主席のままならば、そうです。

---隣国に復讐してやるっていうのは、珍しいですか?

よくあります。遠交近攻です。イギリスとフランス。フランスとドイツ。長年の恨みが募っている隣人は結構います。

日本の場合は、中国だけではなく、韓国、北朝鮮もそうですから。順番的には中国が最初に来るだけですよ。

---日本国内の駅前交番に、日本人のお巡りさんではなく、AKMの中国版56式軍用自動小銃を持った、所属は中国人民解放軍の人民武装警察官が立つ日も来るかもしれないのですね。

怖いですね、最悪のシナリオです。米国の中国専門家たちは、中国の、もう一つの台湾併合方法を指摘しています。

---他にも獲る方法があるのですか?

はい。国連の安全保障理事会で拒否権を持つ中国とロシアの2ヵ国が今、非常に接近していて、関係が良好です。

ウクライナ国内のクリミア半島をロシアが軍事力で併合した時、中国は反対しませんでした。これは、それを認める代わりに、中国が台湾を併合した時、ロシアに反対させないためです。

クリミアは、住民投票で住民の意思として、ロシアに併合された。この方法で、台湾を獲れるかもしれません。

---そうすると、尖閣、与那国、石垣、宮古と各島々に、漢民族が大量に入ってきたら、住民投票で併合されるということですか?

可能性はあります。

内側からの攻撃が外側の攻撃より危険というのは、軍人の常識ですから。癌細胞のように、気が付いた時には、完全に手遅れになってしまいます。

---それらの手段はいわばソフトランディングの場合ですが、ハードランディングの中国による対台湾武力侵攻の可能性は、どうでしょうか?

米国の中国専門家たちの間では、3分の1の確率で軍事侵攻すると見ています。孫子の兵法の国ですから、戦わずして勝つというのが最上ですが、戦いの準備も十二分にしています。

自分が、沖縄で演習をやっていた時、中国の対台湾兵器配置図をすべて見ましたが、台湾の対岸の軍区には、いつでも発射できるように、ミサイルがすべて台湾を向いていました。

その準備の周到さは凄いの一言です。

---どんな事態の時に、武力侵攻しますか?

民進党がまた政権を取り返し、三通政策を止めて、中国人をすべて追い出した時。ただ、これはもう国の方針として始めてしまったので、途中で中止するのはかなり困難です。

または、中国が間違いなく台湾を奪取できるだけの軍事力を蓄えた時ですね。

---それはどんな軍事力の指標で推し量れるのですか?

中国が、保有する空母の隻数です。

中国は空母を増やすのか?

中国軍には、台湾有事を想定した軍事ドクトリンがあります。

まず、2個空母機動部隊で、台湾本島を海峡と太平洋の両側から挟み撃ちにし、そしてもう一つの機動部隊で、日米同盟軍の接近を阻止する。まあ、その同盟軍のほとんどは米軍なわけですが・・・。

合計で3個空母機動部隊が揃った時ですから、空母の数は3隻ということになります。

---空母が3隻揃うと、台湾に軍事侵攻を開始する。BDAの法則だと、中国空母3隻に対して、米海軍空母が極東に第7艦隊の1隻だけならば、米軍に撤退の判断が出てきますか?

軍事の法則だと、検討対象になります。

---中国海軍空母が3隻になるのは、いつごろと予測されていますか?

米国で、海軍の専門家たちに聞いてみました。

2024年から2025年ごろに、現在の練習空母遼寧に加えて、プラス2隻で、3隻体制が整います。ただし、これには、ロシアの軍事協力が不可欠です。

---何故ですか?

ロシアも、空母は一隻だけですよね。経験と技術が残っています。中国が最新空母を造るには、ロシアの協力が必要です。

中露関係が今後10年間うまく続けば、それは可能になり、関係が崩れれば、空母はできないということになります。

---中国海軍は、どこまで空母を増強するつもりなのですか?

太平洋の半分を欲しいと言っていますから、米国が持つ10隻の半分、5隻と見ています。しかし、経済的には大変な負担になります。

---だから、空母20隻分に相当する台湾が欲しいのですね。

そうです。中国にしてみれば、数字的に理に適っていますからね。

---台湾が、2020年代に落ちれば、23隻体制となる。これは、恐ろしい。

世界戦略はチェスですから、あらゆる手を考えて、手を打ってきます。

だから、中国が台湾を獲ると、今度は、尖閣、そして、与那国からドミノ倒しで、宮古島まで、「ここは、昔から台湾のものだから、今は、中国の領土だ」と言い出します。

---台湾の南、バシー海峡もフィリピンまで、諸島がありますが、こっちも中国領だと言い始めますか?

言い始めるでしょうね。

---軍事専門家から見ると、沖縄はどうなるのですか?

非常にヤバい状況になります。在日米軍が撤退する大きな理由の一つとなるでしょう。

とりわけ沖縄米軍ですね。

---中国は沖縄が欲しいのですか?

欲しいです。西太平洋への出口、それから、太平洋戦争と同じで、日本侵略の足掛かりになりますから。

---一番邪魔なのが、沖縄米軍。

まったくその通りです。

ほっといても米軍はいなくなる

---台湾が中国に獲られた場合ですが、具体的にどうなります?

沖縄米軍・嘉手納基地の米空軍は、航空優勢が崩れない限り、留まります。

---台湾から、どのような攻撃手段が、中国にはありますか?

長距離爆撃機は届きますが、戦闘機は・・・。

---大尉殿、民間航空のマイレージサービスを見ると、那覇-台北は407マイル=651.2キロで、戦闘機は十二分に届きませんか?

沖縄上空で、10分以内の戦闘しかできませんが、距離的には、思いっきり来られますね。

---さらに、宮古島の西隣りの下地島には、大型旅客機の離発着訓練用として、長さ3000メートルの滑走路を持つ空港があります。

そこを獲られたら、最悪です。沖縄は獲られたも同然です。嘉手納米空軍は、逃げるか、潰し返しに行かないとなりませんね。

---どこに、撤退しますか?

岩国、厚木、横田、三沢、または、国外ならば、グアムですね。

---さすが、マッカーサー元帥の言う、「台湾は空母20隻分の価値」です。

台湾が中国に獲られなくても、沖縄・嘉手納基地の航空優勢が崩れるケースがあることが、米空軍専門家たちに聞いて分かりました。

---それもBDA分析ですか?

そうです。

中国空軍が保有する、戦闘機の数です。

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『2020年日本から米軍はいなくなる』より抜粋

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40194

元米陸軍情報将校が明かす「敵がソ連から北朝鮮、中国に変わり、日米が運命共同体でなくなった本当の理由」

飯柴智亮(いいしば・ともあき)
1973年、東京都生まれ。元アメリカ陸軍大尉、軍事コンサルタント。16歳で渡豪、『ランボー』に憧れて米軍に入隊するため19歳で渡米。北ミシガン州立大に入学し、学内にて士官候補生コースの訓練を終了。1999年に永住権を得て米陸軍入隊。精鋭部隊として名高い第82空挺師団に所属し、2002年よりアフガニスタンにおける「不朽の自由作戦」に参加。"世界で最も危険な場所"と形容されるコナール州でタリバン掃討作戦に従事。03年、米国市民権を取得して04年に少尉に任官。06年中尉、08年大尉に昇進。S2情報担当将校として活躍。日米合同演習では連絡将校として自衛隊との折衝にあたる。09年除隊。現在、アラバマ州トロイ大学大学院で、国際問題を研究し、国際政治学のPh.D.(博士号)取得を目指す。

小峯隆生(こみね・たかお)
1959年、兵庫県生まれ。筑波大学非常勤講師、同大学知的コミュニティ基盤研究センター客員研究員。
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