YOSHIBO気まま風景スケッチ

イラク受注競争(2)

      

バグダッドの街の人々(40年前、出張先ホテルの部屋からスケッチ)

 

イラクの出張も7回目を迎え、今日はその最終日となった。最終回答を提出する日でる。日本勢の1社は既にイラク政府の大臣室に入っているようだ。エレベータの前で残りの日本勢1社と鉢合わせ。待つこと15分。我々関係者7名が大臣室呼ばれる。中央に太った黒い顔の工業大臣、両脇に次官が座っている。

我々とハードネゴを続けてきたイラク側のコミティのメンバー5名も神妙な顔で座っている。大臣から「ベストプライスを出すように」とのお達しに、最終の価格と納期を伝える。「今夕、最終結論を連絡する」旨のお達しがあり、全員大臣室を後にした。

夕刻、バグダッド市内にある商社の所長宅に全員集まり待機。電話が鳴った。一瞬緊張走る。所長が電話口へ。I see.・・・Who got it?」(分かりました。どこが受注したのですか?) これですべて分かった。失注決定だ。しばらく静寂の時が流れる。

ホテルへの帰りの車の中、我が社の営業部長が「取れなくて良かったなあ」としみじみ。我同感。日本勢3社が他国で、受注のために過酷な値下げ競争を繰り広げてきたとになぜか空しい気持ちになる。その後のことである。注文を取った会社は無理な受注がたたったのか、工事は大赤字になった。そして辣腕の営業部長は左遷させられたという噂を耳にした。人間の運命とは分からぬものである。

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