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ロボサムライ駆ける■第33回 飛来する西都市連合のロボ忍者の巨大なタコ群に対して、早乙女モンドの妻マリアの命をうけ、使い番「鉄」はロボ忍者軍に向かうが、鎧袖一触。其の時、助けが。

2021年06月11日 | ロボサムライ駆ける
RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第33回 飛来する西都市連合のロボ忍者の巨大なタコ群に対して、早乙女モンドの妻マリアの命をうけ、使い番「鉄」はロボ忍者軍に向かうが、鎧袖一触。其の時、助けが。
 

ロボサムライ駆ける■第33回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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「そうです、その通りです。あやつらのタコを叩き落としてほしいのです。何、すべてを落とせと言うわけではありません。この飛行船の通る範囲内でいいってことです」

 当たり前のように簡単に、マリアは言う

 

「無茶だよ、私しゃ、高所恐怖症なんですよ」

 鉄は冷汗をかいていた。

 

「さっきはそうは言わなかったでしょう。ほら、落ち着くために特別の機械茶を飲ましてあげるますから、がんばって」

 

「もし、私の乗ってるタコが切られたら」

 鉄は、タコの落ちる姿を想像し、がたがた震えている。

 

「そりゃ、あなたごと落ちるでしょうね」

 

「ね、姐さん。本当にわたしに戦えっていうんですかい」

 

「当たり前じゃないですか。いいですか、鉄さん。あまり動くんじゃないですよ。縛れないじゃないですか」

 鉄の体はタコに縛り付けられていた。

 

「いいですか、空軍のだんな方。絶対タコの糸を切り離さないでくださいよ」

「おお、心得ておる」

 

 鉄と対照的に、話の経緯に、にこにこしながら答える兵士たち。

「で、お助けをしてくださらないんで」

 鉄は足をがくがく痙攣させながら、マリアや空軍兵を一通り見渡した。皆知らぬ顔である。

 

「貴公、一人で充分だろう」

 佐久間空軍大尉が言う。

「徳川の御前から、早乙女主水殿の配下優れた戦闘ロボットだ。そう聞いている。」

 

「鉄さん、震えているんじゃないでしょうね」

「え、姐さん、こいつは武者奮いって奴で」

 

「それじゃ、いいかですか。そうれ。外ですよ」

 鉄の乗ったタコは飛行船から押し出される。

 

「ま、まってくだせえ。まだ心の準備があ…」

 

 言葉を言い終わる前に、鉄はタコごと空中に浮遊していた。

 

 真下は関が原らしい。雲の間から復旧しつつある東海道がぼんやり見えた。

 

「いっ一体、どうやって動かしゃいいんだ、これは」

 鉄は独りごちた。

『鉄さん、早く敵の方へ行きなさい』

 耳のレシーバーから、マリアの声が入って来た。

 

「あっ、姐さん。姐さんの声を聞けるだけでも、たくましい限りだ」

『いいから。ほら、奴らの方が、もうやって来ていますよ』

 

 そういっているうちに、鉄のタコのまわりを、ロボ忍のタコが囲んでいた。

「や、やい。俺を誰だと思っていやがるんだい。東京じゃ、ちょっと知られたお兄さんだぞ」

 ひびりながらしゃべる鉄。相手のロボ忍が笑いながら言う。

 

「ほほう、威勢だけはよいのう」

「あ、あっしのかしらを聞いて驚くな。早乙女主水のだんなだぞ」

 

「何、早乙女主水だと」

 ロボ忍の数人が、あきらかに顔色が変わっていた。

「どうだい、驚いたかい」

 鉄はいばるが、逆効果だった。相手の様子が険しい。

 

「早乙女の使い番ロボとあらば、尚のこと、生かしてはおけぬ」

 

 逆にロボ忍の殺意をたぎらせてしまった。

 

「早乙女主水の旦那は評判悪いねえ。いや、その、あの、生かしてはおけぬなんて。もちょっと…」

 慌てて、何とかごまかそうとする鉄。

 

「各々方かかれい」

 ロボ忍の一人が命令する。

「助けてくれ」

 

 鉄はとうとう悲鳴を上げていた。悲鳴にもかかわらずタコが近づいて来る。刀を動かす音が数秒続く。

 

鉄は思わず、目を瞑った。

 

 

「うっ、ややられた。おいらもここで終わりか…。早乙女のだんな、許しておくんなさい。鉄は役に立ちませんでした」

 

「本当に役立たずですよ。鉄さん、目を開けてご覧なさい」

 

マリアの声だった。目を開く。まわりのロボ忍は、すべて倒され、タコの上でぶらぶら動いている。目の前にマリアが浮いている。

 

「こりゃ、一体、マリアのお姐さんが」

「当たり前ですよ。私のサーベル『ジャンヌ』の錆になっていただいたのです」

 マリアは小型のジェット推進機を背中に背負っている。愛用のサーベル「ジャンヌ」を手に持っていた。

 

「じゃあ、あ、あっしは餌って訳ですかい」

 鉄は気づいた。

「相手を油断させる、、、そういう訳ですよ」

 

「そいつは姐さん、あんまりだ」

「何いってるのですか。お陰でロボ忍を片付けられたのですよ」

 

徳川空軍・飛行船は、すでに西日本都市連合の領土上空に入っていた。

 

    ◆

「さて、さて、松前さん。あなたはどの試合に出るつもりですか」

 

西日本都市連合の御用商人大黒屋は、主水相手にどんどん話を広げていく。大乗り気なのである。

 

「いやいや剣闘士といっても、日本武道のことです。いろいろなコースがある。相撲、弓道、剣道、槍術、薙刀、鎖鎌など。なんでもござれだ。それにこの特殊技術を練習する道場があるのですよ。

 

道場の経営は西日本都市連合が当たっておるから、心配はしなくてもよろしいですよ。

 

そこらの偽者の「ロボット道場」とは違いますからね。さあ、どれを選びなさる。ロボット空手か、あるいはロボット柔道か。またはロボットレス(ロボットレスリング)か」

 大黒屋は顔を真っ赤に興奮している。

 

「大黒屋どの、やはり私は…」

 冷たく断ろうとする主水だが、

 

「何を選びなさる、思うとおりおっしゃってくださいな」

 とうとう大黒屋に押し切られる形となった。

 

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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