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石の民「君は星星の船」第8回■石の男の心に、祭司アルクの娘ミニヨンはとじ込められた。この街ジュリの祭司長マニは、アルクの責任であると祭司会議を開く。

2021年11月30日 | 石の民「君は星星の船」(1989年)
鈴木純子作品集より
 
IT石の民「君は星星の船」■(1989年作品)石の民は、この機械神の統治する世界をいかにかえるのか? また石の民は何者なのか?
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石の民「君は星星の船」第8回■石の男の心に、祭司アルクの娘ミニヨンはとじ込められた。この街ジュリの祭司長マニは、アルクの責任であると祭司会議を開く。
 

石の民「君は星星の船」第8回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

■祭司アルクは自分の娘ミニヨンの心底に入った。

この星の人々は、それが普通にできる。

 

「なんということだ」

 

 ミニヨンの心底に、すでに石の男の分心が侵入していた。

 

ミニヨンの心底でアルクの分心は叫んでいた。

 

樹里の里に住む者は、それぞれの心に心理バリアーをもっている。

 

そうしないと他人の分身ならむ分心が侵入してくるのだ。

子供の頃から、個人個人が心理バリアーを育てるように教育されている。

 

この心理バリアーがこの里のものの証明であった。 

 

怒りが、アルクの分心を一杯にしている。

『石の男、やめろ、娘の心をどうするつもりだ』

 

 石の男の分心に対して、アルクの分心がさけんでいた。

 

『アルクよ、すでに君の娘は私がもらった』石の男の分心は言う。

 

『なにをいう、石の男、この娘は私の命なのだ』

 

『が、アルクよ、この娘は選ばれたのだ。この世界とは異なる別世界を、体験させてやろ

う。ミニヨンは私、石の男によって選ばれたのだ。光栄と考えよ』

 

 アルクの分心は怒りで一杯になっていた。

 

『そんな事はのぞんでいない。石の男、私の娘を返して欲しい。私はあなたを敬いこそすれ、にくんだことなぞない。なぜそんな私から私の宝ともいえる娘を盗むのだ。後生だ。石の男』

 

 アルクの分心は石の男の分心に接触しょうとする。

 

がアルクはミニヨンの心底で石の男の分心から激しい刺激を受ける。

 

 うすれゆく意識の中で、アルクは石の男の言葉をきいた。

『アルクよ、ミニヨンの心からされ、これからは私が彼女の父親なのだ』

 

■気づくと「アルク」叫んでいるガントの顔が視野に入っていた。気を失っていたのだ。

 

 アルクの意識がもどると、もとの体に戻っていて、大地に倒れていた。

 

アルクのまわりに祭司たちがあつまってた。

 

しかし、肝心の、アルクの娘ミニヨンの体は消えている。

石の男が、自分の心のなかにつれさったのだ。実際の姿がないのだ。

 

 まわりに立っている人々から、ガルクをみつけたアルクは叫んでいた。

 

「どこにいるんだ、ミニヨンは」

 

ガントは恐る恐る答える。

 

「君の分心がもどってきて体が倒れた時、ミニヨンは俺の目の前で消えてしまった。あんなこと初め

てだ。ほんとにすっーと消えてしまったんだ」

 

「なんてことになったのだ、アルク」

この里、樹里ジュリの祭司長マニだった。マニは厳しい顔をしていた。

 

「この里はじまっていらいの惨事だな」

 

祭司長マニはこの樹里で一番の高齢者んである。いったい何才か本人も覚えていない。枯れ枝の

様に痩せている。顔色は灰色のちかかった。するどい眼光は鳥を思わせた。が、この樹里

の実力者はマニだった。

 

「アルクを収容しろ」祭司長マニは命令した。

 

「待って下さい。マニ祭司長さま、これは、これは何かの間違いです」マニ祭司長はそのアルクには取り合わない。

 

「アルク、ああ、えらいことになってしまった」ガントは神殿の衛視によって引き立てら

れるアルクを見て青ざめていた。

 

 巡礼たちのざわめきが後に残ったマニ祭司長の耳に入ってくる。

この石の壁の前で一人の少女が消えたのだ。

 

 

石の男の心底に連れていかれたという。それにその少女は祭司の娘だとい

う。何かの変調ではないか。

 

 祭司長マニは石の壁の前に立っていた。

 

壁には不思議な文字が刻み込まれていた。誰も読めないといわれているが。

マニ祭司長はしかしその壁の前で考えているようだった。しばらくし

て、ひとりごちた。「やはり、時が満ちたのかもしれん」

 

 マニ祭司長は考えぶかげに、壁の前から去った。

 

 

■2日後、アルクは祭司会議にかけられていた。

 

この祭司会議は樹里の里にある一番大きな建物が当てられていた。すなわち神殿である。この建物は聴衆でいっぱいだった。

 

こんな機会はめったにない。巡礼を始め人々は、喜びいさんで見にきていた。祭司たちは、蔑

みの目でアルクを見ている。

 

 アルクは中央に設けられた被告人席にすわらされていた。自らの運命の変転に驚いてい

た。

 

なぜ、私が、それに娘ミニヨンが。私の娘ミニヨンが消えたのがなぜ、私の罪だというのだ。

皆で助けてくれるのが本当ではないか。

 

傍聴席にガントがいるのに気がついた。ガントは真っ青の顔をしている。

 

 

石の民第8回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 



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