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ガーディアンルポ01「最終列車」■第5回 通勤客のイヌイは、実はスペシャルコマンドの隊長であった。一方サイトウの正体に、ばあさんが気付くが殴り殺される。

2020年10月31日 | ガーディアンルポ01「最終列車」
ガーディアンルポ01「最終列車」斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
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ガーディアンルポ01「最終列車」■第5回 通勤客のイヌイは、実はスペシャルコマンドの隊長であった。一方サイトウの正体に、ばあさんが気付くが殴り殺される。
 

ガーディアンルポ01「最終列車」■第5回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

 「すごい。君はまったく主人公さ。本当にどこで剣を習ったんだい。前にはそんな事は聞

かなかったよ」

「それがね……」

 イヌイが話しかけようとした時、スペシャルコマンドの一人が血相を変えて、飛んで

きた。

「チーフ、大変です」

イヌイが否定する。

「チーフ? あなたは何か間違いを……」

「申し訳ありません。非常事態なのです。隊長が危篤状態です」

「何、クルスが」

 その言葉でイヌイは表情を変えた。

 

彼は今までの自分を、その時投げ捨てたように見えた。

 サイトウは必死で叫びかけた。

 

「何だ、イヌイ、イヌイ」

 

 イヌイは答えなかった。だまって前の方へ歩いていった。サイトウは追いかけようとし

たが、彼の背中はそれを拒否しているように見えた。

 

 サイトウはあきらめ、扉を開け席K戻ろうとした。

 

戸口にあのばあさんが立ってサイトウをにらんでいた。

「サイトウさんとかいったね。私の眼はごまかされないよ。私はあなたが何者か知ってい

るよ!」

 

 サイトウは答えず、手にしていた電磁棒で老婆の頭を一撃した。老婆は叫び声をあげる

暇もなかった。

 

「誰かに話して訟くべきだったな」

 サイトウは老婆の死体に向かって言った。

 

 

 最先端の車両で、イヌイは俄作り述べ簡易ベットに横だわっているタルスを見守った。

 

「す、すみません、チーフ」

 

 苦しい息の下からクルスはイヌイに話しかけようとした。

 

 横から一人の隊員が口を出した。

 

「タルス隊長は、運転席でがんばってかられたのですが、急停車の時、槍ぶすまにあい・:

 

……」

 

「あ々たの正体を最期まで隠してかきたかった。しかし、私が傷ついた今、Jペシ″ル0

 

コマンドの指揮をとれるのはあなたしかいない」

 

クルスはふるえる声で言った。

 

「わかった。タルス、後の事は心配するな。かならずJを基地まで連れていき、地球を説

 

出させてみせる」

 

「た、頼みます。先輩のあなたなら、安心してまかせられます。ただ・::・」

 

 タルスは目をつぶった。

 

「タルス、タルス、しっかりしろ」

 

タルスは答えなかった。

 

イヌイにとってタルスは愛すべき部下であり、リュテナン地球連邦大学の後輩であった。

 

イヌイは二ー九六年からこの一九七九年までタイムジャンプを行ない、現地調査員の長

 

  として働いていたのである。

 

イヌイは、スペシャル=コマンドの一人に質問をした。

 

「Jの容態はどうだ」

 

[一時、意識をとりもどされたのですが、今は眠ってかられます」

 

「よし、基地についてから、治療を受けてもら釦う」

 

「電車の方はどうだ」

 

「いつでも、動ける状態にあります」

 

「よし、出発しょう。一刻も猶予はならん」

 

「チーフ、一つかうかがいしたいのですが」

 

「伺だ」

 

「ROWはなぜ大勢でこの列車を襲ってこないのでしょう」

 

「この「ルート○七の時空間」は非常に不安定だ。あまり、一度に多量の異物が出入りすると、

 

その異物質は自壊する恐れがある。ROWはそれを恐れているのだ」

 

「それでは我身のルート○七への出入りは」

 

「我4r t!j球人だ。その上、ここは地球上の時空間だ。ROWはこの時空間では異物なの

 

だ。長時間、大量の、高エネルギー物質は存在できない」

 

「そのために、彼らは」

 

「そうだ。この地球上の物体なら、地球の歴史流からひっぱり込むことかできるのだ」

 

「また、ROWは歴史流から我々を妨害する物体を投入できるわけですね」

 

「我々に時間はあまり残されていない。それにこれから先、異重時限流の橋を渡らねぱな

 

らない」

 

 急に風が吹いてきた。

 

「うん、天候がかかしくなってきた痙」

 

 風は段々勢いを増してくる。空が暗くなる。

 

「くそっ、ROWのしわざかもしれん。構わず出発だ」イヌイは命令する。

 

 列車はガタ″と揺れて、動き出し、次第に速度をあげた。

 

 運転席Kいたスペシャルコマンドが叫んだ。

 

「竜巻です。竜巻がやってきます」

 

「ROWめ、今度は、どうやら列車妨害に天候をあやつって」

 

 風は急速に強さを増し、まっすぐに竜巻は進んでくる。

 

 唇をかんで考え込んでいるイヌイにスペシャルコマンドの一人が声をかけた。

 

「失礼ですが、我々にあの竜巻をかまかせ下さい」

 

「何だって」

 

「恐らく、あの竜巻は、ROWが訟こしたエネルギー流だと思います。我々の破壊時のエ

 

ネルギーをもってすれば相殺できると信じます」

 

「自らを犠牲にして竜巻を消滅させようというのだな」

 

 イヌイは隊員の顔をじっとながめる。

 

「そうです。我々は人間ミサイル、爆弾です。もう「船」の発射時間までわずかのはずです。我々が死んでもJが脱出で

 

きる攻ら幸せです」船にはJ

 

を乗せなければならない。地球人類の鍵が。

 

 

 

 

ガーディアンルポ01「最終列車」■第5回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

 



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