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日本人の日序章 第21回JVO(日本壊滅組織)のアルゴステーションは日 本人が占拠し、飛鳥ステーションと名前を変えた。亡命日本人の拠り所である。しかし指導者の花田万頭は。

2021年01月27日 | 日本人の日序章(1980年)
日本人の日序章■財閥ラドクリフ企業グループが世界の経済と政治状況における一国の役割を分析。その一人の男は その国が存在しないと仮定し、世界分析を行う。結果は、男の推論どおりである。その国の名は。
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日本人の日序章 第21回JVO(日本壊滅組織)のアルゴステーションは日 本人が占拠し、飛鳥ステーションと名前を変えた。亡命日本人の拠り所である。しかし指導者の花田万頭は。
 

 

日本人の日序章 第21回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

Http://www.yamada-kikaku.com/

 

■アルゴステーションに再び危機が迫っていた。

 

 キラー衛星が近づいていた。乗っているのはアントン=ヤノーシュ

 

「日本人共め、レザー光線を受けてみろ」

 

アントン=ヤノーシュはレザー光線の発射スイッチを押す。レザーは直進し、ア

ルゴステーションに横穴をあけていた。衝撃が襲った。

 重力場にいた三人は顔を見合わせる。

 

「どうしたんだ」

「よし、早く、コンソール=ルームへあがろう」

 三人は、ゾンガの死体を横たえ、シャフトのエレベーターに乗る。

 

 角田はコンソールにすわり、バリヤーを張ろうとする。

「花田さん、だめです。最初の一撃でバリヤー装置がやられていま

す」

 

 「それに、日本人形が統制回線をバラバラにしてしまっています」

 隣りにすわった朝賀も叫んでいた。

アンドリ度の日本人形がアルゴステーションの機能をすでに破壊していた。

 

 「我々が、このアルゴステーションを無防備状態においたのだ。そ

れが裏目に出たか」

 

 花田は静かにつぶやいた。

 

 「一つ、方法があります。やって見ましょう」

 

 CRTをのぞいていた朝賀が言った。

 「このアルゴステーションに稼動可能な高速救命艇が一機だけ残っ

ています。それでキラー衛星とさし違います」

 

 「しかし、それは」花田はいいよどんだ。

 

 「花田さん、さっき、あなたはおっしゃったはずです。いまは一人

二人の命の問題ではない。我々が成功するか否かに日本民族の生存

の問題がかかっていると」

 

 「確かにそうだ。がその艇の操縦は」

 「私がします」朝賀がいいはなった。

 

 「角田は、先刻のヤコフ21と戦ったばかりです。花田さんはこれか

らの日本人になくてはならない人です。そうなれば私しかいない」

 「しかし、話はわかったが、私がいこう」

 

 花田がいう。一瞬後、角田があて身を花田に加える。花田は意識

を失なう。

 

 「すまん、朝賀、お前が行ってくれ」

 「わかった、あとの事はすべて頼んだぞ」

 

 キラー衛星a113へ、朝賀の乗った救命艇が向かっていった。

 

 キラー衛星a113は、たる形で、前面には巨大なレーザー砲がつ

き出ている。両側には太陽集光板が翼の様に拡がっていた。

 

 「ほほう、ジャップの神風アタックか」

 

 ヤノーシュはレーザー砲をゆっくりと、高速艇に向かい照準を

める。

 高速艇は被弾し、速度がおちてくる。

 「なぶり殺しといくか」

 

 ヤノーシュは、朝賀の艇をゆっくりいたぶるつもりでいる。

 

情報マフィアINSの宇宙ステーション ゼウスステーションの中でブキャナンは気をもんでいた。

「何をやっているんだ。スパイのアサガめ。我々の今までの苦労が水のあわ

になる」

 

 アサガは、このキラー衛星に焼き殺されてもいいと考えていた。

 

 ブキャナンに情報マフィアINSのスパイとして見いだされた後、アガサはリビアへ送り込まれ、テ

ロリストの訓練を受けた。

 

 いつも気がかりだったのは恋人のジュン・バルボアとその父親で恩師のバルボア博士の事

だった。

果して生きているのかどうか

。思い悩みながらアサガは生きて来た。

 

やがて彼アサガが日本人の亡命グループへとINSから送り込

まれても、その問題が常にアサガの心に陰を宿していた。

 

 救命艇にあたったレーザー光が衝撃を与えアサガを現実にひきも

どした。

 

「どうだ、ジャップめ、お前は標的になりに来たのか」

 ヤノーシュは毒づく。

 

「くやしかったら、一発でも返してみろ」

 救命艇には二発の(ンドミサイルしか装備されていない。

 

「くそっ」

 アサガは、その内の一発の(ンドミサイルを反射する。キラー衛

星を直撃する。が何の変化もない。

 

 「どうだ、自分たちの無力さに気づいたか。ジャップめ」

 

 アサガは目の前がまっ黒になりそうになる。

 

地球のラインハルトから、ヤノーシュヘ怒りの声が届いていた。

 

 

 「ヤノーシュ、何を遊んでいる。はやくそいつを処分して、アルゴ

ステーションを確保しろ」

 

 「はい、はい、わかってますよ。ボス、ラインハルト殿下。しかし少しぐらい遊ばせて

下さいよ」

 

 「ならん、今は一分一刻を争う時だ。君の趣味のために、そのa-

13を渡したわけではない」

 

 

 「へい、わかりましたよ。ボス」

 

 ヤノーシュは受信装置をたたき壊した。

 

「この際、一度だけ助けてやり、恩をうるか」

 

 ゼウスステーションの中にいるブキャナンはつぶやいた。それか

ら一つのスイッチを押す。

 

 キラー衛星が、急に停止した。操船不可能になる。

 「うっ、どうしたんだ」

 ヤノーシュはあわてる。その間満身創夷の高速艇は、キラー衛星

の後側に廻り込む。

 

 アサガはマニュピュレーターを取り出し、自分の艇と、キラー衛

星をドッキングさせた。

 

 「くそっ、ジャップめ、キラー衛星ごと、自分も吹き飛ぶっもりか」

 ヤノーシュは、宇宙服を着て、ハッチから体をのり出してきた。

 

手には作業用の斧を持っている。

 マニュピュレーターを切り離そうとする。

 

 アサガも、それを防ぐため、艇の外へ出る。

 

 がっちりとつなぎあったキラー衛星と高速艇の上で二人はお互いを見る。

 

「ヘーい。ジャップ、お前にガッツがあった事は認めてやる。俺は

アントン=ヤノーシュだ」

 

「私はケン=アサガだ」

 

「オーケー、アサガよ、アルゴステーションを確保する前に。手初め

にお前を片づけてやるぜ」

 

 ヤノーシュはつながっているマニュピュレーターの上を歩いてき

て、斧で切りかかる。

 

 アサガはヤノーシュの斧をきわどい所で受けながし、背後から足

払いをかける。

 

 ヤノーシュは前のめりに倒れ。高速艇上からすべり落ちそうにな

るが、かろうじてペリスコープをつかんだ。斧は空間に消える。

 

 アサガも、高速艇からすべり落ちる。アサガもテレメーターアン

テナをつかんで、はいあがる。

 

 再び、マニュピュレーター上にあがった二人は対峙する。二人は

同時に作業用リベット打ち器を手にしていた。

 

 作業用リベットが同時に発射され、アサガは頭部バイザーにそれを受け

た。

 

 アサガのリベットは、ヤノーシュの正面の生命システム制禦板を

直撃していた。

 

 ヤノーシュは、アサガの体を艇からはらい除けた。それからヤノ

ーシュは高速艇のドアをくぐり、コックピット内に潜り込む。自爆

装置をはずすためである。

 

 宇宙空間で意識がもどったアサガは手元の小型スイッチを押した。

 

 高速艇に仕掛けられた爆弾はキラー衛星ごと吹き飛んだ。閃光が

アサガを盲いさせた。爆発の衝撃波が、アサガの体を遠くの宇宙空

間へと吹き飛ばしていた。

 

 「ラインハルト議長、ヤノーシュがやられました」

ファーガソンが

残念そうにつぶやく。

 

 「ジャップめ。こうなると、政治的交渉しかないわけか」

 ラインハルト殿下は冷や汗を流しながら地球アルプス要塞でつぶやいた。

 

 「アサガ、目ざめろ」

 アサガの頭の中に声が響いていた。

 

 「誰だ。私を目ざめさせるのは」

 アサガの声は自分自身の体の中を響き渡っている。

 

 「INSブキャナンだ。アサガ君、君は仕方がない奴だなあ。キラー衛星

をストップさせてやったのに。今度からはあまり目立つ活動はしな

いでくれ」ブキャナンは、アサガのスパイマスター、ハンドラーだ。

 

 ブキャナンの声もアサガの苦痛をやわらげはしない。

 

 「アサガ君のナショナリズムにも困ったものだな。君達日本人という奴は、

激情すると、恐るべき行動に出るという事がよーくわかったよ」

 

 「ブキャナン、俺を助けてくれ」

 

 「おやおや、アサガ君は自殺するつもりじゃなかったのかね。しかし私達

INSのゼウスステーションから救命艇を出すわけにはいかんだろう」

 

 「私ケン・アサガは君たちINSにとっては大事な人間スパイのはずだぞ」

 

 「おやおや、アサガ君今度はおねだりかい。わかった、ヒントをあげよう」

 

 「なんだ」

 「アサガ君の足元の方を見ろ。黒い物体が見えるだろう」

 

 「見える」

「あれは、アルゴステーションの宇宙機雷だ」

「それで」

 

「あれ宇宙機雷を爆発させろ。そうすれば衝撃波で、逆にアルゴステーショ

ンの方までもどされるはずだ」

 

「俺は武器など持っていない」

 

「しっかりしてくれ、アサガくんよ。君の宇宙服にはもう一発の小型

ミサイルが装着されているはずだ」

「タイミングがわからん」

 

「タイミングをあわせてやる。それ今だ」

 

 アサガの右腕からハンド=ミサイルが発射された。

 

 数分後、アサガの体は、アルゴステーションの外壁にたたきつけら

れた。

 

 

■アルゴステーションの防御アンドロイド ヤコフ21の意識がわず

かに戻ってきた。

 

先刻の角田の一撃はまだ完全にヤコフ21の生命装置を停止させてはいなかった。

ヤコフ21は首と右手右胸だけで動き出す。それから下は角田の日本刃で切り離

されていた。

 

 ヤコフ21は中央制禦室へ上がるシャフトまで辿り着き、エレベー

ターのスイッチを押す。

 

 エレベーターが中央統禦室へつく。ヤコフ21は右手でバランスを

とり、少しずつ、制禦室へ進む。

 

 左眼でゆっくり中をのぞき込む。どうやら中には二人しかいない

ようだ。二人はモニターに釘づけになっている。その一人をねらう。

 

 

ヤコフ21は右手からハンドミサイルを発射した。

 

 日本人の抵抗組織「サムライノクニ」指導者、花田万頭の体に衝撃がおそった。宇宙服の背面が黒焦げだ。

「花田さん!」

 角田が叫び、後をふりむく。ヤコフ21の上半身に気づく。

「こいつ、まだ生きていたか」

 角田は、日本刃でヤコフ21の首を切りさいた。ヤコフ21は動きをとめた。

 

 花田はフロアに倒れていた。

 「花田さん、しっかりして下さい。あなたがいなければ、日本人を

だれが守るのですか」

 

 花田は苦しい息の下でしゃべる。

 「君たちがいる」

 「でも、あなたの指導がなければ」

 「いいか、花田は一人ではない」花田は意外な事を言う。

 

 「何ですって」

 

 「花田万頭は伝説の人。日本人の守り神なのだ。誰が花田になって

もかまわん。VTR技術とCG技術があれば、映像で作りあげる事

ができる。

 

 本物の花田万頭は何十年か前に死んでいる。私はその影武者にす

ぎん。日本の情報省が作りあげたイルージョンにすぎん。そんな影

武者でも、ここまでやってこられたのだ。君にできないわけがある

まい」花田は息をつぐ。

 

 「角田くん、この映像を全世界にむかって放送するんだ」角田に

花田はテープを渡す。

 

 角田は花田に言われた通り、その映像を流す。映像が流れ出

した。

 

 『こちらはアスカステーションだ。アルゴステーションは我々、日

本人グループが占拠し、飛鳥ステーションと名前を変えた。

古代の日本の都、飛鳥京にちなむ。

 全世界に生存している日本人諸君、いかなる方法をとってでも、

ここに集まってくれ。

 

 このアスカステーションは日本人解放区だ。

 

JVO(日本壊滅組織)の各国の諸君、先刻まで、日本本土に向けられていたミサイルは、

君達の国に照準を変えてある。もし、日本人達がアスカステーショ

ンに辿りつく事を防害した場合、自動的にミサイルは発射される。

このミサイルの威力は君達がよく知っているだろう。なにしろ君達

が作ったんだからな……」

 

「花田さん、映像は全世界に流れています。成功です」

 涙ぐみながら、角田は言った。しかし、花田の反応はない。

 

「花田さん……」

 が、花田万頭はうっすらと眼をあけた。そして口を動かす。

「角田くん。これからは君が花田に……」

 花田はこときれた。

 

「わかりました。花田さん。花田万頭は絶対に死にはしません」

 いつの間に、残っていたアンドロイド日本人形達が集まっていて

花田の体をとり囲んでいた。

 

 

 

日本人の日序章 第21回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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