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封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●

2015年01月20日 | 封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所
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 アー・ヘブンは,横たわる北の詩人をながめている。

彼からは、はっきりした「天宮」の位置を読みとれなかった。

彼はその「天宮」の場所を知らないのだ。

闇の空洞だと?

アー・ヘブンはしかたなく、大球と小球をつなぐコード(絆)の内壁ににじりよると、内壁金属に聴覚器をあてがった。

この金属の持つ記憶巣から、「天宮」の情報を読みとれないかと思ったのだ。

壁に聴覚器がふれた一瞬、アー・ヘブンの体は硬直した。

 恐るべきデータが一度に脳に流れ込む。

体が震動し、コードの内壁に倒れ込む。

 倒れていても、アー・ヘブンの体は痙攣し続けている。

 コードの内部は、すでに「天宮」の腕の中も同然なのだ。

コード内には「天宮」の神経系が、くまなく張りめぐらされていた。

その神経系から派生した神経糸が一本、アー・ヘブンの体に鋭く突きささる。

神経糸は蛇の様に、体内に侵入し、ためらいなく体中を突き進む。

神経糸はアー・ヘブンの中央脳を探りあて、アー・ヘブンの正体を知ろうとしていた。

 脳部位はどこだ!

 神経糸は位置をさがしあぐねていた。

 アー・ヘブンには中枢脳がなく、しいていえば、体全体が脳機能を持っている。

 アー・ヘブンは、体の中を這い進む神経糸にたいいして、逆に、パルス(波動)を送った。

パルスがたどり着くところ、そこに「天宮」の命令中枢があるはすだ。

 一瞬の後、逆にアー・ヘブンは「天宮」の位置を読みとっていた。

 『シャフト』

 アー・ヘブンは立ちあがると、体につきささっている神経糸を力まかせにひきちぎった。

からまってきていた神経網を引きさく。

アー・ヘブンは、コード内を大球にむかい直進していた。

目ざすは「天宮」の存在するところ、「シャフト」である。

 コード内の神経網が急激に膨張し、道をふさぐ。

アー・ヘブンの前進をはぱもうとする。

 コード自体も震動している。

「天宮」は、小球とコードを、自分のいる大球から切り放そうとしていたのだ。

アー・ヘブンをコードに詰め込んだまま。


 大球とコードの接合部分はすでに切り放され、コードと大球の鉄表が数10m開いている。

 危ない所だった。

アー・ヘブンは、コードの内壁を第3触手を使って突き破り、からくも大球の鉄表へ降り立りていた。

 切り放されたコードは耳を聾する轟音をあげている。

何かの泣き声の様だった。

コードは小球の方へゆっくりとたぐり寄せられ、ねじ曲がっていく。

何か生き物の断末魔を思わせた。

 アー・ヘブンは鉄表の下を透視して身ぶるいをした。

この鉄表下は驚くべきことに、機械の集合体に変化していた。

本来の岩盤はどうなったというのだ。

 この機械類はスパイダーネットによって集められた宇宙船の部品だろう。

大球全体が機械惑星と化していた。

内部の地層は天宮が変化させてしまったのだろう。

 アー・ヘブンは、この機械類をチェックして、ある事に気づく。

これは危ない。

「天宮」は、何をやりだすかわからない。

 全宇宙に害毒をぱらまくつもりかもしれない。機械のすきまを探査する。

そこがシャフトのはずだ。

それにその部分のみ、構成成分が異なるはすなのだ。

 「天宮」自体が機械と、そのモノの集合体なのだから。

 またそのモノは、、アー・ヘブンと同じ成分を持っているはずだ。

「天宮」の存在するところ、「シャフト」の位置をようやく探し当てた。

怒りという古い感情を思いおこし、鉄表をアー・ヘブンの第3触手でふち破った。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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