ガーディアンルポ01「最終列車」■第6回
(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
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竜巻は近くの潅木や、樹木をなぎ倒し、巻きあげながら、恐るべきスピードで肉迫して
きた。
隊員は列車の窓をあけ、ねらいを定め、自らを発進させた。
竜巻の中心部で爆発がかこったようだった。しかしあいかわらず同じテンポで近ずいて
くる。別の隊員が出撃していく。さらに別の隊員が。
乗客はもうあきらめかけていた。列車ごと竜巻にまきこまれるのではないかと。
スペシャルコマンドは次々と死んでゆく。もう少しで橋だというのに。
その時、竜巻の速度か急激にかちた。
「何とか、橋までたどりつけそりだぞ」
竜巻の速度は徐々にかちてきている。
列車はどうやら危機を脱したようだった。
列車はついに異時限流の橋にたどりついた。この超合金で作られた橋。この
橋の下二百m下を流れているのは、しかし水ではない。
橋の下の下は、時間流が流れているのだ。
全地球の歴史の流れが幾重にも重なり、ありとあらゆる時間がからまり溶け合い流れて
いる。
この橋を渡り切れば「船」の発射基地なのだ。
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イヌイはどなった。
急プレーキがかかる。うめき声をあげながら列車は停止した。先程のyロリー機の爆弾
で、前方K続く橋がなくたっている。
「くそっ、もり少しといりところで」
もう発射基地の姿がはっきり見えている。「船」がシルバーに輝き、立っている。
足下二百m下には、まだ、七色に輝く時間流かうずまく。
「基地からの助けは」
「だめだ、向こうからは、は手か出せない」
列車は橋の上で立ち往生していた。時間はいたずらにすぎてゆく。ロケ″ト発射まで時
間はあまりない。
スペシャル=コマンドたちが数人話しあっていたが、その内の一人がイヌイのそぱへや
って来た。
「チーフ、提案があります」
「うん、言ってみろ」
「車両Kできるだけ人をつめこんでしまうのです。恐らく二両あれば、生存者を助けられ
るでしょう。機関車を入れて三輛、伺とか我々のジェット噴射で五十m程動かしてみせま
す」
「現在、君達は伺名残っているんだ」
「五名です」
「列車に15名乗り込んで、残ったのはわずか五名か」
イヌイは考え込む。
「Jのために命を捧げてくれるんだね」
「我はコマンドです。Jを助けるために、命を投げ出すより、訓練されて
きた事はあなたも御存知のはずです」
「そうだ」
イヌイは思わず涙ぐんだ。
いずこからとも知れず、誘拐されて、未来に連れてこられ、サイボーグ手術を受けた入
々。Jを助けるためのみに存在する人間ミサイル。一度発進したら爆発するまで飛び続け
ねばならない。
「やってくれるか、Jのために」
ガーディアンルポ01「最終列車」■第6回
(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画6事務所http://www.yamada-kikaku.com/