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東京地下道1949■第9回戦争孤児達の食料トラック襲撃は、惨殺の場と。米軍戦闘機が飛来攻撃を受け。見守るライリーとロバートは更に狙撃ライフルの照準を。ナイフの鉄は、竜の妹恵に 地下道を通じ救出。

2021年07月28日 |  東京地下道1949
TC東京地下道1949■1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は
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東京地下道1949■第9回戦争孤児達の食料トラック襲撃は、惨殺の場と。米軍戦闘機が飛来攻撃を受け。見守るライリーとロバートは更に狙撃ライフルの照準を。ナイフの鉄は、竜の妹恵に 地下道を通じ救出。
 

 

東京地下道1949■第9回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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東京地下道1949■第9回

上空から飛来した戦闘機ムスタングは、両翼の爆弾を雨を浴びせる。

ナパーム弾が地上を燃え上げる。前の太平洋戦争の折と一緒だ。多くの子供たちが空母艦載機

の機銃掃射でなくなったりふぐの体にされた。

投下しおわり、爆弾のなくなった戦闘機は、機銃弾を空からあびせはじめた。

 

風防からは、この殺戮を楽しむパイロットの顔がみえる。

低空飛行でつっこんでくるのだ。

 

ベビーギャングたち(戦争孤児達)の勝利の戦場となるべき場所は、修羅場となり、墓場となった。

機銃弾が、無機質な音で土ぼこりをあげ、地面をほりさげる度に、大地に鮮血が流れ、

しみこんでいった。

 

 二つの双眼鏡が、ま下の光景をながめている。

 

小高い丘からは、この虐殺がー望のもとにみわたせる。

 ロパートは思わず、叫んでいた。

「死ね。みんな死ね。お前ら、ジャップ。くず野郎はみんな死んじまえ。お前ら、ガキが

皆くたばったら、日本はアメリカの完全な領土になるんだ。なにしろ日本人がいなくなる

んだからな」

 ほおにガーゼをあてたライリー大尉は、双眼鏡をおろし、傍らのロバート軍曹に言った。

 

「ようし ロバート。もう少し前進だ。それからスコープ付きライフルを出せ、俺たちの

楽しみはこれからだ」

 彼らは、なんとか、戦闘機から逃れた少年達を今、望遠スコープの照準にとらえ、ねらい撃ちにするつもりなのだ。

 

 

「鉄、鉄おきて」

 声がした。夢の中から聞えてくるようだ。

 

どうやら、俺はまた死んではいないようだな。

鉄はそう思った。

うすぼんやりした光が鉄の目をさす。

まだまだ、くらくらする。あいかわらずの米軍監獄だ。

 

声は床の下からかすかに聞えてくる。

それは竜の妹、恵の声だった。

 

「どうしたんだ。恵か」

「しっー、あまり大きな声を出さないで」

「だそうにも声はでないさ。あのロパートにえーらい目にあわされた。

それよりお前、なぜこんなところにいる」

 

「あなたのことが気になっていたの。あなたが、あの地図を奪ったから、どうせ進藤の店にいくと

おもったわ。米軍のジープがあなたを追いかけていくのを見たわ。

車のナンバープレートが保安部のものだったから、つかまると息ったわ。

きよう、それで保安部の独房の下へ忍びこんできたわけよ」

 

「よく、ここまでこれたな。昔なじみにあえるのはうれしいぜ」

「何いってるの。ふざけないで」

恵は、ほんとに怒っている。

 

「わかった。よし、はやくここから出してくれ。ロバートかライリーがまた来た日にや、、俺はぶっ殺れかねない」

 

「いい。言うことをよく聞いて。右壁から約一mのところをさぐってみて。何か印がある

でしょう。印のある床の上を思い切り踏みつけてごらんなさい」

「少し、へこんだぞ」

「そう、そこを何とか動かしてみて」

 

 床は、鉄がひっぱると、穴が開いた。人一人くぐれる。

すばやく穴中にはいる。もと通りににする。暗闇の中に薄い光がもれている。声があった。

 

「どうやら、また、あえたようね」

「恵、一体この穴は」

「しつ、この上はずっと米軍保安部よ。気がつかたら、それっきるよ」

 小さなろうそくを恵は持っていた。

 

小さな声で、

「この通路は、日本軍がトウキョウ市攻防戦の際作った地下壕の一部らしいの。

これを伝っていけぱ何とか外に出られるわ。ついてきて。鉄」

 

 恵は先に立ち、ずんずん歩んでいく。

鉄はいためつられた体をひきずるように、光についていく。

あたりは、ゆっくりと闇がもどっていく。

 

 泥滓の中で、ベビーギャングの頭、ムサシの意識がもどってきた。

同時に体がほてるように暑い。

 

場所の感覚がもどってきた。

顔をすこしもちあげる。

まだ少し雪まじりの雨が降っていた。

 

異臭がする。あたり1帯が燃えあがり、人間の形をした何かが焼け焦げていた。

体が膨らみはぜた。

 

(続く)

続く090901改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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