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腐敗惑星のアリスー第6回●監視機構のミラー伍長は、現代の思想書『新生神書』の『最後の楽園』に出てくる禁断の実を手に入れられると占いの女から告げられる。しかしそれはダークサイドからの魔の手であった。

2020年06月20日 | 腐敗惑星のアリス
AF腐敗惑星のアリスー宇宙連邦の監視機構の元で、腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる
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腐敗惑星のアリスー第6回●監視機構のミラー伍長は、現代の思想書『新生神書』の『最後の楽園』に出てくる禁断の実を手に入れられると占いの女から告げられる。しかしそれはダークサイドからの魔の手であった。
 

腐敗惑星のアリスー第6回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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「お前、デッキマンだね。それも新米の」

占いの巫女がミラー伍長に言った。ここはシオクマ・シティの盛り場だ。

 

5年前、宇宙の中心星ピラトのオクマ・シティだった。ミラーが連邦宇宙大学

を卒業した頃だ。配属先は星庁の管轄下にある監視機構であった。

 

「そうだよ、それがどうしたのだ」いぶかしげにミラーは答える。

荒手の募金活動じゃな

いだろうな。ミラーはこの種の募金にうんざりしていた。

いわく宇宙戦役募金だの、戦争孤児募金だの、宇宙植民募金だの…

 

「お前にいいことを教えてあげようじゃないか」巫女はにやりと笑う。

危ないぞ、こんな奴に限ってオアシが高いのにきまっている。

 

「いらないよ、占いのおし売りはお断りだ」ミ

ラーは足早に立ちさろうとした。が、うしろから巫女がうむをいわさぬ調子で言葉を投げ

かけてきた。

「世界最高の宝を欲しくはないのかい」その言葉にミラーは急に振り向く

 

「それは何だ」興味シンシンの顔だった。

「ほほっ、興味を持ったね。教えてあげよう、特別にね」

 

「もったいぶるなよ」

「禁断の実だよ。それについての情報だよ」

「禁断の実だって、そいつは『新生神書』の『最後の楽園』に出てくる神話じゃないのか」

 

「それくらいしか、知らないのかい。見たところ、星庁に努めているらしいけど。

この言葉の深い意味もしらないようじゃたいしたことはないね。お前も、

もっと歴史をお知り、そうすれば、私がいった意味もわかるさ」

軽蔑するように、首をふりながら彼女は言った。

 

「でも気をおつけ、その禁断の実にさわる時はね」

ミラーの方を節くれだった指でさした。

 

「俺は禁断の実を持てるのか」

「そうさ。おまけに、お前は古代世界をかいま見ることができるだろうがね」

 

「古代世界?,かいまだと、どういう意味だ」

「もう、今日はおしまいさ」気味の悪い占いの終り方だ。

 

「どういう意味だ。俺がそこで死ぬとでもいうのか」

「しかたがないね。おまけに、もう1つヒントをあげるよ。腐敗惑星についてお知らべ。

これで本当におしまいさ」

 

「なんだって、あの汚染された星か」

 

「いいかい、これで、私の未来の占いは終りだ」

 ミラーは10ソブリン銀貨を巫女に投げあたえた。

 

「いい事を聞かせてくれたな、お礼だ」

「いらないよ。今夜はサービスだよ」

巫女の姿は急に、若い女性に変身する。

 

「あ、おい、待てよ。消えた」

 ミラーは体をふるわす。寒気が急に襲ったのだ。

 

「今のは悪い夢じゃなかったのか」

が、ミラーの見たのは夢ではなかった。

 

●ミラー伍長はそれから必死で資料を探している。

ここは監視機構の研修センターである。

 

「ミラーくん、隣に座っていいかな」スニンがミラーに話しかける。

「あ、どうぞ、スニン先輩いや中尉」

 

「どうだね、勉強は進んでいるかね」

「ええ、何とか、監視機構の研修についていこうと必死ですよ」

「ところで、君、何の本を読んでいるのかね」

 

スニン中尉は急にミラーの読んでいる本の表紙を持ち上げようとした。慌てて、それを隠そう

とするミラー。が、表紙が見えてしまった。

「新生神書」である。

 

「おや、おや、君も中々信心深いようだね」

「いえ、それほどでもありません」

 

「君は隠れ宗教家ではあるまいな」

「まさか、そんなことはありえません」

「ミラーくん、率直に聞こう。君は、腐敗惑星へ赴任したいかね」

 

腐敗惑星だと、なぜだ。なぜこいつは知っている。ひょっとして、いやぐうぜんというこ

ともあるな。ミラーは、できるだけ平静を装うとした。

 

「続けて聞こう。君は「禁断の実」を探したいかね」

 

ミラーはこの言葉を聞き、顔が青ざめるのが自分でもわかった。なぜ、このスニンが、あ

の夜の占いを知っているのだ。

 

「ミラーくん、我々は君をスカウトしにきたのだ。安心したまえ」

やっと、ミラーの声が出た。いささかかすれていたが。

 

「いったい、あなたは」スニン中尉に向かいミラー伍長はたづねた。

「むろんダークサイドの人間だよ。ミラー伍長君」

 

(続く)20090501改定

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー

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