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その腕もて闇を払え第10回 デズゾーンのRM計画研究施設で冬眠に入っていたカレン・コーヘンは目覚め、現況の惨状をしり次の手を模索する。父親のクロスはキメラ獣と変貌しカレンのいる研究施設を目指す。

2021年07月14日 | その腕もて闇を払え
SYその腕もて闇を払え(1980年作品)クロスは、我妻と子を奪われコーヘン財閥に復讐を誓う。20年後隕石が落下、地球生態系が変化、疫病が。デスゾーンの研究中の娘カレンを助けにクロスが呼び戻される。
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その腕もて闇を払え第10回 デズゾーンのRM計画研究施設で冬眠に入っていたカレン・コーヘンは目覚め、現況の惨状をしり次の手を模索する。父親のクロスはキメラ獣と変貌しカレンのいる研究施設を目指す。
 

その腕もて闇を払え第10回

(1980年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■2071年、10月デス=ゾーン内

キメラ獣となったクロスは探査トレラーの乗り込み、東南へ向い始める。

デスゾーンの不逞の輩ゾクの一人が、そのあとわずかに遅れて後をつけていた。

 

■2071年、10月デス=ゾーン内

デスゾーン内 RM計画施設研究棟 地下数百m下。

 

物音一つしない。生命体の反応はないように思われる。死体がいくつか腐敗している。

 

ただ、機械類は正常に作動していた。

 

本部との有線連絡装置はまだつぶれてはいないが、それを作動するぺき生命体が存在しないのだ。

 

最下層のフロアで静かに機械が作勤し始める音がした。

オシロスコープが動き始めている。脳波測定器も作動を始めていた。

 

冬眠装置が数十器セッティングされていた。その内の一つが作動し始めているのだ。

 

生命維持装置が徐々に動き始める。体を被っていたドームが上へはね上がる。人間が起きあがる。金髪の美しい女だ。

 

リチャード=コーヘンがクロス・クライストに見せた写真と同じ女性だ。

そうカレン=コーヘンだった。

 

カレンはアメリカB地区へ阻星が落下する直前、この施設の冬眠装置にはいっていたのだ。一年半の間、眠っていたのだ。

 

彼女カレン=コーヘンはRM(人類リニューアル)計画の研究員であった。

 

が、同時に研究材料でもあった。その特殊な事情は彼女も知らなかった。

 

カレン=コーヘンは他の冬眠装置をのぞいてみた。

中にいる人々は冬眠ではなく、本当の眠りについていた。なぜ彼女だけが生きているのか。

 

彼女は、あの、時折襲ってくる不思践な感覚が体にやってくるのを感じた。

 

彼女の感覚は折折、時間を遡るのだ。

 

その瞬間彼女は不思議な事 2050年、火星マリナシティ郊外にもどっていた。

彼女の祖父であるリチャード=コーヘンがつかわした娘ジャネット・コーヘンの追跡部隊の記憶。

 

母が胸に受けた、

重反動一砲の挑出薬莱の痛み、

それを彼女は今の出来事のように知覚できるのだ。

 

そして彼女をだきあげたコーヘン財閥執事頭クーガルの手。

確かに彼クーガルは一なぜか泣いていたのだった。

 

彼女は目をつぶり、思わず頭をふるった。

 

 

現実にひきもどされる。

 

上のフロアへあがる。かつて人間であったものの残滓が散らばっていた。

彼女をくといていたハIバート大学医学部出のエリート研究員、ロジャーもその中に混じり、ほとんど白骨化していた。

 

彼女は通信室へはいった。

本部へ連絡をとろうとした。しかし連絡はとれなかった。誰でも簡単に連絡はとれないのだ。秘密のコードーナンパーがあるらしい。

 

彼女が眠りをむさぼっていた間、何がおこったのだろう。まず現状の把握が必要と思われた。

彼女は研究室のコンソールにすわり、本部のコンピューターパンクからその答えを得ようとする。幸い、この回路はすぐ通じた。

 

「現在の状況を簡単に述べよ」キーを打つ。

『B地区はデロスに汚染され隔離されている』

 

 「その理由は」

 

「阻星落下によって発生したと思われる疾病デロスによって地球は壊滅的状況にある」

 

「デロスとは」

 

「空気感染経路による疾病。病菌は現地点では発見されておらず。

感染者の生存率叩%ヽそのうちゼウスス星惑で生活した経験のある者の生存率88%。汚染数時間後発熱。ほとんどの者がこの数時間中に死亡。また生存できえたものにも生物的特徴に変化があらわれる』

 

「生物的変化とは何か」

 

『その症状によって一定せず。標本データ不足』

 

「RM計画施設の現在状況」

 

「地上出入口。は完全にブロックされている。阻星落下時より連絡は不通となっている。自動連絡操置のみ作動」

 

「B地区からの脱出方法はいかん」

 

「データ不足。可能性は非常に少ないと思われる。さらに五日以内にインド洋上の地球連邦軍、連合スーパー潜水戦隊から、核弾頭ミサイルがこのデスゾーン抹殺のために発射される予定である」

 

 カレン=コーヘンはディスプレイに見入っている。

 

■2071年、10月 デス=ゾーン域外。リーマス空軍基地

 

マーカス大佐はリーマス空軍基地の自分の部屋に戻ってきていた。

 

電話がなる。

 

「マーカスだ」

「大佐。私です」部下の声が響いた。

 

「わかった。少し待て」大佐はスクランブラー回路のスイッチを入れた。これで盗聴される可能性はない。

「デスーソーンの情報が今はいってきたのです」

「何だって」

「大佐、RM計画施設略奪のため特殊コマンド部隊が二度送りこまれたのを御存知でしょう」

 

「もちろん知っている。二度目はカレン=コーヘンの兄デリー・=コーヘンが隊長だった」

「どうやら部隊隊員の一部が生きているらしいのです」

 

「正常なままか」

 

「いや、どうやらそうではないようです。狂っているようです。我我連邦議会に対して「我々は神の軍隊だ」と名のっているそうです。「この汚れた世界を浄化するために全世界につかわされた者である」と言っているそうです」

 

「神から遣わされたキメラ獣どもか!」

マーカス大佐は、武器や装甲車、戦闘ロボットなどと一体化した生物、武器生物を想像しぞっとした。しかも人間の部分は特殊部隊なのだ。

 

「その連絡はどんな経路で」

 

「デスーソーンの監視塔の一つに届けられたそうです。それも鳩によってです」

 

「わかった詳しいデータがはいりしだい又、連絡してくれ」

 

マーカスは電話を一度切り、机の引き出しから別の電話をとり出

した。相手はすぐに出た。

 

「リヂャード=コーヘン、大変な事になった」

 

その腕もて闇を払え第10回

(1980年)「もり」発表作品

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