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ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回 戦国時代の天童軍団が異次元から飛ばされてきて、福知山線の列車を襲う。サイトウの通勤の友イヌイが応戦して退ける。

2020年10月30日 | ガーディアンルポ01「最終列車」
ガーディアンルポ01「最終列車」斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
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ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回 戦国時代の天童軍団が異次元から飛ばされてきて、福知山線の列車を襲う。サイトウの通勤の友イヌイが応戦して退ける。
 

ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

 

■ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回■

 

1978年、国鉄福知山線でのいつものサイトウの通勤の折、列車が異空間にとばさせているのだ。

 

サイトウの質問に思わず、通勤の折の知り合い、イヌイはしまったという顔をして

「いや、時代小説を読んだり、歴史映画を見たりしてさ」

 

列車の天蓋の上を誰かが歩いていく音が聞こえた。

「上を歩いていったぞ」

 サイトウが叫んだ。

 

「何上をだと、いかん」

 イヌイは通路に入ってきている武士を切り崩しながら、ドアヘ向かった。

 

 外から矢が射かけられる。

イヌイは刀で矢を振り払い天蓋へと登っていく。

 

 一本の矢が、イヌイの背を貫いた。思わずイヌイはのけぞり、列車からころげ訟もそう

になる。が気を伺とかとり直し、機関車の方へ進む。矢を自らの力で抜き取る。

 

 天蓋の上はいわぱ攻撃目標とされる率が高い。次々と射手は矢を放つ。

 必死で駆け抜け、イヌイは先を行く武士に追い着いた。

 

「待て」

 呼びとめられた武士はイヌイの方を振り返った。

イヌイの顔をぐっとにらみ、刀をかまえる。

 

[ワシは維神天膳じゃ、おぬしは」名乗りをあげる。

 

「私はイヌイエイイチだ」

 二人は天蓋の上で切りむすび始めた。

 

 戦国時代の騎馬軍団、天童軍団の一人、中島活之は、

勇敢にもただ一騎、機関車を追い抜くと、前方へ廻り

こみ、槍を構えて、突進していく。

 

スペシャルコマンド隊員は誰ひとりとしてこの事に気かついていない。

 

 声を張りあげ、活之は動く鉄のかたまりの真正面へ突進する。い々なきが聞こえ、血

しぶきがあがる。

 

 福知山線の機関車が急停止した。

 

 その瞬間、運転席へ騎馬の槍がハ方から突きこまれた。

 

 急停止した時、列車の上にいたイヌイは振動で足をすべらした。刀を落とし、両手でへ

りにぶらさがった。

ゆっくりと刀を手にした維神が目をギラつかせ、近ずいてくる。

 

 「大東亜戦争のぱあさん」が遠くから石をなげた。

石は維神の顔に命中し、一瞬のスキがで

きた。その瞬間をにかさす列車の上にイヌイははい上がった。

 

スペゾ″ルリコマンドの一人がイヌイヘ刀を痙げた。

 

 列車が止まったので、武士の騎馬団は勝どきをあげていたが、天蓋の上の二人に気がつき、戦

闘をやめた。軍団一の使い手維神天膳と異形の者との戦い。全員の目が天蓋の上に集中し

た。

 

 しかし勝負は一瞬に決まった。

 

 額から血を流し、イヌイめがけ維神は切りこんだ。

 

イヌイは刀を受け取りざま、勢いをかって上段から振りかとした。

 

 維神は袈裟がけにされ、動きを一瞬止めた。やがて、つっと前のめりになり、肩口から

血を吹き上がらせながら、列車から落ちた。

 

 返り血をあびてイヌイは、一瞬フラついたが、刀をかざし、勝ち名のりをあげた。

「イヌイエイイチ、維神天膳を撃ち取った」

 

 列車の全員から歓声があがった。敵の軍団からも賞讃の声があがっている。

 

 天童が単騎で、列車のすぐ側まで駆けてきた。天蓋上のイヌイに話しかける。

 

「どうだ、私の家来にならんか。手だれの維神を倒すとはなかなかの剛の者よ」

 イヌイは天童に言った。

 

「殿、私には生涯、これと定めた主君が御座います」

 

「ほほ、残念な事じゃ、して、その幸運な御主君の御姓名は」

 

{ジェイ殿で御座います」

 

「滋英殿、はて、このあたりでは聞かぬ名じゃの」

 

 重ねて、イヌイは言った。

「殿、願いが御座います」

「伺じゃ、申してみい」

 

「どうぞ、軍勢をお引きあげ下さい。私達には殿と争う理由はまったくございません」

 天童は首をかしげた。

 

「うむ、そり言われてみれぱ」

 天童達にかけられたROWの思念が、この戦闘の興奮で消去されかかっていた。

 

イヌイの目が鋭く天童に注がれている。まるで魔術師の目のようだ。

 

 軍団の中にも不信の声があがっていた。

 

 そう言われてみれぱ、天童達はなぜ、こんなところにいて、彼ら異形の者達と戦ってい

るのかわからなかった。

 

 それにこのあたりは見かけない風景だった。

 

「イヌイ、ここは伺という場所じゃ。ついぞ見かけぬが」

 

「ルート○七という所でございます」

 

「聞かぬのか、そんな名は」

 天童は少し考えていた。やがて、決心したようだ。

 

「わかった。どりやらワシらは何かのまやかしにあったらしい。引き上げよう」

 

「ありがとうございます。この御恩、イヌイ生涯、忘れませぬ」

「うむ、さらばじゃ」

 

騎馬軍団は旗を翻し、去っていった。彼らは出現したのと同じ場所で消滅した。

 

 安堵の吐息が列車の方々でかこった。

 

サイトウは列車からとび出て、傷ついたイヌイの

偏に駆け寄った。賞賛の手を叩きながら、

 

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 



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