小説工房/山田企画事務所www.yamada-kikaku.com/

小説●ビジネスマンガ制作 山田企画事務所yamada-kikaku.com

日本人の日序章 第17回 宇宙ステーション・アルゴを占拠しようと日本救国組織は動き出すが、対処するJVO(日本壊滅組織)の暗殺チームも動き始める。

2021年01月20日 | 日本人の日序章(1980年)
日本人の日 序章■ある財閥が世界の経済と政治状況における一国の役割を分析。その一人の男は その国が存在しないと仮定し、世界分析を行う。結果は、男の推論どおりである。その国の名は。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1162gl/17/

 

日本人の日序章 第17回 宇宙ステーション・アルゴを占拠しようと日本救国組織は動き出すが、対処するJVO(日本壊滅組織)の暗殺チームも動き始める。
 

日本人の日序章 第17回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

Http://www.yamada-kikaku.com/

 

 

■二〇五四年 十二月 マダガスカル島

 

 日本救国組織の船井光一のロケットはようやく成層圏に達していた。マダガスカルの

古い商船からカタパルト式で打ちあげられた船井は大喜びだった。

 

 追撃してきた戦闘機は、ある高度以上になると爆発した。

 日本救国組織の別動グループがJVO(日本壊滅組織)の飛行機にセットしておいたので

ある。

 皆とのアポイントメイント地点に迎う船井光一だったが、急激に大き

な鷲が襲ってきた。その鷲は船井のロケットをふき飛ばした。

 

 キラー衛星a-13が上昇中だったのである。

 

キラー衛星a-13に乗っているのは。アントン=ヤノーシュ。JVO(日本壊滅組織)の暗殺チーム、

クーラーの人間だった。

 

キラー衛星a-13のモニターに日本人抵抗組織の、アルゴステーションを目指す人間のリストが

表示されていた。

 

アコンカグワ 角田 博

アマソン。シティ 高野周三

インドネシア ポロブドール 朝賀 健

マダガスカル 船井光一

タイ奥地 塚本猛

南極 光明基地  村上千馬

南太平洋上 潜水艦「嶺」 花田万頭

 

「これで一人は減ったな」キラー衛星a-13にいるアントン=ヤノーシュはひとりごちた。

 

■二〇五四年 十二月 アルゴステーション(宇宙ステーション)

 

 地球からのカーゴロケットがロケット発着場に到着していた。ア

ルゴにも、ロケットにも、ラドクリフのマークがはいっている。

 

 「おい、ジョン、今日のお荷物は何だい」

 ハランはパイロットのジョンに声をかける。

 「さあ、知らないよ、伝票を見てくれよ」

 荷物係のハランは伝票をディスプレイで見てみる。ハランは

変な叫び声をあげる。

 

 「おいおい、ジョンよ、こいつは驚きだけだぜ」

 カーゴロケットパイロットのジョンは、ハランの言葉につられる。

 「どうしたんだ」

 

 「このカーゴロケットの荷物全部がボスからの皆への贈り物だとよ」

 「えっ、あのケチの「ラインハルト殿下」からか。アルゴステーションの乗

組員への贈り物をするんだって。信じられんなあ」

 

 「そりゃ、我々、アルゴステーションは今から大きな仕事をするか

らなあ。ボスでなくっても贈物がしたくなるってことさ」

 

 ハランは荷物を倉庫にしまう。やがて倉庫からはシュートを使

って各家庭、各部屋へとこの贈物が、送り込まれていく。

 

 居住エリア。このアルゴステーションには5千人の人間が住んで

いたが、そのすべての人間がこのプレゼントを受けとっていた。

 箱をあけた大人達は驚く。

 

 「こりゃ、何んだ」

 中には高さ15mくらいの物体が包まれていた。

 「東洋の人形じゃないか」

 「どうやら日本人形らしいぞ」

 「ボスも趣味が悪いな」

 パッケージを開けた瞬間から日本人形は変化していた。ステーシ

ョンの人工空気と混じり合い、即効性神経ガスを生じ始める。

 

 ステーション内に静かに死が訪れている。

 

 アルゴステーションはいわゆるドーナツ型のステーションで中央

にある大型チューブのまわりをドーナツの様に居住区が囲んでいる。

 大型チューブ部分の上方には集光板があり太陽熱を集めている。

 

チューブ部分の上から三分の一までにはアルミニウムの反射板が付

けられていて、開閉ができる。

 チューブの中央部分にはシャトルやロケットの発着場が設けられ

ている。

 

 コンソールルームに最後まで残っていたミサイルオペレーターは

日本へのミサイルの発射スイッチを押そうとする。

 死に前に最後の一発をくらわしてやる。そう決意していた。

 

 日本人形は恐らく日本人亡命グループのしくんだ事だろう。簡単

なトリックで五千人の人間が死んでしまった。コンソールの上で、

彼の手は動く。どのスイッチだ。薄れゆく彼の眼には、もうスイッ

チ位置が見えてはいなかった。

 

 彼も力つきて、コンソールの上に手をのばしたまま死んでしまう。

 

 アルゴステーションのコンピューターは自己防禦機構を作動させ

ていた。

 

中央機械層のシャフトの中から、人の形があらわれていた。

 ガスが立ちこめるアルゴ=ステーションの中で動く人影。アルゴ

ステーション防禦サイボーグ、ヤコフ21である。

 

 防禦サイボーグ・ヤコフ21は今まで中央機械層で眠込んでいたが、アルゴのコンピ

ューターは彼の頭に現在までの情報をすべて入力していた。

 ヤコフ21は、死の臭いがするアルゴステーションでI人ほくそえ

んでいた。

 

 「ふふっ、ジャップのやろう。なかなかやるじゃないか。簡単なグ

ラフでやられるとは、このアルゴステーションには、まともな人間

などいなかったのか。わかった。アルゴにはけっしてジャップをい

れんぞ」

 

 防禦サイボーグ・ヤコフ21は地球のアルプス要塞「ラインハルト殿下」

へ連絡しようとしてコンソールル

ームへ入る。

 

 情報回線をオンにするが、JVO本部には通じない。なぜだ。

 やがてヤコフ21は情報回線がバラバラに断線している事に気づく。

 

 「ちくしょう。日本大形共め。稼動できる日本人形もあったのか」

 その直後、ヤコフ21の背後から、直径5mのミニミサイルが発射

された。

 防禦サイボーグ・ヤコフ21は飛びのき、その発射された方向にレザーガンをばらま

く小型のアンドロイド人形が吹き飛んだ。

 

日本人形だった。

 

日本救国組織の丹精に作りあげた暗殺用日本ドールであった。

 

 こんなこねずみみたいな奴らがアルゴ=ステーション内をうろつ

いているとすると気をつけねばならんな。

 

防禦サイボーグ・ヤコフ21は危険を背面に

感じていた。

 

 日本人の日序章 第17回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

Http://www.yamada-kikaku.com/

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。