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東京地下道1949■第8回

2013年04月02日 | 源義経黄金伝説
東京地下道1949■第8回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 漫画の描き方manga_training動画


クモと聞いて、口もきけないほどふるえている鉄を、ブッチャー(人)ロバートは片手でつまみあげ、
 下を歩み、新たなドアの前に立った。
「それじゃ、しばしのお別れだ。テツ。寂しいがな。何か話すつもりになったら、ドアを
必死にたたくんだな」
 反動をつけ、鉄をほうりこみ、ドアをしめた。
まつ暗闇だ。
投げ込まれた時、鉄の体の下で何かぐしゃりと、つぶれ、ねばりついた。
くもだ。
体の上にタモがはいががろうとする。
顔上にも、手の甲にもクモが続々とはいあがってくる。
「くうう」
鉄は腰がぬけそうになる。
もうだまだ。体が、心が、、
ドアの方へ必死ではいよっていく。
その間にもズボンやシャツの中ヘ、ざったなクモがはいってくるのが、わかる。
体じゆう、タモがはいまわる。
「ヴわー、やめてぐれ。出してくれ。出してく、」
 力の限り、 鉄はドアをたたく。

しばらくして、ドアが開けられた時、もう鉄は気を失っている。
水をかけられ。
「竜のグループは、明日二時、有栖川宮公園、B地点で食糧運搬トラックを襲う。
お願いだから、そのクモを、、」
 そこまでしゃべり、鉄は慙愧の念にかられながら、意識をうしなう。

       
「隠れ家より、おもしろいことを言ったな。食糧トラックか。ちようどいい。やつら皆殺じだ。
よし、こいつを独房にほおりこんでおけ」
 ロパートは、近くの衛兵にそうどなり、いきようようとライリー大尉の部屋へ向う。
いま得たばかりの情報を持ち、さあジャップをどう始末してやろうと、意気揚々と廊下を歩き始めた。




翌日は寒い日だった。昼頃からは天候がくずれ始め、雪まじりの雨が降る。
舗装がまだ完全ではない、トウキョウの道は、泥濘の道となる。 

 M8装甲車が三台、食糧運搬トラックの先導を努めている。
後には12台の食料トラックが続く。

有栖川宮公園、B地点では、ムサシのグループの数人、がーmくらいの金属棒状のものを、
にぎりしめていた。その他の者も、各々略奪したらしいアメリカ製の武器を手に手に持ち、
待機している。今、食糧トラックが通過しつつある道の両側に、息をひそめた数百名の
ベビー・ギャングが身を隠している。

 先導のM8装甲車が爆発した。
あとかたもなく吹きとぶ。
金属の土管状のものから発射された弾丸が、恐るべき破壊力をしめしたのだ。
 米軍は応戦の姿勢をただちにとった。
護衛兵が散開し、トラックからも、機銃が掃射される。

 ムサジは自分達のみつけた砲の破壊力の大きさに呆然自失していた。

 ムサシは知らなかったが、この砲は、旧日本車が、戦争末期限開発していた簡易無反動
砲だった。本土決戦のため、昭和20年に試作されたもので、アメリカ軍のバズーカ砲に相
当すると考えていいだろう。
本土決戦の際はすでに輸送網が寸断されていたため、実戦には使用されなかった。

ムサシ達ぽこれをトウキョウ市の軍需工場に放棄されていた軍用車の中で発見したのだ。
 ベビー・ギャングは、トラダタの運転席を一つ二つねらいうちにしていく。やがて
無反動砲のために、米軍は壊滅し、兵は逃げさったようだ。

ムサシ達は、用心深く、運搬車に近づいていく。むろん、竜のグループもその中に混じって
いる。
 食糧袋を焼けないうちにひきずタ出さねばならない。多くの浮浪児たちが、獲物にむら
がるアリのように袋を奪っていた。
 一入の少年が、袋を持ちあげようとして、下に落とした時、パニックが始まった。
 袋の中は砂だった。
 ムサシはすぺての袋を調べるように命じた。
中身はすべて砂や石だ。

「罠だ。皆すぐに逃げるんだ。ぐずぐずする」
彼らは獲物をほうりだし、我先にと逃はじめた。 
 遅かった。
爆音がムサシたちの耳にはいってくる。
戦闘機だった。

続く090901改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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