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「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回

2018年02月28日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第2回 僕は、いま 1975年ー昭和50年ーの思い出の中にいる。 正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。 東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。なみはずれた長身、それにどことなく体から発する毅然たる態度。 こんな僕でも恋はする。 その彼女、香月和 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回

2018年02月27日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 僕達2人は、乗りごこちの悪いローカル線に乗っている。列車は。僕の故郷に向かっていた。故郷といってもあまり記憶はない。親戚もいない。僕は都会の中で一人、孤独で何年も住んでいた。あるきっかけで故郷へ帰ろうと思った。 奈良県、和歌山県、三重県の3県の県境にあるふるさと。ふるさとといっても本当に伺のとりえもない山間 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回

2017年11月18日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第5回ー最終回私が目をあけると、ヘリはすべて夜空から消えていた。残滓が飛び散っていた。滝は、滝であった生物は、緑色の光を櫛びた物質に変化していた。私は草原に腰をおろし、涙岩をながめていた。手になみだ石をにぎりしめていた。 リーラが私の側まで歩いてきた。 しばらくだまって私をながめていた。 「さっき、パスの転落 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回

2017年11月15日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第4回人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。今日がその日だ。「君も芝居がうまいね、日待クン。いや本当の名前は何というのかな」ふっと滝は鼻で笑いながらいう。しみじみと、僕を馬鹿にしている。でも僕は理解でき . . . 本文を読む

染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回

2017年11月11日 | 「なみだ石を探して」
染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 「ええ」僕は答える。 「そうですか.僕、この路線走るのは始めてですねん。ふだんでも,このバスは,ほとんど頭屋村までいかんのですわ。最近は、客が、よういってるようだけど。本当は、これより先はいかんのなあ。いやだなあ」「バス停には、頭屋村まで通じてますの地図と張り紙がったぜ」 滝がいいかえす。 「ここからは道が、 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回

2017年11月07日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第2回 僕は、いま 1975年ー昭和50年ーの思い出の中にいる。 正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。 東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。なみはずれた長身、それにどことなく体から発する毅然たる態度。 こんな僕でも恋はする。 その彼女、香月和 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回

2017年11月06日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 僕達2人は、乗りごこちの悪いローカル線に乗っている。列車は。僕の故郷に向かっていた。故郷といってもあまり記憶はない。親戚もいない。僕は都会の中で一人、孤独で何年も住んでいた。あるきっかけで故郷へ帰ろうと思った。 奈良県、和歌山県、三重県の3県の県境にあるふるさと。ふるさとといっても本当に伺のとりえもない山間 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回

2017年09月17日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第5回ー最終回私が目をあけると、ヘリはすべて夜空から消えていた。残滓が飛び散っていた。滝は、滝であった生物は、緑色の光を櫛びた物質に変化していた。私は草原に腰をおろし、涙岩をながめていた。手になみだ石をにぎりしめていた。 リーラが私の側まで歩いてきた。 しばらくだまって私をながめていた。 「さっき、パスの転落 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回

2017年09月16日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第4回人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。今日がその日だ。「君も芝居がうまいね、日待クン。いや本当の名前は何というのかな」ふっと滝は鼻で笑いながらいう。しみじみと、僕を馬鹿にしている。でも僕は理解でき . . . 本文を読む

染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回

2017年09月08日 | 「なみだ石を探して」
染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 「ええ」僕は答える。 「そうですか.僕、この路線走るのは始めてですねん。ふだんでも,このバスは,ほとんど頭屋村までいかんのですわ。最近は、客が、よういってるようだけど。本当は、これより先はいかんのなあ。いやだなあ」「バス停には、頭屋村まで通じてますの地図と張り紙がったぜ」 滝がいいかえす。 「ここからは道が、 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回

2017年09月05日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第2回 僕は、いま 1975年ー昭和50年ーの思い出の中にいる。 正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。 東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。なみはずれた長身、それにどことなく体から発する毅然たる態度。 こんな僕でも恋はする。 その彼女、香月和 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回

2017年09月02日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回 http://ncode.syosetu.com/n9669cz/作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 僕達2人は、乗りごこちの悪いローカル線に乗っている。列車は。僕の故郷に向かっていた。故郷といってもあまり記憶はない。親戚もいない。僕は都会の中で一人、孤独で何年も住んでいた。あるきっかけで故郷へ帰ろうと思った。 奈良県、和歌山県、三重県の . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第8回

2015年08月16日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第8回(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 第8回ー最終回私が目をあけると、ヘリはすべて夜空から消えていた。残滓が飛び散っていた。滝は、滝であった生物は、緑色の光を櫛びた物質に変化していた。私は草原に腰をおろし、涙岩をながめていた。手になみだ石をにぎりしめて . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第7回

2015年08月14日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第7回(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 第7回「私が、代表者です。名前はリーラです」 それから、ゆっくりと僕の存在をわかり、みつめ、悲しそうな顔をした。「やっばり、来てしまったわね。ミユー。間違いだったわ、あなたに会ったのは。これで最後だと思いあなたに会 . . . 本文を読む

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第6回

2015年08月13日 | 「なみだ石を探して」
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第6回(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 第6回 人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。今日がその日だ。       「君も芝居がうまいね、日待クン . . . 本文を読む