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古今東西のアートのお話をしよう

日本美術・西洋美術・映画・文学などについて書いています。

メトロポリタン美術館展

2022-03-07 10:39:49 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー

2月9日、 

待望のメトロポリタン美術館展

東京会場開催


12時前に国立新美術館に到着すると、12時の回の観客がざっと100人、先頭からつづら折りに

並んでいた。

静かな熱気が感じられる。


12時30分の回には女性が一人並んでいる。

12時の回の入場が整然と進む。


時間まで軽食スペースでコーヒーを飲む。



スマホのQRコードを提示して入場。
後ろには50人ほどか…


会場は一切撮影禁止


西洋の歴史に合わせての3部構成


1.信仰とルネサンス


2.絶対主義と啓蒙主義の時代


3.革命と人々のための芸術




1.信仰とルネサンス


フラ・アンジェリコ 
「キリストの磔刑」1420〜23頃
テンペラ/金地、板

キリストの死を確かめるため脇腹を刺したといわれるロンギヌスの槍、今噴き出ているかのような血の表現にたじろぐ…
足から流れる血は柱をつたい髑髏に


フラ・フィリッポ・リッピ
「玉座の聖母子と二人の天使」
1440年頃 テンペラ、金/板

正面を向く幼子イエスに対して、マリアは首を傾げどこを見ているのだろう…
聖母というより世俗的な表現


初期ルネサンスから、フィレンツェの二人の修道僧画家、アンジェリコとリッピ。
同じ修道僧ながら、リッピは尼僧と駆け落ちし修道院を脱走するという破戒僧、アンジェリコはドメニコ会の修道院で敬虔な生涯を送った。



北方ルネサンスから
ルーカス・クラーナハ(父)
「パリスの審判」1528年頃

「最も美しい女神」を選ぶことになった王子パリス。眠りから目覚めたパリス、夢に現れた三女神、ゼウスの妻ヘーラー、知恵と戦いの女神アテーナ、愛と美の女神アプロディーテ…

盛期ルネサンスから

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「ヴィーナスとアドニス」
1550年代 油彩/カンヴァス

キューピットの矢でアドニスに恋したヴィーナス。狩に出ようとするアドニスを、不吉な予感を感じ引き止める。その後、アドニスは恋敵の陰謀で、マルスが変身したイノシシの角に刺されて命を落とす。アドニスの血からアネモネが咲く…

ティツィアーノの筆は、背中の細かな筋肉の表現からアドニスを引き止めようとする必死なヴィーナスがうかぶ

マニエリスム期から
エル・グレコ 「羊飼いの礼拝」1605〜10年頃 油彩/カンヴァス

プロテスタントに対抗する、スペイン・ローマ・カトリック教会のために多くの宗教画を残した。
死後長く忘れさられていたエル・グレコは、19世紀にセザンヌ、ピカソらによって再評価された。

たしかに、薄暗い美術館の壁に架けられたエル・グレコの作品には、確かにハッと惹きつけられる魅力がある。
光の効果、柔らかなフォルム、うねり巻き上がるような構図…

続く


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木村伊兵衛と画家たちの見たパリ色とりどり

2022-03-07 08:52:31 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー


目黒ウエストがあった頃、
ちょっと秘密めいた街だった 
目黒

今や駅前のビル群にたじろぐ…



目黒区美術館は初めてです

桜が待ち遠しい目黒川沿いを上がる


数分で目黒区美術館



(写真撮影不可のため画像はネットから借用しました)

↶詳細は


写真家の木村伊兵衛(1901〜1974)が、1954〜55年にパリに出かけ、出来たての国産カラーフィルムで撮ったパリの街と人


50年代半ばから60年代は、トリュフォーやゴダールに代表されるヌーヴェルヴァーグの時代

ゴダール 「勝手にしやがれ」
1960年

トリュフォー 「大人は判ってくれない」1959年


戦後間もないパリですが、
しっかりファションしていて、
さすがです…

モノクロでみた映画の世界が、
カラーでよみがえる



カッコ良すぎ



ロンシャン競馬場のカップル
平和の尊さ



ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ…




1950〜60年代、パリが好きな人

にお勧めです



展覧会終盤には

咲いてるかな…




未だに繰り返される戦争

ウクライナに一日でも早く平和が
訪れますように

ただし、ロシア傀儡による見せかけの平和は許されない



映画「ひまわり」とウクライナ

2022-03-06 17:10:42 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー


「ひまわり」1970年(日本公開)

監督 ヴィットリオ・デ・シーカ
音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 マルチェロ・マストロヤンニ ソフィア・ローレン リュドミラ・サベーリエワ




時代背景

「ひまわり」が制作された1970年は、第二次世界大戦後の東西冷戦構造の緊張が緩和されたデタント時代。当時、西側の映画がソビエト連邦で撮影されることはなかった。

ひまわり(ロシアの国花)畑の撮影はウクライナ(ソビエト連邦)のキエフ

から南へ500キロほど離れたへルソン州で撮影された。


映画の時代背景は、第二次世界大戦の東部戦線(1941〜43年)。ナチスドイツとベルリン・ローマ枢軸の同盟を結んだムッソリーニのイタリアファシスト政権は、ドイツのソ連侵攻に連繋してウクライナ方面(東部戦線)に侵攻した。後半、戦闘は冬将軍とイタリア軍の脆弱な兵器でソ連の反撃にあい地獄の戦場と呼ばれた。


あらすじ(ネット記事参照)


『第二次世界大戦下のイタリア。ジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、美しいナポリの海岸で恋におち結婚する。その後、アントニオは地獄の東部戦線に送られ行方不明になってしまうが、ジョバンナは何年経っても戻らない夫のことを生きていると信じて疑わな い。毎日毎日出征を見送った駅で帰りを待っていた。終戦後、手がかりもないままアントニオを探しに単身ソ連へ渡るジョバンナ。しかし、広大なひまわり畑の果てに待っていたのは、少女のように可憐なロシア人女性マーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)と結婚し、子供にも恵まれた幸せなアントニオの姿だった。すべてを察したジョバンナは、傷心のまま1人イタリアへ帰る。心にぽっかり穴が空いてしまった日々を送るジョバンナ。そんな時、突然アントニオが彼女の元を訪れる。しかし、ジョバンナにも新しい夫との間に子供がおり、アントニオはお互いにどうにもならないことをさとり、ソ連に戻ることを決心する。ジョバンナはかつて出征で見送った時と同じホームで再び彼を見送った。』

半世紀以上前の映画で、

何度も観て、

あらすじも頭に入っているのに、


観るたびに心の奥底から湧き上がる感情を抑えることができない。



見渡す限り


風に揺れる


ひまわり畑の


下には


たくさんの人々の血が

染み込んでいる





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