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古今東西のアートのお話をしよう

茶の湯の陶磁器

京菓子は、
見て、聞いて、味わう」そうです

聞いて? は、
「菓銘(かめい)」ですね

茶席で主菓子を出すときに、
亭主が菓銘をのべます

唐衣(からころも)

「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」在原業平 伊勢物語


句の頭をつなげると、か、き、つ、ば、た 燕子花の花を表現しています 五月の茶席


宮廷から茶の湯の主菓子に用いられるようになって、陶磁器の「銘」に倣って、「菓銘」ができたのだろう…




リニューアルオープン第二弾の三井記念美術館は、

「茶の湯の陶磁器 
“景色を愛でる”」

陶磁器の「銘」にスポットをあて、三井家につたわる名品を展示

展示室は撮影禁止

茶の湯でつかわれる名物の茶器には、茶人がつけた「銘」があります
形や色、模様にちなんだもの、所有者にちなんだものもありますが、「銘」を決めるために重要なのは「景色(けしき)」だそうです

斗々屋茶碗 銘かすみ
朝鮮時代 16世紀

琵琶色の釉薬に、青く変色した景色はまさしく春のかすみを思わせます

大井戸茶碗 銘須弥(別銘十文字)
伝古田織部所持 朝鮮時代 16世紀

言い伝えによると、織部が一回り大きかった茶碗を十文字に割り、小振りに金継ぎしたそうです
織部らしい ひょうげものぶり?

十文字のツギハギと変色した赤、青の釉薬が大胆かつ美しい

古三島茶碗 ニ徳三島 
伝千利休所持 朝鮮時代 16世紀 

ニ徳とは所持していた袋師の名前
その前に千利休が持っていたと伝わる
実に上品で侘びた茶碗ですね

粉引茶碗 三好粉引 大名物
朝鮮時代 16世紀 重要文化財

高麗茶碗を茶器に見立てたもの
くさび形の模様がアクセントになっている 
三好粉引とは、戦国武将の三好長慶が所持していた粉引(粉を引いたような肌合い)茶碗の意
三好長慶から秀吉、金森宗和に伝来

シンプルで力強いフォルム

志野茶碗 銘卯花墻(うのはながき)
桃山時代 16〜17世紀 国宝

銘卯花墻は、大名茶人片桐貞昌(1605〜1673)の箱書きの和歌による

「山里の卯花墻の別つ路 雪踏み分けし 心地こそすれ」 

山里に咲く白い卯の花の垣根
雪を踏み分けて歩いているようだ


片桐貞昌は、片桐石州の名でしられる石州流の開祖で大和小泉藩の二代藩主

何度見てもウットリする茶碗

黒楽茶碗 銘俊寛
桃山時代 16世紀 長次郎

俊寛は、平安後期の真言宗の僧で後白河法皇に仕えていた
平氏打倒の密議、「鹿ヶ谷の陰謀」の首謀者として薩摩の鬼界ヶ島に他の二人と共に配流された
後に二人は赦され都に戻るが、俊寛のみとどめられ自害し果てる

千利休が長次郎に黒楽茶碗を三椀造らせ、利休はそのうち二椀を返し、一碗だけを手元においた 
その一碗を「俊寛」と名付けた

志野重餅香合
名前の通り美味しそうです

さて、今回私が一番気に入ったのは
茶器ではなく、その添状でした

瀬戸二見手茶入 銘二見 中興名物
桃山〜江戸時代 17世紀

二見は伊勢の二見ヶ浦の景色を見たらしい

この茶入の添状を書いたのが、松平不昧公で、その書状を掛け軸にした二見茶入添状 表装もいい

いままで書状をみて感動したことはありませんでしたが、一定のリズムをもって、流れるような文字の美しさに驚きました
写真が無いのが残念…

調べると、松平不昧(1751〜1818)は出雲松江藩七代藩主の大名茶人で、書道も定家流の名人だったようです

【参考】
松平不昧公の書状 茶道心得

三井家が蒐集した名物を堪能し、

「銘」の成り立ちを思う

味のある展覧会でした


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