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fleurs et lapins(フルーレラパン)yukitake日記

お花とうさぎと、お出かけの記録など

「た」からはじまる絵本

2019-11-04 | 読書

「た」も面白そうなのがたくさんあって、本当は7冊くらい借りたかったのですが、心を鬼にして5冊に絞りました。。。

そういえば、絵本の表紙を撮る際の、我が家の和室の敷物が冬仕様になりましたよ(笑) 

 

だるまちゃん・りんごんちゃん さく かこさとし 瑞雲社

「た」からはじまる絵本と言ったらだるまちゃんシリーズ でもこの作品は一連の、横長サイズのものとは一応、位置づけが異なるのかな。

「か」からはじまる絵本で紹介した『からすのそばやさん』では創造力豊かすぎるあらゆる種類の蕎麦が出てきましたが、この作品でも、おそらくこれからも・この先も目にしないであろうような(笑)様々な種類のリンゴが出てきてまさに「かこさん節炸裂」という感じ(笑)

この作品では人形劇という形で「お話の中のお話」が組み込まれていて、「あやひめ」と「りんごんむら」の由来が紹介されているのも面白いです。長野県飯田市の人形劇フェスタについては知らなかったです。調べてみたら、今年も7月末から8月初めの6日間、開催されたそうです。

 

たんじょうびおめでとう! マーガレット・ワイズ・ブラウン さく レナード・ワイスガードえ こみや ゆう やく 好学社

 マーガレット・ワイズ・ブラウンさんは「こ」で紹介した『ことりのおそうしき』の作者、レナード・ワイスガードさんは「う」で紹介した『うさぎたちとふしぎなこうじょう』の絵を描いている人です。

とにかく絵が可愛い。絵本全体が、グリーティングカードのようで、実際、裏表紙の左下にプレゼントを贈る側と受け取る側(ToとFrom)、それに日付を記入するスペースがあるので、この絵本そのものが誕生日プレゼントにはぴったりな感じ。

 

たんぽぽ 植村利夫・文 網中いづる・絵 講談社

 黄色がきれい。私は服とか、身の回りの小物などは青系が圧倒的に好きなのですが、実は黄色も、結構好きなのです。

黄色って気持ちが明るくなりますよね。

この作品で「わたし」というのは作者の植村さんかな。とってもやさしい言葉と絵が、ちょっと落ち込んでいるようなときに癒してくれます。たんぽぽのように明るく、やさしく、強く、生きたいなあ。

 

たまごって ふしぎ アリス&マーティン・プロベンセン/作 こみや ゆう/訳 講談社

 絵がメルヘンチックなので、ストーリーもそうなのかと思いきや。。。これは科学絵本の一種かも 確かに、表紙の女の子も本を片手に、「何の卵なのか」を調べているような様子です。

「たまご」というとどうしても鳥の、片方が少しとがったあのいわゆる「卵型」のたまごを思い浮かべますねえ。大きさはいろいろで。。。表紙の女の子が見ているのは小さな鳥の卵。

鳥の卵だと「可愛い」が先立つけど、カエルや昆虫の卵となるとちょっとグロい感じにもなってくる(笑)

でも考えたら卵から生まれてくる生き物のほうが圧倒的に多いのですね。うん、たまごってふしぎだ~

それと、偶然にも(=借りるときには気づかなかった)、『たんじょうびおめでとう!』の訳者さんと同じです。

 

だってだってのおばあさん さく・え 佐野洋子 フレーベル館

 『100万回生きたねこ』で有名な佐野洋子さんの作品。おばあさんと一緒に暮らしている猫が、言葉もしゃべるし服も着ていて、ほとんど人間みたいなのが面白い。

年をとっても心は若く、生き生きと。私もそんなおばあさんになりたいです。

あとがきに書かれている街はどこなのだろうと知りたくなりますが、元気なおばあさんがたくさんいる街はきっとあちこちにあるのでしょうね。

  

絵本レビュー、月に2回のアップを目指していますが、次回の「ち」まで少し時間があくかも。。。ぼちぼちマイペースで続けていきます。いつも読んでくださってありがとうございます


「そ」からはじまる絵本

2019-10-18 | 読書

「そ」で始まる絵本は、「そら」とか「ぞう」が多いですね。

 

そらとぶ そりと ねこのタビー C・ロジャー・メイダー 作・絵 齋藤絵里子 訳 徳間書店

 借りるときには気づかなかったのですが、表紙と裏表紙の絵がつながっていて、裏表紙を見たらああこの作品はあと2か月ほどしたら読むのにちょうど良い絵本だな、と思いました(笑)

表紙の、目がくりくりしたタビーの可愛いこと。

それと、12月になると忙しくなるあの人に、奥さんがいたとは いや、いてもおかしくないですけどね(笑)

 

ゾウはおことわり! リサ・マンチェフ 作 ユ・テウン 絵 たなかあきこ 訳 徳間書店

 良いなあ良いなあ、ちいさなゾウがペットだなんて~ ゾウは大好きな動物の一つ ましてや、「ぼく」がだっこできちゃうくらいのちいさなゾウなんて、可愛すぎる(笑)

でも、ちょっと変わったペットであるせいで。。。仲間に入れてもらえない。

変わったペット・普通じゃないペット、は、明らかに「変わった子・普通じゃない子」に置き換えられますね。

多様性の尊重、というメッセージが強く感じられる作品です。

 

そうべえときじむなー たじまゆきひこ 童心社

 「きじむなー」というのは沖縄の、ガジュマルの木に住むと言われている精霊のようなものです。

うちなーぐち(沖縄の方言)が使われている絵本って初めて読んだので、それはとても良かったのですが。。。

文章が、ほぼすべて、誰かのセリフで構成されているので、途中、特に一か所で、誰のセリフなのかわからなくなったところがありました。

ただ一か所だけ、セリフでない、状況説明の部分があるのですが、もう少しこういうのを入れたほうがわかりやすいかな。

それにしても、ヤマト(沖縄から見て沖縄以外の46県のこと)から飛んできた4人の沖縄での行動は、情けないというかあきれるというか。。。

素っ裸になってしまって滑稽な、恥ずかしい目にあわされるとは言え、それだけじゃちょっと十分な罰とは言えないと思う。。。

私がくそ真面目すぎるのかもしれませんが、ヤマトの人間の情けなさに対し、きじむなーや沖縄の人たちの優しさ、心の美しさでどうにか救われるような読了感です。

 

空の王さま 文 ニコラ・デイビス 絵ローラ・カーリン 訳 さくまゆみこ BL出版

 小さな短編を読むような感じ。ふわっとした絵が、主人公の男の子が感じている心の中のさみしさをうまく表現している気がします。ところどころに、文字のない絵だけの見開きがあるのも効果的。

「自分の居場所」というのは確かに、大事ですね。大人にとってもだけど、子供にももちろん。

 

ソーニャのめんどり フィービー・ウォールさく なかがわちひろ 訳 くもん出版

 他の動物の命を頂かないと生きていくことができない肉食獣たち。。。彼らも必死に生きているのだから、狩られる側が可哀そうだとばかり考えてはいけない。。。頭ではわかっているけれど、この命のつながりは永遠のテーマですね。しっかりと子供に説明するソーニャのお父さんはえらいです。

失われる命もあるけれど、新しく生まれる命もある。それがまさに光のように感じられます。

  

50音絵本レビュー、やっとア行、カ行、サ行が終わりました(笑)いつも読んでくださってありがとうございます


「せ」からはじまる絵本

2019-10-08 | 読書

「え」と「け」が少なかったので、「せ」も少ないのかな。。。と思いましたが、意外とありました。

ただ、借りた5冊のうち、4冊が「せかい・・・」というタイトル(笑)

唯一、「世界」でないのから紹介します(笑)

 

センシュちゃんとウォットちゃん 工藤ノリコ 小学館

大好きな「ノラネコぐんだん」シリーズの作者、工藤ノリコさんの絵本です。「せ」からはじまる絵本ということで、これが借りたかったんですぅ~

センシュちゃんシリーズは他にも数冊あるようですが、まずはこれが最初かなと。

一冊の中に5つのエピソードが入っていて(1.クリひろい 2.クリスマス 3.オムライス 4.ボウリング 5.うみべのともだち)、お得感あります(笑)

漫画のようなコマ振りなのも面白いです。

センシュちゃんは率直に言うと、食いしん坊かつ欲張りかつ自己中な子供(笑) でも悪い子ではありません。ウオットちゃん、おおしまくん、マウスたちというキャラクター設定も楽しいですねえ。

くすっと笑える、でも最後はほのぼのとした優しさあふれるシーンで終わっていて、なんだかこちらも幸せになります。

それにしてもセンシュちゃん、ウオットちゃん、の名前の由来が気になる。。。ググってみたけど、わからなかった

ちなみに可愛いマウスたちは、ノラネコぐんだんが8匹なのに対して7匹です(笑) 悪いことばっかやらかして懲りないノラネコぐんだんと違って、良い子たちです(笑)

 

せかいかえるかいぎ 近藤薫美子 ポプラ社

ものすごい数のかえるです(笑) 

タイトルに「か」の字が3つ入っているのが心地良い。絵の中のかえるたちのつぶやきがこれまた賑やか。まずはページをめくるごとに本文のほうをしっかり読んで、かえるたちのつぶやきは適当にさらっと読むのが良いかも。

それにしてもカエルもいろんな種類がいるんですねえ。英語でいうと frog というのと、toad というのくらいはわかりますが。。。 

私はやっぱり日本の、きれいな緑色の小さくて可愛いアマガエルが好き(笑)

 

せかいいちのおともだち カール・ノラック ぶん クロード・K・デュボワ え 河野万里子 やく ほるぷ出版

小さなサイズの可愛い絵本です。

このネズミ系の動物、正確には何だろう?と思いましたが、ハムスターだそうです。

引っ越して遠くに行ってしまった友達と、毎日は会えなくなってしまったけれど、その分、会える日を楽しみにする。。。そして会えた時には、一緒にいる時間がこれまでより充実して、幸せに感じる。

ロラとシモンがそれぞれ持っているタオルが、「ピーナッツ」に出てくるライナスの安心毛布(だっけ?)みたい。そしてタオル同士にキスをさせるというのがなんともかわいらしい~

こうやってしっかりと持っている毛布やタオルは、心細い世の中での心のよりどころなのですよね。

 

せかいで いちばん すてきな ないしょ クリフ・ライト 作 おかだよしえ 訳 学習研究所

白、黒、茶色の仲良しの三匹の熊たち。考えてみると、ないしょというのはサプライズである場合が多いですね。自分だけ仲間外れにされている、と感じることは子供にとってはよくあることなので、この作品を読み進めていく間、ちゃいろくんの気持ちが子供にはよくわかるんじゃないかな。

 

世界でいちばんすばらしいもの ヴィヴィアン・フレンチ 文 アンジェラ・バレット 絵 石井睦美 訳 BL出版

絵がとてもきれい。町並みや広場の様子を描いた絵は、ちょっと人が少なくてがらんとした感じがありますけど。このバレットさんの絵を見ていてマグリットの作品を思い出しました。幻想的な世界を描くとぴったりかも。

世界で一番素晴らしいものって何?という問いの答えは。。。予想通りでした(笑)

コメント欄閉じています。いつも読んでくださってありがとうございます


「す」からはじまる絵本

2019-09-23 | 読書

「す」は、5冊全部、外国人作家のものを選びました。

 

すてきな三にんぐみ トミー=アンゲラー さく いまえ よしとも やく 偕成社

 アンゲラーさんの『コウモリのルーファスくん』と同じく、この作品も、ストーリーが面白い こちらもうんとこさ文章を増やしたら、短編作品ができそうなくらい。アンゲラーさんが、ストーリーテラーとしても優れている証拠ですね。

山賊、ということでリンドグレーンの『山賊の娘ローニャ』をちょっと思い出しましたが、人様から物を盗む強盗という行為は、もちろん、犯罪です(笑) でも、そんな世の中の正しいおきてに逆らうことを生業としていながらも、とても魅力的な三にんぐみ。この作品がまぎれもなく名作絵本の一つであり、子供たちに人気があるのは全く驚くことではありません。

大体、子供というのはこういう泥棒みたいな悪い人たちとかが大好きなもんです(笑) 例の、「う〇こドリル」が子供たちに大うけなのと通じるものがあるんじゃないかな。大人は、アウトローな人たちや「う〇こ」とは関わらないようにして生きていますから。。。

この『すてきな三にんぐみ』では、カッコ書きで出てくるセリフはティファニーちゃんの一言だけ。つまり、三にんぐみの直接のセリフはありません。

それでもティファニーちゃんと同じように、このおじさんたちと一緒にいたら面白そう・この泥棒さんたちと友達になりたい、とさえ思えるのがこの作品の最大の魅力を語っているのではないでしょうか。

今江祥智さんのサクサクと小気味のいい日本語訳も満点です。

 

すばらしい季節 ターシャ・テューダー 作 末盛千枝子 訳 現代企画室

「す」ではじまる絵本は、すばらしい、とかすてき、というのが多いですね。

ターシャ・テューダーはその生活様式も作品も大好きです。四季折々に、新鮮な子供の目線で感じる喜び・感動。。。 日本の四季もはっきりしていますから、この作品に倣って春夏秋冬、自分の日々の暮らしの中でどんな喜びがあるか、考えてみるのも楽しそう。

 

すばらしいとき ぶんとえ ロバート・マックロスキー やく わたなべしげお 福音館書店

 ページ数も言葉も多く、読み応えのある絵本です。

この作者が書いた『ゆかいなホーマーくん』という子供向けの読み物(岩波文庫)は、いかにもアメリカの田舎町の物語。。。という感じでしたけど、こちらの絵本はお話の舞台がリンドグレーンの『私たちの島で』を思い起こさせました。

夏の間、どこかの島に滞在して毎日島の自然に触れたり船で海に出たり。。。っていう生活、うらやましい~

ところで、レイチェル・カーソンの著作に Sense of Wonder というのがあって私の本棚にもある愛蔵書の一つですが、この『すばらしいとき』の原題は Time of Wonder です。

 

ずっと ケイト・クライス 文 M・サラ・クライス 絵 なかがわちひろ 訳 WAVE出版

シニアになったペットといっしょに暮らしている身としては、自分のことのように切なくなる作品です。

でも、大丈夫です。ネタバレにはなっちゃいますが、この作品の最後まで、犬のバロンは死にませんから、安心して読めます(笑)

ただ、最後のページの言葉にはジーンと来ます。普通、飼い主がペットとずっと一緒にいたい、と願うのは当たり前というかそっちはいわずもがな、なのですが、ペット(この作品では犬のバロン)のほうが、飼い主(エリという女の子)のそばにいることが、たったひとつののぞみだった、というのが泣けます。

動物の赤ちゃんや子供は文句なしに可愛いですよね。でも、年老いたペットちゃんは、それまでずっと一緒にいてくれた愛情の積み重ねがありますから、たとえ毛並みが悪くなっても、ヨボヨボした見た目になっても、子供の頃よりももっともっと可愛い、いや、愛しいのです。

 

水曜日の本屋さん シルヴィ・ネーマン 文 オリヴィエ・タレック 絵 平岡敦 訳 光村教育図書

タイトルからして、ストーリー性のある作品だろうという期待を抱かせます。実際、その期待に応えてくれる良い作品です。

分厚くて大きな本は、物理的にも当然重たいものですが、本の重さというのはそういう「重量」だけではないということを考えさせてくれます。

おじいさんの悲し気な雰囲気、そしてその、過去から背負ってきたであろうもの、などが、おじいさんとは本屋で水曜日に会うだけの少女の視点でこの作品が語られていることによって余計にあざやかに、でも繊細に描かれている気がします。

昔からの個人経営の本屋さんは昨今、商売的には厳しい時代だと思いますが、そういう小さな本屋さんが新しい形で活性化されているケースも時々、TVで観たりします。

本屋というのは、「心」の要素がとても大きい場所ですよね。

  

さて、次の「せ」では、借りたい絵本があるのですが。。。貸し出し中になっていませんように(笑)


「し」からはじまる絵本

2019-09-09 | 読書

「し」は予想通り、たーくさんありました。でも5冊限定で(笑)

 

鹿踊りのはじまり 宮沢賢治 作 ミロコマチコ 絵 ミキハウス

賢治さんの作品を選んでしまうとその分1冊他のが減ってしまう。。。とは思ったんですけど、『けもののにおいがしてきたぞ』のミロコマチコさんが絵を描いてらっしゃるということで借りました。

うん、良いですね。賢治の作品に負けない魅力のある絵です。

でもこの作品の最高のポイントは鹿たちのセリフでしょう。鹿たちのことばが聞こえてきて、嘉十は自分の耳を疑ったとありますが、ふとしたことで、疑いようもなく、動物たちのことばが聞こえることがあるのかもしれない。

それは一緒に暮らしているペットちゃんのことばを聞きたい聞きたいと努力したり必死に願ったりしてではなく、つまり、聞こうと思って聞こえるものではなく、突然、聞こえてくるものなのでしょう。

そしてこの作品では鹿たちが、しゃべるだけでなくまたその方言と歌の美しさといったら。

東北の方に聞かれたらまるっきし「そんな発音じゃ、違う」と言われるだろうけど、それでもあえて声に出して読んでみたくなる鹿たちのセリフです。

 

しおちゃんとこしょうちゃん ルース・エインズワース さく こうもと さちこ やく・え 福音館書店

外国人作家が作ったストーリーに、日本人作家が訳をつけ、絵も描いています。とっても可愛い絵です。

「ノラネコぐんだん」シリーズについて書いたとき、真面目な犬に対して猫はトリックスターだ、ということを書きましたが、この『しおちゃんとこしょうちゃん』に限らず、いろんな絵本の中で出てくる「子猫と母猫」の場合、母猫というのはどんな作品でも、トリックスターなんかじゃありませんねえ。

猫である前に母である、それが面白いです。

 

シカのしろちゃん そえじま良子 文 岡田よしたか 絵 学研

表紙見返しのところの言葉で、ああこのお話は覚悟して読まなくちゃ、と思いました。

このお話は奈良公園に実在したとあるシカの物語です。1954年に生まれ、1972年にお星さまになったしろちゃん、かなり昔にいたシカさんなんですね。

しろちゃんのストーリーを読んで。。。心に残ったのは「どんなにつらいことがあっても、つらいことばかりがあっても、一生懸命生きることの、その強さ」です。

その強さに心打たれて、逆に涙が出ませんでした。

18年近い生涯の中で、もうそれはつらいこと、悲しいことだらけだったしろちゃん。

保護犬や保護猫が人間になかなか懐かなかったりするのを聞きますが、シカのしろちゃんも狂暴になって、でもそれは人間の言葉を話さない動物の心がどんなに大きな痛みを抱えそれでも必死に生きているのか、の証拠に他なりません。

女の子に話を聞いてもらって、そしてこうして何十年も経ってから絵本になって、しろちゃんの魂が癒されていますように。

 

しあわせないぬになるには にんげんにはないしょだよ! ジョー・ウィリアムソン 作・絵 木坂涼 訳 徳間書店

世の中、猫ブームと思われますが、犬も可愛いですよねえ。

この絵本ではページをめくりながらクスッとできます。いろんな毛色・柄の犬たちが表情豊かでしっぽフリフリ、この指南書は確かに「しあわせないぬ」になるためには大いに役立つアドバイスに違いありません(笑)

最初も最後も「かいぬしと」しあわせにくらすというのが、やはり人間に忠実な犬ならではですね。

でもこの数々のアドバイスは人間には秘密だそうです(笑)

 

しろいやさしいぞうのはなし かこさとし 作・絵 復刊ドットコム

また借りちゃいました、かこさとしさんの作品。

この本に出てくる白い象は、上記の『シカのしろちゃん』と同じく「しろちゃん」と呼ばれています。

自然界で(おそらく突然変異で)ほかの個体と違って白く生まれてきてしまった動物は、生きていくのが大変です。

でもかこさとしさんの作品では、芯からの意地悪や悪者、というのは出てこない気がします。なのでこの『しろいやさしいぞうのはなし』でも、白い小象・しろちゃんと遊ぶ他の小象たちは、しろちゃんのことを「だめだなあ よわむしだなあ」と言いながらも、決していじめるのではなく、「はげましたり なぐさめたり」するんですよね。

そんなしろちゃんと、お母さん象を襲った悲劇。。。特に、お母さん象の母の愛の強さには言葉も出ません。これはインドで起こった実話だそうです。

よわい、でもやさしいしろちゃんを受け入れて、みんなで協力し合って生きる象たち。人間も見習わなくてはなりません。

  

コメント欄、閉じていますが、いつも「五十音絵本レビュー」を読んでくださる皆さん、ありがとうございます。

皆さんの絵本との出会いにちょっとでもお役に立てれば嬉しいです


「さ」からはじまる絵本

2019-08-22 | 読書

「さ」の絵本、5冊、選んできました。最後の1冊、どれにしようかものすごく迷って。。。

結局、最後に選ばれたのがどれなのかはひ・み・つ(笑)

 

さびしがりやのクニット トーベ・ヤンソン 作 渡部翠 訳 講談社

今年の春ごろからムーミンシリーズを再読していて、第一巻の『ムーミン谷の彗星』から始まって今、五巻目の『ムーミン谷の冬』を読んでいるのですが、そんな関係から、ヤンソンさんの絵本をチョイス。

この絵本ではムーミン一家は登場しませんが、ミムラ姉さんとちびのミイ、スナフキンなどは登場してくるのが嬉しい。

物語シリーズの挿絵とはまた違って、絵本ですからページいっぱいのヤンソンさんの絵も魅力です。

ムーミンシリーズでは恥ずかしがりやだったり寂しがり屋だったり、というキャラクターがよく出てきますが、最後はハッピーエンドなのが良いですね。

 

30000このすいか あきびんご くもん出版

すいか、今の時期にぴったりですね(笑) 私は何しろ桃が好きなので桃ばっかり食べて、すいかはどうしても二の次ですが(笑)

この作品、奇想天外なストーリーが長新太さん的です(笑) 森の動物たちがびっくりさせられるのも、長新太さんが絵を描いた『くるぞくるぞ』に似ています。

そうか。。。すいかは、食べられたくないのか。。。今度すいかを食べるときは感謝して食べなくては(笑)

 

サルくんとお月さま 谷口智則 文溪堂

 「さ」にして初めて、出ました 文字のない絵本

私より若いこの作品の作者さんは、日本画を学ばれたそうなので、日本画の技法も用いられているのかな。

いろんな生き物と出会っても、どこか寂しそうなサルくん。。。

ストーリーが終わった後の作者さんのことば、「こころのよはく」がしっとりと心地よく余韻として残ります。こころのよはくって何だろう。。。こころのよゆう、とはまたちょっと違うかな。

それにしても、文字がない絵本は面白いですねえ。文字がない分、絵と向き合える気がします。

 

さんぽうた ねじめ正一 さく 市居みか え ポプラ社

小さなお子さんでも手に持てそうな、小さなサイズの絵本です。

目次とページ番号があり、それぞれタイトルもつけられている詩というか「うた」が22編、収められています。

さんぽの途中で感じたことを素直に。。。新鮮な子供の目線ですね。前のうたが次のうたにつながっていたりもします。

絵が、白黒のものもあるのですがカラーだと格段に魅力的~

私も今度、ウォーキングするときに「さんぽうた」作ってみようかな?

 

3びきのくま トルストイ バスネツォフ え おがさわら とよき やく 福音館書店

この絵本は50音順の棚のところでなくて、「世界の物語絵本」コーナーにありました。そちらもチェックしないといけないので大変(笑)

私の中での勝手な「可愛いロシアの絵」というイメージにぴったりの絵です。ロシアの森はやっぱり針葉樹ね~

ところでこのストーリー、言わずと知れたロシアの文豪・トルストイの作となっていますが、もともとはイギリスの童話なんですね。どうりで、『3びきのくま』という同じタイトルでイギリス版みたいな絵本も何冊かあって、そちらも借りてみようかなと思ったんですが。

読んでいるうち、「あ~このお話、ものすごく小さな子供だった頃に読んだお話だ」と気づきました。

有名なお話なのに、たぶんあまりにも幼少期の頃だったのと、日本の昔話ならばやっぱり身近に感じるものがあるのと違って外国のお話なので、すっかり忘れていました。

そして木製のスプーンが私の中では「くまさんのスプーン」となっていたのはこのお話からなのだというのもはっきりしました(笑)

例えばですけど、古い宿場町などで、木で作られたいろんな民芸品を売っているお店がありますよね。それで、木製のスプーンを見かけたりすると私は「くまさんのスプーン」ということを必ず思うのです(笑)

ああ、こんなささやかな、でも鮮やかなイメージがどこから来ていたものなのか、はっきりと繋ぎなおしてくれた絵本に感謝です。

  

いよいよもって、忙しくなってきました。。。これから11月の終わり頃まで、しっかり働かなくては。

絵本の紹介も、ペースが落ちるかもです。

でも、ぼちぼちと続けていきますのでどうぞよろしくお願いします


「こ」からはじまる絵本

2019-08-15 | 読書

「こ」からはじまる絵本はすごく多くて、選ぶのが大変でした 図書館で、一人10冊まで借りれるのですが、絵本以外を3冊借りてしまったので絵本は泣く泣く、7冊。。。

7冊でも、レビューを書く労力?を考えると本当は5冊くらいにとどめたいのですけど、まあ今月も引き続き仕事がヒマなので夏休み特別版ということで多めに。。。(笑)

 

こねこのおんぶ 長新太 さく ブックローン出版

すっかりおなじみの長新太さんの作品。この先、50音制覇するまでの間に何冊、長新太さんのが出てくるでしょうか(笑)

くっついた3匹のこねこが可愛いなあ。最後の、人間のかあさんは一番しっくりきている感じだけど、やっぱりねこのかあさんのほうが良いよね。 

 

こまったこぐま こまったこりす かこさとし 白泉社

これまた大好きなかこさとしさんの作品。出版社は「ノラネコぐんだん」シリーズの白泉社ですが、この作品は最初、1986年に偕成社から刊行されたものを復刊したものだそうです。

いろんな動物の上に動物が乗るのが、ブレーメンの音楽隊みたい(笑)登場人物すべてが優しい、かこさとしさんのワールドそのままに、お互いに助け合う動物たち。読み終えた後にほっこりします。

 

こすずめとゆき 深山さくら 文 黒井健 絵 佼成出版社

母親と子供のすずめ(と、羽虫)しか登場しないのがかえってとても良いです。黒井健さんの絵が、遠い昔、生まれ変わりの中で私も小さな生き物だった時があったとしたら、初めて見た雪はきっとこんなだっただろうと思えるような素敵な絵です。

外では冷たい雪が降っているけれど、あたたかく守られて安心して眠ることの幸せ。。。ほとんどの絵が、青系やグレー系なのにこんなにあたたかく感じるのはこの安心感から来るものでしょう。

 

こどももちゃん さく・え たちばなはるか 偕成社

こどもの桃だから「こどもも」ちゃん、という語感が良いですね。ツンとした表情のこどももちゃん、この子はまさか、『秘密の花園』のメアリーのように性格の悪い可愛くない子なのかな、と思いきや。。。

こどももちゃんがご機嫌斜めだった理由、私は気づかなかった~(笑) かあさんぐまはさすがです。

最後のページの絵と、小さな一言で思わず私も笑顔になりました。桃は私の一番好きな食べ物ですが。。。桃って、可愛いよね(笑)

 

ことりのおそうしき マーガレット・ワイズ・ブラウン 文 クリスチャン・ロビンソン 絵 なかがわちひろ 訳 あすなろ書房

「おそうしき」というタイトルにまずドキッとします。「死」を扱うのは重いテーマかと思いますが、ことりのおそうしきに参列する子供たちには笑顔もありますし、「ことりをみつけて よかったと おもいました」というのも深いですね。

自分たちがみつけなかったら、おそうしきもしてもらえず、ことりがもっと可哀そうだ、という気持ちからなのかな。

おそうしきの最後には子供たちも泣いてしまいますが。。。やがて忘れてしまう。

これが、毎日一緒に暮らしたペットの死だったらきっともっと違ったのでしょうけど、でも、たとえペットの死でも、時とともに悲しみは和らいでいきますよね。

ある意味「忘れることができる」というのは、神様からの大きな贈り物だと思います。そうでなければ、悲しいこと・つらいことが多い人生で、どうやって生きていけましょう。

 

コウモリのルーファスくん トミ・ウンゲラー さく いまえ よしとも やく BL出版

実は、図書館貸し出しのMAX10冊になってしまって、『こねこ・・・』で始まる絵本とこちらの絵本で迷って、こちらを選びました。コウモリが主役の絵本なんて、そうそうないですからね(笑)

しかも、家に帰ってきてから気づいたのですが、訳はあの今江祥智さんです

ストーリーは。。。これはなかなか面白い。うんとこさ膨らませて文章を多くしたら、短編の作品にもなりそうな感じ。

ルーファスくん、好感度大だなあ(笑)自分たちの種族とちょっと違うことをする「変わり者」ってのが世の中、いるものですよね(笑) 結局は、自分のいるべきところへ戻っていくことになったとしても、変わった行動をとったことで新しい出会いがあったり。まさにこのストーリーもそうです。

トミ・ウンゲラーさんて、調べてみたら姓をアンゲラー、と表記することもあるらしく、フランス出身の作家さんで、今年の2月に87歳で亡くなられたそうです。

『すてきな三にんぐみ』もこの方の作品だそうで、表紙は図書館の絵本コーナーで見たことある そしてそちらの訳も、今江祥智さん

これは~「す」で始まる絵本のときには必ず借りなくては(笑)

 

こうさぎと4ほんのマフラー わたりむつこ 作 でくねいく 絵 のら書店

今の猛暑の時期にこの冬景色が涼し気です(笑) 

野生の、ジャックラビットみたいな耳の長いうさぎって、あんまり可愛くない。。。ような気もするのですがこの作品の、耳が長めのうさぎさんたちはすごく可愛い~~

うさぎ村の家々がうさぎみたいな形なのもステキ(笑) 煙突が2本あるのかな。それが耳みたいに見える。

こうさぎ4兄弟のうち、一匹は女の子みたいです。おばあちゃんから送られてきた手編みのマフラーをつけて冬の森へ遊びに行く4兄弟。雪や氷の世界、美しいですね。上に紹介した『こすずめとゆき』とはまた違う魅力です。

冬の森で眠るブナのおじいさんと、この作品に直接は登場してこないおばあちゃんうさぎ。。。そしてこうさぎ4兄弟。年を重ねた世代と若い世代の間に流れるあたたかなつながりも感じる作品です。

  

やっとこさ50音のうちの10番目までが終わりました(笑) いつも読んでくださるみなさん、ありがとうございます。

そして台風10号、被害がありませんように。。。


「け」からはじまる絵本

2019-07-31 | 読書

「け」から始まる絵本、ほんと、少なっ

「こ」と合同にしちゃおうかとも思いましたが、やっぱり一つ一つ行きたいので。。。

3冊だけ、「け」で借りてきました。

ケンカオニ 富安陽子 文 西巻茅子 絵 福音館書店

二人の男の子のケンカです(笑) ケンカに勝つためには、どんどん強い生き物を。。。 

ケンカに限らず、なんだかイラっとしてきた時は「あ、わたしの頭の上にケンカオニがくっついた」と思えばちょっとは冷静になれるかも?

 

ケープドリとモンドリアンドリ ワウター・ヴァン・レーク 作 野坂悦子 訳 朔北社

 

ちょっと変わったタイトルだけど、登場人物のうち一人は、ケープを被っている鳥だからケープドリ、なのかな? だとするともう一人はモンドリアンの鳥??ああ、作者のヴァン・レークさんと同じオランダ出身の、芸術家モンドリアンのことね。。。

未来を探しに都会へ出てきたケープドリ。。。でも、結局、必死になって探すのは、未来なんかじゃなくて普段から自分のそばにいてくれる大切な存在を、なんですよね。一見、中華どんぶり(笑)のふちに書かれているような文字がたくさん出てくるけど、じっくり解読すれば、アルファベットをデフォルメしたものなのかな?

最初の見開きで立っている木と、最後の見開きで向こう側を向いて立っているイーゼルの対称が面白いです。

 

けもののにおいがしてきたぞ ミロコマチコ 岩崎書店

この絵本は、ストーリーよりも絵と、擬音語(擬態語)を楽しむ絵本ですね。

パワフルな画風は、好き嫌いが分かれるかも。でも、なんていうのかな、暖炉や囲炉裏で、ゆらめく炎を眺めていると心の中が空っぽになってそれでもずっと炎を見続けてしまうこと、あるでしょう。それと同じようにこの作品の絵をじっと見ていると、一種の瞑想状態のようになる気がします。

独創的な擬音語も面白いです。ほぼ、4ページおき(見開き一つおき)に出てくる、タイトルと同じ「けもののにおいがしてきたぞ」も良いリズムになっていると思います。

  

「え」と「け」で始まる絵本が少なかったので、母音が同じ「せ、て、ね、へ、め、れ」。。。も少ないのかなあ。

8月は「こ」と「さ」の予定です  


「く」からはじまる絵本

2019-07-25 | 読書

「く」からはじまる絵本も面白そうなのがたくさんあって、7冊くらい候補になったのですが。。。あまり多いとレビューを書くのもしんどいので、5冊まで!!と自分に制限をかけ、厳選してきました(笑)

 

クジラにあいたいときは ジュリー・フォリアーノ 文 エリン・E・ステッド 絵 金原瑞人 訳 講談社

原文のタイトルは IF YOU WANT TO SEE A WHALE。本文中の、雲を見る、遠くを見る、ペリカンを見る、などと違い、クジラはやっぱり単に「見る」のでなくて「あいたい」んですよね。

絵が、なんというか、うるさくないタッチの絵で、良いなあと思います。

IF YOU WANT TO...の後に自分の好きなことを入れて、そのためにはどんな条件が必要か、いろいろ考えてみるのも楽しいかも。

 

雲をつかむはなし あべ弘士 パイプライン

表紙見返しのところの一言で、本文を読み始める前にちょっとシャキッとしました(笑)

岩山の上のカワセミとカモシカの絵。。。カワセミが手前にいて、カモシカよりうんと大きく描かれているのが面白いです。

仲良しの二人は、セリフを読んでいるとカモシカのほうが年上でカワセミはまだ若者だと思われるのは、日本語ならではですね。英語だとセリフだけではこうはいかない。

背中の模様が雲そっくりの、大きな魚が見開き2ページに描かれてる絵は、なんか魚の顔がユーモラスでほほえましいです(笑)

勇気を出して良かったね、カワセミ君。

そうそう、ところどころで出てくる、ワシかタカ?の小さなシルエットも存在感あります。

 

くるぞくるぞ 内田麟太郎 ぶん 長新太 え 童心社

表紙で、大好きな長新太さんの絵をぱっと見て、さらに「くるぞくるぞ、って何が来るんだろう」という期待から迷わず選びました(笑)

「おおきなもり」の最初の絵からして、この森はただの森ではないというワクワク感を抱かせます(笑)

寒さに耐えながら丸くなっていた動物たちを驚かす森。キツツキやキツネが、その原因を憶測しますが。。。

怖いもの・恐ろしいものについてあれこれ憶測するよりも、ちょっと距離を置いて見てみたら、ああそうだったのか、と思うのは、やみくもに心配したり不安がったりせずにそんな自分をちょっと離れたところから見てみると冷静になれる。。。みたいなことも思い出させます。

でも「おおきなもり」の寒さ撃退策はあっぱれ(笑) 動物たちも、ああそうだったのか、というよりもあっけにとられたかも(笑)

ストーリーも面白いけど、長新太さんのおっしゃる「絵本には絵本のことばがあります」というのを実感して楽しみながら読める作品です。

 

くぬぎむらのレストラン カズコ・G・ストーン さく 福音館書店

 「か」で始まる絵本で、『蛙となれよ冷やし瓜』の絵を描かれていた、ストーンさんの作品です。

絵本を、タテにして読んでいくのが面白いですね。

虫たちの名前も表情もかわいらしくて、ほのぼのとします。レストランの名前も「あまーいあまい」でなくて「あーまいあまい」なのが良いです。

一枚一枚、ていねいに描かれているくぬぎの葉っぱにもなんだか癒されます。

 

くもとそらのえほん 五十嵐美和子 作・絵 武田康男 監修 PHP研究所

 これは、科学絵本の部類に入るのかな。特に起承転結のストーリーがあるのではなくて、いろんな種類の雲を紹介しています。

武田康男さんの、雲にまつわる本はいくつか読んだことがあるのですが、写真ではなくて、絵で見る様々な雲も、良いものですね。

青い空に浮かぶ雲の形は毎日違うし、朝焼けや夕焼けの色に染まる雲も、日常生活のなかでふと見かけるとああきれいだなあと思いますよね。

今年は梅雨が長くて、怪しく迫ってくる灰色の雨雲や空一面を覆う雲にはうんざりしたけど、これから梅雨が明けて連日、容赦ない夏空が続いたら、またそのうち、雨雲やしっとりした灰色の空もたまには歓迎。。。って思うのでしょうね(笑)

こないだちらと見たら、次の「け」で始まる絵本は少なそう。。。「け」と「こ」、合同にしようかな?


「き」からはじまる絵本

2019-07-10 | 読書

「き」からはじまる絵本は、「きつね」が結構多かったです。5冊選んできました。

きたきつねとしろふくろう たすけあう 手島圭三郎 絵本塾出版

「か」で紹介した『かしこくいきるしまりす』と同じ作家さんです。ああ~良いなあ、北海道の大自然に憧れます。。。

一貫してドキュメンタリー的かと思いきや、最後の夏の場面で、キタキツネの心情をいれることでかえって私はぐっと感動しました。

これまで読んだ手島さんの『はしれはるのゆきうさぎ』も『かしこくいきるしまりす』も、捕食されるほうの動物が主人公でしたけど、こちらの『きたきつねとしろふくろう たすけあう』は、どちらも他の動物を狩って捕食する側の生き物。

ドキュメンタリー番組など見ると、どうしても捕まった動物が哀れで「ああ可哀そうに」となってしまうのだけれど、ハンターたちだって、必死に生きているのですよね。。。

 

木はいいなあ ユードリイ さく シーモント え さいおんじさちこ やく 偕成社

原文のタイトルは A TREE IS NICE。何度か「いいなあ」「いいよ」などの言葉が出てくるのですがそれも原文だと nice、なのでしょうね。適切な和訳だと思います。訳のほうから原文の香りとでもいうものが感じられるのは優れた訳の証拠。

この絵本とは別物で、TVで「巨樹」についての番組を見て、ああ、巨樹の良さや魅力がもっと、自分のこととして「わかる」には私にはもう少し時間がかかるな、と思ったのですけど、とにかく「木はいいなあ」。

近所の公園などで枝ぶりの良い木を見ると「登ってみたいなあ」とこの歳になっても思ったりする、子供みたいな私です(笑)


きみもこねこなの? エズラ・ジャック・キーツ 作・絵 当麻ゆか 訳

最初、おや、これは文字のない絵本かな!と思いましたがちゃんと文字もありました(笑)文章が少なくても楽しめる作品です。でもかえって、文章が少ないと訳が難しいですね。。。

原文のタイトルは A KITTEN FOR A DAY。自分だったらどう和訳するかと考えると、結構悩ましいですぞ、これは(笑)


きりんきりん 武鹿悦子 詩 高畠純 絵 リーブル

キリンもこんな詩を作ってもらって嬉しいね~(笑) 最初のほうはリズムが良くて、声に出して読みたい感じ。

言われてみると、「キリン」というのは「きらりん」という音に似ていて、朝露や星との組み合わせにも納得です。

 

木いちごの王さま サカリアス・トペリウス 原作 きしだえりこ 文 やまわきゆりこ 絵 集英社

トペリウスはフィンランドのアンデルセン、と呼ばれているそうです。『星のひとみ』は読んだことがあります。

この絵本は、トペリウスの作品を訳したものではなくて、トペリウスの原作から日本語での文章を作ってあるようです。原作の短いバージョンなのかな?それでも、絵本にしては文章多めです。

森の中で一夜を過ごす姉妹。キャンプみたいに、外で寝るのも楽しいものだけど、食べるものは野で摘んだものだけ&寝るのは地べたで、ではなく、美味しいものとちゃんとした寝床があってはじめて、楽しいんだよねえ。

最近はやっている「グランピング」にちょっと興味がある私ですが、おっと、キャンプやグランピングとこの絵本は関係ありません(笑)

ストーリーの最初のほうで出てきた、木いちごの虫を助けたことが、最後につながってきます。

レモンやシークワーサーにつくアゲハの幼虫や、クチナシにつくオオスカシバの幼虫を、心を鬼にして駆除している私には、ちょっとチクっとくるお話です(笑)

前回、「か」の絵本で7冊ものレビューを書くのはちょっとしんどかった。。。5冊くらいまでがちょうど良いですね


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