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fleurs et lapins(フルーレラパン)yukitake日記

お花とうさぎと、お出かけの記録など

「む」と「め」からはじまる絵本

2020-10-20 | 読書

「む」と「め」は3冊ずつ、計6冊ご紹介します。

 

ムニャムニャゆきのバス 長新太 偕成社

また借りてしまいました(笑)、長さんの絵本。

ベエーベエーというバスのブザーの音が最初から印象的でしたが、アカンベエーのベエーなのね。

長さんワールドの奇想天外な存在が次から次へと、バスから降りてくるのは良いけどこのバスに乗る人が誰もいないのが面白い。

トンネルの中だとベエーベエーも少し小さく聞こえる(笑)

ムニャムニャを目指していくバスから途中下車するこれらのあらゆる存在たちは、それぞれ、どこへ行くのだろうか。

そしてバスそのものの行先であるムニャムニャとは?ネタバレっぽくなってしまうけど、最後のページにあるとおり、わからないから面白い。

 

ムーミン谷へのふしぎな旅 トーベ・ヤンソン作 渡部翠 訳 講談社

「む」と言ったらやっぱりムーミンでしょう(笑)

この絵本に出てくるスサンナという女の子(ムーミン全集には出て来ないキャラクター)は普通の人間のよう。

ムーミン谷を目指す旅の途中、あべこべ世界での冒険のシーンは、干上がった海や火山の爆発が『ムーミン谷の彗星』を思わせるし、吹雪のシーン(言葉では出て来ないけど絵ではモランも登場)では『ムーミン谷の冬』を思わせます。

途中ではスナフキンも出てくるし、トゥーティッキ(おしゃまさん)は頼もしいし、最後の、ムーミン谷に到着した見開きの絵ではミイやパパ、ママ、ミムラ姉さん、そしてムーミントロールなどおなじみの、懐かしい顔ぶれが出てきて嬉しい。

ムーミンシリーズを愛読したことのある人で、ムーミン谷に行ってみたいと思ったことがない人などいるのだろうか?

 

むらさきふうせん 作・クリス・ラシュカ 訳・谷川俊太郎 BL出版

小さなサイズの可愛い絵本で、訳が谷川俊太郎さんなので迷わず選んだけれど、前書きを読んでみたらかなり重い内容でした。

自分の死が近いことを意識するようになったこどもは、よく、「今の気持ちを絵に描く」機会を与えられると、青や紫の風船が手から離れて飛んでいく絵を描くそうです。

ホスピスなどで、死に近づきつつある人たちのために働いている人たちはそういういわば現象をしばしば目にするのでしょう。

お年寄りがなくなるのは悲しい。でも、こどもがその命の灯を思う存分輝かせる前に死んでしまうのは言葉にできないくらい悲しいことです。

いまこの瞬間も、病気で自由に外を走り回ることもできずにいる子供たちが日本にも世界中にもたくさんいることを思うと、自分の日常生活でツライと思うことなど何でもないと思えます。

そういうこどもたちの夢をかなえる Make a Wish という団体があって、寄付をした後に送られてきた会報を読むと、病気のこどもたちの「夢」で、ディズニーランドに行きたい、という夢が本当に多くて驚きました。

微力ながら、これからも支援させていただきたいと思います。

この絵本と Make a Wish は関係ないのですけど、ご紹介しました。

「死」ってなんなんでしょうね。。。『ピーターパン』で、ピーターが死はきっとすごい冒険だぞ、と言って胸を張っている絵を見て感心したのですが、死のことをそんな風に、新しい旅に旅立つかのように、むしろ楽しみとさえ思えるくらいになれたらすごいのでしょうけど。。。

 

めがねうさぎ 作・絵 せなけいこ ポプラ社

「お」で紹介した『おばけのてんぷら』でも出てきたうさことおばけ。

「めがねうさぎ」と友達に呼ばれてちょっと恥ずかしくもありちょっと得意でもあるうさこが可愛いです。

この作品でもこわいお化けに気づかないというのは、『おばけのてんぷら』と同じく、めがねをなくしてよく見えないせい。

おおらかなうさこは、本当は自分を怖がらせようとしているおばけのことも「親切だなあ」と思ってにこにこしています。

いつも穏やかなほほえみを浮かべているうさこのように、おっちょこちょいだけどおおらかな人になりたいですね。

うさこのめがねを探すおばけが汗ぐっしょりというのが笑えます。おばけも汗をかくんだ(笑)

 

めざめる 阿部海太 あかね書房

言葉がとても短くて、全体で小さな、研ぎ澄まされた詩のよう。

朝、めざめるという何気ないことから、「問い」は宇宙レベルにまで広がっていく。

様々な感覚。気持ち。

確かに、夢を見ている時のわたしは一体、誰なのだろう。

最後の言葉の見開きページに、絵がなくて真っ白なページなのがちょっとハッとします。

この問いの答えがわかったら、怖い気もする。

 

めをとじてみえるのは マック・バーネット ぶん イザベル・アルスノー え まつかわまゆみ やく 評論社

大きめの本です。

寝る前にお父さんにあれこれ質問する、好奇心旺盛な女の子。

お父さんの表情が、「困ったな」というふうに見えるときもあれば質問に答えるのを楽しがっているように見えるときも。

お父さんの答えがどれも夢があって感心します。

質問攻めの見開きページがあるけど、私だったらどれ一つとして、夢のある答えが思い浮かばない(汗)

寝る前の暗い部屋のイメージに沿って、どの絵も黒やグレー+黄色、黒やグレー+緑、といった控えめな色合いですが、最後の夢の世界はカラフル。

こどもも大人も、夜、素敵な夢が見られたら幸せですよね。

 

さて、「も」の絵本はどんなのを選ぼうか、楽しみです。

私の大好きなあの果物(笑)関連もあるかな?

コメント欄閉じています。読んでくださってありがとうございました


「み」からはじまる絵本 その2

2020-10-05 | 読書

「み」の絵本、もう5冊借りてきました。

 

水の絵本 作・長田弘 絵・荒井良二 講談社

水は、神様の〇〇、というのはなかなか意表を突かれたというか斬新な感じ。

一連の絵にはちゃんとストーリーがあります。

最初は、お母さんに見送られながらキャンプに出かける父と子。

キャンプ中に、こどもは水についていろんなことを感じ、考えたのかな。

長田さんによる詩(文章)の最初のほうは、答えが「水」であるなぞなぞの問いのよう。

「どんないろもしてないのに どんないろにでもなれるもの、なーんだ」みたいな、ね。

それにしても水は、美しい。

雨も、空に浮かぶ白い雲も、雪も、氷も、滝も、草の上の露も、虹も、川も、湖も、そして海も。

 

みならいうさぎのイースターエッグ エイドリアン・アダムズ 作・絵 三原泉 訳 徳間書店

うさぎの社会でイースターエッグに絵を描く職業を生業とするアボット一家。

元気でわんぱくな、アボット一家の息子・オーソンが立派なイースターエッグの絵描きに成長していきます。

浜辺や橋、そしてイースターエッグを探す場面でのうさぎてんこ盛りな絵が本当に可愛い。

それにしても、日本だったら、うさぎの職業としては餅屋なんかが良いかも?(笑)

エイドリアン・アダムズさんはどこかで名前を見たことがあると思って調べてみたら、『こうさぎたちのクリスマス』という絵本の作者でもあります。

でも『こうさぎたちのクリスマス』は、エクセルでつけている私の読書記録の中にないんですよね。。。読んでいないのかなあ? 

アマゾンで見た『こうさぎたちのクリスマス』の表紙は確かに見覚えがあるのだけど、ストーリーの概要を読んでもいまいちピンとこないのでやっぱり読んでいないのかも。

『クリスマス』のほうでもうさぎのアボット一家と、息子オーソンが出てくるようです。

今度図書館に行ったら・またはクリスマス近くになったら借りてみなくては。。。

 

みんなでつくっちゃった 長新太 大日本図書株式会社

1974年に発行された絵本を復刊したものらしい。

いろんな動物たちが新聞紙でいろんなものを作る。クリエイティブで面白いですね。

新聞紙面が、1974年当時のままと見え、中国の周恩来首相、日本の田中首相、東亜国内航空、などの文字が当時をしのばせます。

中でもブタの腹巻がTV欄なので、思わず「山ねずみロッキーチャック」、「クイズ・タイムショック」、「3時のあなた」などに目が行きました(笑)

「魔法使いサリー」、「歌え!ヤンヤン!」などは聞いたことはあるけど観たことないなあ。

何しろ私自身が1974年生まれですから、その数年後に物心つくようになったころまで続いていた番組(または再放送で観た番組)でないと知らないですね。

「山ねずみロッキーチャック」は、動物好きな私にはとりわけ懐かしい~~

うさぎのピーター、ピーターをいつも追いかけるキツネのレッド、クマのバスター、カケスのサミー。。。

グーグル先生とかで調べなくても、今でもそらでキャラクターたちの名前を憶えています(笑)(笑)

番組名で、「日米対抗ローラーゲーム」って何だろう?「東京ボンバーズ×カナダ・ロイヤルズ」だって。ローラースケートかなあ?

おっと、つい、絵本のストーリーより昔の新聞紙面のほうに注目が行ってしまいましたが、この絵本の最後のページは、子どもにまつわる新聞紙面を大きく使っているところに長さんの思いを感じます。

 

みんなのせて あべ弘士 講談社

あべ弘士さんは『雲をつかむはなし』と『トラのナガシッポ』でも紹介した絵本作家さん。

旭山動物園の飼育係だったそうで、この作品でも動物たちをみんなのせた電車の目的地はなるほどと言う感じ。

紙の切符をパッチーンと切るなんて今の時代の子どもや若い人はわかるかな?(笑)

可愛くてカラフルで生き生きしたタッチのあべさんの絵は好きです。

動物と電車が好きな男の子などには、一冊で二度おいしい、良いとこどりの絵本かも(笑)

 

miffy at the gallery    dick bruna    SIMON AND SCHUSTER

「み」の絵本をもう5冊借りようと思ったは良いけれど、実はあと1冊をどれにしようか大いに迷い。。。

決め手がないときってあるんですよね(笑)

それでどうしようかとブラブラしていたら、英語絵本のコーナーでこれを見つけました(笑)

ミッフィーちゃんの絵本は日本語版だと「うさこちゃん~」で始まることが多いので「み」の絵本にならないんですよね(笑)

この作品は、松岡享子さんの訳で『うさこちゃん びじゅつかんにいく』で出ています。

お父さんお母さんと美術館へ行くミッフィーちゃん。

リンゴの絵やモビールや、抽象画、それにうさぎの像などを鑑賞。

ミッフィーグッズに使われている、絵筆を持ったミッフィーちゃんの絵はこの作品からのものだったんですね。可愛い。

 

「み」は2回続けましたが、「む」と「め」は、合わせて5冊の紹介になるかも。。。少なそうなので。

コメント欄閉じています。読んでくださってありがとうございました


「み」からはじまる絵本

2020-09-18 | 読書

二週間経たずにハイペースだけど、もう5冊レビュー書き終えたのでアップします。

次回、図書館に行くのは22日(火)または24日(木)かな。

絵本以外で読み切れてないのが3冊あるので、それまでには読み切る予定。(23日(水)は連休明けで図書館お休み)

 

「み」の絵本は、「ま」とは逆に、表紙を見ると割と絵が好みのものが多くて、ひょっとすると、次回もまた「み」を借りてくるかもしれません。

 

みかんのめいさんち 平田昌広/作 平田景/絵 すずき出版

表紙にずらりとならぶみかんが魅力的。

歌にもありますよね。。。あ、あれは『すいかの名産地』か(笑)

みかんやすいかなど、3文字の果物だと口ずさむのにおさまりが良いですね。

その点、私の好きな桃だと、「ももの名産地」はちょっと字が足りない(笑)

みかんの名産地であるおじさんちから届いたみかんを食べて、みかんの名産地に対する想像が膨らむ男の子。

水道の蛇口から、いろんな品種のみかんジュースが出てくるなんて夢のよう。

みかんであふれる街を上空から描いた見開きの絵で、ミカン風呂の女湯に目が行ってしまった(笑) 大丈夫、ちゃんと見えないようにたくさんのみかんが隠してくれています(笑)

私は普通のみかんだと、早生のきゅっとしまった小粒で酸っぱいのが好き~

でもそれより好きなのは。。。デコポンです。

去年、ふるさと納税で送られてきた紅マドンナ(媛いちマドンナ)というのも美味しかった

今年もリピートしようかな。

 

みずうみにきえた村 ジェーン・ヨーレン 文 バーバラ・クーニー 絵 掛川恭子 訳 ほるぷ出版 

大都会に水を供給するダムを作るためにダム湖に沈んでしまった村。

考えてみれば当然だけれど、アメリカでもこういう例があるんだなあと思いました。

生まれ育った村や町が永遠に湖に沈んでしまい、二度と懐かしい町並みを歩くこともできないというのはなんと切ないことでしょう。

原題は Letting Swift River Go ですが、最後のページの、「ほたるをはなしてやる」というのも、原文ではそれに呼応するような let them(=fireflies) goなのかな?

この絵本の絵を描いたバーバラ・クーニーという人は『ルピナスさん』の絵を描いた人です。

『ルピナスさん』は一人の女性の生き方としてもすごく感銘を受けた、好きな絵本です。

 

みずならのいのち 手島圭三郎 リブリオ出版

巻末に手島さんの写真が載っていて初めてお顔を拝見しました。

動物ではなく樹木が主役。そして淡々としたドキュメンタリー調でなく、ミズナラの「感情」がところどころに出てきます。

1つ目の見開きから次の見開きの文章までの間にいきなり100年が経ち、この間に一体リスたちは何世代が生きたのだろうと思ってしまいました。

動物ではなく、木に生まれたことを嬉しく思う、というのが2回も出てくるのが印象的です。

山火事のシーンもありますが、最近の、カリフォルニアなどでの山火事のニュースを思うと心が痛くなります。

最後のシーンは巡り巡ってまたやってきた春。

日本のように四季がはっきりしている土地で暮らす人間も、春には新しいパワーのようなものを感じることが多いけれど、木、それも楢のような冬の間は葉を落として眠っている木は、春になるとまさに自分の体の内側から、生命力がみなぎってくる(そしてそれが若葉という形になって表れてくる)のを感じるのでしょうね。

その力強さにあやかりたいと、人は木に触れたり木を見上げたり時には木を抱きしめたりするのでしょう。

 

みなとまちから nakaban・作 植田真・絵 佼成出版社

「と」ではじまる絵本で紹介した、『とおいまちのこと』と入れ子のようになっている絵本。

こちらの『みなとまちから』ではキツネ?のような登場人物が港町に着いてからのストーリーです。

せっかく着いたのに港町のお天気は下り坂。

でも灰色の空もぽつぽつと降ってきた雨も、しっとりしていて良い感じ。落ち着くね

この作品でも紅茶が出てきます。

私はこの作品の途中で挿入されているnakabanさんの絵より植田さんの絵のほうが好きかな。

それにしても2人が、ストーリーと絵の役割を交代して2冊の絵本を作るというのは面白いですね。

 

ミュージック・ツリー アンドレ・ダーハン/作 きたやまようこ/訳 講談社

小さめサイズの可愛い絵本です。

音符の形をした「音」を拾って、それをタネのようにまいたら芽が出て木に育ち。。。

木に止まる小鳥たちや、風に揺れる葉っぱの音で、素敵な音楽が奏でられる「音楽の木」はうさぎのロージーへの心のこもった贈り物。

受け取ったロージーは、送り主のネコに「ありがとう〇〇」と言ったのかな。このネコくんの名前が知りたい。

「ちょっと重たいけどぼくのきもちです」というところが、エルトン・ジョンの Your Song の出だしを勝手に替え歌にしてみたくなりました。

It's a little bit heavy(本当はfunny)...this feeling inside... なんてね(笑)

音楽の木を、二人で育てて、その木の下で二人で踊る。やさしい、やさしい二人のストーリー。

 

役に立たない絵本のレビューや暦や、コロナ禍なのにお出かけブログなど、つまらない記事ばかりですみません。

コメント欄閉じています。リアクションボタンもお休みです。最後まで読んでくださってありがとうございました。


「ま」からはじまる絵本

2020-09-09 | 読書

「ま」からはじまる絵本はたくさんありましたが、思ったほどではなかったかな。

背表紙のタイトルを見て「面白そう」と思っても、表紙を見るとちょっと好みの絵でなかったりするのが多かった。。。

なので「ま」の絵本は通常通り1回で終わりです(笑)

5冊全部、日本人作家さんのものを借りてきました。

 

まっくらなよるのムー むらかみひとみ さく イマジネイション・プラス

夜の景色を描いた絵だと、夜空や背景が濃い青だったりするものが多いけれど、この絵本ではまっくろ。

確かに、カーテンを閉めて電気を消した部屋の真っ暗さというのは、「真っ黒」ですよね。青でなくて。

それにしても、夜、子供が寝室の窓からこっそり冒険に出かけるというのはなんだか大人の中に生きている子供までもが精気を取り戻すかのような魅力のあるパターンです。

ピーターパンにしろ、メアリーポピンズにしろ、夜、寝室の窓から冒険に出かけることの楽しさったら。

この絵本は子供の寝かせつけ絵本なのかもしれませんが、まっくらな夜のその黒い闇は、豊かであり、安らぎを与えてくれるものでもありますね。

 

まどのそと 佐野史郎 作 ハダタカヒト 絵 東雅夫 編 岩崎書店

俳優の佐野史郎さんの作とのことでちょっと驚きました。

芸能人に疎いので、名前を言われても顔が浮かばない芸能人が多い私ですが、あの、眼鏡の方ですよね。

この絵本は「怪談えほん」ということで、ストーリーもじわじわと怖い感じがしてくるけど、何より父と母の絵が怖~~い(苦笑) 

妹もネズミのようなぬいぐるみ?その足も気味が悪い。

最後に主人公の男の子は窓から出ていきます。これまた、奇遇にも『まっくらなよるのムー』と同じく寝室の窓から出ていくというパターン。やっぱり、玄関からではなくて窓から出ていくというのには何かがあるのでしょう。

不気味な火山の噴火と並行して、この後、どうなるのか気になるストーリー。

 

まほうの絵本屋さん ようこそ海へ 小手鞠るい・作 えがしらみちこ・絵 株式会社出版ワークス

愛犬との別れ、海、浜辺に立つ絵本屋、その絵本屋の白猫、クジラ、と、存在感の大きなものが盛りだくさんすぎる気もしますが、逆に言うと、もっとうんとふくらましたら短編作品にでもなりそうなストーリーです。

浜辺に立つ絵本屋とさらにその店を仕切るのが白猫ということで(まほうの絵本屋さんなのですね)どちらかというと愛犬をなくした悲しみよりも、その絵本屋と白猫のほうに私個人は興味が大きく傾いてしまいました。

ただでさえ、本屋さんというのは魅力的な場所なのに、砂浜の足跡をたどっていくと見つかるような本屋(絵本屋)さんなんですよ。さらに白猫さんがそのお店を切り盛りしているんですよ(笑)

そちらに心が奪われない訳ないでしょう(笑)

でも最後がうまくまとめてあるので良かったと思います。

 

まり 谷川俊太郎・文 広瀬弦・絵 クレヨンハウス

タイトルは「まり」で、名詞だけど、それ以外の文はすべて擬音語。

いたってシンプルな絵本ですが、何も考えずにすっとなじむような感じがします。

壁にあたってぺちゃんこになったときの「まり」の表情と、四角くなって跳ね返るときの「まり」の表情が面白い。

ぺちゃんこになったけれど、ようしもう一度やってやるぞ、みたいな意気込みかな?

それでもまた水に沈んでしまう時は悲しそうな顔。

ぽんぽんと跳ねる「まり」の絵が良いですね。私も子供の頃はよく「まり」というかボールで遊んだものです。ドッジボールとかね。跳ねが弱くなるとつまんないので空気を入れたりしましたねえ。

 

まんじゅうじいさん あらいゆきこ 絵本塾出版

あはは、この絵本はストーリーが面白かった。

表紙の猫の顔が妙に気に入って借りましたが、猫はストーリー全体で良い味を出しています。

まんじゅうじいさんは、買われてきたばかりの時はまんじゅう王子、とでもいえる若者だったのかな?

食べ物も、お年寄りになるという発想が新鮮です(笑)

紆余曲折を経て、まんじゅうじいさんは最後はやっぱり猫に食べられるのかと思いきや、大どんでん返し。

でも納得のオチですね。なんてったって、この人(たち)のおかげでまんじゅうじいさんが生まれたのですから(笑)

 

今日、「み」の絵本を借りてきます。どんなのがあるか楽しみです。

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「ほ」からはじまる絵本 その2

2020-08-27 | 読書

「ほ」からはじまる絵本はたくさんあるので、もう5冊借りてきました。

この「50音絵本レビュー」プロジェクト(え?いつからプロジェクトに?(笑))も残りま行、や行、ら行と、「わ」だけなので先を急ぐこともないかなと

 

ぽっかりつきがでましたら 内田麟太郎 文 渡辺有一 絵 文研出版

月がかばになったりトマトになったり、というナンセンスなところが、内田麟太郎さんの作品でありながら長新太さん的な雰囲気(笑)

「ぽっかり つきが でましたら」というフレーズは、拍子でも取りながら口に出すととてもリズムが良いのが分かります。

細かいことだけど、最初のほうで山を登っていくキツネ、タヌキ、ウサギ、の様子が、筆のようなしゅっとしたのがキツネのしっぽ、丸いのがタヌキのしっぽ、そしてうさぎは2本の耳、というのがかわいい。

もうすぐ月のきれいな季節ですね。。。ぽっかり満月が出てきたら、ゆっくりと空を見上げたいです

 

ぼくは なにいろの ネコ? ロジャー・デュボアザン さく 山本まつよ やく 子ども文庫の会

猫はいろんな毛色があって楽しいなあと思う。

うさぎもいろんな毛色はあるけれど、トラ柄とか三毛とかはいないですね(笑)

色の三原色は、シアン、マゼンタ、イエロー、だそうな。

そういえばプリンタのインクもこの三色が基本でライトシアン、ライトマゼンタ、黒、を加えて我が家の使っているインクも6色パック(笑)

この絵本は、タイトル通り、この猫ちゃんは何色なんだろう?と想像しながら読むと楽しいです。

 

ほしをさがしに しもかわら ゆみ 講談社

毛の一本一本まで丁寧な、動物の細密画が魅力。

森の動物もの、と言っていいジャンルの絵本です。

体の小さい順からネズミ、リス、うさぎ、タヌキとキツネ、イノシシ、クマ。。。あれ、シカがいないのが意外かな?

ストーリーはシンプルな絵本だけれど、思わず動物たちの毛皮に触れたくなるような絵が素敵です。

キツネとタヌキが並んでいると、キツネの鋭い目と、タヌキのお人よしそうな目の違いまでちゃんとわかります。

 

ポーリーちゃん ポーリーちゃん どい かや 小学館

小さめの可愛い絵本。

ただ、ポーリーちゃん、でなく二度続けての、ポーリーちゃん ポーリーちゃん、という呼びかけに愛を感じます。

かわいいかわいい、と言っていたらどんどん可愛くなるのはその通りだと思う。大好き、大好き、と言っていたらどんどん好きになる。

ポーリーちゃんを見ているうさぎ、鳥、リスたちが、ネズミを捕まえたポーリーちゃんを見て逃げ腰になっているのが笑ってしまった。

そう、ポーリーちゃんはかわいいけど、ちょっと怖いところもあるお嬢さん。

ただひたすらに、ポーリーちゃんは幸せで自由でいれば良い。

 

ボンバストゥス博士の世にも不思議な植物図鑑 イバン・バレネチェア 作 宇野和美 訳 西村書店

植物好きなのでぱっと見てすぐ、借りようと決めました。

序文で、魔術師への言及があるけれど、この魔術師がどうして出て来ないといけないのかがよくわからない。

さらに序文で、われわれが新しい植物の品種を作り出す技を得るに至った・わたしがつくりあげてきたこの新たな植物、という言及もあるけど、それがなおさら魔術師とのつながりがよくわからない。

まあその序文は置いておいて、不思議な植物を紹介する書き手(ボンバストゥス博士)のスタイルは、博士の意見や感情を全くはさまず、淡々と植物について記述するまさに植物図鑑のようで、そのおかげで、これらの植物が実際に世の中に存在しているのかという気にもなってきます。

それぞれの見開きが、次の見開きの絵と、たいていの場合どこかでつながりがあるのも面白い。

 

次の「ま」も棚にたくさんありそうな気がする~ 選ぶのが楽しみです。

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「ほ」からはじまる絵本

2020-08-14 | 読書

「ほ」からはじまる絵本は5冊全部、日本人作家さんのものになりました

「ほ」の絵本はかなりたくさんあって、「ぼく・・・」とか「ほし(星)・・・」が多いですね。

ひょっとすると、「ほ」は特別待遇で2回とし、次回、別の5冊をご紹介するかもしれません。

 

ぼくのふとんはうみでできている ミロコマチコ あかね書房

ミロコマチコさんの絵本は、「混沌としたものから生まれてくるパワー」みたいなイメージでしたが、この作品はちょっとファンタジックで優しい感じ。文章も。

海がふとんだったら気持ち良いだろうなあ。

猫も良いけど、うさぎの布団で寝てみたい(笑)

海の布団は怖い海になることもありますね。。。朝が来て目が覚めたら、また新しい・何気ない・でも希望の朝。

 

ぼくはイスです 長新太 さく 亜紀書房

56ページもあってちょっとしたコミックみたい。大体、ページにページ数が印刷されている絵本は珍しいです。

いつもこしかけられている側のイスが、他のものに片っ端からこしをかけてみる、という長新太ワールドな発想(笑)

他のもの、と言っても、このストーリーでは主に「どろどろ人間」と呼ばれている溶岩との攻防がメイン。

イスは、果たしてどろどろ人間から無事に逃げられるのか?? 

他のものにこしをかけるイス、というのと同じ発想で、例えばいつも被られている側の帽子が、他のものを片っ端からかぶってみる、というのも面白いかななんて(笑)

 

星につたえて 安東みきえ 文 吉田尚令 絵 アリス館

これは良い絵本に出会いました。熱烈お勧めの一冊です

大昔、地球の生き物といえばクラゲしかいなかった頃、というのがポイント。

そんなはるか昔から生き物たちが進化して今に至る、その長い時間、でも宇宙のスケールで言ったら短い間に、伝えたかった言葉が連綿と伝えられ。。。

太古から受け継いだ記憶。それは、私たちの、DNAというか細胞というか、とにかく「内」にあるもの。

切なくて、強くて、美しい。

この、伝えたい一言の持つ輝きは、これからも・いつまでも、地球にそして宇宙に、続いていくと思う。続いていくから、きっと大丈夫。

安東みきえさんと吉田尚令さんのペアは、「ふ」で紹介した『ふゆのはなさいた』と同じです。『ふゆのはなさいた』のストーリーもとても感動しましたが、安東みきえさんが作る物語が、私には好みなんだと思います。

でも、この『星につたえて』の物語は、作られた話というよりも、ほんとうの話だと思うのです。

 

ほしにむすばれて 谷川俊太郎 文 えびなみつる 絵 文研出版

同じ「星」が題材の作品でも、こちらは『星につたえて』と違って金星や月やオリオン座の星やほうき星がしゃべるわけではなく、あくまでも観察の対象。

星が好きで星を観察するおじいちゃん、おかあさん、ぼく、は星で結ばれた三世代ですね。

実は我が家には、私の兄が子供の頃持っていた天体望遠鏡があります。

なにしろ30年以上前のものなので大きくて場所を取ります。

でも土星の環とか、満月のクレーターとか、ちゃんと見えますよ。。。

今ならもっとコンパクトでもっとよく見える天体望遠鏡がありますよね。欲しいなあ~

 

ぽめちゃん 柴田ケイコ 白泉社

ノラネコぐんだんと同じ白泉社なので、雑誌 Kodomoe を買ったときなどにこの ぽめちゃん のことも目にして知っていました。

フワッフワの真っ白なわんちゃん、名前からするとポメラニアンなのかな。

綿菓子のような雲のような。

ぽめちゃんがブルブルっと体を振ってネズミやミミズやカエルやひよこを飛ばしてしまうところはノラネコぐんだんの「どっかーん」のページみたい(笑)

その前にたくさんのヒヨコたちがぽめちゃんに無理やり入ってしまうところも大いに笑えました(笑)

それにしても、「モフモフ」という言葉はいつごろから使われるようになったんでしょうねえ。

私が子供の頃は、フカフカ、とか、フワフワ、という言葉しかなかったような気がしますが。。。

今では毛におおわれた動物たちの「モフモフ」に癒される、など、すっかり定着した言葉ですよね。

 

今日、図書館に行ってきます。さて、「ほ」をあと5冊借りようか、それとも「ま」に進もうか。。。

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「へ」からはじまる絵本と、『ガラスのエレベーター宇宙にとびだす』

2020-07-30 | 読書

「へ」からはじまる絵本は、1冊を除いて日本人作家さんのものが4冊になりました。

 

へいきへいき 内田麟太郎・文 竹内通雅・絵 講談社

オオカミと子分のイタチがユーモラス。いろんな「木」が出てきて、面白いのもあれば不気味なのも。

招き猫はあれっ、「木」じゃないじゃんと思ったけどよく見たら根っこのようなものが。

お化け屋敷の「き」と「きをうしなう」の「き」は「木」じゃないけど、それでもうまくまとまっているオチだと思います。

 

ベルとブゥ おいしいいちにち マンディ・サトクリフ さく ひがしかずこ やく 岩崎書店

ベルはまだ小さな女の子だと思うがしっかりしている。

ブゥという名のうさぎがかわいいねえ。うちのてびちゃんもこんな風に人間の言葉をしゃべったらどんなに良いだろう~

せっかくおいしいスープと焼きリンゴができたのに食べない、というブゥは意地っ張りな子供そのもの。でもやっぱり食べたいブゥはとある策略を。。。

それにしてもどうしてこの作品は、絵を担当したマンディ・サトクリフさんの「さく」になっているのかな?奥付を見ると文章はジリアン・シールズという人が作者のようですが。

 

ベルナルさんのぼうし いまいあやの BL出版

ファンタジックな表紙の絵が気に入って、ぱっと見てすぐ借りようと思いました。

友達も家族もなくても、ひとりぼっちで構わないという人、世の中にはいるものですね。

でもそんな、心の世捨て人みたいな人の心をほぐし、優しさや「情」に目覚めさせるものは何か。

それは、その人が最初は嫌がることかもしれない。

この作品でいうと、鳥たちはベルナルさんが嫌がってもお構いなし。逆に、ベルナルさんが喜んだとしてもお構いなしだったかもしれない。

とにかく、鳥たちは自分たちの好きなようにやっているだけに見えます。好きなように巣を作り、冬になったら旅に出て。。。

でも春になってベルナルさんのドアをノックしたのがキツツキだったことからも、やっぱり鳥たちのほうでもベルナルさんでなければだめ、だったのでしょう。

 

ペンギンきょうだい バスのたび 工藤ノリコ ブロンズ新社

大好きな工藤ノリコさんの作品。

工藤さんの、ノラネコぐんだんシリーズでない絵本は、このペンギンきょうだいシリーズでは他に『ふねのたび』を読んだことがあります。

ピヨピヨシリーズでは『はじめてのキャンプ』と『もりのゆうえんち』を読みました。

ノラネコぐんだんシリーズでは、懲りずに毎回何かをやらかしてくれるノラネコたち(笑)に笑ってしまいますが、これらのペンギンきょうだいシリーズやピヨピヨシリーズでは、何の憂いもない幸せな子供たちの世界が、私には、リンドグレーンの『やかまし村』シリーズを思い出させます。

リンドグレーンの作品では、大人の読者である私は二度と戻ってこない自分の子供時代を思い出しながら、何の心配事も悲しみもない、完璧なまでの子供の世界の「幸せさ」に涙が出てきたことがあります。

大げさかもしれないけど、その憂いのひとかけらもない世界は、天国・極楽に近いかもしれない。

そしてこの『ぺんぎんきょうだい バスのたび』の優しいストーリーを読んで思ったのは、この幸せな世界が絶対に壊れませんように、ということ。

こういう作品を読むだけで、この幸せな世界を私にもほんの少しだけ分けてもらえる気がします。

 

ペンギンホテル 牛窪良太 アリス館

絵がかわいいです。

ペンギンたちの、白い縁取りのある黒い目に萌え~(笑) 本物のペンギンだと、アデリーペンギンがまさにこれですね。

ペンギンがいるのは南極。。。でもこの作品ではオーロラが見えるしシロクマやゴマフアザラシも出てくるからこのホテルがあるのは北極かな?という細かいことはさておき。

お客たちは極地方にすむ動物たちが主ですが、最初に出てくるのはなんとライオン

クジラが泊まりに来たあとの、ホテル全体が見渡せる見開きページの絵で、6号室がまだ空いているのに気付いたけれど、6号室を予約していたのは。。。なるほどのお客さん。

ペンギンスタッフたちの中で、シルクハットをかぶったコンシェルジェのペンギンだけはちょっと大きな従業員室で寝ているのが面白い(笑)

そういう細部もじっくり楽しめる絵のクオリティーです。

 

おまけで、「ふ」の絵本で紹介した『チョコレート工場の秘密』の続編のレビューです。

ガラスのエレベーター宇宙にとびだす ロアルド・ダール 田村隆一 訳 評論社

「チョコレート工場」のほうは新版でしたが、新版の翻訳者さんの訳はもう読みたいと思わなかったので、古い閉架のをリクエストして借りました。

いやはや、「チョコレート工場」に勝るとも劣らないはちゃめちゃストーリー(笑)

宇宙で、アメリカの大統領らを巻き込んでの騒動のあたりはちょっとたるく感じましたが、クネクネ・クニドという化け物は面白かった。

そして舞台がチョコレート工場に戻ってくると何となくホッとしました(笑) 愛すべきウンパ・ルンパもまた出てきたし(笑)

上下左右、ものすごいスピードでどこにでも行ったり来たりするガラスのエレベーターのように、老人3人のお歳も行ったり来たり。。。

 

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「ふ」からはじまる絵本と、『チョコレート工場の秘密』

2020-07-16 | 読書

今回は、5冊選び終わるのにかなり時間かかってしまいました。

割と「あ、これにしよう。これも」と早く決まるときもあるのですが悩むときはなかなか決まらなくて

絵本ですから、絵に惹かれないのは選ばないですね。。。でも絵だけじゃなくてタイトルももちろん重要です。

うーんどうしよう、と悩むときはページをパラパラめくっちゃうこともありますけどそれはできるだけせずに、絵とタイトルで決めるようにしています。

 

船を見にいく アントニオ・コック 作 ルーカ・カインミ 絵 なかのじゅんこ 訳 株式会社きじとら出版

大いに悩んだと言っても5冊全部でなくて、この作品はすぐに選んだ2冊のうちの一つ。

なぜなら船は大好きだから

電車、飛行機、船、の中では私は船が一番好きですねえ。

特に帆船が好きだけど。。。まあ今の時代、演習船の〇〇丸とかが寄港するタイミングでないと見れませんね。

でも小さな船から大きな船まで、そして貨物船から客船まで、船って良いよね~

この絵本に出てくるような大きな船が入港・出港したり、造船されたり修繕されたりするような港が近くにあったら私もちょくちょく見に行くだろうなあ。

「とうめいな旅人」は船で永遠に世界中の海を旅しているのだろうか。

 

ふまんがあります ヨシタケシンスケ PHP研究所

『つまんないつまんない』に続くヨシタケシンスケさんの2冊目。

『つまんないつまんない』と似て、どこか哲学的。

なぜ・・・というこどもの疑問に対して一つ一つ答えることのできるお父さんがすごい(笑)

私自身は子供の頃、大人に対して不満があるというよりも、「兄のほうがお年玉がたくさんもらえる」ということに納得いかなかった(笑)

だから「兄はずるい」と思っていましたね(笑)

この作品の子どもの「不満」は「大人はずるい」と感じざるを得ない、子どもから見た大人のふるまいの理不尽さだと思いますが、常日頃、大人だっていろんな「不満」を感じつつもそれぞれ頑張っているわけで。

 

ふゆのはなさいた 安東みきえ 文 吉田尚令 絵 アリス館

泣き虫の子ネズミと、ちゃきちゃきっとした感じの性格の金魚が、友達になるところで終わるのであればありきたりなストーリーだと思いますが、その後の展開にひとひねりあるのが良かったです。

最初のほうの場面で、子ネズミに友達がいないことを知った金魚が嬉しそうに目を丸くしたのは、自分も独りぼっちだったから。

でも、子ネズミの涙で池があふれて「あたしが流されたらどうすんの」と、自分のことしか考えていないかのような金魚が、実はとても心が優しくて、親身になって子ネズミをなぐさめ、励ます。

そして友達になった子ネズミと金魚。仲間の中で独りぼっちだった金魚にも変化が。。。

寒い、凍った冬の池に咲いた「ふゆのはな」。春になったら子ネズミはたくさんの友達に再会して笑顔いっぱいになって、泣き虫は完全に返上できることでしょう。

 

フラニーとメラニー もりのスープやさん あいはら ひろゆき ぶん あだち なみ え 講談社

どこかで読んだ絵本のストーリーに似ている、と思ったら「て」で紹介した『でこぼこホットケーキ』に似ていますね。

『でこぼこ…』のほうはふたごのハリネズミが作ったホットケーキをクマが食べてしまい、こちらの作品ではうさぎ姉妹が作ったスープをクマが。。。

どちらもクマがこっそり食べて(飲んで)しまうのではなくて、お腹を空かしたクマに自らすすんで提供するところも同じ。

クマは小さな動物たちと違って大食漢なのでちょっとだけ分けてあげるというわけにいかず。

どちらの作品も「惜しみなく与える」ということをした後に良いことが待っています。

 

フリーダ・カーロ イザベル・サンチェス・ヴェガラ=ぶん アン・ジー・ファン=え おび ただす=やく 六耀社

メキシコの画家フリーダ・カーロは、私が10代後半~20代前半の頃に、とても好きで伝記を熱心に読んだりもしていた女流画家の2人のうちの一人です(もう一人はアメリカのジョージア・オキーフ)。

この絵本ではアン・ジー・ファンさんが描く絵はとてもかわいらしいですが、実際のフリーダ・カーロの作品は壮絶な・すさまじい、という表現がしたくなるような迫力があります。

この絵本の最後にフリーダとディエゴの写真がありますが、実際のフリーダの作品もどれか一つで良いから実際の写真を載せて欲しかった。

ありきたりな表現だけど、苦しみや逆境にもめげずに、不自由な体に閉じ込められた魂の情熱を自分の肖像画という作品に昇華させ、強く生きたフリーダには時がどんなに経っても多くの人が勇気づけられると思います。

 

さて、今回は絵本に加えて、図書館で借りてきたとある本のレビューも載せます。

チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダール クェンティン・ブレイク[絵] 柳瀬尚紀[訳] 評論社

この作品はジョニー・デップ主演の映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作です。

活字派の私と違って映像派のまーさんはたぶん週に1度はDVDでなんらかの映画を観ていますが、この映画ももう何回か繰り返し観ているはず。

そしてまーさんはこの映画に出てくる「小さいおじさん」が妙にお気に入りで(笑)、私は「まず原作を読んでからでないと映画は観ない」と常々言っているのにも関わらず、「小さいおじさんが出てくるシーンになったら教えてあげよう」とか言ってなんとかして「小さいおじさん」を私に紹介しようとするのです(笑)(笑)

もう~、仕方ないなあ、じゃあ原作を読むか。。。

ということで、本当は英語で読みたかったけど買うほどでもないので図書館の児童書コーナーから借りてきました。

人気があるからかなりくたびれた本です(笑)

うん、まーさんが「小さいおじさん」と呼ぶウンパッパ・ルンパッパ人(映画ではウンパ・ルンパ)は確かに強烈だわ(笑)

最初のほうはチャーリー・バケツ君の一家の赤貧ぶりがすごい。

そしていざ舞台がチョコレート工場の中に移ってからはもうはちゃめちゃですね(笑)

ウンパッパ・ルンパッパ人たちの強烈なキャラと工場内でのはちゃめちゃな展開とで十分お腹いっぱいになる作品だけど、肝心のワンカさんの人となりというか人物像が、「!」マーク満載のセリフで工場内をあちこち案内する人、という以外、いまいちよくわからないのが残念。

結局、私の場合、あらゆる物語においてストーリー展開よりも大事なのが「登場人物の魅力・個性」なんですよね。そのキャラクターと「知り合い」になれるかどうか、みたいな。。。

まあ、この作品に関してはウンパッパ・ルンパッパ人やジョウじいちゃんが十分個性的なので(個性的と言っても4人の悪ガキやその親たちはどうでも良いです(笑))、後を引く読了感がありますね(笑)

原作も読んだことだし映画のほうも観てみるか。。。

 

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「ひ」からはじまる絵本

2020-07-02 | 読書

いつも絵本を5冊借りるとき、日本人作家ばかりでも外国人作家ばかりでもつまらないのでバランスよく借りるようにしています。

「ひ」は、日本人3冊、外国人2冊となりました。

 

ヒガンバナのひみつ かこさとし作 小峰書店

今年の4月25日~6月7日まで、名古屋の松坂屋美術館で予定されていた「かこさとしの世界展」、すごく楽しみにしていたけど、新型コロナのせいで中止になりました。

くぅぅ~残念

来年でも良いから、仕切り直してぜひ、開催して欲しいです。

さて、この『ヒガンバナのひみつ』ですが。。。

表紙の裏の見返しを見てまずびっくり。

ヒガンバナってこんなに別名があるんですねえ。わたしゃ、せいぜい「マンジュシャゲ」くらいしか知りませんでした。

特に大分県、愛媛県、和歌山県で別名が多い。しかも50音で、ざっと見たところ「ヌ」「メ」「ル」「レ」で始まるもの以外は全部あります。

こんなに別名の多い花は他にはないのでは。。。

ヒガンバナの、怖い秘密、楽しい秘密、すごい秘密、全部で15の秘密が紹介されていますが、飢饉の時の非常食だったというのも知りませんでした。

江戸時代の主な飢饉の年表を見ると、東北での冷害による飢饉が多かったのですね。

今は、農業の技術も発展して幸せな時代だと思います。

ただ、「幸せな時代」ということを考えると、江戸時代でなくても、1934年、かこさんが小学3年生だった時にも東北の冷害による飢饉があったそうで、かこさんがあとがきに書いている「大人も子供も、疑うことを知らぬ、貧しいが人情あふれる時代だった」という言葉が胸にじんと来ました。

今、21世紀の初めは果たして心の面では幸せな時代だろうか?

 

ひだまり 林木林 文 岡田千晶 絵 光村教育図書

ああ切ない

愛するメス猫を失ったオス猫の悲しみ、という点では、佐野洋子さんの有名な『100万回生きたねこ』を思い出しましたが、たぶん、『100万回生きたねこ』のほうは子供でも強く感じるものがあるであろうのと比べると、こちらの『ひだまり』のほうは大人向けの絵本のような気がします。

両作品に共通する、他にこびない「自分が一番強い」と自負しているようなタイプのオス猫が、「愛」を知るようになったという感動に加えて、こちらの『ひだまり』のオス猫トラビスは、最後に「利他」にまでたどり着いたのがとても美しい展開だと思います。

ちょっとネタバレっぽくなっちゃったけど、ぜひ、読んでもらいたい作品です。

柔らかく、美しく、ピュアな絵も秀逸。

 

ひとりでおとまりしたよるに フィリッパ・ピアス 文 ヘレン・クレイグ 絵 さくまゆみこ 訳 徳間書店

原著のタイトルは AMY'S THREE BEST THINGS(エイミーの一番いい3つのもの)。日本語のタイトルとは大きく違いますが、それはそれで良いと思う。

エイミーのお父さんが全く出て来ないけど、それもあまり詮索しないことにしましょう(笑)

自分が伯母さんの家に泊まりに行った時のことを思い出しました。。。子供にとっては、親戚のうちにお泊りに行くだけでも大ごとですよね。

エイミーにとって最高の3つのものは、お母さんとビルとボンゾなのでしょうね。

 

ひみつのいもうと アストリッド・リンドグレーン 文 ハンス・アーノルド 絵 石井登志子 訳 岩波書店

うんとふくらましたら短編作品になりそうなストーリー。

単純に、お母さんの愛情を弟に取られてしまったバーブロという女の子が自分で作りだした空想の世界の妹、と考えたくなりますが、それは置いておいて、ちょっと妖しさもある地下の世界で妹と過ごす時間を読者も楽しむのが良いと思います。

それにしても絵の魅力的なこと

最初のページの、おじさんみたいなひげを生やした蜂も味があるし、白兎たちも可愛いし、ハミングする小川のほとりに咲く、中心部が顔になっている花たちも、見た瞬間「なんだこれ、すごく良い」と思いました。

ハンス・アーノルドさんという画家はスイス生まれですが、スウェーデンに移住してイラストレーターとして活躍し、ABBAのベストアルバムのアートワークを手掛けたこともあるらしいです。

「ABBA ベストアルバム ハンス・アーノルド」で検索すると出てきます。ふうむ、これもすごく良いですね

ピアスとリンドグレーン。。。英国とスウェーデンのそれぞれ有名な児童文学作家の作品、奇遇なことにどちらも「弟がいる女の子」という共通点がありましたが、この2冊に限っていうならリンドグレーンのほうに軍配を上げる私です(笑)

 

ひろい かわの きしべ THE WATER IS WIDE 八木倫明 文 葉祥明 絵 国土社

日本でもCMなどで使われているので、きっと誰もが耳にしたことがあるであろうスコットランド民謡。

この絵本では英語の歌詞と日本語訳、それに葉さんの素敵な絵をじっくり味わうことができます。

YouTubeでこの曲を聴きながらページをめくっていたら胸がいっぱいになって涙が。。。

スコットランドという、自然環境が厳しい土地で、こういう哀しい・でも優しい歌が生まれたということが感慨深いです。

あとがきの、Messageで八木さんがおっしゃるように、大きな困難を乗り越える・・・人類には、渡らなくてはならない広い河がある・・・ということが今のコロナ禍の世界とも重なるような気がします。

そして個人的に、自分とも。

強く、勇気をもってこの広い河を渡って、新しい希望の世界にたどり着きたい。

 

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「は」からはじまる絵本

2020-06-19 | 読書

「は」からはじまる絵本はたくさんありましたが、選んだ5冊のうち3冊は「春」関連です(笑)

  

はずかしがりやのおつきさん スズキコージ さく・え 福音館書店

ストーリーの始まりの見開きページでは主役である「おつきさん」についての一文しかないですが、絵を見てピピっときました。

月あかりの屋外にいるお馬さん(ロシナンテという名前)は只者ではないな(笑)

椅子に座って机に向かって、何か書いてる(笑) 

案の定、ロシナンテはおつきさんに次ぐ準主役級。ロシナンテに比べたら女の子のギューリーちゃんはネコのダイナや犬のイワンと同じくらいの脇役なのが面白いです。

さて、ロシナンテは何を書いているのか。。。お月さんとロシナンテのやり取りはどう展開するか。。。読んでのお楽しみ(笑)

それにしても馬車で暮らしている一人と一頭と2匹がどういう生活をしているのか気になります。いろんなところを旅しているのかなあ。

 

はだかのサイ ミヒャエル・エンデ 作 ヨッヘン・シュトゥーアマン 絵 佐々木田鶴子 訳 フレーベル館

『はてしない物語』『モモ』で知られるドイツの作家、ミヒャエル・エンデの絵本作品ということで選びました。

文字が多い これだけ文字が多いと、小学校中学年以上でないと読めないかな。

ストーリーは、自分以外は敵だと思っていて、近寄ってくる動物たちにけんかをふっかける「ドラサイ」というサイが主人公。

アフリカの草原に住む動物たちにとって厄介者のこのドラサイについてどうしたら良いか、動物たちが集まって話し合う。

その動物たちのリーダーはライオン、というのはよくあるパターン。

いろいろな動物たちがいろいろなアイデアを出しますが。。。

ミヒャエル・エンデさんの『はてしない物語』は人生の中で5冊選べと言われたらその中に入れるんじゃないかなと思うくらい好きな作品です。

特に「夜の森ペレリン」の章と、最後の、バスチアンが自分の世界に戻るために泉を浴びるシーンが好き。

あ、『はだかのサイ』のレビューからそれましたが(笑)、この作品もなかなか良かったですよ。

 

はるとあき 斎藤倫・うきまる 作 吉田尚令 絵 小学館

この作品はすごく良かった 熱烈お勧めです

春夏秋冬を擬人化しただけでなく、その4つの季節の「関係」に着目したところが新鮮。

春は冬と夏に接しているから自分以外のそれら2つの季節についても知っている。他の季節たちも、自分の前後の季節のことは知っている。

でも例えば、春と秋、夏と冬は、出会うことがないからお互いのことを全く知らない。

それで、「はる」が「あき」に手紙を書き、しばらく続くその2つの季節の心の交流。。。

決して会うことのない・会えない友達を思うやさしさが、春と秋のそれぞれの美しさのイメージと重なってとても感動しました。

4つの美しい季節のある国に生まれて本当に幸せだなあと思います。

 

はるなつあきふゆの詩 ジュリー・フォリアーノ詩 ジュリー・モースタッド絵 岩津ちひろ訳 偕成社

この作品では3月20日から春の詩が始まり、以降、3か月ごとに季節が変わります。

3月20日というと春分の日で、これは日本だけでなく北半球なら共通でこの日を境に日中の時間のほうが長くなるので、この3月20日ごろからが春、というのは自然なとらえ方かなと思います。

ただ、日本で「暦の上では」とよく言われる春は立春の2月初めからで、以降、3か月ごとに暦の上での季節が切り替わるので、その点では少し日本人の感覚からするとこの作品の四季のほうが遅いなと感じましたが、それも面白い発見でした。

 

はるをはしるえぞしか 手島圭三郎 絵本塾出版

北海道の自然に生きる動物たちを描く手島さんの作品、大好きです。

鹿は、脚が長いから積雪の多いところは苦手と聞いたことがありますが、エゾシカは雪の深い所でも大丈夫なのかな?

もちろんこの作品にあるように雪で食べ物であるササが隠れてしまえばそれが何よりもエゾシカにとっては冬の試練なのでしょうね。

リス、モモンガ、ふくろう、キツネなど他の動物もたくさん出てくるのが嬉しい。

ドキュメンタリー調のストーリーが展開される中で唯一、子鹿が思ったことが一か所だけ出てくるのが温かみのあるアクセントになって良いと思います。

  

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