WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

現地に飛んだスタッフが映画祭の様子を毎日レポート!

アンジー、ブラピ登場!「ア・マイティ・ハート(原題)」の記者会見

2007年05月22日 | 現地レポート

21日の13時。
映画祭記者会見場が大変なことに!

コンペ対象外の招待作品、マイケル・ウィンターボトム(Michael Winterbottom)監督、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)主演、そしてブラッド・ピット(Brad Pitt)がプロデュースした「ア・マイティ・ハート(原題)」の記者会見が行われたのです!

「ア・マイティ・ハート(原題)」

会見40分前に到着したのに、ブルーのプレスパスを見るなり、ガードマンのお兄さんが、「ブルーのプレスパスの人じゃ、会場に入るチャンスは0,000001%だよ。」と言い張ります!
(映画祭プレスパスは、職業や、役職によって色分けされていて、試写や会見場への入場が最優先されるのは、白、その次がピンクの黄色い丸印付き、続いてピンク、そしてブルー、そして最後が黄色なのです。ちなみに黄色にも2種類あって、プレスの黄色と、テクニカルの黄色があります。テクニカルの黄色パスは、記者会見には優先でカメラがあれば入れますが、試写用ではない。等々、すごい階級社会なんです!?)

会見場に入るのはキッパリと諦め、会見場に入る手前に通路でカメラをかまえて待機。初めは20人くらいの『待ち構え組』が、最後には70人くらいの大騒動に。

まず最初にアンジェリーナ・ジョリーが登場。絶叫するファン(会場内にいるってことは、ジャーナリストなんでしょうが)にサインをしたりと、とっても丁寧な対応。横にいたイタリアの撮影クルーは何故か?扇子を渡していた。

外国メディアのインタビューに応じるアンジー

少し後にブラッド・ピット登場。今回はプロデューサーとしての参加なので、主演女優のアンジェリーナをたてるかの様に少し控え気味な態度。でも、ちゃんとファンやカメラに答えてました。



髪型と髭がさっぱりとしたブラッド・ピット

今回の作品はアメリカ中のメディアが騒いだウォールストリートジャーナルの記者殺害事件について、その妻で当時6ヶ月の妊婦だったマリアンヌ・パール(Mariane Pearl)が著わした手記「ア・マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死」の映画化。

記者会見には、キャスト、プロデューサーに加え、マリアンヌ・パールも参加。

質問:
あなたの役をアンジェリーナが演じると知ってどう思った?
マリアンヌ・パール:
最初にブラッドと会っていて、彼の考え方に対してとても信頼を持てたの。そしてアンジェリーナとも会って、彼女は私を理解してくれる人だと思った。

アンジェリーナ・ジョリー:
私はこのような実話で、心をうたれる女性の役を演じる責任感にとてもナーバスになったわ。とても難しかった。そして、マリアンヌに初めて作品を観てもらった後、彼女が満足したと言ってくれて初めて肩の荷がおりた思いだったわ。その彼女の言葉を撮影前からずっと待っていたのだもの。

質問:
役者からプロデューサーに転換?
ブラッド・ピット:
このような心を打たれる話だからこそ、プロデュースしたいと望んだんだ。それに、いつもカメラの前にいたから、プロデュースをすることでカメラの裏側にたてて、すごく喜びを感じたよ。

アンジェリーナ・ジョリー:
私はこの脚本を妊娠5ヶ月の時に読みました。6ヶ月の妊婦だったマリアンヌに起こった事を考えると、本当に信じられない強さを彼女に感じます。妊婦期間に夫が不在というのは本当に辛い事なのよ。

ブラッド・ピット:
子供達の父親として、この世の中が今後どのようになっていくか不安と心配を抱えてる。少しでも世の中が良くなるように願いながら日々を送ってる。

質問:
カンヌに来て24時間メディアに追っかけられて大変?
アンジェリーナ・ジョリー:
昨日来たばかりだけど、ちゃんと子供達と遊ぶ時間もとってるし、何より自分たちが
自信を持っている作品を支持するって気分のいいことだから幸せよ。

....節々に、幸せをたっぷり感じさせられるアンジーとブラピでした。
幸せな女は本当に美しい....

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WOWOWにて単独インタビュー放送予定!
「VIVA カンヌ映画祭 2007」
放送は、
6月3日(日) 午後 7:00~
再放送は、
6月5日(火) 午後 6:00~
お楽しみに!


カンヌの日常ハプニング!

2007年05月22日 | 現地レポート

カンヌ映画祭60周年記念のレッドカーペットにスター達が次々と登場してきました。ある場所で観客が騒いでいたので、封鎖した道路の入口辺りからカメラの望遠レンズを双眼鏡のように利用して覗いてみたら、往年の大スター、アラン・ドロンと奥様の姿を発見!凄い、人だかり!フランスでの人気はまだまだ衰えていませんね。

この人だかりの中に往年の大スター、アラン・ドロンの姿が!

そして、ふと気がついたら、ガエル・ガルシア・ベルナルが私達に向って歩いて来るではないですか!!!!

さわやかな表情のガエル・ガルシア・ベルナル。

こういうラッキーなハプニングもカンヌではよくあるんですよ♪


北野武監督の日本人プレス用の記者会見

2007年05月22日 | 現地レポート

カンヌ映画祭60周年特別企画35人の著名監督の『それぞれの映画』公式上映の翌朝。
映画祭会場から近いグレイダルビオンホテルにて、北野武監督の日本人プレス用の記者会見が行われました。

会見場に現れた北野監督

会見はホテルの中庭のテラスで行われたのですが、「北野武 サッサリ・ヴェネツィア ファンクラブ」(※サッサリ、ヴェネチアはともにイタリアの都市名)の青年達も来ていました。

サッサリ・ヴェネチアファンクラブの3人

北野監督は会場に登場するなり、すぐ、ファンクラブの3人組を見つけて、手を掲げて近寄り「来てたんだね。またあとで会見終わったらね。」と優しく声をかけてお話ししてました。

サッサリ・ヴェネチアファンクラブの3人に声をかける北野監督

では、ここから質疑の様子です。
[※監督のしゃべり口調が独特で面白いので、会見記事はあえてその口調を活かす雰囲気を残しました。監督のしゃべってる様子を想像しながら、お読み下さい。]

質問:
昨日一日(会見・レッドカーペットを)終えられた感想を。

北野監督:
舞台に上がってリハーサルをやると言って演出家の人が来て、34人の、要するに我々も演出家なのでみんなまるっきり言う事を聞かなくて、ポランスキーとかマイケル・チミノが「お前そんなやりかたあるか」って言い出して。
ほら、あのなんとかマキ、「レニングラード・カウボーイズ」の、あの人はただ酔っ
ぱらっているだけで
、俺の耳元で「やろう、やろう」とキアロスタミとうるさいし。
まあ、よくぞああいうわがままな監督が集まって最後には言う事聞いたなって。もうへとへとになった。


質問:
ちょんまげはサルコジ政権を意識されての事ですか?

北野監督:
ちょんまげは浅草の仲見世で一週間前に買ったやつで…60周年という事は、次は70周年か80周年かあ、そこまで生きてるか分からないし、一生に一度だから。日本人は正装といえばちょんまげも正装なわけで。ま、これが誰も文句を言わずにみんなが「なんか変だな?」って感じが出れば、テレビタレントとして一生食えるかな。

(c)Kazuko Wakayama


(c)Kazuko Wakayama

質問:
他の監督の反応はどうでしたか?

北野監督:
ヴィム・ヴェンダースに「俺、これ被るんだけど」って言ったら、「いい、いい、やれやれ」って言うの。始まって、ヴィム・ヴェンダースとアッバス・キアロスタミとホウ・シャオシェンがよくわかんない英語で話してたの。普通に「どうしようかな、やろうかな」って隠してたの。そうしたら「やれやれ」っていうもんだから被ったらみんなゲラゲラ笑って、「そのまま行け行け!」って言うもんだからやっちゃったの。

21日朝の現地新聞にて、20日のレッドカーペットでの(写真右から)北野監督と、アッバス・キアロスタミ監督、ウォルター・サレス監督、ヴィム・ヴェンダース監督、の4ショット写真

[上映について]
質問:
公式上映では結構笑いが起きたそうですが、安心しましたか?

北野監督:
うーん、ベスト5に入ってるね。冷静に考えて、たぶん。
※NICE MATINという新聞ではベスト4に入っていたそうです。

多くの日本の報道陣が集まった

質問:
他はどの作品が。
北野監督:
ポランスキーが反則技だったね。お笑いではベタネタっていうの。あれは好きだったな。


質問:
観客席からライブで反応が返ってくるというのはどうでしたか?
北野監督:
やっぱり、3分てちょっとお笑いの要素が入った方が強いのがよくわかるね。悲しいのもあったけど、3分は間が持たないっていうか、見ている人がその感情に行くまで時間がかかるよね。どうしても3分で決めちゃうのは笑いが強い。映像美で決めた人もいるけど、よくわからなかった。

質問:
監督席はどんな反応でしたか?
北野監督:
誰か言わないけど、落ち込んでるのがいたね。俺も「どうしようか」と思ったけど、その気持ちよく分かる。「監督落ち込んでる」って何気なく見てた。パーティーも来なかったし終わった後無口だった。

質問:
昨日の会見でポランスキー監督が「記者の質問がバカすぎる」って途中で帰ってしまわれましたが、その後みんなで話されたりしましたか?
北野監督:
ポランスキーは帰っちゃったけど、ヴィム・ヴェンダースも「お前何考えてんだ」って言ってたよ、記者に。“あなたにとって映画とは”って良く言うじゃない。
「そういうバカな事言うな」って言ってたよ。
「“どういうのが良い映画で、どういうのが悪い映画ですか?”ってそんな抽象的なアバウトな質問あるか」ってさんざん言ってたよ、若い記者に。

質問:
会見では紅一点のジェーン・カンピオンの隣でしたが、決められていたのですか?
北野監督:
うん、決められてたのかな。でも、始まる前、入る前にカンピオンさんに挨拶して、「あなたのお陰でヴェベチア以来映画撮ってます」って言ったら、
「全員一致で決めたんだから、私だけじゃないのよ」って。お母さんみたい。

「60回記念メダリオン」を持つ北野監督

その他、映画の内容に触れる質問もたくさんあったのですが、3分の作品なので、ここで言ってしまうのはもったいないかなぁと。だって、その短編作品「素晴らしき休日」が最新作「監督・ばんざい!」公開劇場での上映が決定したんです!
って事は二本立てですよ!お得ですね~。ぜひ劇場でご覧になってみてください!

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6/2(土)キタノ・タイムズスクエアほか全国ロードショー!
※6/1(金)一部劇場にて先行上映あり
[6/1(金)~3(日)までは劇場名が上記に変更。
6/4(月)からは「テアトルタイムズスクエア」]。

「素晴らしき休日」写真提供/オフィス北野

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WOWOW ONLINE [CINEMA VOICE]では、
北野武監督のインタビューを掲載中です。是非ご覧下さい。


北野武監督がカンヌ60周年記念で短編「素晴らしき休日」を披露!

2007年05月22日 | 現地レポート

5月20日(映画祭5日目)、カンヌ映画祭60周年記念イベントの『To each his own cinema』の記者会見が行われました。

カンヌ映画祭の会長ジル・ジャコブのアイデアで、世界の著名な映画監督35人に3分間の短編映画を作らせた特別企画です。
『劇場』という唯一のテーマだけで、各自が好きに短編を制作したのです。

勿論、今回映画祭で上映するまでは、他の監督が何を撮ったかも知らされず監督達が各自自由に進める、というコンセプトなのです。

日本からは、世界の北野武監督が参加して、「素晴らしき休日」(One Fine Day)という題名の作品が発表され、地元新聞社の記事によると、今回上映された35本の映画の中でも最も評判の良い5本に入ると報道されました。

しかし、この人数の監督が一斉に揃っての記者会見ともなると大変。通常の記者会見場では入らないので、ブニュエル会場というところで行われました。
会場に一人一人名前を呼ばれ監督達は舞台に上がり、好きなところに座って下さい、というカンヌ映画祭のアートディレクターのティエリー・フレモーの呼びかけに、皆バラバラに座りだしたのですが、なんかまるで小学校の集合写真の配置のようでした。

北野武監督は、舞台上でしばらく座る位置に迷った後、今回選ばれた35人の監督のうち唯一の女性監督のジェーン・カンピオン監督の横に小走りで近寄って着席していました!


アートディレクターのティエリー・フレモーは
「この世界の監督達は皆、役者を指導することに関しては天才だが、指導されるのは向いてないようで、本当にまとめるのは一苦労!」

と、そこに最後にちょっと遅れて入って来たアキ・カウリスマキ監督。
「やっぱり、思った通り最後に着席するのはアキ・カウリスマキだね。彼はその裏で飲んでたに違いない!」とティエリー・フレモー。


会見が始まり、北野武監督は今回の作品についてこう語りました。
「3分の映画は、予算は少ないが、2時間の映画を作る労力がかかる。」
「僕が最初に観た映画は『鉄道員』という悲しい話なんですが、兄貴と一緒に映画に行って、帰りに悪いやつに金をとられてね。だから『鉄道員』を思う度に気持が落ち込むんだね。」



しかし、この監督の集まりをまとめるのも大変そうだったけれど、このような記念企画だと、ジャーナリストの質問も微妙...

一人の監督に質問が集中しても困るし、しかし平等に皆が答える、というのも不可能。質問にも、あまりヴァリエーション出ず。

あげくの果てに、ロマン・ポランスキーとアトム・エゴヤンの二人の討論会が始まったり...
短編映画と言えば、ポランスキーが初期に作った短編作は有名ですが、やはり質問はポランスキーにやや集中ぎみ。
「よく、短編映画を長編映画の一部と勘違いしてる人がいるけれど、短編はひとつの完結したものでなくてはいけない。短編で誰かの人生を揺るがせるようなものは描けないのだから、観客を楽しませるような風変わりで完結したものであるべき。」

ジャーナリストのつまらない質問が続いた挙げ句にポランスキーは、
「こんなに素晴らしい監督が集まっているというのに、質問があまりにも貧しすぎる!あなたがたはコンピューターの使い過ぎで、物事をきちんと書いたり、考えたりする事を忘れて頭が悪くなったんじゃないか!もう、こんな会見は終わらせて、食べに行こう!」
捨てゼリフを吐いて退場!

さすがに、そんなポランスキーの呼びかけに賛同するわけにもいかず、最後まで会見は続き、最後に、「この企画をうけてあなたはどうして参加しようとしたのですが?」という質問に対し、ガス・ヴァン・サント「短編の依頼が来たら、やるしかない。」と簡潔な短い返事をし、司会者が、「短編についての質問に最適な短い返事で会見を終わりましょうね」とまとめていました!

会見が終わり、とてもゆるい仕切りで皆退場し始めたのですが、出口へ向う人混みの真横にウォン・カーウァイ監督がいたり、ずっと横にビッタリ歩いていた人をふと見上げると、ジョエル・コーエン監督だったり、不思議な情景でした!

ちなみに、今回の短編の中で、最も評判が良いのが、「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレス監督の「5,557 Miles from Cannes」と、「21グラム」、「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「Anna」だったのですが、この2人は最後まで記者達との雑談を和やかに続けていました。

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WOWOW ONLINE [CINEMA VOICE]では、
北野武監督のインタビューを掲載中。是非ご覧下さい。