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パフィンの生態

映画と美術好きなパフィンの感想を記録。香港映画が一番好き!

銀色のシーズン

2008年01月21日 23時31分51秒 | 日本映画
雪猿たちの友情も、寂れた町営スキー場に雪の教会で客を呼ぼうと
する町民の雰囲気も田中麗奈と瑛太の爽やかなロマンスも悪くないが、
一番の見所はプロスキーヤーによる滑走と迫力ある映像♪

『海猿』と比べるのは無理がある。海猿は厳しい訓練を受けている上、
責任ある任務を与えられるのに対して、”雪猿”たちはスキー場に
迷惑をかけているモラトリアム人間だから。彼らが変る姿がドラマの
軸となっており、田中麗奈演じる七海と瑛太演じる銀の演技が重要
壮大なドラマを期待せず、若い二人を見守る視線で鑑賞したので
満足できた

伊藤英明と海東健は自分で潜って、そのリアリティに感動した。
『銀色のシーズン』では瑛太や玉山鉄二の滑走はプロが担当。その
滑りを「スパイダーマン」のカメラクルーが参加した撮影隊が迫力
ある映像に仕上げた。
この雪山の映像だけでも観る価値あり

ただし、ウエディング・ドレスを見たとき、「Limit Of Love 海猿」を
思い出してしまうのはいただけない。「電話してる場合か!」と突っ込む
ほど大げさな演出はないけれど、「海猿」の監督という表現は逆効果では?


グミ・チョコレート・パイン

2007年12月30日 00時21分06秒 | 日本映画
ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督・脚本なので『時効警察』好きな
人向け。ゆるい笑いをまじえた展開、ラストにじ~んとくるカッコ悪
くて愛すべき青春回顧映画。疲れた心に効きます!!

失業し実家に戻った大橋(大森南朋)は高校時代に憧れていた人からの
手紙を読んで戸惑う。「あなたのせいなのだから」
当時のバンド仲間から彼女の自殺を知らされた主人公は当時を思い出そうと
するが・・・

高校時代の大橋を演じる石田卓也と憧れの彼女を演じる
黒川芽以始め、役者たちが良かった!カメオ出演も楽しかった☆

大森南朋が失業中で母親に叱られたり、呆た父親に手をやいたり、
どこにでもいそうな38歳を自然体で演じており、「クライマーズ
・ハイ」「ハゲタカ」とは違った役柄を見ることができて満足

パンクロック聞いたコトないのでバンドに関わる部分はわからない
けど、マイナーな映画観て「自分はクラスの連中とは違う」なんて
感じたコトはあるから高校時代の彼女の焦りに共感できた…

主人公が八ミリで彼女を撮影したり、バンドを結成したりするので
その辺りに心を熱くした観客もいたのでは?

コメディと呼べるレベルに達しないナンセンスな場面が度々出てき
て何度も笑ってしまった☆
下ネタもあるけれど、母親役の高橋ひとみの存在があるせいか
抵抗なく見られた。男の子って大変なのね、と思ったけどネ。

テンション低い映画だからこそ、不思議な題名の意味がわかるシーンや
手紙に書かれた「あなたのせい」の意味がわかるシーンでは感動!!
幾つかの伏線が集約されて心に染みてくる展開は「キサラギ」に似ているかも?

何人もの視点で見なければ、一人の人の実像には近づけない。まして
先ばかり見ている不安定な高校時代は”妄想”が先行してしまう。
「恥ずかしい時代」を思い出し、過去の仲間の”情報”から
彼女の真意に迫っていく物語のラスト10分が切なく温かい!

今年最後の映画がこれで良かった

椿三十郎 2007年

2007年12月07日 21時55分03秒 | 日本映画
森田芳光監督 2007年。黒澤明監督、三船敏郎主演の名作を
織田裕二主演でリメイク。コメディ仕立ての軽い時代劇☆☆☆

原作を見ていないので比較することもなく楽しめた。
「織田裕二=熱い男」というイメージを良い意味で壊す映画。
口は悪いが頭の回転が早く剣の腕前が確かな浪人が若い侍たちを
ひっぱっていく様子がコミカルに描かれている。

脚本はオリジナルと大体同じだそうで、森田監督はオリジナルの
ユーモアを前面に打ち出しコメディ仕立ての時代劇に演出したのでは
ないかしら?(オリジナルもユーモアたっぷりの映画だったと
教えていただきました。コメント欄参照してください。)

松山ケンイチ、佐々木蔵乃介始め登場人物たちが笑わせる要素を
持っており、お家騒動を収めるために活躍する三十郎さえ飄々とし
ている。殺陣はさほど緊迫感がなく、血が飛び散らないので私には
都合がよかった。オリジナルは違うようなので森田監督はリメイクに
あたって本格的な時代劇としてではなく、織田裕二の初時代劇に
ふさわしい作品になるよう軽い時代劇にしたと感じた。

オリジナルでは仲代達矢が演じた侍を豊川悦司が存在感たっぷりに
演じてラストを締めてくれる。ラスト5分だけがセピアがかった
色調で描かれ、オリジナルへの敬意を払っているようだ。

椿屋敷から流れる水の音が印象的で、漱石の映画化「それから」を
思い出した。森田監督には今後も活躍してほしい

冒頭、古めかしい字体で「椿三十郎」の文字、そして高らかに響く
トランペット♪この音楽はオリジナルと同じなのだろうか?

佐々木蔵乃介の出番がすごく可笑しくて何度も笑ってしまったが、
原作でもこんなに笑えるような演出だったのか?
「ラムの大通り」のえいさんが教えてくださいました。
ありがとうございます


ミッドナイト・イーグル

2007年11月25日 17時28分55秒 | 日本映画
北アルプス山中にステルス戦闘機ミッドナイトイーグルが墜落!
かつて戦場カメラマンだった西崎優二(大沢たかお)は
登山部後輩で東洋新聞記者落合(玉木宏)に強引に誘われて
立ち入り禁止の山に入る。

自衛隊が何者かに襲われるのを目撃、西崎は無線で義理の妹に連絡を依頼する。
慶子(竹内結子)は写真雑誌の記者として謎の男女に接近中だった・・。


雪山での自衛官佐伯(吉田栄作)と西崎たち三人の戦い、
東京での慶子の行動が交互に描かれ、クライマックスまでは
飽きずに見られた。
危機を脱したと思った後にくる「決断」には驚いた!
戦場カメラマンの経験が活きる瞬間で泣いている女性もいたが、
事故そのものが非現実的なので感情移入はできずに終わる。

吹雪きの山中で西崎たちが工作員と攻防を繰り広げるのかと思ったら違った。
盛り上がりに欠けるのは民間人二人と自衛官一人に対して工作員の数が
多すぎるためだろう。工作員の目的や背後にあるものも曖昧なので「闘い」というより「自滅」に見えた・・。日本の無防備さを描くのが目的?

大森南朋が何の役か楽しみにしていたが五分程度の出演で残念!
いっそ工作員のリーダーでも演じたら謎めいた存在感を示せ、
映画にもリアリティを多少持たせられたのでは?
背後の組織が全く描かれていないので事故そのものも信じられなくなる。
「亡国のイージス」と比較するとスケールが大きくなった分だけ
アクションや人物描写に物足りなさを感じた。

大沢たかおはトラウマを抱えるカメラマンとしても
義理の妹に託した息子の父親としてもカッコいいし、
吉田も適役。雪山の風景が美しい。

ALWAYS 続・三丁目の夕日

2007年11月06日 21時20分37秒 | 日本映画
2007年、山崎貴監督。2005年に上映されロングランを記録した
『ALWAYS三丁目の夕日』の続編。キャストもスタッフも同じなので
懐かしく安心して楽しめた☆☆☆

このシリーズの最大の魅力はCG技術によって昭和30年代の東京を
再現した点。前回は都電や昔の車が走る様子や東京タワーが出来上がる
様子をスクリーンで観て感動したものだ。

続編では日本橋や羽田空港が再現されたり、東海道本線の普通列車と
特急列車、車窓からの風景を見たりできる。

物語は鈴木オートに預けられる女の子に絡む一平や家族の逸話に和み、
茶川と淳之介とヒロミの行く末にハラハラし・・笑って涙する展開。
堤真一をはじめとする配役が抜群だからか、ベタな話でも心に染みる。
普通の人が主役のドラマで心が温まるのは最高


三人の子役は個性的でよいし、大人たちも各自の人生を受け入れながら
前向きに生きていて気持ちがよい。そんな大人にまじって一人、大人に
なり切れない茶川の「純情」が光る演出。

「キサラギ」の脚本を担当した古沢良太が今回も参加しているだろうか。
登場人物に人間味がある点が「キサラギ」の面白さだった。似たものを
「ALWAYS・・」の脚本にも感じる。少ない台詞で人物の心情および背景を
浮かび上がらせる脚本。言葉だけでなく俳優の演技によって観客の心を
動かす映画が好みなので「キサラギ」も「ALWAYS・・」も好き☆


「ひと並みの暮らし」をさせる事を条件に淳之介を渡さない茶川。
精一杯やっているのに淳之介に心配かけ、勇気がなくてヒロミを
迎えにいくこともできない。水道の水で頭を冷やしながら
壁を叩く姿が不器用、無口な茶川を象徴している。
自分の職業を恥じ、黙って姿を消すヒロミも不器用な人。
謙虚であるコト、自己中心でないコト好きだな~。

短気だが男気のある鈴木と戦友との逸話も良い
六子の幼なじみの逸話も変化をつけるのに効果的。

「世の中には金で買えないものがある」今回、心に残った台詞。
今も昔も「本当に大切なもの」は金では手に入らないのでは?

前回は淳之介の健気さに泣かされたが、続編では一平君の気持ちが
いじらしい。前回に続き、六子の成長も頼もしい。
やっぱり好きな映画


スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ

2007年09月22日 22時03分24秒 | 日本映画
三池崇史監督による日本版ウエスタン映画、上映中
俳優の決めポーズを見て楽しむ歌舞伎の舞台に似た娯楽映画☆

スキヤキが牛肉と豆腐=東洋と西洋の合体であるように
源平ギャングが刀と銃を使って闘い、保安官と用心棒と酒場の
女が洋服、日本家屋の襖絵は刺青の柄!と意表をつく演出。
英語で喋る必要はないと思ったが、愛嬌ってことで・・。


義経役の伊勢谷友介のカリスマ的な美しさ、
未亡人役の木村佳乃の妖艶な演技に驚く!
(子供は連れていかないように!)


清盛役の佐藤浩市は憎まれ役、二重人格の保安官役の香川照之は
道化を期待通りに好演。最も印象に残る役は意外な人物が担当!
冒頭シーンと上手くつながり、クライマックスの決闘への流れを
作っていた。


あまりに脇役が目立つために主役に見えない伊藤英明の
役柄は、寡黙で悲しい過去をもつ流れ者。
拳銃さばきがかっこいい
「デスペラード」のバンデラスほどマッチョ&セクシーではない
スキヤキウエスタンの主人公は豆腐と野菜が担当なのだ、たぶん。


お金をかけて作ったB級娯楽映画と呼べばいいかな。
正義なき闘い、物語も適当、グロテスクかつ笑える殺し方。
所々の映像が美しく(北斎風の冒頭シーン、バラの花が開くシーンなど)
最期の決闘シーンは見応えあり!!
義経の説く”もののふ”論も面白かった。


ロドリゲス監督の「デスペラード」がメキシコ色に染まった
復讐劇として完成しているのに比べると、日本らしい音楽が
風化しているのを知らされる。北島三郎の歌良いです

河童のクゥと夏休み

2007年08月01日 00時55分29秒 | 日本映画
夏休みに親子で鑑賞するのに適切な映画☆
河童のクゥと少年の交流を軸に、イジメを受けている少女や
悲しい過去をもつ飼い犬オッサンの逸話を絡め、人間にも自然にも
優しい生き方を暗示する。楽しく観られて心温まるアニメです♪
原恵一監督、2007年、上映中!


東京郊外に住む平凡な家族。動物好きな小学生の兄と甘えん坊の妹。
ある日、学校がえりに少年が川原で見つけた”化石”を水で洗ったところ
手が生えてきた!それは江戸時代の地震で埋まった河童だったのだ。
河童はクゥと名付けられ少年や家族と親しくなるが、やがて近所の噂になり
マスコミの過激な取材が始まる。困った家族はクゥの存在を公開するのだが・・。
******************

前半は河童のクゥと家族の交流をコミカルに描き、笑わせて
くれる。江戸時代から現代にやってきたクゥの目線で見る
風景は無機質で、”人間だらけ”なのだ。

竜神池が埋めたてられ帰る場所がない河童のクゥのために
河童の仲間を探しに行った遠野の野や川で遊び、生き生きする少年の笑顔、

少年の同級生でイジメられている少女の諦めた表情、
飼い主の暴力から逃げて少年の家で飼われている犬オッサンの胸の内、

少年と河童の冒険に、イジメの被害者にあたる少女と犬の心の動きを
加えることによって、この映画は子供が見ても、大人が見ても
心の琴線に触れる奥行きのある物語になっている。

物語のクライマックスにあたる東京タワーのシーン、
オッサンの男気あふれる言葉が耳に焼きつく。
オッサンの元の飼い主やクゥに対する思い遣り・・・
相手の立場を想像する気持ちを持てるなら
イジメはなくなると願う

家族に迷惑をかけまいとするクゥ、世話になったことに感謝し、
救われた命を大事にしようと新天地を目指すクゥの姿は爽やかだ。

命の重み、家族の有り難さ、自然との共存の必要性を
説教くさくなく教えてくれる良い映画だと思った

キサラギ

2007年07月27日 20時29分42秒 | 日本映画
映画というより芝居を鑑賞したような一体感を得られた☆
単館上映中、ゆるすぎず、テンション高すぎず好感もてる映画!

自殺したアイドル如月(キサラギ)ミキの一周忌、ファンサイトで知
り合った5人の男たちが繰り広げる笑いと涙とちょっぴり感動の
密室サスペンス・コメディ♪


「Always 三丁目の夕日」の古沢良太が書き下した巧妙な脚本が
5人の俳優の絶妙な演技によって、最後まで楽しめる娯楽映画に仕上がった
会話と回想シーンのみで展開していく低予算映画だが、勢いがあり、
観客が心から楽しめる。好みの映画

前半は男たちのHNが笑いを誘う。オフ会に参加したことがある人なら
経験しただろうドキドキ感からミキの自殺の原因を巡っての本音の会話へ
劇的な変化全く飽きることなくラストに突入
5人の性格や職業などの設定が緻密に計算されている脚本が良かった。
この特殊な映画を成功させた俳優たちに敬意を表したい!

家元=小栗旬
スネーク=小出恵介
安男=塚地武雅
オダ・ユージ=ユースケ・サンタマリア
イチゴ娘=香川照之


声と姿勢が良い小栗旬と香川照之の怪演に特に驚いたが
5人の個性がそれぞれに引き出され魅力的

映像重視の映画を観たあと、この映画のような脚本と演技だけで
成り立っている映画を観るのは新鮮な気分だった。
密室での会話と動作に拘り、回想シーンはあえて安っぽい作り
そのバランス感覚が素晴らしい。

ゲゲゲの鬼太郎

2007年05月08日 15時02分36秒 | 日本映画
水木しげるの原作を映画オリジナル脚本で実写化。
オリジナルの妖怪大好きな大人には物足りないだろうが、
目玉おやじが動く姿だけで、感動してしまった!

物語は単純で子供向け。ねずみ男が盗み出した妖怪石が人間の手にわたる。
妖怪石を狙う狐の妖怪に狙われる少年とその姉(井上真央)をかばった鬼太郎が
妖怪裁判にかけられるが・・。

ねずみ男(大泉洋)はアニメに見えてしまうほど似合っており、
鬼太郎(ウエンツくん)はかっこよすぎ!(でも許す)
前半、ねずみ男の演技や鬼太郎と狐たちの戦い、猫娘(田中麗奈)の活躍など楽しめたが、中盤に少年が父親から石を渡された後、窮地にたたされた鬼太郎に渡そうとせず、亡くなった父に会わせるため黄泉の国に連れていく辺りが失速。
おかしいはずの列車のシーンで寝ている人も・・・。

ここを乗り切ると狐のボス、天狐(小雪)の美しさや子狐に変身するシーン、
稲荷神社のくだりは楽しかった。
油揚げ備えていいのかしら。猫が食べにきそうだけど(笑

妖怪石を取り戻した後、目玉おやじが子供たちに花を送り鬼太郎の記憶を
消したため、鬼太郎の写真までも消えていく場面が少し切ないわ。
妖怪人間べムを思い出した。人間とは友達になれず、次の街に・・・。

映画の最後、墓の下倶楽部で妖怪たちが踊るシーンが笑えた。「妖怪大戦争」よりお色気は減り、子供向けになっていたが楽しめた
日本の特撮も進歩しているんだな~と感心。一方、漫画には漫画の持つ
魅力があるので、映画とは別物だと思った。

アンフェア 劇場版

2007年03月29日 22時53分37秒 | 日本映画
テレビドラマを見ていなかったが、映画だけでも楽しめる。
警視庁捜査課だった雪平(篠原涼子)が公安に異動になっており、
上司(江口洋介)は以前の上司とは違って単独行動に対して寛大。
「終りよければ・・」最初の事件の台詞が映画のラストに重なる。

雪平の車に仕掛けられた爆弾により、友人が死亡、娘が豊洲警察病院に入院する。謎の集団が病院を乗っ取り、警察の裏金を送金しなければ、東京に病原菌をまくと脅迫する。警察は抵抗するが警察の行動が読まれており・・。

椎名桔平、江口洋介、加藤雅也をスクリーンで観たかったので出かけたが、
カットが劇画っぽく、映画でなくても大丈夫な作品だと感じた。
台詞や衣装がかっこいいのも劇画風だった。
江口洋介かっこいい~