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パフィンの生態

映画と美術好きなパフィンの感想を記録。香港映画が一番好き!

アメリカン・ギャングスター

2008年02月27日 17時23分10秒 | 映画全般
リドリー・スコット監督らしい骨太かつ繊細な映画♪
二人の男の生き様を交互に描き、2時間半の長さを感じさせない
見応えある映画だった☆☆☆☆

舞台は1970年代前半ニューヨーク。
ベトナム戦争を利用して暗黒街で成功した男フランク(デンゼル・ワシントン)
暗黒街と癒着した警察内部で浮いた存在だったが地道な捜査でフランクの
密売ルートを探る警官リッチー(ラッセル・クロウ)

暗黒街と警察…癒着を嫌い一匹狼のように行動する男二人が対決した時が
印象的、ラストも渋い!

時代の空気を感じさせる衣装、音楽のおかげで馴染みのない世界に
すんなり入っていけた。監督らしい丁寧な演出は好み

銃撃戦もアクションもないけれど、俳優の演技がリアルなので
臨場感を味わえる。脚本も撮影も編集も一流で安心して
観ていられた。

なぜアカデミー賞作品や監督賞にノミネートされないのかなぁ。
昨年のスコセッシ監督より良質なのに

テラビシアにかける橋

2008年01月31日 21時20分55秒 | 映画全般
絵を描くのが好きな少年が隣に越してきた活発な少女と二人で
森に空想の王国テラビシアを作って遊び、現実の困難をも乗り越える心を
もてるようになるまでを描いた感動的映画☆☆☆


CGを極力使わない撮影とごく普通の家庭や学校を舞台に子供たちの不満や
憧れなど細やかに時にコミカルに描きながら現実と対峙する姿も
見せてくれる。人物設定が上手い!!

姉二人、妹二人と両親。ジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)は
親にかまってもらえず、音楽の先生に憧れていた。どちらかというと
苛められっこのジェスの楽しみは空想の動物を描くこと。
隣に越してきた活発な少女レスリーとの友情を通して心を開き、
彼女を手本に行動的になるのだが・・・

子供たちが成長する姿を繊細に、爽やかに描いた映画

『チャーリーとチョコレート工場』でガムかんでいたジャージ少女
(アナソフィア・ロブ)が小説家を両親にもつ大人びたレスリーを好演
彼女の輝く笑顔が胸に焼きつく☆

大人は子供たちを見守る立場に徹しており、子供たちの台詞と行動で
物語を展開させる脚本が秀逸!!
レスリーの言葉をジェスが妹に言って終わるラストに感動した。
”Close your eyes .Keep your mind open!"

大人にも子供にも観て欲しい良質な映画です。
上映館を増やして、もっと多くの人に観て欲しい


ジェシー・ジェイムズの暗殺

2008年01月16日 20時50分36秒 | 映画全般
色や音楽が最小限に抑えられたアート系映画。伝説の強盗
ジェシー・ジェイムズと彼を銃殺した青年の出逢いから最期までを
淡々と描いた意欲作だが、中弛みしていたのが残念!

ブラッド・ピットが制作に関わった作品だけあって彼の演技は圧巻
伝説の強盗の凄味、逃亡に疲れた焦燥諦観…台詞が少なく存在感がある。

強盗に加わった仲間との絡みを多少削っても展開上問題なかったと思う。
兄弟以外の男たちは脚本で処理して上映時間を2時間以内にすれば、
暗殺以降の話に集中できて、この映画の面白さを味わうゆとりが、
生まれただろう。

映画の本当の主役はジェシーに憧れた19歳の青年だったコトが、
映画の見所なのだから集中力を途切れさす長さは残念。ジェシーに
憧れながら殺さなくてはならず「臆病者」と呼ばれた青年を
ケイシー・アフレックが繊細に演じている。
彼の不気味な話し方、晩年のジェシーとの関係など丁寧に作られた映画。
編集さえ上手くいっていればお奨め作品になっていただろう。

この長さではブラット・ピットの最期、その後の興味深い部分を味わう
までに疲れてしまう!残念です


再会の街で

2008年01月05日 17時58分00秒 | 映画全般
20年ぶりに大学のルームメイトと再会した二人の男の心の交流を
ユーモアを交えて描いた男性向けの人間ドラマ。単館上映中♪
Reign Over Me 2007年、アメリカ映画。

NYで歯科医として成功したアラン(ドン・チードル)は街角で大学の
ルームメイトだったチャーリー(アダム・サンドラー)と再会する。
チャーリーは飛行機事故で家族を失い心を閉ざしていた。

ゲームや音楽や映画に逃避しているチャーリーをアランは同じビルで
開業しているセラピスト(リヴ・タイラー)に紹介するのだが…


コメディの印象が強いアダム・サンドラーがシリアスな役を
演じている。ヘッドホンで音楽を聴いて外界をシャットアウト
している孤独な男を熱演

アランやセラピストとの会話を通してチャーリーの心の痛みの原因を
明らかにしていく丁寧な展開に好感持てる。が・・アランに嫌がらせ
していた美女が、いつのまにかチャーリーの裁判を応援し、
最後はチャーリーの希望のように位置付けられた所でリアリティを
感じられなくなった

静かな画面からチャーリーの悲しみが伝わってきて共感できる物語
だっただけにラストで失速してしまったコトが残念だ


2007年観てよかった欧米映画

2007年12月31日 22時52分15秒 | 映画全般
1『パリ、ジュテーム』各国の監督がパリ市内の一区をロケ地に
選び六分程度の短編映画を撮影。短編なのに監督の個性が出ていた!
『パフューム』のトム・ティクヴァ監督も参加。


2『ボーン・アルティメイタム』シリーズ三作めにして最高というのが
嬉しかった。本物のアクションを丁寧に撮影することの大切さを
実感させる作品!!


3『パフューム ある人殺しの物語』トム・ティクヴァ監督の卓越した映像センスとベルリンフィルの音楽によってグロテスクで非道かつ理解不能な物語なのに
引き込まれた。映画の醍醐味を味わえる映画。


4『ボルベール 帰郷』ペドロ・アルモドバル監督がペネロペ・クルスの魅力を
堪能させてくれた。鮮やかな色彩とあっさりしたラストが気に入った。


5『ラブソングができるまで』落ち目のポップ歌手が歌詞を作って
くれた女性との出会いで変わっていく様子を楽しめるゴキゲンな映画☆
ヒュー・グラントのダンス必見!サントラ購入。

6『ボビー』アメリカ大統領候補が暗殺された当日、ホテルにいあ
わせた人たちの希望と諦観、衝突と和解を群像劇として描いた秀作。

7『主人公は僕だった』奇妙な設定ながら、緻密な色彩の変化と
普通の暮らしが幸せだと気づかせてくれるマーク・フォスター監督らしい
温かい視線が好き。

8『ホリディ』キャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレットが
失恋をきっかけにホーム・エクスチェンジ☆
環境が変れば新しい自分と会える。他人に優しくしたくなる映画!

9『ヘアスプレー』前向きなヒロインと心も体も大きい彼女の
母親(ジョン・トラボルタ)が踊りながら立ちはだかる壁を乗り
越えていく姿に感動。

10『ドリームガールズ』十代の頃、コーラスグループを結成し、
夢がかなうにつれ、心がすれ違うが、挫折したとき絆を取り戻そうと
する女たち。鳥肌のたつ歌とオシャレな舞台に魅せられた。

★特別に・・
リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』を観て
25年前の作品とは思えない斬新さに驚きました。
未見の方は是非、DVDご覧になってください。

2007年観てよかったアジア映画と日本ドラマ

2007年12月31日 22時40分21秒 | 映画全般
1『河童のクゥと夏休み』原恵一監督によるアニメは大人も子供も
一緒に観られる奥行きのある作品。お奨め☆

2『キサラギ』古沢良太脚本と俳優の熱演が生み出す温かい空間。

3『それでもボクはやってない』周防監督によるユーモアを交
えた社会派映画。

4『プロジェクトBB』ジャッキーが親不孝の泥棒を演じた香港映画。

5『バッテリー』あさのあつこの小説を映画化、中学野球の投手を
見守る祖父役、菅原文太が味わい深い。

★以下、順位関係なく観てよかった映画。

『グミ・チョコレート・パイン』ゆるい笑いの青春回顧映画。

『墨攻』中日韓国・香港の共同制作、アンディ・ラウとアン・ソンギの
対面シーンが印象的。共同制作された近年の映画の中で説得力があった作品。

他にも意欲的な映画『呉清源』や俳優の演技が際立つ映画『傷だらけの男たち』があった。

★今年はテレビドラマに見応えのあるモノがあった!
『風林火山』舞台俳優たちが戦国武将を演じて目が離せない緊迫感。
美術や脚本、撮影や音楽も好みだった☆

『ハゲタカ』原作とは違う切口で現代の企業倫理と働く意味を考え
させる骨太なドラマに仕上がっていた。大森南朋他、出演者も脚本、
音楽も良かった。夏の再放送も観た。

『SP』岡田准一がアクションをこなし、深夜枠ながら評判になった
ドラマ。同じ俳優で続編または映画化を希望!来年に持ち越しに
なりドキドキが続く

香港で観てきた『投名状』(ジェット・リー、アンディ・ラウ、
金城武共演)が大変、よく出来た映画だったので2008年に
日本で公開されたら再度、じっくり鑑賞したい

エンジェル

2007年12月11日 23時22分09秒 | 映画全般
フランソワ・オゾン監督、2007年、ベルギー・英仏作品
1900年初頭のイギリスを舞台に一人の女性の夢と皮肉な運命を
描いた映画。監督の意欲とロモーラ・ガライの演技に拍手☆☆☆

想像力たくましい少女エンジェルは人気作家になり、憧れていた
豪邸”パラダイス”を手に入れる。上流階級のように暮らし、
一目惚れした画家とも結婚したエンジェルだが・・・

上流階級に憧れ、夢を実現したかのようにみえたヒロインを
待っていた宿命が悲惨で胸に突き刺さった。

嘘つきで自己中心なエンジェルを嫌な女として観ていたのに、
映画の後半、暗雲が垂れ込め、決定的な現実に打ちのめされる
エンジェルの姿には不覚にも涙が・・。

前半ジェットコースターのような展開だっただけに、
彼女が現実と向き合った瞬間の重みが増すのだろう。
そういう計算をしていたとしたら監督の演出はたいしたもの!

甘い夢の後の苦い現実…
まさに「事実は小説より奇なり」

この物語を選んで映画にした監督の企画力と
エンジェルを演じたロモーラ・ガライの熱演に拍手

「ダンシング・ハバナ」「タロットカード殺人事件」に
続いての鑑賞となった。
「タロットカード殺人事件」ではスカーレット・ヨハンセンを
ロンドンの家に泊まらせる貴族の娘の役だったが、今回は
貴族に憧れた娘の役。
キーラ・ナイトレイと共演する作品も撮影完了とか。

男性客が半分いたのは監督のファンかなぁ…
ハリウッド映画へのオマージュと言われても、その当時の映画を
観ていないせいか、美術がイギリスらしくないと感じた


ブレードランナー(ファイナルカット)

2007年12月03日 02時09分08秒 | 映画全般
公開から25年、リドリースコット監督によるカット版に更に手を
加えてファイナルカットとして公開された作品をバルト9で鑑賞。

『AI』『アイランド』のロポットやクローンの実写は感傷的だっ
たりグロテスクだったりして好きとは言えない。『マトリックス』
『ゴーストインザシェル』はカッコ良すぎて心に残らない。

『ブレードランナー』は宇宙コロニーから脱出したレプリカントを
追う刑事とレプリカント秘書の交流、記憶を移植され奴隷として
働いてきたコトに動揺し「生みの親」と対決しようとするレプリカント
の哀しみを無駄のない展開と独特の美術や音楽で描いたリドリースコット監督の
センスに脱帽した☆☆☆☆


写真を拡大する時、声で指示するシーンに原作の先見性を感じ、、
レプリカントが目に執着する心理に不気味さを感じ、
レプリカントを追う刑事であるブレードランナー役の
ハリソン・フォードの若さに驚く!慣れてくるといつもの彼(笑)

最も心に残るのは人間より優れた能力を持ち、次第に感情が芽生えて
くるレプリカントがその時点で(人間に近くなった時)始末される
らしいという残酷な仕組み!!
その事を悟ったレプリカントたちが運命に歯向かい、
力尽きても、鳩を逃がす寛容な姿に切なさがこみ上げる。

宿命を受け入れ、命を敬うレプリカントのリーダーの最期は
SF映画のどんな人物より映画好きの心を揺さぶったのでは?
ルトガー・ハウアーは初めて見た俳優だが強烈な印象を残す演技☆

映画のラストは各バージョンごとに違うのだろうか?
今回はレプリカントを逃がそうとするエレベータが閉まった時
エンドロールになった。その直前、通路に置かれたユニコーンの
折り紙、そして刑事が夢でみたユニコーンの映像は、
彼もまたレプリカントであることを象徴していると
教えてくださった方がいた。

多くの映画ファンを魅了した「ブレードランナー」を上映から
25年後に初めて観ることができて幸運だった!!

冷たく暗い未来都市と猥雑で熱気にあふれた下町が混在する画面、
レプリカント製造にチカラをかしているセバスチャンの部屋で動く
不思議な人形(ロボット)や着物の女性の広告、長唄など細部に
まで監督のコダワリが感じられる作品




ボーン・アルティメイタム

2007年11月14日 23時04分08秒 | 映画全般
マット・デイモンが記憶喪失の諜報員ジェイソン・ボーンを演じて
アクションもできるコトを証明したシリーズ最終作?2007年、
ポール・グリーングラス監督。ロンドン、マドリッド、モロッコ、
そしてニューヨークでの臨場感溢れるアクションが魅力☆☆☆


『ボーン・アイデンティティ』では記憶喪失状態で逃亡し、親切な
女性の車で追っ手をかわす所まで。

『ボーン・スプレマシー』では記憶喪失のままインドで恋人と暮ら
していたが彼女を殺された後、自分の正体を探り始め、暗殺者だったと
知る所まで。

そして今回、ボーンの生みの親CIAを相手に戦いを挑む。謎に迫るに
つれ徐々に記憶が蘇る様子が上手く挿入されていて単なるアクション大作
以上の人間味のある映画に仕上がった。

予告編でボーンが窓に跳び込むシーンやCIA内部に侵入している
シーンを観ていたが、その前後のアクションやカーチェイスが凄く
迫力があるのでラストまでスクリーンに釘づけ

駅の人混みでの攻防やモロッコのタンジュールでの屋上を走ったり
狭い場所でタオルを使って闘ったり、ニューヨークで車ごと
落下したり・・・香港映画並みの切れのあるアクション
最初から最後まで飽きさせない見事なアクション構成に感動


美人女優を使ってない点とマットの知的な演技にリアリティを感じて
初めから好きな作品だったが、ポール・グリーングラス監督による2作目から
アクションに迫力が増した上、ボーンの苦悩も描きこまれて一層好きに
なった。3作めが一番面白かったシリーズは貴重


台詞が少ない分、俳優たちの演技が試される。ボーンを見守っているような
ジョーン・アレンが良かった。勧善懲悪ドラマになっていないのは
ドキュメンタリー畑出身の監督のバランス感覚か?



タロットカード殺人事件

2007年11月10日 18時13分55秒 | 映画全般
ウディ・アレン監督・脚本・出演、2006年イギリス、SCOOP
スカーレット・ヨハンセンがスクープを狙う学生役で新しい魅力を
見せてくれる洒落たコメディ。ウディ・アレンはヒュー・ジャックマンより
スカーレットと一緒にいる時間長い!映画の始め方と終り方がユニーク☆☆☆

ロンドンの連続殺人事件の容疑者を「ある人物」から教えられた学生が
貴族で裕福な青年に近づいて身辺を調べるが…
物語の内容は一切知らないで鑑賞するコトをお奨めします。

セクシーな役や華やかなイメージが多かったスカーレット・ヨハンセンが
眼鏡をかけた普段着姿が新鮮!ブルックリン出身の主人公がイギリス貴族で
青年実業家(ヒュー・ジャックマン)に計画的に近づくものの本気で好きに
なってしまう普通の女の子の役を軽妙に演じている。

ウディ・アレンは彼女の探偵ごっこにつきあわされる役を楽しそうに
演じている。この二人の会話が可笑しい
二人とも貴族とは縁遠い存在という設定で、身分を偽って貴族の
田舎の別荘やロンドンの会員制クラブに侵入するシーンでは
観客の覗き見気分を満たしてくれる。

ヒュー・ジャックマンの出番は少ないが紳士の役がお似合い
主役級の役者の存在感があり、映画を引き締めている。
「マッチポイント」と同様、都合よく物事が展開していくが、
サスペンス・コメディとして楽しく観られた。