カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

何者かになる者達

2020-05-04 00:35:00 | スポーツその他
カレーです。

昨年のゴールデンウィークは楽しかったな…

等と、
プロレス関連の配信を見るたびに、
一方では今楽しませてもらってることに感謝しつつ、
一方では楽しくて忙しかった時間に思いを馳せながら憂うという、
非常に鬱陶しい人類に成り下がりつつある今日このごろ。

それでも、DDTが配信によるTVショーのシリーズを開始し、
またこの自粛期間に革新的アイデアを次々かたちにしたチョコレートプロレスでは、
5/3〜5に配信三連戦を開催。

全日本プロレスやプロレスリングNOAHもまた
無観客ながらも試合を続け、
大阪ではビリーケン・キッド選手が「プロレス教習所」を立ち上げ
試合(と、笑いヨガ)をお届けしたり、
名古屋では影山道雄選手が(ジ・インテリジェンス・センセーショナル・グランド・パッションマスク)4(号)様と
ロリマンプロレス無観客ワンマッチを敢行するなど、
様々な団体、様々なレスラーが、様々な土地から世界に、ファンに、
プロレスを届け続けようとしてくれています。

なので、その熱をその場で感じるという…
今この情勢においては最大限の贅沢はできなくとも、
試合の熱をリアルタイムに感じることができるし、
“この試合があるから、この日まで生きよう”
という…ある種の個人的な日常を保つことができています。
ありがたい。

さて、

目下の私にとっての“この日まで生きよう!”の目標日程は、
5月5日こどもの日。

楽しみにしているのはもちろん、チョコレートプロレス11、
水森由菜vs藤田ミノル。




この試合が決まった背景については、
大変心苦しくもありますが、思い切って大幅に省略します。

およそ2時間半に及びますが、さくらえみ選手が藤田ミノル選手を相手に、
そのレスラー人生の変遷に係るインタビューが敢行されており、
その中で、本来この2020年5月5日、
藤田ミノルが戦うはずだった、一つの“挑戦”について言及されています。



その挑戦とは、大日本プロレスデスマッチヘビー級選手権試合。
“デスマッチドラゴン”王者・伊東竜二との初シングルとなる、
文体メインイベント。

この一つの“大きな挑戦”がしかし、
この日このタイミングには結果実現することはなくなってしまった。
…おそらく延期となるため、本来的には“なくなった”わけではないかもしれません。
ただ、この先の状況が見えない中、具体的に“いつ”が定められない今、
やはり、一つの喪失感は感じざるをえないところでしょう。

その“なくなった”時間を埋めるように、さくらさんが提案したのは、“挑戦”。
その挑戦こそが、vs水森由菜のシングルマッチでした。

水森由菜と藤田ミノル、確かに縁のあるカードではありますが、
しかし2月に一度実現し藤田ミノルが勝利しており、
このカード一つとってして藤田ミノルの“挑戦”とは言い切れません。
そこでさくらさんがさらに突きつけたルールが、ラスト・マン・スタンディング。
しかも、(当たり前ですが)ノーピープル、
ノーレフェリーによる、ワンマッチ。

ある意味ではめちゃくちゃでもある条件を突きつけられるたびに、
藤田ミノル選手の表情からは、声色からは、
ドンドンドンドン温度の上がって行くような気配が感じられました。
そしてこの“挑戦”を受け「燃えてきました。伝説を作ります。」と。
この試合を快諾することとなりました。



……
………「省略する」って言ったわりには割ときっちり書いてしまいました。

さて。

またここで個人的な見解で大変恐縮ですが、
プロレスは「解釈のスポーツ」という側面があると思います。

試合展開ももちろんのこと、選手の言葉や試合のタイミング、巡り合わせを、
語られたこと、語られていないことを繋ぎ合わせたりしながら、
(誰もそんなこと言ってないのに勝手に)「解釈」し、想像することが、
その楽しみの一つだ…
と、いうのが個人的な一つの持論です。

で、ここからは私の勝手な解釈のお話なので、
それぞれご本人からしたら“何を勝手なことを”とか“ふざけんな”という部分が
まるでないとは言い切れないと思いますし、
若干それぞれの言葉の読み込みが足りないので、
ちょっと上っ面すぎる話かもしれません

…という予防線を張りながら、少し言及したいと思います。



そもこの稿を立ち上げたのは、
週刊プロレスmobileに寄せた水森由菜選手のコメントを興味深く思ったからです。

有料ページになりますため引用はしませんが、
特に目を引いたのは、さり気なく記されていた駿河メイへのコンプレックス、
そして、そんな中で自身を“見つけて”くれた、藤田ミノルに対する感謝。



水森由菜選手は、2018年2月28日にデビュー。
そもそもは前年9月の新宿FACE大会でデビューする予定でしたが
怪我のために延期となり、巡り巡って満を持してのデビュー戦は、
個人的には今までみたデビュー戦の中で5本の指に入るほど素晴らしい戦いぶりでした。

我闘雲舞の管理するアジアドリームタッグベルトを、
SAKI選手との“トロピカワイルド”でデビューイヤーにも関わらず
手にするなど目覚ましい活躍で、ともすれば何かしらの新人賞を手にしても
おかしくないほどでした。
が、
現実により注目を集めたのは、自身がコメントに記していたとおり、
3ヶ月後にデビューした“同期”駿河メイ選手。

そのセンセーショナルな戦いぶりは、
方やネット・プロレス大賞2018新人賞10位、方や24位という結果で示されました。


…まあ、そもそも両者ここのランキングに食い込んだ時点で凄い気もしますが。

個人的にも、2018年の投票で1位を駿河メイ選手に投票し、
水森由菜選手には票を投じませんでした
(タッグ部門で入れたから、とかそんな理由だった気がする)。

水森由菜デビュー3ヶ月、駿河メイデビュー2週間くらいのタイミングで
両者のシングルマッチが市ヶ谷で行われたのですが、
その試合が個人的に大変印象に残っていてですね。

デビューからまだ間のない両者のあまりに淀みのない戦いぶりに、
(なんだこの新人たちは…)
と、圧倒されたのを覚えてます。

そう、二人とも凄い新人でした。

でも、他団体から、そして票を集めたのは、駿河メイでした。

…そのことを水森さんがこれまであまり言葉にしてきた記憶はありませんが、
でも、敢えてここで言葉にしたことは、
とてもとても意味があることなのだと解釈しています。

そして個人的には、2018年の新人賞に票を投じてなかったことへの後悔を、
この文章を読んで改めて思い出しました。
(結果、2年目の水森さんが凄かったので2019年の1位に票を投じることにはなりましたが。遅い。



名古屋スクールオブ闘争でもそうでしたが、
とにかく、水森由菜選手のエネルギー…わかりやすく言えば“野心”は本当に物凄い。
なんなんだこの人は、と、ただただそのエネルギー量に感心することがこの増えてます。

そしてその“野心”を…藤田ミノルに向けたとき。
多分、2月の試合のあとだったと思いますがちょっと記憶が曖昧です。
ただ、水森さんがこんな言葉を使っていたと思います。

「何者かになりたい」

…個人的に、あくまで個人的に、ですが。

この言葉で二人のプロレスラーの人生が、
リング(マット)で交差したことが、
大変腑に落ちた記憶があります。



「俺はまだ、何者でもない」



遡ることちょうど一年ほど前、
藤田ミノルはこの言葉を、後楽園ホールのリングで叫びました。
“人生を投映した”試合の熱と、
おそらくは観客への感謝と、
ありったけの怨嗟を込めて。

“デスマッチのカリスマ”葛西純とのKFC王座戦に敗れたこと、
そしてその葛西純との人生を賭した戦いを以てしても、
満員にはなれど、超満員とはならなかった後楽園ホールの光景を前に、
激闘を終えた20年選手はそれでも自身を“何者でもない”と言い切ったことは、
その激情とともに脳裏に刻まれています。



…また、これは単なる偶然だろうし、
おそらくあまり蒸し返すことでもないのでしょうが、
バックステージコメントで、前日にこの会場を超満員にした
アクトレスガールズ後楽園大会を揶揄し、
そして観客動員数という結果で敗れたことについても、
藤田ミノル選手は言及していました。

その、アクトレスガールズ後楽園大会で、
“トロピカワイルド”としてセミファイナルを戦っていたのが、
水森由菜選手。

今回の対戦に直接の関わりはないわけですが、
でも、このことは、藤田ミノル選手にとって5.5の対戦が“挑戦”であることの、
一つの因子であるようにも思います。



“何者かになる”ことの定義が、二人の間で同じかどうかはわかりません。
ただ、少なくとも藤田ミノル選手にとっては、プロレスの興行においては観客動員…
もう少し柔らかい言葉で言えば、“より多くの人間を惹き付けること”が、
“何者か”であるための一つの条件であるように思います。

となればこの試合、当たり前に水森由菜と戦い、
当たり前に勝つだけでは、おそらくは“挑戦”にそぐう結果とはならない。
「伝説を作る」と述べたとおり前代未聞の状況で前代未聞の試合形式の中、
世の中に、多くの人に“届く”試合をすることを、
それはYouTubeをプラットフォームとするチョコプロだからできることだし、
何より、おそらくは、水森由菜という対戦相手であるから、
“できる”と。
多分、
藤田ミノル選手は考えてる…
…の、ではないかと想像します。

一方の水森由菜選手はおそらく、
すでに藤田ミノルというプロレスラーが“何者か”である、
と、認識しているように思います。
その藤田ミノルとのシングルマッチに、自身の想いを乗せて、
全力をぶつけること、存在を示すこと、そして、勝つこと。
それがおそらく彼女にとっての、“何者か”になるための道程。



日々は続き、プロレスラーの人生は続く。

でも、その中でそこまで自分が“何者か”であるかを賭けられる試合は、
普通そうは訪れないように思います。

ましてやフリーという難しい立場にありながら、
それでも“ここしかない”というタイミングを見逃さず、
自身の存在を示すことができる。

今回は残念ながら無観客試合というかたちにはなってしまいましたが、
5.10にはHUB選手の主催する「毒人11」が開催されます。
それもまた、前の興行でディック東郷選手を破ったHUB選手に対し、
まさに“ここしかない”という絶妙なタイミングで対峙する意志を剥き出しにして得た、
“何者か”であるかを問う機会。



進み続け、戦い続け、“何者であるか”を問い続けるプロレスラーたちのぶつかり合い。

まずは、5月5日。

画面の向こうから、二人のプロレスラーの“闘争”の行方を見届けたいと思います。



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