カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

賢者の数字

2019-08-07 23:00:00 | スポーツその他



私、いわゆるセイバー厨ってやつでして。

…っていうと訳わかんないし、
なんなら(Fateシリーズの)“セイバーが好きな人”と
ともすると取られかねませんが…

私は、“セイバーメトリクス”というものが好きです。

セイバーメトリクスを端的に申し上げると、
“野球統計”ないし、その統計で得られた数字を実際の戦術に活かすことだったり。

一番代表的なものは、その打者の打力を端的に示す
OPS(出塁率[On Base %]+長打率[Slugge %])という指標でしょうか。
最近ではWARやらなんやら、とにかく、
“その選手がどれだけ勝ちに貢献したか”を、
野球というゲームの上で、精緻に数値化した形で示せるようになっていたりして、
ことMLBにおいては特に、野球と数字はもはや
切っては切れない競技となりつつあります。

そうした“数値化”はもはや野球に限らず到るスポーツで行われており、
アメリカンフットボールやサッカー、バスケットボールなどでも、
数字を見ながら中継が行われるのは、概ね当たり前の光景となっているように思います。

また、格闘技、特にUFCなんかでもその傾向は顕著で、
打撃の“有効打数”や“タックル成功率”や“ディフェンス成功率”が
試合中、試合後に示され、最終的な判定に対する参考となったり、
ときに物議を醸し出す材料として使われたりしています。

数字は“知恵”であり“根拠”であり“力”。

…で、あってほしい、というのが、
“セイバー厨”を名乗る、データ好き、数字好きのイチ野球ファンであり、
スポーツファンであり…
色々と見方の偏ったイチ変態の意見です。



さて。



私がここで文章にするとなると、話題にするのはプロレスになります。

こと、プロレスにおいて“数字”って、
実は結構馴染みのないもののような気がしてなりません。

プロレスの試合を他人と語るときに、
“あの選手の技成功率は…”とか、
“あの技フォール奪取率が…”とか、
あまり(TAKAみちのくのヘビーキラーぐらいでしか)話題に出ている気がしなくて、
試合時間や勝点など…なんていうか…
“説得の根拠になりにくい数値”ぐらいでしか、
数字の話題をすることはない気がします。


そんなプロレス界にあって、割とシビアにそうした“数字”の話を
してくれる選手に、最近思い当たります。

ということで、藤田ミノル選手について。



フリーの選手として現在活躍の場を多岐に広げている“場末のミスタープロレス”藤田ミノル選手。

そんな藤田選手と“数字”がどのように繋がるかとお思いになるかも知れません。

ただ、ココ最近見ていたプロレスの中で、
明確に“数字”を意識して興行、試合に臨んでいた…
と感じることがいくつかありましたので、
そのあたりの話を書き留めておきたいなと思い、
この稿を立ち上げてみました。



発端としては、やはり、昨年12月。
満を持して行われたガンバレ☆プロレス後楽園大会。

本来ならば“外敵”であり、この興行を後押しする立場にない藤田ミノル選手ですが、
あるカードを指して、このようなタグをつけてツイートしていたことを
記憶しています。

“自分で切符売れ”
“なんだこのザマは”

大家健と今成夢人が引退をかけた
二年前の後楽園大会では満員となった動員は、
かなりの苦戦を強いられた売れ行きの末、
“このザマ”を晒してもなお、700名超という“数字”に留まることになりました。

この時のマイクは、未だにその声色も頭に染み付いてる。

「ガンバレ☆プロレス、大家健、そして俺の2年間が、この程度だったってことだ。」

試合に勝利したのは藤田ミノル。

であるにも関わらず、マイクの中で、
自分を最も“下げる”形で言葉を紡ぎ、

前回の後楽園ホール大会より観客が減っていることをストレートに指摘しつつ、
この光景を「頑張りきれなかったから」と表現したのは、
おそらく誰よりも目の前の“結果”を重視していたからなのでは…
と、個人的には今ならそのように解釈するところです。

後に、この後楽園ホールで「人生を投影する試合」をしようと思い、
「できなかった」と語るのを聞いた、今なら。



4月24日。

ゴールデンウィークを間近に控えた水道橋チャンピオンにて、
藤田ミノル選手による“決起集会”が行われました。

「チャンピオン」そして「決起集会」ともなれば、
ガンバレ☆プロレスを見てきたところからすれば
センサーに引っかかるところで、
普段水道橋に勤務していて何故かその日休みをとっていた、
にも関わらず、喜び勇んでチャンピオンに直行し、
決起を起こす本人よりも早く会場に着くという事態を引き起こしたりして、
妙に逸る気持ちでこの会に臨みました。

参加者は7名。

平日に唐突に決まり“ノープラン”で行われたこの会の参加者数を、
どう考えるかは客観的立場の方にお任せいたします。
ただ、この少人数の、一見すれば怪しい集まりにも関わらず、
橋本宗洋記者が取材にいらしていたことについては
記しておきたいと思います。


後輩であり、“デスマッチのカリスマ”である葛西純との一騎打ちに臨むに当たり、
集まった参加者に5年前の一騎打ちを放映した上で、
試合への意気込みを語り、また、橋本記者の取材に応じる中で、
「FREEDOMS、もっといけるんじゃないかと思うことがあって」
というような話をされていました。

その部分が気になった私は、ちょうど話題が途切れたところで
僭越ながら「具体的にどのような面で“いける”と思ったのか」を
お伺いいたしました。

てっきり、選手の魅力などの“内容”についての話が出ると思って聞いた質問の、
回答は実にシンプルで、現実的で…
考えようによっては、残酷でした。

「具体的には、先月の後楽園の客入りとか。」



5.2後楽園大会。



後楽園の西側に“ブクロ”の集団を形成した藤田ミノルは、
激闘、死闘…形容も難しい、人生を賭するような戦いの末、
王者・葛西純に敗れました。


主催者発表で985人。

前回後楽園の客入りを上回ったものの、会場後方の空席を指差した藤田ミノルは、

「今日来てくれたお客さん、ありがとう。
でもな…俺の求めるものは、こんなもんじゃねえんだよっ!!」

頑張って働きかけて、後楽園の席の多くを埋めた事実より、
埋めきれなかったことを悔いた藤田ミノルは、この事実を指して、自身を
「何者でもない」と断定し、
慟哭のように叫びを残しました。

「Thank you so much,
aaaand, F※ck you !」





試合後のコメントで、この日の後楽園よりも
集客に優った団体を“お嬢ちゃんのプロレス団体”と揶揄しながら、
その動員を上回れなかったことを「心底悔しい」と語った藤田ミノル。

さて。

この時の心情について須山浩継記者が記事にされた際、
どうしても読みたかったのです。
“お嬢ちゃんのプロレス団体”も同じくプロレスとしてたのしんでいる身として、
どのような語り口だったのかについては、
やはり確かめておきたいところでした。
が。
週プロモバイルはキャリア決済対応で、
我がハーウェイスマホでは読むことができず…

苦悶しているところ、なんと心苦しくもフォロワーさんが
読ませてくれたのでした。
※補填になるかわからないけどその後週プロを買ったので許してほしい。

なので、このブログは実はその時期に書き始めてます。
公開は今になりましたけども。

記事の内容をみて、あまり前のことですが、
揶揄した団体を否定するものではなかったことに安堵しました。
と、ともに。
そこに見つけた、というか、
見つけたかった言葉が、二つ。

「動員で負けたらプロとして負け」
「現実と向かい合って行かなきゃいけない」



数字とは「根拠」であり「力」だと申し上げました。
そしてその大小は、力の差を示す現実でもあります。

藤田ミノル選手にとって、その動員という現実こそが、プロレスラーとしての、指標。
リングでSNSで怪しく立ち回りながら、
それでも目指すところは(まず)「たくさんのお客さんを入れること」。

決して、藤田ミノル選手が「数字にうるさい」という話ではありません。
現に、モー闘の収支は赤字っぽいし、グッズが売れに売れても、
サービスが良すぎてどうにも収益が上がるようには見えないし。

ただ、たくさんの観客にプロレスを届ける、ということについては、
終始こだわりのようなものを感じていて、
例えば、BASARAで行われた宴闘2019でも
「たくさんのお客さんに来ていただいてありがとうございます」
と挨拶していたり、
一方で2AWの初代王者決定トーナメントでは、
興行の集客について唯一言及し、またその責任すらも引き受けるような
態度を示していたり。

フリーという立場でありながら、
いや、であるからこそ、
かもしれませんが、自身が参戦する興行の、団体の集客を、
誰よりも気にしている。

誰よりも「現実」を見据えてる。
そして、誰よりも「現実」と戦っているプロレスラー。

それが、藤田ミノルという選手の、一つの側面なんだと勝手ながら思ってます。



さて。



この話を綴り始めたのがゴールデンウイークくらいだったので、
今このタイミングでまとめることに些かの無理があります。

ただそれでもこのタイミングで無理矢理まとめようと思ったのは、
藤田ミノルvs勝村周一朗という、
ガンバレ☆プロレスの…ある意味では裏で…生まれた、
一つの物語を、皆さんにお伝えしたいから。



それならそっちの話でまとめろという
ご意見がもしあるとするならば、
ごもっともです。

ただ、正直その話を僕がどうにかこうにか綴るよりも、
勝村周一朗選手のツイッターを見ていただいたほうが、
あまりにも雄弁です。

なので、その物語の担い手の一人である、藤田ミノル選手の“側面”を
思ったままに綴ったことで、
少しでも。

二人の物語が多くの人の目に触れ、
より豊かな現実に繋がりますように。

みんな

きてね

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