カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

100粒の幸福(二片目)

2021-03-25 23:00:00 | スポーツその他
さて。

まず先に申し上げました。



で、

書きたいことのその続き。

「チョコレート一粒の幸福」を、YouTubeを通じ、
プロレスを通して世界へ発信してきたチョコレートプロレス。

しかしその味わいは、ただただ甘いものばかりではなく、
時には酸っぱく、時には辛く、
そして時には、苦味走ったものでもあったことでしょう。



2021年1月29日。

「11人いりゃ、なんとかなる」

「あーーー、楽しかった!!」



仲間を思う気持ちと、プロレスを通じて…というよりも、
プロレスラーとして生きたことの楽しみをリングにおいて、
“気迫の一翼”紺乃美鶴選手は、プロレスラーとしての活動、
我闘雲舞、チョコプロを“卒業”されました。

紺乃美鶴という選手の試合を見ることができないという、
その寂しさもまた、チョコプロの味わいであり、
また同時に、2020年6月〜7月にかけて、
溢れんばかりの感情を対戦相手に、画面に、プロレスに、
鋭い刃物のように研ぎ澄まし突きつけた…
…やっぱり紺乃美鶴という選手が提供してきた、そのヒリヒリ感もまた、
チョコプロの味わいでありました。

ちょっとそのあたりで思ったことと、
チョコプロとどう結びつけようか頭を悩ませてはいるのですが、
美鶴さん、そしてさくらさんの言葉の中で、
とても気になる言葉があったので、
なんとなく書きながら結論を捻り出そうと思います。



紺乃美鶴“選手”引退直前の配信で、
さくらさん、美鶴さんがそれぞれの配信の中で、
なんとなく、共通する点についての苦悩…というか、
難しさを言葉にしていました。

さくらさんは配信で美鶴さんのデビューまでの様子についてを
振り返りながら、里歩、「ことり」、アーサ(敬称略)等
所属選手が練習しているところとは別メニューで、
丸めた布団を相手に、事務所の一角でストンピングの練習をしていたそうで。

「今考えると凄いシュールだよね。
なんでもない部屋の片隅で“もっと思いっきり!”とかいいながら、
丸めた布団を蹴らせてて」

その配信とはまた別日、新たな生活に足を踏み出してすでに別の仕事を始め、
ビールを飲みながらサッパリしたご様子で配信していた美鶴さん最後の“ビアパーティー”。

おそらくはさくらさんの配信については意識されていなかったと思いますが、
先輩選手が卒業していき、2019年に自身が一気に先輩という立場となり、
練習をリードし、後輩を指導し…

そして2019年8月末。

6人の新人を一気にデビューさせることとなった際、
その難しさをこのように述べていたように思います。

「“プロレスの動き”は練習することができるけど、
“戦う気持ち”は教えることが難しいよね。
だって、人を殴らなきゃいけないんだから。」


最近では“我闘雲舞第4世代”という呼称を用い始めている、
この2019年にデビューした6人の新人たちは、
いずれも2017年末頃にさくらえみ選手が(色々あって)立ち上げた、
「誰でも女子プロレス(ダレジョ)」出身。
年齢も背景も様々で、他の仕事、あるいは学業を続けながら
練習を重ね、デビューを果たすこととなりました。

単純に“同じように”と括ってしまうのは乱暴かもしれませんが、
OLとして働きながらたまたま足を運んだ我闘雲舞後楽園ホール大会、
さくらえみ選手が放った450°スプラッシュ…
“2階からのニャンニャンプレス”に衝撃を受け、
突如としてプロレスラーとしての門を叩き、
仕事を続けながら練習を重ね、
“戦う社会人”としてプロレスラーデビューを果たした紺乃美鶴選手。

師匠であるさくらさんもどこか戸惑った“戦う気持ち”の伝播を、
6人の新人をデビューさせる責を負った美鶴さんもまた、
同じように苦悩を抱えた…というのが、
とても印象深く、興味深く思ったところです。



また、いつかの別の配信(たぶんまだ現役だった頃のビアパーティー)で、
美鶴さんはこんなことも仰っていたかと思います。

“試合と練習は全然違う”

“試合をすると一気に伸びる”

隣でビールを傾けながら同時通訳をおこなっていたバリヤン・アッキも、
深く深く頷いていたように記憶してます。

間違ってたらごめんなさい。



事実。

かつての新人たち、現在の“第4世代”たちは…
このチョコプロを通じて試合を重ねることで、
思いも寄らない角度も含め、飛躍的な成長を示しているように思われます。



最初にその兆候を示し始めたのは、
現在は“おときさん”の愛称が完全に定着した、
我闘雲舞最年長45歳、桐原季子選手。

とりわけシーズン1では他の第4世代のメンバーが中々参戦できない中
コンスタントに試合を重ねていく中で。

“チョコプロ旗揚げメンバー”である
アントーニオ本多選手、
そして、チョコプロ11から時折参戦を重ねた藤田ミノル選手。

レスラーとしてはキャリアは圧倒的に上ながら、
年齢の近いこの二人との遭遇が…
何やらプロレスラーとしてのスイッチを一つ、
起動させることになったように思います。

柔術や総合格闘技の経験もある桐原さんは、
おそらくは元々どこかに“戦う気持ち”を備えていたものと想像します。

そこに、のちに“東京失恋学園”という
面白タッグを結成する二人のプロレスラー・43歳との遭遇は、
“昭和”というスパイスを桐原さんに加えることとなりました。

そこからの桐原さんの振り切れっぷりは凄まじいものがあり、
特にアントーニオ本多とのタッグチーム“ブラックコマネチ”は、
どう考えても当初は(たぶんアントーニオ本多の)思いつきで
結成されたにも関わらず、チョコプロ視聴者たちに、
余りにも鮮烈な印象を残すこととなりました。

その弾けっぷりに、昨夏“HOME COMING”というかたちで
チョコプロに参戦し、市ヶ谷凱旋を果たした初代AEW女子王者・里歩選手は、
このような格言を残しています。

「アントンさんで覚醒するみたいなところあるからね、人は皆(倒置法)」

この度のChocoPro100でも、
ブラックコマネチとして参戦。
その弾けっぷりに注目です。



この“第4世代”のなかでも、
“戦い”という言葉からイメージするところとは
ある意味とても遠いところにいるように思われたのが、
“フリーライター”ルル ペンシル選手。

キャッチフレーズというか、職業がそもそもフリーライター。

ゲームや映画、海外ドラマ等などに関するレビュー記事等執筆されていて、
また、英語にも明るく、我闘雲舞、そしてチョコプロが
一つの縁を結んだかと思われますが、ケニー・オメガへのインタビューを行ったり、
この2月に開催されたAEW Womens Tournamentでは、
なんと日本ブロックの全参戦選手を取材し、コメントをまとめていたりもします。

しかし、体格的には大変スリムで、言い換えれば華奢でいらっしゃり、
デビュー月に行われた水森由菜選手とのエキシビションマッチでは、
3分間で7本取られるという衝撃のエキシビションマッチデビュー。

しかし一方で、デビュー戦ではその水森由菜相手に
独特の方法で粘りに粘ると、その模様がYouTubeにアップされたところで、
…何故か、AEWコメンテーター・エクスカリバーの目に留まり、
デビューしたばかりにも関わらず“Rising Star Lulu Pencil”と
全米にその名が響くこととなりました。

駿河メイのプロレスリングEVE遠征に伴い、
その模様の取材のために自力で英国へ同行。
そしてその遠征先で、なんとうっかり試合が組まれることとなり、
デビュー3ヶ月余りでいきなりの海外デビューを果たすこととなりました。

合わせて持参した自身のTシャツを参戦前にすでに売りさばいていたルル ペンシル、
そのTシャツをしっかりゲットしていた英国のプヲタたちを味方につけ、
“Pencil Army”ムーブメントを巻き起こす(?)と、
日本でもその独自の試合スタイルはさらに輪をかけて凄味(?)を増し、
アントーニオ本多との一戦には世界有数のプヲタである
クリス・ブルックス氏をして“MOTY”と呟く衝撃の一戦となりました。

早くも独自の世界観を持っていたルル ペンシルは、
さくらさんからも早々に“売れる”と見いだされ、
ペンシルアーミーはユニットとしてチョコプロでもその勢力を拡大。

“エミペンシル”さくらえみ、“ミノペンシル”藤田ミノル、
“クリペンシル”クリス・ブルックスという、
ここまでクセの強いメンバーが一同に介するユニットって
小鹿軍団ぐらいじゃないかというほど、
大変ややこしい存在となっています。

プロレスの“強さ”に関する部分については
様々な壁があるように見えたルル ペンシル。
しかし戦いを重ねるにつれ見て取れるのは、
その“強さ”も飛躍的に成長している、というところ。

例えば、チョップ。
例えば、エルボー。

打つたび打つたび自らダメージを負い続けていたのに、
気づけば、その重み、鋭さは次第に、相手にダメージを与えるものと
なりつつあるように映ります。

迎える100回、ペンシル旋風が見せる世界は、
何を巻き起こすでしょうか。



リンリン先生に関しては、まだまだ全然その個性の底が見えない。

そもそもデビュー時点で“唯一神”藤原秀旺に傾倒していたり、
「人生を何周かしている」というほどの落ち着きというか底の見えなさ。
昨春に高校一年生となると、何故か高校では相撲部に所属。

謎。

感染症禍で試合の機会は減りましたが、
ファッションセンターふじたの愛好者であったことからか、
チョコプロよりも藤田プロレススクールチャンネルへの
登場頻度が高くなり、何故か名古屋の影山道雄選手の主催する
“なぞなぞキャス”に主題歌を(水森由菜とのコラボで)提供するなど…
なんていうか、まだまだ全然正体が見えない。
確実に何かしらの怪物の気配でしかない気がしています。

冬休みに伴い参戦した年末年始のチョコプロでは、
その存在感を遺憾なく発揮。



沙也加選手は、デビュー大会ではメインを務め、
2020年一発目の我闘雲舞の大会でヘッドライナーも務めました。

そもそもコスプレイヤーとしても“教祖”と崇められ、
パイルドライバーやシエロという、大変プロレスに結びつきの深い
組織体に所属している、底の深さ。

しかしこの感染症禍、様々な事情があると類推しますが、
試合の機会がまだまだ限られている状況に。
とはいえ、チョコプロの旗揚げ戦に出場し、
また、その大会で“ボス”である鈴木みのる選手を引っ張り出したり、
試合はしていないながらも今年に入って少しずつ
顔を出し始めていたり。

体格も柔軟性や跳躍力も、ポテンシャルが大変高くいらっしゃる沙也加選手は、
チョコプロ100で帯広さやか選手との“さやかさやか”として、
ついに旗揚げ戦以来の参戦が決定。

やっぱりあのドロップキックが、見たい。



咲百合選手は小石川チエ選手とともに、
他の4人と一歩遅れてデビューを志願した一人。
個人的には最初のエキシビションマッチをみたとき、
なんとなく“できる”印象を覚えました。

リングの上では体格的な部分や、
もしかしたら“戦う気持ち”の部分での苦労はあったかもしれません。
しかし、久しぶりにチョコプロでその試合を見たときの印象は、
“咲百合さん、デカくなってる”
です。

肩周り辺りの筋力が明らかに一回り大きく増していて、
ステイホームの世界の中でもできる準備をしてきたことを
なんとなく感じました。

あとチョコプロでは準備運動としてスクワットをするときに
出場選手が歌を披露するのですが、
そこで咲百合選手が「かわいい歌」として披露したのが、
BUCK-TICKの「♪惡の華」。

…やっぱりあれですね。
市ヶ谷に集う人は何か、違いますね。



さて。

この第4世代の中で、チョコプロへの参戦が一番最後となったのが、
“Too Much Energy”小石川チエ選手。

2020年3月にこの感染症禍で
チョコプロ(チョコレートプロレス)が
開始してからも、You Tubeの画面の中ではなく、
コメント欄にその存在を示し続けていました。

が、9月。

チョコプロが“シーズン3”へと突入するとともに、
小石川チエはついにチョコプロ初参戦を果たすと、
その“too much energy”ぶりを存分に開放することとなりました。

戦績には恵まれなかったものの、
重度のプヲタで知られるクリス・ブルックス氏をして、
“チエはチエのままであれば(チョコプロの)MVPが獲れる”と
その戦いぶりを高く評価。

また、2020年1月にはHEAT-UPで他団体初参戦を果たすと、
12月にはみちのくプロレスへの提供試合で初めて後楽園ホールを経験
さらに年が明けて2021年2月にはAWGカラーズで女子他団体初参戦。
経験値を積みに積んでいる一人です。

さて、チョコプロ旗揚げから半年、雌伏の時を経た小石川チエ選手。

しかし、シーズン3…9月に入ってチョコプロ参戦頻度が高まっていた、
9月30日。

チョコプロ51内で、衝撃の事実を明かします。

「私、小石川チエ。
チョコプロに、出たいがために。

 仕 事 を 辞 め ま し た ! 」

…かくして、先輩である紺乃美鶴選手に引き続いて。

仕事よりプロレスをとる選手がここにまた一人、
爆誕したのでした。



“11人いりゃ、なんとかなる”



その“11人”となるまでを支えた紺乃美鶴選手、
しかし、自身が抜けて10人になったとしても、
「なんとかなる」。
でも、その時には必ず、他の9人を思ってほしい。

そんな言葉と、笑顔とともに、
1月29日、プロレスリング我闘雲舞を卒業。

けれど、リーダーとして我闘雲舞を引っ張っていったその間に、
溢れんばかりの“戦う気持ち”は、気づけば、
しっかりと伝播していたように思いました。

ChocoPro100。

積み重ねられてきた試合と経験、
届けられた幸福と、様々な感情。

そこに、プロレスラー・紺乃美鶴はいないけれど。

受け継がれたバトンはきっと、
チョコレート色のマットの上に。















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