カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

未来少女の2022

2022-03-09 23:26:34 | スポーツその他
2016年1月4日。

日本のプロレスシーンにおける、
“プロレスの日”と言っても過言ではない、
“イッテンヨン”。

その“お祭り”の会場から、目と鼻の先、
格闘技の聖地・後楽園ホール。

そのリングの上で、

優宇
のどかおねえさん…のちの、天満のどか
小橋マリカ

3人の…
“未来少女オーディション”を契機に集うこととなった女性たちが、
プロレスラーとしての生を受けることとなりました。



幼少期からプロレス、特にインディープロレスに親しんできた優宇選手は、
デビュー戦から連戦連勝の快進撃。

DDTプロレス創世期の立役者・スーパー宇宙パワー選手に憧れ、師事し、
リングネームに“宇”の文字を引き継ぎ、
DDTグループの東京女子プロレスで
“ドラマチック・ドリームファイター”の二つ名を冠して、
柔道をベースとしつつ柔軟なプロレス的思考と身体能力、類まれなるパワーを発揮。
デビューイヤーにして一気に団体の頂点である
東京プリンセスオブプリンセス王座(当時)を、
“エース”山下実優選手から奪取。

翌年、坂崎ユカ選手相手に敗れるまで、

デビューからおよそ1年半に渡り無敗をキープしました。

2018年。

11月の滝川あずさ選手の卒業の直後、
自身の東京女子プロレス卒業を発表。

その後、海を渡り欧州を転戦。
辛く厳しい経験も重ねながら、
一方で選手として着実に着実にさらに力をつけていきながら、
英国はプロレスリングEVEを所属として選ぶこととなります。

2019年4月に日本帰国後初のリングにセンダイガールズプロレスリングを選ぶと、
以降は日本国内においてはフリーレスラーのような形で
様々な団体に渡り歩きながら、
その才能の上にたくさんの成長と実績を重ねていき。

デビューから6年余りの経過した2022年現在。

女子プロレス界に欠かすことのできない存在感とともに、
着実に、女子プロレス界の“頂”…
つまるところ、“一番強い女子プロレスラー”の座に、迫りつつある…
という、とんでもない活躍を見せています。



その優宇選手が東京女子プロレスを卒業する時、
最後の対戦相手を務めたのが、天満のどか選手。

2016年に「高木三四郎の思いつき」という“歌のおねえさんキャラ”で
衝撃的なデビューを果たすと、
“おねえさん”としての軽妙かつ辛辣な語り、
そして試合前の「♪ピンポンパン体操」が定着。

リングの上ではキャリア初期はあまり勝ち星に恵まれませんでしたが、
小柄ながら強い身体と足腰の粘り強さで、
とても見応えのあるプロレスを終始展開。

同じグループの団体であるDDTで開催となった、
地元岡山での興行にも“他団体”参戦を果たすなど、
なんというか、
その安定感に対しての信頼が篤かったのではないか、
と想像します。

デビューから2年半を経ての東京プリンセスカップ、
のどかおねえさん選手がトーナメントを勝ち上がって迎えた、
“エース”山下実優選手との一戦で完璧な3カウントを奪う大金星を挙げると、
その勝利からくる様々な感情に戸惑いを見せ始め、
ついに、“おねえさん”卒業を決意。
妹である愛野ユキ選手のデビューも一つ契機として、
“天満のどか”として、新たなスタートを切ることとなりました。

実妹・愛野ユキ選手との“爆れつシスターズ”では
愛野ユキ選手のデビュー後早い段階からタッグでの戦いを重ね、
タッグ結成から実に2年強、
東京女子プロレス始まって以来のビッグマッチとなった
2020年TDCホール大会において、数度目の挑戦にしてついに
プリンセスタッグ王座を奪取。

姉妹でのベルト姿を実現することとなりました。



そしてもうひとりの“未来少女”は小橋マリカ選手。

2016年、優宇&のどかおねえさんとともにイッテンヨン後楽園にて、
当時中学生2年生の“JCレスラー”としてデビュー。

“小橋”のリングネームとオレンジのカラーから青春の握り拳がイメージされるも、
本人の憧れはアブドーラ小林とフランク(大橋)篤であり、
二人の名字から1字ずつ拝借してのリングネームという時点で、
彼女もまた、そのトンパチ具合を推して知るべし。

年齢的なこともありリング上で結果を出すまで時間を要するところもありましたが、
2018年には沙希様とのシングルマッチで大奮戦を見せると、
デビュー3年目、高校2年生にして、
才木玲佳とのタッグでプリンセスタッグ王座も獲得。

怪我による欠場もありましたが、
大学入学後は“ギャルレスラー”の道を進み、
新たな角度から、新たな注目を集める活躍を見せてきました。



2021年12月。

私的にはもはや恒例となっている12月の九州プロレスを見に行く途上、
腹ごしらえに、資さんうどんに入ろうとしたまさにその時。

実兄から、絶望的な感情の滲むLINEが届きました。

リンクを辿って目にした事実は、
天満のどか、
そして、小橋マリカの、
東京女子プロレス卒業の報。

うどんは食べましたが、味は覚えておりません。

ただ、プロレスラーとしてのデビューから6年。

それぞれの道は着実に、それぞれの未来へと続いていて。



“未来少女”3人の歩みをザクッと綴りながら考えていたのが、
3人それぞれの、“決める力”の強さ、という共通点でした。

優宇選手は、“アイドル”と呼ばれる存在が団体に増えている中で、
自身の果たす役割に悩み、考えた末、育った環境を
一人飛び出す決断を下しました。

天満のどか選手は、むちゃぶりとも言える“おねえさん”という
キャラクターを引き受け、作り上げ、
さらに自身の地元である岡山に、自身の仲間を連れて行く形で、
実質的には“主催興行”のような面持ちで2回の開催を果たし。
…この度の決断も、“農業”という新たな自身の生きる道を
選択するために、下されたものとなりました。

小橋マリカ選手はデビューから現在に至るまで“学生”であり、
プロレスラーとしての活動と学業を並行して続けていらっしゃいます。
にも関わらず、自身の地元である洋光台での屋外興行を数度に渡って実現させ、
年齢的には団体最年少でありながら…
進路を決めるたびに“やりたいこと”を示唆するなど、
その目は常に、しっかりと未来を向いていた気がします。

モデルのオーディションにも自らの意志で取り組み、
eggガールとして“ギャルレスラー”としての道を選んだのも、自らの選択。

だからいつか、自身の道をやはり“選択”する時が来るだろう、
とは思っていましたが…

本当に、その“決める力”には、感服するばかりです。



その数々の決断に、いち人間として、
35歳のいちおじさんとして、
ただただ“凄えな…”と関心しきりな一方で。

いち身勝手なプロレスファンといたしましては、
…大変身勝手な言い分で恐縮ですが…
やっぱり、卒業してほしくない。
一人でも多くのレスラーに、一日でも長く、
リングに立ち続けてほしい。
そしてそれが、好きなレスラーであれば、なおのことに。

でも、“決めた”人の決断は、変わることなんてなくて。

現実には、天満のどか選手の卒業まで20日を切り、
小橋マリカ選手の卒業は、もうすぐで、あとひと月。

“決めた日”に向けて真っ直ぐに、実に真っ直ぐに…
ともすれば、残酷なまでに速く、進んでいく。

それが“未来”へ続く道だとはわかっていたとしても。

“その時”までの時間は、進んでいく。


願わくは。
未来少女たちに続く未来に、さち多からんことを。

そしてもう一つ、願わくは。

いつでも、どこでもいいから、何かの形で。

“未来少女”たちの“未来”が、
もう一度、重なる日がくることを

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