続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

アメリカ文化雑感~其の五:食文化~

2005-06-23 04:57:46 | アメリカ文化雑感
アメリカに暮らして実感するのは,日本との食文化の大きな違いである。
日本人の食生活が近年西洋化していると声高に叫ばれるが,実際にアメリカの食文化に直接触れると、西洋化と言っても本家アメリカの足下にも及ばないことがわかるし、自分が日本人であり日本食をどれだけ愛していたかが実感できる。

まず彼等は骨の髄から「肉食人種」である。
牛肉,鶏肉,その他諸々の肉をとにかく毎食大量に食べるし、どうやら肉を食わないと食事をした気にならないらしい。
彼等にとって日本でお馴染みの「コロッケ定食」は、「フライしたポテトにご飯とサラダ」と認識され、我々が食事にサラダだけを食べる状況と等しく感じるのである。
小生のラボにはボスの希望で日本人コックによるまかないが付いているのだが,一度コロッケ定食が昼食だった時,アメリカ人の多くが「こんな野菜ばかりの食事では仕事ができない。」とハンバーグを買いに行ったのには,食文化の違いを実感させられた。
ただし、肉大好きなアメリカ人だが,その調理法は日本人から見るとお世辞にも豊かとは言えず,基本の塩胡椒に加えアメリカ謹製のこってりバーベキューソースと日本から輸入され大ブームの甘辛いテリヤキがあるぐらいで、ほとんど同じ味である。
また日本とは異なって「柔らかさ」よりも「歯ごたえと肉汁」を好む結果,日本人の感覚からいくと堅くて冷めるとまずい肉がおいしいとされているようだ。
また彼等は魚をほとんど食べず,結果スーパーの魚売り場には鮭と白身魚の切り身ぐらいしかおいていない。
しかも鮮度はかなり疑わしく,調理済みのものにいたっては,日本人が口にしたとたん料理を地面に叩き付けたくなるようなものばかりである。

次に感じるのは,単純な味のものを大量に摂取する傾向だ。
アメリカの食事はとにかく何でも量が多いのが特徴であり,日本でお馴染みのマクドナルドやケンタッキーフライドチキンも約1.5倍の分量がある。
ケンタッキーフライドチキンのマッシュポテトにいたっては,皿の上に小山を形成するほどの量で最後まで食べきるのは通常の日本人であればまず不可能だ。
そしてお味の方は非常に単純でいわゆるダシのようなコクや深みが全くなく,「塩からい」「甘い」「辛い」に分類され,しかもそれぞれが極端に濃いのである。
特にひどいのがケーキなどの「甘い」味で,一般にショートケーキは頭痛がするほどに甘く、一口食べても何のケーキであるかすら分からないほどだ。
こうした極端な味覚の食事をダイエットコーラと共に胃に豪快に流し込むのがアメリカ流といっても過言ではない。
彼等がちまちまと出てくる日本の懐石料理を食べてもちっとも満足できないのは現地の食生活を知ると十分に理解できるのである。

ただこうした食事を続ける結果,アメリカの肥満率は年々上昇し、特にここカリフォルニアは人口の30%以上が肥満でアメリカで最も肥満人口の多い州という不名誉な称号を得ている。
確かに街を歩くと十両クラスは当たり前で小錦クラスの人もちょくちょく見かけるし、日本と比較して「太っている人」の定義が全く違うのである。
こうしたことから積極的にダイエットを進める広告や、肥満の大きな原因とされるファーストフード摂取の減少を呼びかけるキャンペーンが行われているが,あまり効果はないようだ。
多くの人はフードコートで特大サイズのピザを丸ごと食べながらダイエットコーラを飲むという,日本人が見ると思わず突っ込みを入れたくなるような食生活を続けている。

小生は日本にいた時は仕事柄マクドナルドなどのファーストフードをよく利用していたのだが,こちらに来てとんと食べなくなってしまった。
貧乏留学のせいもあるのだが,食事はもっぱら妻の作ってくれる和食,しかも日本ではほとんど食べなかったような焼き魚や野菜の煮物が中心になっており、日々食文化の違いを実感する毎日なのである。

今日の箴言
「ロサンゼルスでおいしいものが食べたければ,日本料理店に行くべきである」

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