WATCH (サミット人権監視弁護士ネットワーク / Watch Human Rights on Summit)

WATCHは2008年洞爺湖サミット警備による人権侵害に対処するため、弁護士を中心に結成されたグループです。

4月12日「G8と監視社会」シンポジウム参加報告

2008-04-12 18:16:30 | ニュース / News
4月12日、「G8と監視社会」シンポに参加し、WATCH・サミット人権監視弁護
士ネットワークの結成と今後の活動計画のことを報告してきました。

                      事務局長 海渡 雄一

2008.4.12
シ ン ポ ジ ウ ム
G 8 サ ミ ッ ト で 拡 大 す る 監 視 社 会
──「 何 」か ら「 誰 」を 守 る の か ?──

───共 催────────────────────
・一矢の会
・盗聴法に反対する市民連絡会
・ネットワーク反監視プロジェクト
・反住基ネット連絡会
・フォーラム平和・人権・環境
・プライバシーアクション (2008.3.7現在)

───連絡先────────────────────
日本消費者連盟 TEL.03-5155-4765
ネットワーク反監視プロジェクト TEL.070-5553-5495
プライバシーアクション TEL.090-2302-4908



<シンポジウムの呼びかけ文>
 2008年7月に北海道洞爺湖で行われるG8サミットの警備を理由として、警察
などによる市民への監視が拡大しています。札幌では先頃、地下鉄駅構内などへ
の160台にも上る監視カメラの増設が決定。公園の使用自粛要請やサミット会場周
辺への立ち入り規制、上空の飛行禁止措置のほか、公共交通機関での警備など、
"過剰警備"の枠を超え、近年進む監視社会化を加速度的に強めています。
 そうした監視強化の理由として、毎度のごとく「テロの脅威」が持ち出されま
すが、いったいどのような脅威があるのか、具体的・合理的根拠が示されたこと
はありません。
こうした流れは9.11事件以降のことですが、2001年の事件以来、6年以上の間、
「テロ攻撃」が日本国内で行われたことは一度もありません。
 その一方、サミット期間中、全国の都道府県警から警備要員が現地に動員され
るなどして、市民生活と関わりのある犯罪対策は手薄になろうとしています。
 いったい、日本政府は何から誰を守ろうとしているのでしょうか?
 私たちは、このような不明瞭な「テロの脅威」を振りかざして、私たちの自由
が奪われていく状況を、とても危惧しています。どんな監視が行われ、どんな自
由が奪われているのか、そして、それに対抗していくためには何が必要かを話し
合うために、下記のようにシンポジウムを開催します。

<報告の概要について>
途中までしかいられなかったので、不十分な報告ですが、参考までに送ります。
全体の司会とコーディネーターは白石孝さんと小倉利丸さん(富山大学教員)が
なされました。

○G8サミットの現地から
 新田真澄さん(プライバシーアクション札幌)から、札幌市内で大量の監視カメ
ラの設置がすすめられていることが報告された。地下鉄の監視カメラは終了後撤
去することが約束されたが、水道局配水池に増設された監視カメラは撤去しない
としている。
 上田市政は、当初住基ネットなどにも選択制にするなどとしていたが、行政に
押し切られ、北海道警の者がたくさん市役所内にも出向してきていて、市政の動
向には危惧している。

○外国人への監視体制・US-VISIT
 旗手明さん(自由人権協会)から、テロ対策の名の下に出入国管理が飛躍的に強
化されてきた流れの報告がなされた。
 外国人の中を1)日本人と同様の管理の対象とするグループ、2)徹底した
監視の対象とするグループ、3)短期滞在、4)超過滞在に区別してきている。
 日本版US-VISITも指紋と顔映像の採取を目的としているが、これがテ
ロリスト対策として有効かどうかは疑問である。アピール効果はあっても、実際
に捕まっているのは一般犯罪と入管法違反のみ。
 日本でも開始から三ヶ月で576人ヒットしている。うち送り返したのは半分
以下で、入国は認めている。在留者のIDの完全管理が目指されているのではな
いか。実は2007年には10424人が入国拒否されている。その7割以上が
入国目的に疑義があるという非常に裁量の幅の広いケースである。上陸拒否事由
に当たるとされたのは1割程度である。

○監視カメラと顔認識
 吉村英二(日本消費者連盟)からは、監視カメラに顔識別機能が付加され、指名
手配犯やテロリストの疑いがある人物が瞬時に判別できるようなシステム(三次
元顔形状データベース自動照合システム)の導入が計画されており、平成22年
から都内で試験運用が計画されていることが報告された。

○G8サミットとNシステム
 浜島望さん(一矢の会)からは、Nシステムを巡る状況が変わってきていること
が報告された。通常のNシステムだけでなく、Tシステムという物流システムに
接続された端末を含めて全国で1150箇所の端末が稼働している。北海道全体
で29箇所で全国平均よりも少ない。しかし、サミット直前に増設される可能性
がある。ナンバーで監視していると言われるが、確証はないものの一部は顔識別
もされているかもしれない。札幌から洞爺湖に至る道路(230号)にもNシス
テムは設置されている。道央道にも、Nシステムは何カ所か設置されている。

○G8サミットを理由とする市民運動の規制
 海渡雄一(サミット人権監視弁護士ネットワーク)から、サミット人権監視弁
護士ネットワークを結成したこと、今後の活動として情報共有のためにブログを
開設したこと、まず海外から入国しようとして差し止められた場合の対応方法に
ついてまとめて公表したいと考えていること等を報告した。