【「カムカムエヴリバディ」第十二週、第57囘を觀る】
トミーが、木暮から傳へ聞いて、るいに話した處によると、錠一郎のレコードもステージも四月初め迄、延期であるとの事です。るいは、初めて、東京の錠一郎へ手紙を書きます。最近では、メイル、LINEや電話が主流であり、手書きで手紙を書いて郵送する機會が減りました。「前略」「かしこ」と書く慣習に就いては、それこそ若い方達には馴染みない事かも知れません。つい最近迄、ある世代に迄は當り前だつた事が、今では懷かしく感じて了ひます。
然し、何通手紙を書いても、錠一郎からの返事は屆かなかつたやうです。
日常生活に於て、何ら異常はない錠一郎なのですが、何故かトランペットを演奏する事は出來ないやうなのです。笹川社長の御孃さんである奈々が、何軒か優秀な醫師を探して呉れて、診察を受ける錠一郎ですが、左記した錠一郎の症状に的確な診斷と處置とを與へて呉れる醫師は見つかりませんでした。
るいから屆いた手紙を奈々は錠一郎に渡します。戀人なの？ と云ふ奈々の問ひに頷く錠一郎です。然し、返事を書けないでゐる錠一郎を見て、「困つた人ね。あなたはそれでいゝかも知れないけれども、女はそれぢや、納得出來ないのよ」とるいの氣持を慮つて奈々は云ひます。
「竹村クリーニング店」に電話をかけて見るものゝ、話す事が出來ない錠一郎です。
「Night and Day」にて、トミーは、東京からツアーで來たバンドマンから聞いた、錠一郎に關する噂を、ベリーと木暮に話します。何やら、ジョーが社長の娘と交際してをり、その事によつて社長の機嫌を損ねたのが原因で、デビューが遲れてゐる……と、その話を、偶々、配達に來たるいも聽いて了ひました。「たゞの噂や。浮氣みたいな器用な事、出來る男やない」とトミーは云ひ、「分かつてます」と云ふるいです。
錠一郎が奈々と出歩いてゐたと云ふのは、病院をたづねてゐただけの事だと筆者は思ひます。また、ドラマの語り手が語るやうに、るいは錠一郎を信じてゐたものゝ、何故、手紙も電話もないのか理由が分からず、不安でもありました。
期限の日がやつて來て、「御世話になりました」と笹川社長に挨拶をする錠一郎です。これから、どうするの？ と云ふ奈々に對して、大阪へ歸り、木暮には事情を話すと云ふ錠一郎です。「るいさんには？」と奈々は云ひますが、「どないして會へるんや。僕とるいを繋いでたのは、トランペットやのに」と云ふ錠一郎です。
二人を「繋いで」ゐる唯一の存在がトランペットであれば、その大事に就いて、話すべきであるのも、その二人であると筆者は考へるのですが……。
とある日の夜中、錠一郎は木暮のもとに歸りました。
翌朝、「Night and Day」のまへにて、るいと錠一郎です。
「大月さん……？」
「るい……」
「いつ、歸つて來たんですか……？ 手紙、屆いてますか？ 何通も出したんですよ、心配で。どないしてたんですか？」
錠一郎は無言の儘、嚴しい表情です。
「＂大月さん＂……」
奈々「＂ジョー＂！ 御免なさい、やつぱり氣になつて。木暮さんには、私からも……」と云ひかけた處で、奈々はるいに氣附きます。「あ……」
「中、入つといて」
錠一郎はるいのはうを振返ります。
「變な噂……聞きました。大月さんが社長の御孃さんとしよつちゆう二人で出歩いてるて。それで社長が怒りはつて、デビューが遲れてるて。そやけど私はそんなん信じてません。大月さんに限つてそんな……」
「ホンマや」（るいに近附き）「奈々の事が好きになつた。……そやから……、おまへとはをはりや」
#朝ドラ #連続テレビ小説 #カムカムエヴリバディ #ComeComeEverybody #深津絵里 #オダギリジョー #英語 #英会話 #藤本有紀
トミーが、木暮から傳へ聞いて、るいに話した處によると、錠一郎のレコードもステージも四月初め迄、延期であるとの事です。るいは、初めて、東京の錠一郎へ手紙を書きます。最近では、メイル、LINEや電話が主流であり、手書きで手紙を書いて郵送する機會が減りました。「前略」「かしこ」と書く慣習に就いては、それこそ若い方達には馴染みない事かも知れません。つい最近迄、ある世代に迄は當り前だつた事が、今では懷かしく感じて了ひます。
然し、何通手紙を書いても、錠一郎からの返事は屆かなかつたやうです。
日常生活に於て、何ら異常はない錠一郎なのですが、何故かトランペットを演奏する事は出來ないやうなのです。笹川社長の御孃さんである奈々が、何軒か優秀な醫師を探して呉れて、診察を受ける錠一郎ですが、左記した錠一郎の症状に的確な診斷と處置とを與へて呉れる醫師は見つかりませんでした。
るいから屆いた手紙を奈々は錠一郎に渡します。戀人なの？ と云ふ奈々の問ひに頷く錠一郎です。然し、返事を書けないでゐる錠一郎を見て、「困つた人ね。あなたはそれでいゝかも知れないけれども、女はそれぢや、納得出來ないのよ」とるいの氣持を慮つて奈々は云ひます。
「竹村クリーニング店」に電話をかけて見るものゝ、話す事が出來ない錠一郎です。
「Night and Day」にて、トミーは、東京からツアーで來たバンドマンから聞いた、錠一郎に關する噂を、ベリーと木暮に話します。何やら、ジョーが社長の娘と交際してをり、その事によつて社長の機嫌を損ねたのが原因で、デビューが遲れてゐる……と、その話を、偶々、配達に來たるいも聽いて了ひました。「たゞの噂や。浮氣みたいな器用な事、出來る男やない」とトミーは云ひ、「分かつてます」と云ふるいです。
錠一郎が奈々と出歩いてゐたと云ふのは、病院をたづねてゐただけの事だと筆者は思ひます。また、ドラマの語り手が語るやうに、るいは錠一郎を信じてゐたものゝ、何故、手紙も電話もないのか理由が分からず、不安でもありました。
期限の日がやつて來て、「御世話になりました」と笹川社長に挨拶をする錠一郎です。これから、どうするの？ と云ふ奈々に對して、大阪へ歸り、木暮には事情を話すと云ふ錠一郎です。「るいさんには？」と奈々は云ひますが、「どないして會へるんや。僕とるいを繋いでたのは、トランペットやのに」と云ふ錠一郎です。
二人を「繋いで」ゐる唯一の存在がトランペットであれば、その大事に就いて、話すべきであるのも、その二人であると筆者は考へるのですが……。
とある日の夜中、錠一郎は木暮のもとに歸りました。
翌朝、「Night and Day」のまへにて、るいと錠一郎です。
「大月さん……？」
「るい……」
「いつ、歸つて來たんですか……？ 手紙、屆いてますか？ 何通も出したんですよ、心配で。どないしてたんですか？」
錠一郎は無言の儘、嚴しい表情です。
「＂大月さん＂……」
奈々「＂ジョー＂！ 御免なさい、やつぱり氣になつて。木暮さんには、私からも……」と云ひかけた處で、奈々はるいに氣附きます。「あ……」
「中、入つといて」
錠一郎はるいのはうを振返ります。
「變な噂……聞きました。大月さんが社長の御孃さんとしよつちゆう二人で出歩いてるて。それで社長が怒りはつて、デビューが遲れてるて。そやけど私はそんなん信じてません。大月さんに限つてそんな……」
「ホンマや」（るいに近附き）「奈々の事が好きになつた。……そやから……、おまへとはをはりや」
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