【批評とは「詩の散文的表現」である】
中村(光夫)は小林(秀雄)の先驅者として #北村透谷 に註目してゐたのはすでに見た。詩集「蓬莱曲」を書き、「内部生命論」を書いた透谷は、高次な意味における魂の詩人であり、批評家だつた。中村は、近代日本における批評の確立とは、透谷以來の「詩の散文的表現」の復權であり、批評家とは散文によつて詩を書かうとする者の異名であると指摘する。
(#若松英輔 著「第十三章「文學界」の創刊―― #中村光夫 と #中野重治」/「#小林秀雄 美しい花」文春文庫※原文は略字新假名)