わけししょうロケ【愛媛】Matsuyama Ehime

日常から非日常まで、独特な人生の渡り方。不安定な安定の求め方。非正規上等、「いざ」という時のためにも。

愛媛県松山市本町「大黒屋」【わけししょうロケ】松山うどん真打を語ろうか

2021年04月12日 | 食い呑み
これまで、「うどん」についてさまざま語ってまいりました和気入道であります。
満を持して、といいましょうか、やっと皆様にご照覧いただくタイミングとなりましたので、ご紹介。大黒屋であります。
 
ここしばらくは愛媛県松山は山越エリアについてご案内させていただいております。それは和気入道ことわたくしが育った地域でありまして、なんてこたあない、DNAレベルで刻み込まれた味だのなんだのがいまだに憑いているのであります。今となってはそんなに行くこともないですが、最も和気一族がこよなく愛したお店なのです。まあ、回し者レベルですね。


 
まあ、独自の理屈ではありますが、愛媛松山の食が誇るべき老舗であろうかと思っています。小学生は2年次ごろに開店したと思っています。すでに40年を超える歴史をほこっているはずです。当時の店構えは現在と比べると小さなもので、お客のご愛顧とともに店舗規模がドンドン増幅していったのであります。当時は2階の座敷はありませんでしたよ。記憶では破格の値段設定で、お高いとの評判があったのです。
 
 
さて、話はやや飛んで、おうどん(そばも)のお値段について少々。和気の関係者で大阪のうどん店で働いておった方がいらっしゃいましてその方によりますと、うどんは値段を見ればだいたいどんな格かの、検討はつくのだとか。つまり、出汁にかけるコストが値段に反映されるので、お手軽な価格であれば材料が限られるとのこと。まあ、美味しいかどうかはともかくですがね。そういう意味では大黒屋さんは本格派の値段ということになりましょうか。多分ですけど、軌道に乗るまではけっこう時間がかかったんじゃないかなあ。大きなお世話でしょうけど。
 
 


店構えや内装も当時の流行からするとなかり絢爛でしたかねえ。当時の食べ物屋ってカネかけてなかったですからね。今観るとまあまあ普通ですけど。
 
 
さて、本題なのですが。
 
松山うどんとはいくつかの流派というか、流れがあると考えていました。総てを承知しているのではないことをあらかじめ申し添えておきます。まずは「かめ屋」や道後にあった「としだ」などの系統です。これが伝統的な伊予うどんともいうべき流れです。そして、アルミの小鍋で供される鍋焼きうどん。「アサヒ」や「ことり」など、これまた伝統があり多くの支持を受けているのであります。これらは、柔らか目の麺に煮干しベースの出汁で構成されており、伊予ののどかな風土らしい風味が特徴といえましょうか。
さらにエリア外から讃岐うどんや大阪うどんの系統などが単店レベルで入ってきます。麺のこしやのどごしで粉を食わす讃岐の麺は言うまでもなくうどん界の王者的存在。そして、大阪関西は出汁の文化が全国に侵食しており、いまや和食の味付けは関西風が基本となっているとも聞き及んでいます。
和気入道の個人的な見解ではありますが、麺は讃岐、味は関西風が最強の組み合わせではないかと。創業者である初代の大将はそこに商機を見出しそれを大黒屋として具現したのではないかと推測しているのであります。たしか大阪のご出身というか、大阪から松山に、と記憶しています。
まあ、今は判りませんが、以前は「道後に旨いものはない」的な風評が地元にはありまして。道後動物園の帰りに行った人でごった返していた「としだ」も子ども心ながら、あんまり好きではなかった和気でありました。その名店はその幕を下ろしました。その後、大黒屋道後店がその役割を担い、今に至っています。地元民はもとより観光客もたくさん来られているようです。
 
 
 
ここで逸話ともいうべき和気入道の実体験と大黒屋との付き合いを展開。
 
 
大黒屋episode 1
大型貸し切りバスが店沿いに横付け。駐車場に入れるわけもなく、路駐して観光客ご一行が来店。郊外のお店ではないし、いま考えてもかなり強引。幹事の采配かしらん。
 
 
大黒屋episode 2
和気宅への香川からの来客ご案内。和気入道的食の実験だわさ。「今日の昼はうどん屋じゃぞ」の宣言に、その方、想定通りに、たいへんご機嫌に障ったご様子で「なんで愛媛に来てウドン? はあ?」的な。和気答えて曰く「まあ、いいからイイから」と看板メニュー「大黒うどん」を推挙。その御仁、一口含んで、唸りを上げるに至りまして。
それから数カ月後に、その御仁と知り合いがこれまた香川からお越しになり、その御仁「昼はここで」と知り合いを大黒屋にご案内したのであります。「はあ? 愛媛でなんでうどんなんか」的な。御仁曰く「まあ、いいからイイから」以下、ループ。
 
 
大黒屋episode 3
東京在住のおじに大黒屋謹製生うどん詰め合わせを土産として献上。聞き及んだところによるとお電話注文にてリピート連発したとのこと。
 
 
大黒屋episode 4
大盛という概念をとことん追求。何度か大盛を頼んだんことがあるのですが、まずは見た目にびっくりするかも。ここのは器からして、大盛というか惚れ惚れするくらいでかくなります。麺も2玉は余裕でありそうですし、出汁もそれくらい。家族ユースは取り分けていただく戦法がお勧めです。インスタ映えしますよ。
 
 
大黒屋episode 5
これもおそらく、なんですが。丼ぶりは地元の「砥部焼」が多く使われています。まあ、この店に限ったことではないのですが、やはり地元意識をこだわって持っているのかなあ、と思いました。砥部焼については別の記事をご参照ください。
 
 
 
 
 
大黒屋お勧め その1
さて、お勧めについても数がありまして、まずは屋号を冠した「大黒うどん」がこちら。意外や意外、冷たいうどんがエースなんです。記憶に間違いがなければ、開店当初はメニューにはなかったはず、ですよね。
ぶっかけうどん的なものですが、錦糸卵と海苔、揚げ玉におろし生姜とゴマとネギを乗せたシンプルな構成。画像のとおりであります。
 
大黒屋お勧め その2
このお店ではなぜか一択を押し通す人がいまして、わたくしの周りにもいらっしゃいました。その方々の定番とは「カレーうどん」と「小ライス」。元々は鶏だったのですが、いつぞやのメニュー改変で牛かポークになっており、往年のファンは落胆この上ない状況に陥ってしまいました。ところがしばらくしてチキンが復活。まあ、間違いなく少なからず愛好者が存在していたのでありましょう。
とても優しいお味で、お子様にもお勧めですよ。当然、ご飯との相性も是。コスパも最強レベルですよ。
 
大黒屋お勧め その3
その他にも捨てがたいメニューはいろいろあるのですが、ちょっとヒネったところを。鶏の「唐揚げ」が美味しいですかねえ。
これは千葉の知り合いに言われたんですが、愛媛人の唐揚げ好きはすごいとのこと。その人は松山の某中華ファミリーレストランでバイトをしてたんですが、来る客くる客みんなが唐揚げを注文するもんだから、ホントに好きなんですねえ、と。地元民は自覚がないんじゃないかなあ。
で、唐揚げが美味しいお店って、愛媛にはめちゃくちゃ多いですよねえ。レベル高い店は専門店だけでなく、うどん屋のサイドメニューにもあったりするわけです。
 
大黒屋お勧め その4
サイドメニューというか、以前はテーブルに常備されていた「昆布の佃煮」。直近の来店では確認できなかったので、食べ放題でなくなったようですが。定食などには付いてくると思います。これも味が良くて、ついつい食べてしまう美味しさです。持ち帰り用に販売もしていたはずです。
 
 
 
 
まだまだいろいろあるのですが、記憶の奥底に沈んでしまっていて表すことができません。ホントに日本内外から多くの方をご案内しました。まあ、おくまでも和気入道の好み嗜好ということでご理解ください。ただ、ここがうどん舌の基準となってました。いい意味で高い基準が和気には備わったのであります。
松山にお寄りの際は、ご利用してはいかがでしょうか。