
公正取引委員会「報告書ポイント」から
公正取引委員会の「使用済みペットボトルのリサイクルに係る取引に関する実態調査報告書」が発表されたようだ~
報告書ポイントでは、
独占禁止法上留意すべき事項・問題となるおそれがある行為への対処として、
日本容器包装リサイクル協会(容リ協)に対し
・一部の市町村において、指定法人ルートを用いなくなることが容リ法上問題視されるかのような誤解のおそれ
・独自処理を行うことを躊躇させたり制限させる効果を生じさせる場合には、独占禁止法上又は競争政策上の問題を生じさせる可能性
全国清涼飲料連合会(全清飲)は、
・指定法人分については、飲料メーカーから市町村に対し、独自処理を行うように働きかけないこと等を合意。その後の独自処理等を巡る状況次第では、独占禁止法上問題となるおそれがあるところ、全清飲は、令和5年9月に当該合意を破棄済み。
入札方法への「不断の検討」
・随意契約が多い市町村の独自ルート、
・指定法人ルートの入札方式
報告書本体 117頁以降に、、
容リ協が令和3年10 月に全清飲に「飲料メーカーがボトルto ボトルを協働して推進するために市町村と協定を締結し、容リ協を通さずに再商品化を行う取組について「容リ法の方針(精神)に沿っていない」等とし、全清飲において適切な対応を希望する旨の文書を送付した件や、それを受けての全清飲の合意なども詳しく出ている~
要するに、容リ協会は市町村に独自処理を萎縮させる働きかけはダメ、飲料メーカーに「待った」をかけてはダメ、、、また、全清飲の市町村へ「独自処理を働きかけない合意」もよろしくないということなのかな、、、
報道各社、容リ協会の報告書を受けて様々な報道、、
見出しだけでも、、、
・ペットボトル回収 業界団体の自粛合意「問題」 …公取委 飲料会社・自治体取引で(読売新聞オンライン)
・廃ペットボトル、回収業者が独禁法違反の恐れ 公取委(日本経済新聞)
・ペット再生、入札制度検討を=リサイクル業者の参入促す―公取委 -(ライブドアニュース)
・廃ペットボトル争奪で警鐘 公取委、独禁法抵触の恐れ(b.[ビードット])
・廃ボトル独自処理 容リ協の「待った」は独禁法抵触恐れも 公取委(毎日新聞)
・廃ペットボトル争奪で警鐘 公取委、独禁法抵触の恐れ(47NEWS)
また、容器包装リサイクル協会のHPでは
「公正取引委員会による「使用済みペットボトルのリサイクルに係る取引に関する実態調査報告書」の発表について」ということで、容リ協会の見解を掲載している~
容リ法の問題
市町村は、容リ協会指定法人ルートでは入札制度がある限りは、「ボトルtoボトル」は選べない、、従って、「ボトルtoボトル」を実施するには独自ルート処理になるのは致し方ない。また、指定法人ルートだと、市町村からの引き取り品質ガイドラインは厳しい、指定保管施設も必要になるし、どちらにしても、容リ法の収集運搬の市町村負担は事業者の負担に比べて大きすぎる、、拡大生産者責任を追求する観点からは、事業者自らが集めて再商品化するのが望ましい、、、
昨年、「ボトルtoボトル」で、廃ペットボトル争奪戦という報道があった~
故に、品薄になって入札価格にこうも影響が起きたのかどうかはわからないが???
容リ協会の令和4年度のPETボトルの有償入札に係る収入が令和3年度分の2.7倍以上の高値
令和4年度分 総額 約183億円(PETボトル:約182億円、紙製容器包装:約9.9千万円)
令和3年度分の総額 約66億円(PETボトル:約65億8千万円、紙製容器包装:約5.5千万円)
そして、公正取引委員会で「使用済みペットボトルのリサイクルに関する取引実態調査の開始」となって、今回の報告書~
まだ「報告書本体」はしっかり読んでないが、、
公正取引委員会なので、独禁法抵触か否かの調査なのだが、、
自由競争、市場原理を盾にすると、、やはり、中小零細の再商品化事業者は、ペットボトルを手に入れるのは難しくなっても仕方がないということなのか???
関連(本ブログ)
■廃ペットボトル争奪戦? メーカーと自治体の「ボトルtoボトル」連携に容リ協「待った」2022年02月04日
令和5年10月16日
公正取引委員会
第1 調査趣旨
ペットボトルは飲料などの容器として広く用いられており、消費者にとって身近な素材である。また、使用済みのペットボトルは、ほとんどの市町村において分別収集が実施された後に再商品化されており、そのリサイクルの取組も日常生活と関わりあるものとなっている。
近年では、リサイクルの推進や効率的な資源利用・環境負荷の低減が世界的な課題となっている状況の中で、更なる環境負荷の低減に資すること又は住民に対する啓発につなげることを目的として、使用済みペットボトルを再びペットボトルにリサイクルする、ボトルtoボトルのリサイクルの取組が広がっている。
従前、使用済みペットボトルは金銭を支払うことで処理を委託するものであったが、現在は多くは有償で取引される、つまり、資源として売れている状態であるという状況の変化や、上記のような新たな取組の進展により、流通経路の変化や多様化が進んでいると考えられる。
公正取引委員会は、このような状況を踏まえ、グリーン社会の実現を後押しすることを目的として、使用済みペットボトルのリサイクルに関する取引の実態を把握するとともに、独占禁止法上及び競争政策上の考え方を示すため、使用済みペットボトルのリサイクルに関する取引の実態調査を実施した。
第2 調査方法
令和5年2月から同年9月までの間、次の方法により実施。
1 書面調査
・ 全市町村1,741機関(回答1,391機関分、回収率79.9%)
・ ペットボトル利用・製造等事業者1,139名(回答者数749名、回収率65.8%)
・ 再商品化事業者47名(回答者数42名、回収率89.4%)
2 ヒアリング調査
次の計106名に対して、ヒアリング調査を実施。
市町村 50名
収集運搬・中間処理業者 5名
再商品化事業者 27名
ペットボトル利用・製造等事業者 8名
使用済みペットボトルの排出事業者 6名
事業者団体等 5名
有識者 5名
第3 調査結果
報告書本体及び概要参照。
関連ファイル
(印刷用)(令和5年10月16日)使用済みペットボトルのリサイクルに係る取引に関する実態調査について(97 KB)
令和5年10月16日
公正取引委員会による「使用済みペットボトルのリサイクルに係る取引に関する実態調査報告書」の発表について
これは、当協会が容リ法の目的である廃棄物の適正処理と資源の有効利用の確保に寄与すべく、ユニバーサルサービスとしてのセーフティネット機能を担っていること、すなわち使用済ペットボトルのを商品とした民間企業活動における売買取引とは事業の主目的が異なることが示唆されているものと考えます。
同報告書において、当協会の活動や行為に独占禁止法上または競争政策上の問題はないと明記されておりますが、その上で下記2点の公正取引委員会としての考え方が示されました。
1点目は、使用済みペットボトルの処理について、当協会が市町村等に連絡する際には、独自処理を妨げるような誤解を生じさせないように留意することが望ましい、とされています。
当協会は、本件が市町村の裁量であることを十分理解、尊重し、従来からこの点に留意した説明を行っておりますが、仮に市町村等に誤解が生じていたとすれば、これを真摯に受け止め、いっそう丁寧な説明に努めてまいります。
2点目は、市町村、再商品化事業者等の需要を可能な限り踏まえつつ、再商品化事業者間の競争がより促進されるよう、入札制度を絶えず検討することが競争政策上望ましい、とされています。
入札制度は、主務省との協議のうえ構築してきたものであり、容リ制度の公平・公正を確保するために重要な制度と位置付け、予てより様々な検討を続けておりますが、今般のご指摘を受け、主務省庁のご指導も仰ぎながら、さらに検討を重ねてまいります。
当協会としては、幅広い調査をもとに標記報告書をおまとめいただいたことに対し、深い敬意を表するとともに、引き続き容器包装リサイクル法及び同関連法令を遵守し業務を推進してまいります。何卒ご理解、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
公正取引委員会による「使用済みペットボトルのリサイクルに係る取引に関する実態調査報告書」
以上