東京23区のごみ問題を考える

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TRP微量PCB焼却実証試験報告 敷地境界ダイオキシン類基準値超過の原因は?(続き)

2010年08月19日 07時21分02秒 |  PCB/DXN類など

※昨日の「TRP微量PCB焼却実証試験報告 敷地境界ダイオキシン類基準値超過の原因は?」の続き~

※TRPは東京臨海リサイクルパワー(株)の略称

■ 基準値超過(敷地境界東側のダイオキシン類濃度)の検証と対応について
※「清掃港湾・臨海部対策特別委員会資料」より作成

《検証》
4月29日の運転状況
○試験当日の炉内温度やCO濃度等、プラント施設の管理指標を逸脱するような事象はなかった。
○特異値の発生に結びつくようなトラブル等はなかった。
○分析は法令で定めた方法に基づき適切に行われていた。
○以上のことから、運転状況記録等からは、基準値超過の原因は特定できなかった。

《推定要因》
Ⅰ 排ガスの影響
Ⅱ 焼却灰の飛散の影響

《要因の検証結果》
無:要因の可能性無し △:要因の可能性を否定できない。
Ⅰ 排ガスの影響 【無】
・煙突排ガス中の濃度 > 敷地境界の濃度
・ガス化炉等の設備は密閉され、かつ、内部は負圧に保たれており、排ガスが漏れ出すことはない。 
Ⅱ 焼却灰の飛散の影響 【△】
・灰積出場のシャッターを試験開始後数時間に渡り閉め忘れていた。
 このため、ダイオキシン類を含む焼却灰が南よりの風に乗って敷地境界(東側)まで運ばれた可能性は否定できない。

《対応策》
○灰積出作業立会者に対して再教育を行い、シャッター閉による飛散対策を徹底する。
○中央操作室から灰積出作業時のシャッター開閉状況を確認できるカメラを新たに設置する。
○定期的に敷地境界(東西南北)のダイオキシン類濃度の測定を行う。(年4回)


《追加試験結果》
○追加試験の結果、全ての地点において環境基準(年間平均値0.6pg-TEQ/m3 )以内であった。


大気のダイオキシン類 環境基準0.6pg-TEQ/m3を大きく超過した「東」の1.8pg-TEQ/m3(4/29測定)も、6月の追加調査では0.098と0.051pg-TEQ/m3 となった。都合6回の調査結果を平均すると「東」も0.435pg-TEQ/m3 となる。高めではあるが、年平均値の環境基準0.6pg-TEQ/m3はクリアできたことになる。国で決めた環境基準ってこの程度のことなのである~


ということで、何ともお粗末な「基準値超過(敷地境界東側のダイオキシン類濃度)の検証と対応について」の報告であった。
これが天下(?)の東京電力である!! その関連事業で、そもそも東電保管の微量PCB絶縁油の処理のための、実証試験なのである。本当にこんな施設で、果たして安全な操業ができるのだろうか?!

原因が「焼却灰の飛散」と断定されたわけでもないのだろうが~ 
検査が行われることがわかっているであろう日に、このようなずさんな管理体制では困ったものである。
通常は推して知るべしなのでは~

試験日も、当初の予定日に不具合が発生して、翌日に延期された経緯がある。
■中防TRPガス化溶融炉で微量PCBの焼却実証試験/付属設備の一部不具合で明日に延期か

TRPのホームページ「スーパーエコプラント施設情報」をみると、ガス化炉で「医療廃棄物焼却灰、処理灰」も処理するようになっているので、同じ敷地内での灰の積出、移動ということで、チェック体制も甘くなっていたのではないだろうか?!

高濃度PCB廃棄物処理(化学分解)の大変さがわかるだけに、微量PCBに関しては、もう焼却処理に異議を唱える元気もなかったのだが~

それでも、まさか、一都三県分の高濃度の処理の他に、焼却処理まで江東区地先中防で実施されるとは思いもしなかった。処理を急ぐ必要性も十分にわかるが、それらは、全て十分に信頼できる施設で安全な管理体制の元に行われるべきである。
いろいろ思うところたくさんあるがもうやめる。

やめるといいながら、またまた追加(2010/08/20)
これにて「微量PCB絶縁油を安全かつ確実に処理できることを確認」したということになるのだろう。
TRPの産廃炉はガス化溶融炉である。試験結果を見てもよくわからないので、東京23区の清掃工場に唯一ある世田谷清掃工場のガス化溶融炉ダイオキシン類の測定結果と比較してみたが、排ガス、飛灰、排水と同程度に思える。飛灰ダイオキシン類に関してはPRTの方がかなり少ないので驚いた。どちらにしても「基準値を大きく下回った」(敷地境界のダイオキシン類測定結果を除く)ということはそうなのだろう。

とても不思議に思うのは、本年4月、江東区議会に「微量PCB汚染廃電気機器 等(絶縁油)焼却実証試験 実施計画」 の報告がされてから、全く環境省からその報道がされないことである。(もしかしたら私が見過ごしているだけなのかもしれないが~)

環境省では、微量PCB混入廃電気機器等の焼却実証試験の実施予定や実施結果について、その都度の報道をしている。平成18年の3月以来、すでに全国各地で10社以上の実施案内や実施結果が報告されているというのに、なぜ東京で実施される本件のお知らせがなかったのかとても疑問に思っている。広く地域住民にお知らせなどを流した上での、実証試験、安全確認、その上での認定申請につながるのではないかと思うけど~


これまでの環境省のお知らせから作成した一覧表↓↓
◇微量PCB混入廃電気機器等の焼却実証試験実施状況一覧 (実施事業者別の一覧)


区議会の清掃港湾・臨海部対策特別委員会では、「水銀混入ごみによる複数清掃工場焼却炉の停止について」もあったのだが、これが、一組がホームページで公表している程度の報告だけであった。排ガス水銀オーバーといってもどの程度の数値でオーバーしていたのか、触媒に付着した水銀量などの報告も全く聞くことができず~とても残念であった。

傍聴する側も、てっきり一組が来て報告すると思っていたので肩すかしを食った感じであったが、多くの議員さんも、一組が報告に来ないことで詳しい状況が聞けずに怒り心頭~ 複数の清掃工場の停止により、新江東清掃工場への搬入ごみは確実に増えているし、テレビや新聞の報道だって区がでてくるわけではなく、全て一組が受け答えしているのに、、なぜ江東区に報告に来ないと~ ~と!!

一組が報告に来ないことによる混乱で、なんだか中途半端に委員会も終了してしまった。


江東区議会の清掃港湾・臨海部対策特別委員会を傍聴
清掃港湾・臨海部対策特別委員会
1 日 時 平成22年8月18日(水)午前10時
2 場 所 江東区議会(第1委員会室)
3 報告事項
(1) 微量PCBの処理の促進について
(2) (仮称)昭和大学新豊洲病院の基本設計について
(3) 東京二十三区清掃一部事務組合のごみ性状調査の数値について
(4) 水銀混入ごみによる複数清掃工場焼却炉の停止について


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