●王子製紙は古紙100%再生紙を堅持!!
●昨日公開されたJESCO(政府全額出資の特殊会社)「環境報告書2009」をみながら~印刷情報用紙の古紙配合率表示がどうなっているかネット上で少し調べてみた。各社の環境に関する「報告書」裏表紙の紙に関するマーク部分を見比べてみた。どの裏表紙も「FSCミックス品」のマークが目立っている。
●昨年、グリーン購入法は「コピー用紙」のこれまで古紙100%であった基準を、環境に配慮したパルプ(FSC認証材や間伐材など)配合も可とする法改正をおこなった。今年は、「コピー用紙」と同様に「印刷情報用紙」についても古紙配合率の引き下げとなる改正案を検討中である。(現状のグリーン購入法適応の「印刷情報用紙」は古紙配合率70%以上のもの。)【改正案検討状況 平成21年度特定調達品目検討会:http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/21kentoukaikaisai.html】
●企業の動きは速い、改正の先取りで軒並み「FSCミックス品」ばかりが目についた。数年前までは、どこの企業も再生紙使用、エコマークの表示があたりまえであったが。法改正の先取りというより、企業の動きで法改正が後追いなのか?!
●改正のポイントは古紙パルプ・森林認証材・間伐材の割合、白色度、坪量、塗工量を「総合評価指標」で表し、その得点でグリーン購入法適応製品とするのだが、流通商品でそのような割合など消費者には全く不明であろう。
●現に、「FSCミックス品」もFSC森林認証パルプが5%ミックスなのか、50%ミックスなのか全くわからない。FSC森林認証パルプ以外のパルプが古紙パルプなのか、もしかしたら違法伐採されたバージンパルプなのかも全く割合はわからないのである。食品であれ何であれ、材質表示は主原料の表示があって従となる材質も表示されるであろうに。一部の材質表示のみを売り文句にすれば誤解よりなにより不可解である。
●いわゆる古紙偽装で、これまで古紙100%としていた再生紙がほとんどウソであったのだから、どこの企業も古紙100%の印刷用紙をあきらめたのか~それでも王子製紙は古紙100%を造り続ける。王子の報告書も当然古紙100%の表示となっていた。
●「紙」の種類も多種多様である。用途によって様々な紙を選ぶのであろう。しかし、色とりどりの各種マークを並べて、見た目にはいかにも環境に配慮しているかのようだが、主体が何で出来ているのか割合の表示もないので、実際のところはよくわからない表示となっている。
★王子製紙グループ「企業行動報告書2008」
http://www.ojipaper.co.jp/envi/report/index.html
●2008年はずいぶんすっきりした表示となった。
★王子製紙グループ「企業行動報告書2006年」
※この冊子に使用した紙について 王子製紙グループは、「森のリサイクル」「紙のリサイクル」を実践し、紙を生産しています。本誌に使用した紙も、本文は「森のリサイクル」の成果ともいえるFSC森林認証取得用紙(p.2~2 5)と北海道産間伐材の配合紙( p . 2 6~6 3)を、表紙は「紙のリサイクル」による古紙100%の紙を使用しました。この冊子自体に、持続可能な社会へ向けて取り組む王子製紙グループのメッセージが込められています。
★コカ・コーラセントラルジャパン株式会社「CSRレポート 2009」
http://www.cccj.co.jp/csr/c_report/index.html
※「CSRレポート 2007」は「R100」マーク、2008年以降は「FSCミックス品」
★コクヨ株式会社「コクヨグループ CSR報告書 2009」
http://www.kokuyo.co.jp/com/csr/pdf/index.html
※1999年~2001年はエコマーク、「コクヨグループ CSR報告書 2002年」は「R100」マーク、2003年以降は「FSCミックス品」
★日本製紙グループ「サステナビリティ・レポート2007」
表示なし(日本製紙の最新の報告書はネット上で見つけられなかった。)
★日本製紙グループ「日本ユニパックホールディング環境報告書2003」
http://www.np-g.com/csr/npg_2003.html
※この報告書は、上質コート紙「ユーライト」を使用しています。ユーライトは、植林事業で育てた紙を原料とし、環境に与える影響の少ない薬品を使い、またバイオエネルギーを有効活用して作られた紙です。さらに廃棄物をできる限り抑えた製造方法をとっており、環境に配慮して作られた紙です。日本ユニパックホールディングは製紙業界のリーディングカンパニーとして、環境と調和した省資源・循環型による紙づくりを目指しています。
★日本環境安全事業株式会社「環境報告書2009」
http://www.jesconet.co.jp/company/environment/index.html#env01
※2007年環境報告書は「R100」マーク、2008年は「FSCミックス品」
★パナソニック株式会社「エコアイディアレポート 2009」
http://www.panasonic.co.jp/eco/env_data/back_number/
※2007年は「R100」マーク、2008年以降は「FSCミックス品」
★京セラ株式会社「京セラ CSR報告書 2009」
http://www.kyocera.co.jp/ecology/catalog.html
※表紙には間伐材パルプを配合したFSC認証紙を採用、本文には古紙パルプを配合したFSC認証紙を採用
●割合まではわからないにしてもせめてこの程度の文章表示をしてほしいものだが、しかし、R100ではありえないのだが…。間伐材もFSC認証パルプも古紙パルプではなくバージンパルプであるので~
★積水化学工業株式会社「CSR レポート 2009」
http://www.sekisui.co.jp/csr/report/index.html
※2006年は「R100」マーク、2007年以降は「FSCミックス品」
★大日本印刷株式会社「DNP グループ CSR報告書 2009」
http://www.dnp.co.jp/jis/eco/index02.html
●用紙FSC認証紙、間伐に寄与した紙(森の町内会)
・表紙: ニューVマットFSC-MX(三菱製紙株式会社)
・本文: 森の町内会A2マットFSC認証-MX(三菱製紙株式会社)
●印刷の版CTP出力によるフィルムレス方式
●製本リサイクル対応ホットメルト使用の無線綴じ これらは(社)日本印刷産業連合会が定めた「古紙リサイクル適性ランクリスト」の「Aランク」資材で、印刷情報用紙にリサイクルできます。
・背糊: アサヒメルトRP2800、アサヒメルトM3110(旭化学合成株式会社)
・脇糊: アサヒメルトRPS310(旭化学合成株式会社)
●イ ン キリサイクルを阻害しないインキ
・インキ: New Shine(ザ・インクテック株式会社)
●さすがに印刷会社、製紙メーカーと商品名まで入れている。その気になれば材質を調べる手立てとなる。あまり見慣れない「リサイクル適正A」という表示については、本ブログ次ページの『「紙」「印刷」に関する各種マークについて』を参照下さい。
★帝人株式会社「2009年 帝人グループ CSR報告書」
http://www.teijin.co.jp/eco/eco08.html
※2007年は「再生紙及び大豆インキを使用」の表示
★東京都「東京の環境2009」
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/tokyo-kankyo/index.html
●これほんとうに今の「R70」なのかな? もういまではRマークの表示も信用できなくなっているので、「Rマーク」は自主的に付ける表示。割合がしっかりわかっていいのだがその信憑性の根拠が危ういので~ 東京都:デザイン的にもいかにもお役所!!
●環境省の「環境白書」PDF版は残念ながら裏表紙は載せられていなかった!!
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/
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