東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

横浜市長、ごみ焼却工場の老朽化対策「新しい工場の整備が必要」と、、ごみ減量施策、23区と横浜市の違いは~

2017年12月09日 08時40分59秒 | ごみ全般/環境政策

≪ヨコハマ3R夢プラン 第2期推進計画≫「概要版パンフレット(一括)(PDF形式4.3MB)」から


建通新聞の「横浜市長 ごみ焼却の新工場が必要」によると、
横浜市の林文子市長の市会本会議で、ごみ焼却工場の老朽化対策として「新しい工場の整備が必要」、適正なごみ処理を継続するためで、「整備の場所や施設規模、財源確保などの課題について早急に検討し、方針をまとめていく」ということである。当然と言えば当然なことではあろうが、、、もう、これ以上の焼却工場の休止などはないのかと残念に思う~

横浜市長 ごみ焼却の新工場が必要
建通新聞 2017年12月9日
横浜市の林文子市長は12月8日の市会本会議で、ごみ焼却工場の老朽化対策として「新しい工場の整備が必要」との認識を示した。適正なごみ処理を継続するためで、「整備の場所や施設規模、財源確保などの課題について早急に検討し、方針をまとめていく」構え。 このコンテンツの続きをお読みいただくためには、会員登録 ...


ごみ問題に取り組む市民の集会等でも、横浜市の廃棄物施策は、ごみ減量がごみ焼却工場の休止や廃止に直結し、なにかと賞賛の引き合いに出されることが多い。これまで、ごみ減量効果で栄工場が平成13年に焼却停止、港南工場が平成18年に焼却停止に次いで、平成22年度からは保土ヶ谷工場も休止するという報道には絶賛の声もわいたものだ~


横浜市の総人口は約373万人で、日本の市町村では最も人口の多い政令指定都市である。そこからでてくる一般廃棄物の総排出量は約118万トン(平成27年度)と一番多い。東京23区の場合は、特別区制度改革で清掃事業は区移管されたものの、中間処理は共同処理体制で東京二十三区清掃一部事務組合が行っている。23区の人口は約920万人、そのごみ総排出量たるや330万トン(平成27年度)である。

廃棄物施策、東京23区と横浜市の取り組はなにが違うのだろうか、、、
どちらも、ごみ量ピーク以降の取り組は、いろいろやっているのだが、、
なにしろ、横浜市のごみ減量施策「横浜G30プラン」にしろ「ヨコハマ3R夢プラン」にしろ、ネーミングもすばらしい、、
ネーミングだけではない、チラシづくりも呼びかけも洒落ていて宣伝上手、その気にさせる何かがある、、、
かっこいいというか、、隣の芝生は青く見えるのかもしれないが、、

23区の場合も、「東京スリムプラン21 」や「東京ルール」などあったものの、、都民サイドでもあまり評価されていない
もちろん、処理形態が違うので、同等に比較はできないのだが、、、

家庭系ごみのごみ減量は、23区も横浜市も取り組としてはさほど違いは無いであろうが、
23区も横浜市も、大都市であるが故の事業系ごみの多さは格別である、、
しかし、事業系ごみの減量、削減に関しての取り組は大きく異なるのではないだろうか、、
資源化可能な紙類の取扱いひとつについても、
横浜市は「資源化可能な古紙は、市の焼却工場へ搬入することはできません。」となっている、、

事業系ごみのルール違反に対する罰則」規定もある~

これを機会に、今一度、横浜市の焼却施設をチェックしてみた、、、
また、過去のごみ焼却量や焼却工場の余力などをみてみた~

横浜市資源循環局

焼却工場

ごみ問題の解決のためには、ごみの発生抑制や再利用・資源化を推進することが大切ですが、一方都市のさまざまな経済活動の維持や、市民の生活環境の保全、さらには埋立処分場の有効利用、効率的な収集・運搬のためには不可欠な施設です。

鶴見工場

場所  横浜市鶴見区末広町1丁目15番地1
敷地面積 61,053.95 m2 (余熱利用施設除く)
総事業費  約518億円
処理能力 1,200トン/日(400トン/日×3基)
焼却炉型式 連続燃焼式焼却炉(三菱マルチン式)
発電能力 22,000kW
着  工  平成2年度 (平成2年9月)                
稼働開始 平成7年4月 

保土ケ谷工場

※保土ケ谷工場は平成22年度より一旦休止し、一般廃棄物の中継施設となりました。

場所   保土ケ谷区狩場町355
敷地面積  60,420
総事業費 
処理能力  1,200トン/日(400トン/日×3炉)
焼却炉型式 デ・ロール式 日立造船 
発電能力 4,200kW
稼働開始 昭和55年7月 
    

旭工場

場所   横浜市旭区白根二丁目8番1号
敷地面積  約55,722m2
総事業費 
処理能力  標準 360トン/日  最大 540t/日(180トン/日×3炉)
焼却炉型式 ストーカー炉
発電能力  最大 9,000kW
竣工年月日    平成11年3月31日
稼動年月日    平成11年4月1日

金沢工場場 (溶融施設含む)

場所   横浜市金沢区幸浦二丁目7番地1
敷地面積  70,000m2
総事業費   約626億円(用地取得費含まず)
処理能力   1,200トン/日(400トン/日×3炉)
焼却炉型式  全連続燃焼式ストーカ炉 日本鋼管株式会社(現 JFEエンジニアリング株式会社) 
発電能力   35,000kW
着  工    平成7年9月
竣  工    平成13年3月
稼  動   平成13年4月

都筑工場

場所  横浜市都筑区平台27番1号
敷地面積 約 64,218m2
総事業費 約287億円(用地費84億円、建築費94億円、築炉費109億円)
処理能力 標準800トン/日、設備1,200トン/日(400トン/日×3炉)
焼却炉型式 連続燃焼式・三菱マルチン型
発電能力  12,000kW
着工年月日  昭和54年12月24日                
竣工年月日     昭和59年 3月31日
稼働年月日     昭和59年 4月 1日

 港南工場焼却設備撤去工事 (平成19年9月末 工事完了)平成18年1月に焼却を停止

 栄工場焼却設備撤去工事 (平成20年7月末 工事完了)老朽化のため平成13年2月から休止

 

●横浜市のごみ焼却工場

こうしてみると、、、栄工場はごみ減量で休止というよりも、金沢工場の竣工で休止になったのだろう。
都筑工場は稼働年数33年、鶴見工場は稼働22年になるので、、都筑工場は建替となるのだろうか、、
横浜市一般廃棄物処理基本計画 ~ ヨコハマ3R夢(スリム)プラン ~ 第2期推進計画をみると、都筑工場は平成29年度までに長寿命化完了、既存工場は長寿命化・大規模改修の調査・検討・実施となっている。
現状のごみ焼却量と、焼却能力をみると、焼却余力はおおざっぱに計算して20%近くあるのではないだろうか???


横浜市資源循環局「焼却工場」から


以下、横浜市の統計ポータルサイトの「データでみるヨコハマ」などから参考にグラフを作成した~


●横浜市のごみ焼却量の推移

横浜市のごみ焼却量はピークが平成13年で、しかし、それにしてもその後どんどん減少している。
ほんとうに素晴らしいものだ!! 現状でも焼却余力はだいぶんあるようだが、施設の老朽化には致し方ないのか、、、、、


横浜市統計書「ごみ収集及び終末処理の状況」から作成


●横浜市のごみ焼却量(家庭系と事業系内訳)

残念ながら元データは平成21年度~平成28年度までしかない、、、


横浜市統計書「ごみ収集及び終末処理の状況」から作成


●横浜市のごみ収集量の推移

事業系ごみ量も大きく減少している~


横浜市統計書「ごみ収集及び終末処理の状況」からそのまま

 

●横浜市の事業系ごみ量の推移

なんと、事業系ごみも、平成12年度のピーク時の約68万トンから、平成28年度は約30万トンと半減、、、
平成15年度以降のごみ焼却量の減量カーブと、事業系ごみの減量カーブはぴったり相似している~


横浜市統計書「ごみ収集及び終末処理の状況」から作成

 

●政令指定都市の1人一日あたりのごみ排出量(平成27年度)

横浜市のごみ量は、焼却量の減少だけでなく、
環境省が毎年集計する「一般廃棄物の処理実績」からみても、全国的にもトップクラスの優秀なごみ減量都市である~


環境省「一般廃棄物処理実態調査結果」から作成

 

関連(本ブログ)
■ まだまだ減らす「ヨコハマ 3R夢 プラン」、 東京23区とのごみ量比較 2011年01月25日
■ 横浜市 ごみ減量効果で保土ケ谷工場も2010年度には休止へ!横浜と23区を比較すると~ 2009年03月08日 

 


 

横浜市と23区を単純に比較はできないが、、、

23区の場合も、過去には、大規模清掃工場(6工場)の大幅な規模縮小はあったのだが、、、
東京スリムプランで、それら規模の縮小工場は、灰溶融施設の併設のおまけ付きであった。
そして、清掃事業の区移管などで、自区内処理の原則云々などもあって、5工場が新設工場となった。
それでも、、規模の縮小はそれなりにあるのだが、,ほとんど評価の対象にならない、、

23区の中間処理は、21清掃工場体制である。
ちょっとやそっとのごみ減量では、簡単に清掃工場の休止に結びつかない。
なにしろ、21も清掃工場があると、常に、2~3清掃工場がいつも建替などで休止しているので、、、その間も安定的にごみを焼却するために、いつもその分だけ余計に余力計算が必要になる。あまりにも大きな広域処理の最大の弊害であろう。

そして、23区の共同処理とはいえ、23区の全ての区に清掃工場があるわけではない。清掃工場のある区、ない区があれど、けっして、清掃工場の建設が持ち回りになるわけでもないのだ。一度、清掃工場が建設されると、そこで繰り返し建て替えが行われるのが23区の仕組みになっている~

清掃工場も、各区の持ち回りで用地を確保して建設すれば、同じ敷地で解体、建替の都合5年以上の稼働ストップがなくなれば、余分な21清掃工場体制も必要なくなる。23区の場合は、そういう用地の確保が困難ということで、、、また、近隣に清掃工場の建設などというと、どこも同じで、これまでごみ問題に関心の無かった住民もこぞって反対をする。しかし、そうであれば、ごみ減量や焼却にかわる施策などへの発展もなく、その先には進めない現状がなやましい、、


●23区の清掃工場の規模縮小状況


23区のごみ量は、ピークは平成元年の490万トン、

その当時は、ごみの全量焼却ができていなかったので、焼却ごみのピークは平成9年の江戸川清掃工場の竣工の頃になる。
ごみ総量はピーク時から44%減少しているが、焼却量はピーク時から19%の減少にとどまっている。そして、プラスチック類の焼却以降は、焼却量は横ばいから微増、事業系ごみも増加傾向である~

●23区のごみ量とごみ焼却量推移(平成元年~平成28年度)

 

●23区のごみ量推移(平成12年度~平成28年度)

23区の場合は、事業系ごみ(持込ごみ)の減量があまりない、近年は微増傾向、、、
入るものは拒まずか、清掃工場では、紙類も「書類」「古新聞」「古雑誌」「シュレッダーくず」「コーティング紙」なども堂々の受入品目もとなっている~

 

 

関連(本ブログ)
平成27年度 東京都 1人1日当たりのごみ排出量は918g、リサイクル率 R 22.4%、リサイクル率 R’20.5% & 23区の場合は~2017年04月14日


環境省 (全国)「一般廃棄物の排出及び処理状況等」(平成27年度)について

1.ごみの排出・処理状況

・ごみ総排出量        4,398 万トン(前年度 4,432 万トン )[ 0.8 % 減 ]
・1人1日当たりのごみ排出量   939 グラム(前年度 947 グラム )[ 0.8 % 減 ] ← 東京都918g、23区986g
(参考:外国人人口を含まない場合 954 グラム(前年度 963 グラム) [ 0.9 % 減 ])
・最終処分量         417 万トン(前年度  430 万トン )[ 3.0 % 減 ]
・減量処理率          98.9 %   (前年度 98.7 %) ← 東京都99.9%、23区99.9%
・直接埋立率          1.1 %   (前年度 1.3 %) ← 東京都0.1%、23区99.9%
・総資源化量           900 万トン (前年度 913 万トン )[ 1.4 % 減 ]
・リサイクル率        20.4%   (前年度 20.6 %) ← 東京都22.4%、23区17.1%
詳細は~


環境省「一般廃棄物処理実態調査結果」のごみ量の試算方法など

環境省日本の廃棄物処理」から
日本の廃棄物処理に関する基本的な用語

日本の廃棄物処理で用いる用語のうち、基本的な用語の概念、解釈を以下に示す。
【ごみ処理】
1.ごみ処理
・人口(人) (平成25年度の場合)
平成 25 年 10 月 1 日現在である。
「計画収集人口」は、実際にごみの収集を行っている区域の人口である。
「計画収集人口」と「自家処理人口」の和が市町村の「総人口」となる。さらに、「総人口」 は都道府県の統計課が平成 25 年 10 月  1 日付けで公表するために市町村に報告を求めた数値 ( 住民基本台帳人口 ) である。
なお、外国人登録制度が廃止され、「住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成  21  年法 律第  77  号)」により外国人住民についても住民基本台帳制度の対象となったため、平成  24  年度調査より外国人人口は総人口のうち数とした。
総人口=計画収集人口+自家処理人口

・ごみ総排出量(t)
総排出量=計画収集量+直接搬入量+集団回収量

 ・1 人 1 日当たりの排出量( g/ 人 / 日)
 1 人 1 日当たりの排出量=ごみ総排出量/総人口/ 365

 ・1 人 1 日当たり排出量[生活系ごみ]( g/ 人 / 日)
 1 人 1 日当たりの排出量[生活系ごみ]=(生活系ごみの収集量+集団回収量)/総人口/ 365

・1 人 1 日当たり排出量[事業系ごみ]( g/ 人 / 日)
1 人 1 日当たりの排出量(事業系ごみ)=  事業系ごみの収集量/総人口/ 365

・自家処理量(t)
自家処理量とは、計画収集区域内で、市区町村等により計画収集される以外の家庭系一般廃 棄物で、ごみを自家肥料又は飼料として用いるか、直接農家等に依頼して処分させ、または自 ら処分しているものをいい、一部の市区町村では計画収集量、計画収集人口、自家処理人口を 勘案して推定している。

・ごみ処理量(t)
 =直接焼却量 + 直接最終処分量 + 焼却以外の中間処理量 + 直接資源化量

・減量処理率(%)
= ( 直接資源化量 + 直接焼却量 + 焼却以外の中間処理量 ) /ごみ処理量× 100

・中間処理後再生利用量(t)
 = ( 焼却施設 + 粗大ごみ処理施設 + ごみ堆肥化施設 + ごみ飼料化施設 + メタン化施設 + ごみ燃料化 施設 + その他の資源化等を行う施設 + その他の施設 ) における再生利用量

・リサイクル率  R(%)
 = ( 直接資源化量 + 中間処理後再生利用量 + 集団回収量 )/( ごみ処理量 + 集団回収量 ) × 100

・リサイクル率  R’(%)
= ( 直接資源化量 + 中間処理後再生利用量〔固形燃料、焼却灰・飛灰のセメント原料化、セメント  工場へ直投入、飛灰の山元還元を除く〕 + 集団回収量 )/( ごみ処理量 + 集団回収量 ) × 100

・最終処分量(t)
=直接最終処分量 + 焼却残渣量 + 処理残渣量

 

 

 

 

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