自分のために読む、古典のひと言

昔の本を読んで、考える。昔の人は、何を思ったのか。

自分ができないからといって、相手もそうだろうと人を疑ってはならない

2015-11-30 | 人間関係
自分ができないからといって、相手もそうだろうと人を疑ってはならない。自分ができるからといって、人を馬鹿にしてはいけない(孔子家語)。

◇読んで思ったこと:自分が知っていることを人が知らないからと言って、人を馬鹿にしてはいけない。自分の知らないことを相手は知っている。
◇引用元:新釈古典漢文大系「孔子家語」明治書院

世の人の心はさまざまに違うから、自分の思うようには従われない

2015-11-29 | 自分自身
世の人の心はさまざまに違うから、自分の思うようには従われない。ただ我が身を修めて、人を責めないのがよい(貝原益軒)。

◇読んで思ったこと:思うようにいかないことを気にしていると、ストレスになる。思うようにいかないものだという前提で物事を見ると、気持ちが少しラクになる。
◇引用元:日本の名著「貝原益軒」中央公論社

人に先々までの考えがないと、必ず目先の心配事がでてくる。

2015-11-28 | 自分自身
人に先々までの考えがないと、必ず目先の心配事がでてくる。思慮は対象を超えたところにまければならない(近思録)。

◇読んで思ったこと:悩みが出てきたら、長い目で見て考える。長い人生の一部分として捉える。長期の計画の、一ステップとして捉える。
◇引用元:新釈漢文大系「近思録」明治書院

 そういえば昔、ある企業を訪問したとき、壁に「人が幸せになるための条件」という張り紙があって、その1に「取り越し苦労をしないこと」と書いてあった。そのころは営業の仕事をしていて、毎日成績に追われていた。日々「うまくいかなかったらどうしよう」と悩んでばかりいた。カベ紙を見て、最初はなんとなく気になる程度だったが、そのうちハッと心に得るものがあって、それ以来「取り越し苦労」をしないように努力した。心の中から「取り越し苦労」をなくしてみると、悩みのほとんどがなくなった。

学問をするものは慎重に心を守るべきで、あせってはいけない

2015-11-28 | 自分自身
学問をするものは慎重に心を守るべきで、あせってはいけない。あせって功を求めるのは私心にすぎず、結局は道に達するに足りない(近思録)。

◇読んで思ったこと:階段を一段一段確実に登るようにする。一段飛ばすような登り方をすると、結局最初からやり直すことになる。
◇引用元:新釈漢文大系「近思録」明治書院

他人を利益するということ自体が、自分で利益を受けることなのである。

2015-11-22 | 人間関係
他人を利益するということ自体が、自分で利益を受けることなのである(最澄)。

◇読んで思ったこと:自分の利益のために他人を利益するのではない。他人の利益=自分の利益、自分の利益=他人の利益である。これを自然に行えるようになると、そのうち他人の利益・自分の利益という区別もなくなる。「ためにする」という意識がなくなると、期待したり裏切られたりということがなくなって、その手の悩みが消えてラクになる。
◇引用元:日本の名著「最澄・空海」中央公論社

人がどのようなことを言ったとしても、ものごとをやかましく議論してはならぬ。

2015-11-13 | 自分自身
人がどのようなことを言ったとしても、ものごとをやかましく議論してはならぬ。それをよそにいて聞く人があったなら、大変差し出がましい奴だと思われるに違いない(北条重時)

◇読んで思ったこと:言葉は矢のようなもので、いったん発したら元に戻すことはできない。しかも言葉は、発した後に枝葉が付いて独り歩きしていく。思いがけず悪いうわさが立つときは、過去に自分が発した言葉がそもそもの原因かもしれない。
◇引用元:桑田忠親「武士の家訓」講談社学術文庫

平人は私心私欲の願望があるので、自然の時期を待たずに動こうとする。

2015-11-12 | 自分自身
平人は私心私欲の願望があるので、自然の時期を待たずに動こうとする。それだから思慮することが多い(熊沢蕃山)

◇読んで思ったこと:決断のタイミングは早すぎても遅すぎても失敗する。決断のタイミングが悪いと、行動を起こしてもうまくいかないから悩みが多い。ものごとの関連性をよく観察していれば、自然の時期というものが見えてくる。たとえば何かの決断で迷っているとき、選択肢がいくつもあるうちは、まだ自然の時期ではない。いろいろ選択肢があったけれど結局これを選ぶしかないな、という状況になったとき、決断する。そのときがくるまで、準備はしておくが悩みは持たない。
◇引用元:中江藤樹・熊沢蕃山」中央公論社

苗が伸び、花が咲き、実を結ぶように、それぞれに応じた時期があるものだ。

2015-11-11 | 自分自身
苗が伸び、花が咲き、実を結ぶように、それぞれに応じた時期があるものだ。自然に迷いが解けるようにして、意識的に迷いを解こうとしてはならない(伊藤仁斎)

◇読んで思ったこと:答えを出し急ぐことはない。問題意識をもち続けていれば、何かの拍子にふと答えがでる。
◇引用元:日本の名著「伊藤仁斎」中央公論社