自分のために読む、古典のひと言

昔の本を読んで、考える。昔の人は、何を思ったのか。

君主が事業を起こそうとするとき、その事の詳しい全体にも通じないで、

2020-04-25 | 自分自身
君主が事業を起こそうとするとき、その事の詳しい全体にも通じないで、自分の欲望をさらけ出してしまうと、それを実行する者があらわれてもその事業で利益は得られず、必ず逆に損害となって返ってくる。そのことをわきまえた君主は、事の道理に任せて自分の欲は捨て去り、事業の遂行にも決まりを立てて、収入が多くて支出の少ない企画を考えては実行してゆくのである(韓非子)。

◇読んで思ったこと:新しいことをはじめるときは、心の中で公事か私事かの区別を明確に整理整頓するようにする。私利私欲で始めたことは、困難に直面したときに人の協力が得られず、あきらめも早く長続きしない。これに対して、公の志によって動くときは苦しいときほど協力者が現れるものである。何かを始めようとするときは、まず自分の動機を洗練化させることである。
◇引用元:金谷治「韓非子」岩波文庫